• モタスポコラム その77-坪井翔、今季2度目の表彰台獲得!雨でレースは12周で終了 〜スーパーフォーミュラ第3戦〜

坪井翔、今季2度目の表彰台獲得!雨でレースは12周で終了 〜スーパーフォーミュラ第3戦〜

モタスポコラム その77 2024.07.05

 

一年ぶりの東北は、想定内ですが雨でした。レースをしたかったよね。天候ばかりは、どうにもこちらでコントロールできません。アクシデントもあって心配な状況でしたが、スピン、クラッシュしたドライバーたちは幸い無事。ドライバーさんたちは、雨でも朝からずっと待ってくださっていたファンへ、SNSで声を届けてくれました。レースはキャンセルとなってしまったけれど、きっときっとまたサーキットに来てくれると信じて現場を後にしました。では、振り返ります。

○搬入日

今年も、ル・マン24時間が行われた翌週ということで、ルーティンとなりますが、このスポーツランドSUGOの場で記者会見が設けられました。小林可夢偉選手がブリーフィングルームに登場。リモートでメディアも参加可能でしたので、きっと記事としてたくさん展開されたのではないでしょうか。生の声をタイムリーに聴けたことはいつも思いますが、大変貴重です。

サーキット入りをしたのが金曜日ですので、その5日前に、テレビで見たばかりのル・マン24時間でした。ハイパークラス戦国時代を迎えたニューエラという感じのこの伝統のル・マン。アウェイのヨーロッパの地は、彼らに対して優しい訳もないのは今年も変わりはなかったです。そんな中でほんと頑張りましたよね。悪天候による長いSCが明けた後8号車がイケるかと思ったら、7号車に望みを託すこととなり、とにかく目が離せませんでした。戦いに敗れたものの、最後尾から24時間戦って、たった14秒差で破れるという最後までスプリントレースのような壮絶な戦い。今年は、負けたけれど見応えがありすぎて(褒めている)、感動も当然ありますが、来年への期待が膨らむ負け方?清々しい気持ちで終わったんです自分の中で。悔しいし、いろんな気持ちが交錯しつつも、今からもう来年が楽しみというね!

その張本人が目の前に。なんでしょうね、いつもスーパーフォーミュラでは彼を見ているんですよ。かなり古くから彼にお目にかかっているので、フレンドリーなところが「世界」をたまに消し去ってくれてね。距離感のない空気でこちらも勘違いしそうになるけど、常に彼にはリスペクトしかなく、この世界の人が同じ人なんだなと改めて感じながら会見の言葉を噛み締めました。

ル・マン24時間の終盤、サインガードを行ったり来たりする姿が映し出されましたが、まさにあの時、行け!いやこのままと葛藤していた様子だったのかもしれないことが、会見でわかりました。ありがたい。世界がかなり近くに感じた時間でしたね。次は、きっとル・マン24時間優勝報告!と思って会見は終了しました。

 

それを終えてピットロードにやって来たら、ちょうどライアン・ディングルさんがいました。彼は、TGR WECチームの8号車のエンジニア。以前書いたけれど、今年は日本に通ってスーパーフォーミュラの14号車もサポートしています。

もともと日本のレースの現場にいたので知る仲ですが、そこにSUPER GTでお馴染みの脇阪寿一監督、坂東正敬監督が登場しました。今回はスーパーフォーミュラのゲスト解説の担当ということでした。マサ監督は、ご自身のチームでエンジニアをしていたライアンをからかっていました。手荒く旧交をあたためる感じね。

ル・マン帰りの脇阪監督を見た瞬間、久しぶりに現地に行かれた感想を聞きたいと思って伺ったんですよね、彼の目にはどう映ったのかなと。スーパーフォーミュラとかけ離れてしまいますが、今年の大会を凝縮したコメントがあまりに共感し過ぎて貴重だったので、全部載せたいので下の<近況>に掲載しますね。昔から寿一監督は阿吽の呼吸で私が聞きたいことを的を得て話してくれるのですが、今回はますます尊敬するコメントでした。天晴れ!そしてありがとう!↓読んでくださいね。

 

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    (飛行機の都合で、TGR一番乗りの福住仁嶺選手 初めて博多弁を聞きましたよ)

続けます。搬入日は、サーキットに来るまであれもこれもと考えながら入るので、慣れた現場でも“入り”は常に若干緊張気味の私。見慣れたお二人の監督のお顔を拝見したら少し力が抜けて良かったです。そして、現場で最初にお目にかかったのは、福住仁嶺選手。九州から宮城県へとロングトリップ賞。話しているのは土居チームオーナーのご子息。今季からチームスタッフとして頑張っています。

 

 

可夢偉くんは、チームに再び合流し、仁嶺くんと共に明日からの準備です。マメな二人ですが、どうにか今の体制でチームを押し上げたい気持ちが伝わって来ますね。

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    (こちらは翌日のフリー走行前の写真 大駅エンジニア平良くんをよろしくです)
 

そうそう今回の話題といえば、空席となっている19号車に平良響選手が乗るということ。今季、スーパーフォーミュラ・ライツからスーパーフォーミュラへの昇格はなかったです。ドライバーの育成プログラムでは、やはりスーパーフォーミュラ・ライツのタイトルの獲得の有無はドライバーとしての将来が左右されますね、初代から今まで見ている限り。だから、彼の将来は一旦見えなくなってしまっていたのです。

今回、空席のチケットを得たことはタイミングもありますし非常にうれしいこと。いきなり結果を出すのはなかなか厳しいけどね。とにかくここで頑張って、7月の富士スピードウェイでの合同テストに乗るチャンスを得たいところ。そこで練習をする時間ができます。今回はフリー走行の90分しか練習もできないので短時間で適応する能力も必要とする切迫した状況。だからこちらも祈るしかなく。この日は、姿を見かけたけど、きっと口から心臓が出そうなくらい緊張しているだろうし、未知の世界へのチャレンジを茶化すのも(茶化してないけどそう思われる私の性)と思い、そっと遠くから見るだけにしました。予選の前に記者会見も設定されましたのでね。まずは頑張れと。

 

14号車の木谷エンジニアがいらっしゃいました。このサーキットは、大嶋和也選手が得意なサーキットでありますよね。過去にはポールポジションを獲得したり優勝もしていますし、昨年も4位と頑張りました。木谷エンジニアは、彼はスタートが不得手だから、どうにかして、とリクエストがあったと言っていましたね。ドライビングに合わせたクルマを作ってくれるのは、自分好みのご飯を作ってくれる女房(イマドキこう言わないか)みたいなものだよなと再確認。チームでドライバーの手足となり良い環境を作っていく。まさに家族だよなあと今までわかっていたこともしっかり頭に叩きこみ、再びピット回り。

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    (写真は予選日のものですが…)

インパルのメカさんたちがもろもろ準備をしていました。名前のプレートをじっくり見ると、今季の3人分の名前が重なった状態。今季はたまたまそうなってしまいましたが、毎回違うドライバーの面倒を見るのは、慣れてはいるだろうけど、気を遣うだろうね。でも突然家族になったのだから、平良くんの走る環境づくりに彼らも最善を尽くしてくれる。そんな姿を見て平良くんをお願いします!と祈りを込めてパチリとやりました。

 

セルモインギングに行ったらちょうど車検からクルマが戻って来ていました。織田チーフメカとようやく話せた気がします。今季は、担当が坪井選手から大湯選手に代わったのだけれど、話してなかったので、二人はどんな感じなんだろうと思ったままで、全く掴めておりませんでした。

 

「あいつ髪切ったなあ」なんて話すので、どうしたんだろうと思ったら、大湯くんが表彰台に乗るまで髪を切らないという約束をしたそうです。あら、そうなの?確かにだいぶ織田くんの髪も伸びてました。なるほど、そんな男気を感じる約束もあるのかと。織田くんのボーボーの髪の毛をばっさり行くのを楽しみにしていますよ。あらためて言いますが、俳優の高橋一生さんにそっくりなんですよ。なんなら、BTSの誰かに似てるし。イケメンパパです。写真がデレデレすぎました、すみません。

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    (ピカピカの笹原右京選手のシート 綺麗な仕上がりを荒チーフメカが見せてくれました)
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    (トムスのピットの前は、同じチームのスーパーフォーミュラ・ライツが併催のため、トムスの4台が走っていたので賑やか)

だいたいこのピット回り、菅生ラウンドだと昨日何食べた?の質問もついしてしまいます。トムスのピットでは、食の話(笑)。美味しいものに困らないのが宮城出張。牡蠣を食べたと聞いてちょっとうらやましい。三陸だとまだ天然もあるのかな、不明だけど美味しそうだね。牛タンもいましたね。写真があれ?ない…。

コンドーレーシングのせなちゃんマネ。居なかったでしょ?と、どこかのレースで不在だったので、すぐ気づくよね〜なんて話を。体調にはみなさん気をつけましょ。

 

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    (こちらは決勝日のお写真)

そうそう法螺貝(ほらがい)を吹く音が聞こえました。開会のリハーサルをしていました。地元の宮城県村田町とスーパーフォーミュラがパートナーシップを締結。この戦国武将とのコラボで、実現したそうです。サーキットに響く法螺貝音はとてもかっこ良かったですよ。戦(いくさ)が始まる!ですよね!レースも戦、これ良かったよ〜! 武将とかあとで追いかけてみよう、ちょっとだけ歴女なので。

何かこう具沢山で終えた搬入日は、帰りに頭を横に振らないように歩きました。ネタが溢れてなくなりそうでね(笑)。そんなわけないのだけど、そんな心境になることがたまにあるんです、深い話が聞けたりするとね。

 

この日の終わりは、窓が真っ赤になっていたので、いつもの“蔵王の夕焼け”だと思い、メディアセンターの入っている建屋の屋上に向かいました。フィルターなど当然ない自分の目で見たら、まるで絵画のよう。横浜タイヤのトランポに夕焼けが反射しているのがなんとも良かったです。これも毎年見ている光景。確か昨年は、気づくのが遅くて夕焼けが漆黒の闇に飲まれていった時だったんだよね。今年は絶賛焼けてます!状態の時に気づいて良かったです。ありがとう蔵王!

そして夕食には、この時期はイカですね!溶けてなくなりそうな柔らかいイカをお寿司でいただきました。もちろん遅い時間でお店がなかなか開いてないので閉店間際の回転寿司ですが、お客さんが私たちを含む2組(もう1組もレース関係者)。だからまわってない。ネタは最高、めちゃくちゃ美味しかったです。あのクオリティ、関東のまわるお寿司に欲しいなあ。

○予選日

朝から湿気込みの真夏の陽気。気持ちよく晴れた東北の初夏は、すでに暑さしかなかったですね。午前中に水分が足りなかったようで、昼くらいから頭痛に悩まされました。気づいた頃には遅いと熱中症の注意を促すアナウンスをこれまで自分もやって来たのにね。6月からもう熱中症の心配。この日は、32度にまで上がりました。帽子も忘れてしまって情けない。

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    (国本雄資選手は、今回どうかなと気になっていたドライバーのひとり)
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    (大湯選手も巻き返してもらわないとね)
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    (小高選手も前戦の結果が思いのほか沈んでしまったので心配していました)

フリー走行は、ドライバーも暑さとの戦いだったようで、マシンを降りて来た姿は汗びっしょり。その姿を見ると彼らの集中力のすごさったら。私は暑いと集中できないので…。

8号車福住仁嶺選手がフリー走行で2番手。彼の本当の実力が見え隠れする今季。移籍したらダメになったと言われることは当然避けたい。だから早く彼の実力を反映したリザルトが欲しいです。

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    (下2枚は、決勝の写真ですが)

それは大湯都史樹選手に対しても同様の気持ちを持っています。彼らも、移籍前は良かったと言われたくないでしょう。クルマは同じで、エンジンが違うから走りに違いも出るでしょう。でも早く結果がほしいですよね。もちろん、山下健太選手など生粋のTGRのワークスドライバーだってそう。移籍して来たドライバーたちに負ける訳にはいかない。自身を奮起させ頑張るしかないのだけど。本人たちがよくわかっていることをここに書くと、ただのうるさいお母ちゃんですけどね(苦笑)。

ふと思ったことがありました。まだシーズン序盤ですがなにかこう移籍組という言葉も少し古く感じるくらい、新しい環境に馴染んでいるようにも見えます。今後は移籍組、移籍という言葉の事実関係を説明する時以外は封印しようかな?もう仲間ですしね!そうしよ!

予選、坪井翔選手3位(決勝3位)。TOP3の一角をもぎ取りました。チャンピオンカーを受け継いだ坪井くんが安定してきたように思うので、無限さんの尻尾が掴めたのかもしれない。尻尾(あるかないか不明だけど)を掴めば、あとは彼の力量でいけるのか?そう期待できるムードがありましたね。それだけ偉大なドライバーです。奥様がいらしてましたね。ひさしぶりにお話をしました。あ、一方的におばさん(私)が話しているだけかもしれないけど。チームのホスピタリティにちょうどいらしてね、隣がブリーフィングルームなので、押しかけた訳じゃないよ、相変わらず話が長い私だけど(苦笑)。

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    (チームも良いドライバーをたくさん育てて来ましたね〜 ねえ会長!淳さん!)

何に乗っても速い彼を支える奥様もレーサーだし、カート時代は彼に勝ったこともあるそうで、良き理解者を伴侶に迎えとても良い環境にあるのかもね。チームもたくさんトップドライバーを育てて来ていますしね。世界へ行ってしまうのが悩みなそうだけど。まずは、3番手に安堵した予選日でした。

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    (大嶋和也選手 予選8位)
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    (わかりにくいけど小高選手 予選10位 決勝8位)

他のドライバーたちも頑張りましたよ!予選TOP10に6人入りました!ということで、レースは明日だけどホっとしました。

○決勝日

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    (このホイールにはウエットタイヤを装着することに 今季初のウエットレースだ)
  

朝から雨。天気予報も二転三転だったけれど、結局雨。しかしグランドスタンドを見ると、すでにレインコートを着て着席している方が結構いらしたんだよね。

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    (朝、何気に撮った一枚 すでにスタンドに人がいる雨なのに…)

驚いた。椅子も濡れていて冷たいでしょ。雨も直にお顔にあたって冷たいでしょ、そう思うと何か申し訳ない気持ちになったのよ。ありがとうございます!私が言うのもおかしいけど(汗)。

朝のフリー走行では、Honda岩佐歩夢選手がハイドロに乗ってしまいびっくり。ホームストレート上を滑っていきましたが、驚きで悲鳴が出ましたよ。ドライバーとクルマへのダメージは、インタビューを受けた田中監督が大丈夫とおっしゃっていたので、まず安堵。このセッションはキャンセルとなったので、一旦メディアセンターに戻りました。この時は決勝の前くらいにまた走れるかなと思っていました。

 

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    (牛タン弁当がうらやましい早めのランチタイム)

ピットウォークの時間になったのでまたパドックへ。チームは、ピットの軒下でファンサービスをしていましたが、この時間を私は中の人と話す時間に変えました。

某ベテラントラックエンジニアがいました(写真とは無関係)。雑談の始まり始まり。このトラックエンジニアというポジション、若返っていますね。年齢なんて関係ないのかな?いや、やっぱり経験は大事だけれど。モータースポーツの歴史も長くないので、どんな経歴も貴重で大切。データをもとにレースを組み立てていくことで説得力がある若手と、いわゆるデータも勘ピューターも駆使して戦うベテラン勢、私の頭の中はそんな分け方で話を伺っていました。

勘ピューターさんたちは、過去に戦績を残している方が多くそれも説得力がある、いろんなタイプのエンジニアが混在しているのが「今」じゃないかなとか、妄想込みでもろもろ話が膨らみます。そして、そのエンジニアたちの指示を受け動くメカニックたち。こちらもチーフのポジションの若返りが進んでいて、いろんな意見を持ってお仕事をしている。ここで悩んでいる人もいました。これから頑張るという方も。チャンピオン獲りたい、それはやはり勲章ですので、欲しいと話す人もいた。

そして、「機械(マシン)」というものは精密にできているので、何か間違いがあればちゃんと動作せず駄々をこねる。思うようにクルマが走らないのは、必ずどこかに間違いがあるという話しで〆。バラバラですみません。この話で、自分の胸に手をあてることに(笑)。自分が正しいと思い込んでしまい、これまで失敗も沢山して来た過去を思い出す…。雑談から人生の勉強をしちゃう謎の時間もお開きでした。

天候は好転とは行きませんでしたが、いざ決勝!ということでウォームアップ走行がスタート。しかし、スピン、クラッシュが発生。クルマが映し出されるとそれは、Honda山本尚貴選手のマシンでした。

ショックでしたね…。昨年、SUPER GTでこの菅生で負傷し、残りのシーズンを失った彼。満身創痍で戦っている今シーズンだけれど、表彰台に2度も乗ったりと頑張っているので自分のダメージも大きすぎました。ただ、歩いて救急車に乗る姿を確認できたので無事で本当に良かったです。

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    (バタバタしましたが、ようやくグリッドに向かってダミーグリッドのつく様子)

ここからタイスケが大幅にディレイとなりました。ようやくスタートしたものの最終コーナーでスピン、クラッシュが続き、赤旗でレースはストップ。

待ちましたが、最終的にJRP近藤真彦会長から中止のアナウンスがあり、12周を持って終了となりました。これは残念ではありますが、英断でもありましたね。

表彰式が終わり、ミックスゾーンには時間帯を分けずに一斉にドライバーさんたちが来られるということで、まずは優勝監督記者会見を拝聴させていただきドライバーたちを待ちました。

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    (予選、決勝5位 彼のレース、見たかったなあ)

大湯選手、これまでかなりクルマが走れる状況ではなかったそうで、ここで立て直しといった感じだったんですよ。予選5番手につけた時、これは来たかなと思っていてね。レースしたかったですね。次、期待していますよ。こんなふうに決勝後も話したりもでき、それはそれで不完全燃焼ではあったけれど、収穫のあったドライバーもいましたね。

レースは規定周回数に達成していないことで、ハーフポイント。それでも入賞はうれしい結果となったドライバーもいたでしょう。前戦から上向いたドライバーはどんな事を話してくれるのだろうと思っていたら、様子が少し違いましたね。実は全く気づいていないことがありました。レース中にレース中断を訴えていたドライバーさんたちがいたことです。無線をレース中には聞く余裕がないので…。周りのメディアの空気感も私と同じでしたね。まずスタートするとレースの行方を追っていきますので。

憤りを現すドライバーさんには、しっかりお話を伺い用意した質問を一旦しまう格好となったりも。私はまずその状況を整理しないと、となりましたが時間もありません。今回の大会の状況を話してくれるドライバーもいたので、それはそれで頭を切り替え取材を続行しました。無線、ここは盲点でしたね。いつも聞きながらやればと思うのですが、私には無理でした。レース再開などアナウンスが気になるのでモニターから目が離せませんでしたね。雨で危ない状況で飛び交う無線、情報がたくさんあるスーパーフォーミュラのアプリ、SFgoならではですよね。リアルタイムで情報が拡散されていく。

優勝記者会見でも毅然とした態度でHonda野尻智紀選手が、レースの運営に異論を唱えていました。こちらもSFgoアプリでご覧になることができます。意見はあって不思議ではないです。ドライバーが危険な状況下に置かれていたので。立場が違えばいろんな考えが出て来るし。レース中止の判断をされる立場の方もいろんな状況を吟味されていたことでしょう。レースと同時進行で、非常に難しい状況だったのではないかと思います。時間の猶予もお客様の帰路を考えるとあまりなかったのではないかと勝手に想像しています。間違っていたらごめんなさい。

全てが終わって、ドライバーの無事を何より喜びました。レースをさせてあげたかったけれど、安全を担保できないのであれば中止もやむなしですね。事後のことは、どのカテゴリーもしっかり話し合われていますので、そこは運営側に託しましょう。

決勝では、TGR勢は、TOP10に6台入りました。レースができていないので、ご参考ではありますが良い兆しの見えたラウンドでした。7月は合同テストと第4戦も控えております。ぜひ、今回の分と併せて素晴らしいレースが見られるといいなと思っています。そして、年に一度のスポーツランドSUGOのレースに、また来年もぜひ来ていただきたいと願って終わりにします!またね!

大谷幸子の近況

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    (予選日ミックスゾーンで取材をされていた時の脇阪監督)

前述しましたが、現場でル・マン24時間帰りの脇阪監督を発見したので、現地に行かれてテレビで見ていたのでこれは感想を伺わないと!ということで一言いただきました。いつも瞬時に凝縮した言葉を発してくれます。尊敬ですよほんとに。私ここまで表現できません。あっぱれ過ぎ。そのコメントを全てご紹介。どうぞ。

「TGRは負けたけれどよく戦ったと思うし、今までのル・マンと違う(最近行ってなかったけど)気がします。どれだけ自分たちが準備段階でレベルを上げて、それを高いレベルで淡々とこなしていくル・マンと、それがベースでありながらライバルの存在が自分たちのペースなり実力なりを狂わす、そして実力以上のところにも行かせようとするし、それをメンタリティー的に行かせないように吸われてしまうこともある。そのせめぎ合いがぐちゃぐちゃしている中で、24時間、あのスピードやあの雨の中で、チームはミスもしたり飛び出したりもしている。いわゆる完璧にル・マンを戦えたチームなんかない。そんな中でも最後まであのような展開(フェラーリと優勝争いをしていたTGR)になれて、TGR2台が共に完走できたことは、クルマとチームの強さを証明できたのではないかと思ってる。ただ、勝利の女神はフェラーリに微笑んだという事だけの話であってね。夜のSCもジャッジもエンターテイメント。ル・マンの主催者としては、“してやったり”。あそこで走らせてクルマどんどん減っていき、その結果、最後に同一周回に9台くらいあって、またSCが入ったらどこが勝つかわからない状況。一発なんかあれば俺たちも勝てるかもしれないチャンスがそこにあった。競争が激しくなればドライバーもクルマももっともっと育つと思うので、これから先の未来がとても楽しみなル・マンになったのかな。でもやっぱりやっている側のチームにとっては、どのチームにもものすごく過酷すぎて、見ていてかわいそうだった。戦いが終わって安堵した表情は、悔しさの中にも喜びの中にも見えたル・マンだったと思う。ル・マンは、またすごい場所になりだしたし、プロモーターのジャッジにしてもどうすればレースがおもしろくなるのか加味されていたようにも思うので、加味されていることに文句を言いながらもみんながそれをわかっていて、きっとそうやるだろうという感じはあったので、プロモーターとしては、かなり手応えを感じたル・マンになったのではないかな」

一瞬でここまで話してくれましたが、全てを要約してくれました。共感しかないです。どの言葉も意味もレースを見ていたのでよくわかりました。TGR WECチーム、来年のリベンジに期待ですね。

ということで、おしまい!またね!

(写真 トヨタ自動車、日本レースプロモーション、大谷幸子)