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ダカールラリー2020 - サマリー ダカールラリー2020 レポート

第42回ダカールラリーがゴールを迎えました。初めて中東へとその舞台を移したダカールラリーは、これまでになくタフな戦いとなり、競技者はサウジアラビアの果てしなく続く砂漠や砂丘、これらの砂の下に隠れた岩など様々な路面に立ち向かいました。4台のトヨタ・ハイラックスでこのダカールラリーに臨んだTOYOTA GAZOO Racingは、隣国カタール出身のナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組が2位表彰台を獲得。ジニエル・ド・ヴィリエール/アレックス・ハロ組が5位、ベルンハルト・テン・ブリンク/トム・コルソール組が7位、そして初めてダカールラリーに挑戦したフェルナンド・アロンソ/マルク・コマ組は驚くべき順応性を見せ、ルーキー最上位の13位という好成績でラリーを終えました。

およそ7,900kmに渡るサウジアラビアの砂漠地帯を舞台に戦われたダカールラリー2020は、歴史に残る一戦となりました。ペルーで行われた2019年大会から1年、新たな舞台となるサウジアラビアのコースは、全行程の75%が砂に覆われた難コース。加えて、スタート直前にその日のロードブックが渡される新ルールにより、ナビゲーターは僅か数分でその日の準備をすることが要求されました。

1月5日、4輪部門の83台が伝統の都市ジェッダから長いラリーへのスタートを切りました。砂の路面は想定されていたものの、岩場への対策が十分ではなかったこともあり、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のトヨタ・ハイラックスは4台全車が何度もパンクに見舞われました。ディフェンディングチャンピオンのナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組300号車はパンクをものともせぬ走りでこのステージを4位フィニッシュ。ベルンハルト・テン・ブリンク/トム・コルソール組307号車が5位。そして、F1とFIA世界耐久選手権(WEC)のダブルチャンピオンで、2度のル・マン24時間レース勝者でもあるレジェンドドライバー、フェルナンド・アロンソは、ナビゲーターのマルク・コマとのコンビで、ダカールラリーの初ステージを見事11位でフィニッシュしてみせました。一方、ダカールラリー勝利経験を持つベテランのジニエル・ド・ヴィリエール/アレックス・ハロ組304号車は4度にわたってパンクに見舞われる厳しいスタート。ステージ後、ド・ヴィエールは「スペアタイヤを使い切ってしまい、最後まで慎重な走りを強いられました」とコメントしました。

しかし、ド・ヴィリエール/ハロ組304号車は翌日のステージ2でリカバリーを果たし、この日の最速タイムでステージ勝利を飾りました。完璧な走りでサウジアラビア西岸のステージを走り切ったド・ヴィリエールは、ダカールラリー史上、南アメリカ、アフリカ、ユーラシアの3大陸でステージ勝利を挙げた初のドライバーとなりました。一方でアロンソ/コマ組310号車は、2日目にして早くもダカールの洗礼を受けることに。ステージの前半は競争力の高いタイムをマークしましたが、後半、激しく岩にヒットし、左前のサスペンションとホイールを破損。しかし、彼らは諦めることなく自力で車両を修復し、タイムを失い大きく順位を落としたものの、再びラリーに復帰しました。チーム代表のグリン・ホールはステージ後、「フェルナンドは最後までラリーを走り抜くと確信しています」と語りました。

ステージ3は未来都市ネオムを起点、終点とするループステージ。この日のコースは砂と岩の路面に、山岳路も均等に含まれ、高いドライビングスキルが要求されました。全体的に若干スローペースとなったこのステージでは大きな混乱は無く、TGRの4台のトヨタ・ハイラックスは全車がトップ10でフィニッシュ。特にアロンソ/コマ組310号車は、自身3度目のダカールステージで、チーム最上位の4位という快挙を成し遂げました。

ステージ4はネオムからアル・ウラへ、再び砂と岩の路面で戦われました。アル-アティヤ/ボーメル組300号車はほぼ完璧な走りを見せステージ2位フィニッシュ。「トヨタ・ハイラックスは完璧で、彼らはパンクにも見舞われなかった」とホールはコメント。残り3台はパンクに苦しみ、揃ってスペアタイヤを使い切ってゴール。307号車のテン・ブリンクはパンクに加えてインフルエンザとも戦わなくてはなりませんでした。しかし、このステージでTGRのトヨタ・ハイラックスは3台がトップ10フィニッシュ。アロンソは僅かに遅れ13位でフィニッシュしました。

ステージ5は砂丘を越えるステージ。最後は総合トップ争いをしている3台が、抜きつ抜かれつのバトルを繰り広げながらの僅差フィニッシュとなりました。アル-アティヤ/ボーメル組300号車は2位、304号車はドライバーのド・ヴィリエールが着地の衝撃で首を痛めながらも6位でフィニッシュ。アロンソ/コマ組310号車は着実な走りで7位、テン・ブリンク/コルソール組307号車はチェックポイントを見失ってタイムロス。12位に終わりました。

前半戦最終ステージとなるステージ6は、サウジアラビアの首都リヤドへと向かうコースで、息を飲むような景色の中、砂丘を越えていくステージでした。TGRのトヨタ・ハイラックスは4台揃ってトップ10フィニッシュ。アル-アティヤ/ボーメル組300号車は総合2位で前半戦を終えました。ド・ヴィリエール/ハロ組304号車とテン・ブリンク/コルソール組307号車はそれぞれ7位、8位と総合トップ10をキープ。アロンソ/コマ組310号車はステージ2のアクシデントにより大きく遅れましたが、その後素晴らしい追い上げを見せ、ステージ6終了時点で総合16位までポジションを取り戻しました。

スタートから7日目はリヤドでの休息日。競技者が休息で鋭気を養っている間、メカニックは後半戦へ向け車両の点検整備と修復の作業に勤しみました。後半戦最初のステージ7は、リヤドからサウジアラビア南部のワディ・アル・ダワシールへ向かうコースで、このラリー最長の546kmにわたるスペシャルステージが待ち受けます。このステージには、トヨタ・ハイラックスの4輪駆動が力を発揮する困難な地形と共に、250kmに及ぶスロットル全開で突破するストレートも含まれています。このステージ7では2輪部門に出場していた、レジェンドライダーのパウロ・ゴンサルベスがクラッシュにより亡くなりました。トヨタは彼の死を悼むとともに、彼の家族と友人に心から哀悼の意を表します。

477kmのスペシャルステージで争われたステージ8は、通常先行して走るバイクとクワッド車部門がステージキャンセルとなったため、4輪部門上位の車両は全くタイヤ跡のないコースを切り拓いていかねばならず、ナビゲーション能力が問われました。このステージではアロンソ/コマ組310号車が素晴らしい走りを見せ、TGR勢最上位のステージ2位という好結果を成し遂げました。

ステージ9はサウジアラビアで「空虚な一角」と呼ばれるルブアルハリ砂漠へ突入。ここから数日は高速な砂丘ステージが続きます。この日2番手でスタートを切ったアロンソ/コマ組310号車はまもなく首位に浮上。ダカールでの高い順応性を見せてきたアロンソでしたが、この日は先頭に立ってコースを切り拓いていくこととなり、難しいナビゲーションでタイムロス。それでも310号車はこの日ステージ9位でフィニッシュを果たし、この結果、TGRのトヨタ・ハイラックスは4台全車が総合トップ10へと浮上しました。

ステージ10は競技者に厳しい、マラソンステージの設定。マラソンステージではメカニックによる一切の作業が禁じられており、ここで車両に大きなダメージを負うことはラリーからの脱落を意味します。そのため、アロンソが尖った砂丘を越える際に横転したときには、彼らのラリーは終わったかと思われました。しかし、急な砂丘から2回転しながら落ちたにもかかわらず、幸運にも310号車のダメージは大きくなく、割れたフロントウィンドウを除去し、その後はフロントウィンドウ無しでの走行を続けました。このステージではド・ヴィリエール/ハロ組304号車が3位と気を吐きましたが、300号車がミスコースでタイムを大きく失うなど、他の3台のトヨタ・ハイラックスにとっては厳しい一日となりました。

ステージ11も砂丘と岩のコースが続く中、アル-アティヤ/ボーメル組300号車が好走を見せ、首位と僅か10秒差の2位でフィニッシュ。残る3台のTGRトヨタ・ハイラックスもトップ10圏内で着実にステージを走り切りました。

最終ステージとなるステージ12は、リヤド近郊にエンターテイメント都市として開発されているキディアでフィニッシュを迎えました。予定よりも短縮されたこのステージでは、アル-アティヤの300号車が今大会初となるステージ勝利。これでアル-アティヤは2007年の初参戦以来、毎年最低1回のステージウィンという記録を更新しました。このステージウィンで僅かに総合首位との差を詰めたものの、逆転には届かず、アル-アティヤ/ボーメル組の300号車は首位から僅か6分遅れの総合2位でダカールラリー2020を終えることとなりました。「厳しい戦いでした。しかし、また戦うために来年戻って来ます」とレースを終えたアル-アティヤは語りました。ド・ヴィリエール/ハロ組304号車が総合5位、テン・ブリンク/コルソール組307号車が総合7位でフィニッシュ。アロンソ/コマ組310号車は総合13位という、初参戦としては文句なしの好成績。310号車は複数回にわたりステージトップ5フィニッシュする活躍を見せ、今大会のダカールルーキー中、最上位フィニッシュを果たしました。今年のダカールラリーは、4輪部門で61台の車両が完走を果たし、近年では最も高い完走率となりました。

ダカールラリー2020も終幕を迎え、トヨタ・ハイラックスは世界で最もタフなレースを戦い抜きました。TGRのトヨタ・ハイラックスはタイヤのパンクや横転と言ったアクシデントに見舞われながらも、4台全車がおよそ7,900kmに及ぶ過酷な地形との戦いを大きなトラブル無く走り抜き、その品質、耐久性、信頼性の高さを証明しました。2週間にわたる激戦を終え、チーム代表のホールは「最終的に我がチームは、4台全車が一切技術的な問題に見舞われることなく完走を果たしました。今大会のコースを考えれば、それは大変な偉業です」と語りました。