2016年レポート

17歳ルーキー 宮田莉朋がシリーズチャンピオン獲得!
ウェットの第6戦で苦戦も第13戦で2位に入り逃げ切り戴冠

2016.11.13(日)- 21:40配信

 11月11日(金)〜13日(日)にわたって、栃木県のツインリンクもてぎでFIA-F4の第7大会(第6戦、第13戦、第14戦)が行われた。このシリーズに、トヨタの支援で今季からフル参戦している17歳のルーキー、宮田莉朋が第13戦で2位に入り、僅差のランキング争いを制してシリーズチャンピオンを獲得した。

前大会鈴鹿から約2ヶ月半のインターバルをおいての開催となったFIA-F4の今季最終大会。震災のために中止となったオートポリスでの第6戦の代替戦を加え、1大会3レースとして実施された。
 明日のトップドライバーを夢見る若手ドライバーがしのぎを削るFIA-F4。このシリーズにはトヨタがフォーミュラ・トヨタ・レーシング・スクール(FTRS)スカラシップドライバーとして支援する、宮田莉朋と小高一斗、2人の17歳ドライバーがシリーズフル参戦している。
 小高は第3,第4,第8戦と3連勝、第5戦(代替戦)2位と前半戦好調だったものの、後半戦は接触などの不運が重なりノーポイントのレースが続くことに。一方、8月の第5戦でシリーズ史上最年少(当時16歳)での初優勝を飾った宮田は第9戦でも勝利。安定したポイント獲得を続け、フル参戦初年度ながらランキング首位で最終大会に臨んだ。
 宮田はランキング首位につけるものの、最終大会は3レース分のポイントが稼げるため、ランキング5位の小高を含む多くのドライバーにタイトルの可能性を残して迎えることとなった。

 11日(金)は午前中の雨はほぼ止んだものの、路面はほぼウェットな状況で午後3時半より予選が行われた。前日や午前中のウェットにおける練習走行でもトップタイムをマークするなど好調な宮田がライバルとの熾烈なポールポジション争いを展開したが、残り3分ほどのところでこのセッション2度目となる赤旗が出され、セッションはこの時点で終了に。
 宮田は惜しくもポールポジションを逃したが、ベストタイムで決定される第6戦、セカンドベストタイムで決定される第13戦ともに最前列2番手グリッドを獲得。小高は第6戦12番手、第13戦11番手とやや苦しい位置から追い上げを強いられることとなった。

 12日(土)は好天となったが、前夜の雨の影響が残り、第6戦が行われる朝の時点ではまだ路面はウェット。直前にSUPER GTの予選が行われたものの、それでも路面は乾かず、タイヤはウェットで行くか、ドライを選ぶか非常に難しい状況でのスタートとなった。
 最前列2番手の宮田を含む、グリッド上位勢はウェットタイヤを選択。これに対し、グリッド中盤以降の車両の多くはドライタイヤを選択し、午前9時45分に12周で競われる決勝レースがスタートした。
 やや路面コンディションの悪いイン側スタートとなった2番手グリッドの宮田は、スタートダッシュで出遅れ3つほどポジションダウン。序盤は接触やコースオフで荒れた展開となる中、何とか上位をキープした宮田だったが、予想以上に路面の乾きが早く、ウェットタイヤ勢は大苦戦。ライン上が乾いたことで、大きくペースを上げたドライタイヤ勢にかわされて行き、周回毎に順位を落とすこととなってしまった。
 最終的に宮田は22位、小高24位と後方でのチェッカー。このレースでは、ランキング上位5台が全てノーポイントという結果に。また、最終戦第14戦のスターティンググリッドもこの第6戦のベストタイムで決定されたため、タイトルを争うランキング上位ドライバーが後方からスタートを切るという、予測不能な状況になってしまった。

 第13戦の決勝レースは、SUPER GTの第3戦(代替戦)決勝の後、予定よりも15分遅れの午後3時40分に開始された。  この週末初の完全なドライコンディションでの走行となったこのレース、スタートは最前列2番手の宮田が決め、トップに立ったが、続くコーナーでの攻防で2台にかわされ、宮田は3位で1周目を終えることに。
 その後、タイヤの暖まった宮田は5周目に2位を奪うと、首位を猛追。
 7周目、テール・トゥ・ノーズで首位を追う宮田は、第5コーナーで仕掛けた際に接触。フロントウィング翼端板を失い、3位へ後退。しかし、翌周2位の車両がコースオフを喫したことで再び2位へと復帰した宮田は、ファステストラップを更新しながら首位を追った。
 その後方では、11番手グリッドから好スタートを決めるとこちらもハイペースでライバルを次々にパスしていった小高が4位までポジションを上げた。
 ファイナルラップもコーナー毎に攻め続けた宮田だったが、僅かに届かず2位フィニッシュ。小高も表彰台を賭けてのバトルを繰り広げたが4位でチェッカーとなった。
 この結果、タイトル争いは4ポイント差ながら宮田が首位を維持して最終戦に臨むこととなった。

 13日(日)も好天。暖かい日差しの下で、シーズン最終戦となる第14戦の決勝レースが午前9時55分に開始された。
 この時点でシリーズチャンピオンの可能性を残すのは3名のみだが、その3名全員がこのレースは後方グリッドからのスタート。ランキング首位の宮田が25番手、4ポイント差の2位につける阪口晴南が33番手、17ポイント差のランキング3位につける大湯都史樹が20番手、惜しくもタイトル獲得の可能性はなくなったがランキング4位の小高が27番手からスタートを切った。
 1周目に発生したクラッシュでいきなりセーフティカーが導入され、4周目から本格戦が再開されると、宮田、小高を含むランキング上位勢は揃って前車を次々にパスしてポジションを上げていった。
 しかし、全12周のうち、実質8周のみの争いと短くなったレースでは、上位に浮上するまでには到らず、大湯が10位で1ポイントを獲得したのみで、宮田は11位、阪口は15位、小高16位とノーポイント。この時点で、2016年シーズンのFIA-F4のシリーズチャンピオンは宮田に決定した。
 昨年、初めて開催されたFIA-F4のシリーズで坪井翔がタイトルを獲得したのに続き、FTRSのスカラシップドライバーが2年連続でタイトルを獲得することとなった。

第13戦 決勝スタートシーン
決勝レースを戦うNo.37 小高一斗
トヨタ支援ドライバーのNo.36 宮田莉朋がシリーズチャンピオンを獲得した