2020 Rd.4AUTOPOLIS

スーパーフォーミュラ 2020年 第4戦 オートポリス

    SC2回の波乱戦で国本が4位、山下が5位フィニッシュ

    予選/決勝

    SC2回の波乱戦で国本が4位、山下が5位フィニッシュ

     スーパーフォーミュラの第4戦がオートポリスで行われました。序盤からセーフティカー(SC)が2度も入る波乱のレースで、国本 雄資(carrozzeria Team KCMG)が4位、山下 健太(KONDO RACING)が5位フィニッシュ。ランキング2位のニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)が7位でポイント獲得。ランキング首位の平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は12位でノーポイントに終わるものの、ランキング首位をキープ。

     全日本スーパーフォーミュラ選手権の第4戦が11月14日(土)、15日(日)の両日、大分県のオートポリスで開催されました。
     新型コロナウイルス感染症の影響で8月に開幕したスーパーフォーミュラも折り返しとなる全7戦中4戦目を迎えました。今季の同シリーズは、開幕戦のもてぎで平川がポール・トゥ・ウィン。第2戦岡山では参戦2年目の坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が初勝利を挙げ、前戦第3戦SUGOでは、ディフェンディングチャンピオンのキャシディが制するという、開幕から3戦で3人のウィナーが誕生する展開となっています。ポイントランキング争いでは、開幕戦を制し、第3戦も2位、そして今季採用されている予選の上位3名へ与えられるポイントも2回のポールポジション、2番手1回と強さを見せている平川が、2位のキャシディに15ポイント差の首位につけています。
     今大会も開催にあたり、感染拡大防止のためスタッフや関係者などが充分な対策を実施すると共に、日曜日に予選と決勝を両方行うスケジュールとし、決勝レースは給油義務無し、タイヤ交換義務ありとして行われました。
     同じ週末、WECバーレーンラウンドに出場している中嶋一貴と小林可夢偉については、それぞれ代役ドライバーとしてVANTELIN TEAM TOM'Sの36号車は宮田莉朋、carrozzeria Team KCMGの7号車は中山雄一が今大会ドライブします。

    予選

     15日(日)は朝から快晴。気温は21度、路面温度は25度と、11月半ばとしては非常に暖かいコンディションで予定より5分遅れの午前10時20分よりノックアウト方式で予選が行われました。

     予選Q1は10台ずつの2グループに分け、それぞれ上位7台がQ2へと進出します。A組ではセッション終盤、各車がアタックに入ったところで中山がクラッシュ。残り14秒で赤旗が出され、残り3分で再開されました。

     ここで新品タイヤへと交換して一発アタックにかけたニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)がトップタイムをマーク。タイヤを交換しなかった石浦 宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)はタイムを更新できなかったものの、赤旗前に出していたタイムで5番手通過。サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)もタイヤを替えないまま、最後に6番手に滑り込み、Q2進出を決めました。

     一方で昨年のオートポリス戦を大逆転で制した関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が押し出される形となり8番手でQ2進出ならず。中山も10番手でQ1敗退となりました。

     Q1のB組も残り6分を切ったあたりで各車コースに向かい、アタックに入りましたが、A組の中山とほぼ同じ場所で今度は平川がクラッシュ。このセッションも赤旗中断から残り3分での一発アタックという展開になりました。

     このアタック合戦では、最後に好タイムを叩き出した国本が3番手に飛びこみ、宮田が4番手、坪井が5番手、タイヤを新品に交換せずに再アタックに臨んだ山下が7番手でぎりぎりQ1を通過。国本が飛びこんだことで大嶋 和也(ROOKIE Racing)が8番手でQ1敗退。ここまで3戦中2回のポールポジションを獲得しランキングトップにつける平川が、まさかのQ1敗退という結果になりました。

     Q2とQ3は今大会より、冬の低い気温にあわせて通常の7分から10分へと時間が延長されましたが、今大会は予想外の暖かさとなり、各車6分を切るあたりからコースイン。最初にアタックに入った宮田が、1分24秒544という好タイムをマーク。その後ライバルが宮田と1000分の1秒まで同じタイムをマークしましたが、同タイムの場合は先に記録した方が上の順位となり、宮田はこのセッショントップとなりました。

     キャシディと国本、坪井の3台はセッション残り3分を切るぎりぎりまで待機してコースイン。キャシディは最後に4番手、坪井が5番手に飛びこみQ3進出を決めました。

     先にタイムを出していたフェネストラズは、トップとはコンマ3秒ほどの差ながらわずか0.04秒及ばず9番手でQ3進出ならず。石浦10番手、国本11番手、山下もトップから0.6秒ほどの遅れながら13番手でQ2敗退となりました。

     Q3も残り5分程まで各車粘ってコースイン。中でもキャシディは残り2分近くまで引っ張り、ぎりぎりでコースインしようとしましたが、ピットアウトの際に痛恨のエンジンストール。押し戻してエンジンを再始動し、アタックへと向かいましたが、惜しくも間に合わず、アタックに入ろうとした瞬間にチェッカーが振られて万事休す。

     このQ3では坪井が4番手タイムをマーク。Q2までに新品タイヤを使い切り、唯一ユーズドタイヤで臨んだ宮田は7番手、ノータイムのキャシディは8番手から午後の決勝レースに挑むこととなりました。

    予選に向けて準備を進める坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING 39号車)
    予選に向けて準備を進める坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING 39号車)

    決勝

     予選の後、2時間半ほどのインターバルを経て、午後2時40分、気温22度、路面温度28度と日向ではやや暑さを感じるほどの気候の下、第4戦決勝レース(41周)のスタートが切られました。

     4番手グリッドの坪井がひとつポジションを上げて3位へ。後方では最後列19番手グリッドの平川が猛ダッシュを決めて一気に12位へ浮上しました。

     5周目、10位を走行していたフェネストラズの左リアタイヤが脱落し、そのままリタイア。予選では速さを見せているフェネストラズですが、3戦連続でのリタイアとなってしまいました。

     このフェネストラズの車両排除のため、7周目にセーフティカーが導入。10周目に再スタートが切られました。11周終了時に、3位走行中の坪井がピットイン。しかし、坪井はピットアウト直後、左リアホイールのトラブルに見舞われ、コース脇のグラベルにストップ。惜しくもレースを終えることとなってしまいました。

     9位につけていた平川は12周目終了時にピットイン。しかしその直後、坪井のアクシデントによりに再度セーフティカーが出され、このタイミングで多くの車両が一斉にピットイン。先のセーフティカーランの直後で各車それほど差がついていなかったこともあり、ピットインのタイミングとピット作業時間で、大きく順位が入れ替わり、不運なタイミングだった平川は、ほぼ最後尾まで後退してしまいました。

     ほとんどの車両がピットインを終える中、トヨタ勢ではキャシディが唯一ピットインしないまま後半ピットの作戦に出て、2位に浮上。キャシディを含む3台がピットの義務を残した状態で、国本が6位、山下が7位で16周目に2度目のセーフティカーからの再スタートとなりました。

     タイヤに厳しいオートポリスで、レース周回3分の2以上を残してのタイヤ交換ということもあり、各車タイヤのマネージメントをしながら、ピットインを終えた車両とまだピットしていない車両との、見えない相手とのタイム差を図りながらのレースが続くこととなりました。

     2位を行くキャシディは37周目を終えてピットイン。ややピット作業でタイムをロスし、8位を走るチームメイトの宮田の前でレースに復帰しました。

     終盤、全車がピットを終えたところで国本が4位、山下が5位で、その前の車両と僅差の表彰台を賭けたバトルを繰り広げていましたが、逆転には至らず、そのままの順位でフィニッシュ。キャシディが7位、宮田が8位でチェッカーを受け、ポイント獲得を果たしました。

     平川は懸命に追い上げましたが12位でノーポイント。前3戦で稼いだマージンもあり、ドライバーズランキングでは首位を守っていますが、ランキング2位のキャシディと山下がポイントを獲得、そして今大会1位、2位に入ったドライバーもランキング上位に浮上し、シーズン残り3戦でのタイトル争いはさらに激しさを増すこととなりました。

    決勝スタートシーン
    決勝スタートシーン

    国本雄資(KCMG Elyse SF19 18号車)がTGR勢最上位の決勝4位でフィニッシュ
    国本雄資(KCMG Elyse SF19 18号車)がTGR勢最上位の決勝4位でフィニッシュ

    決勝レースに向かう山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF19 3号車)
    決勝レースに向かう山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF19 3号車)

    スーパーフォーミュラ 2020年 第4戦 オートポリス 決勝結果
    順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選予選タイムエンジン
    116野尻 智紀TEAM MUGEN411:07'11.22811'24.140HONDA/M-TEC HR-417E
    25山本 尚貴DOCOMO TEAM DANDELION RACING410.66331'24.257HONDA/M-TEC HR-417E
    364牧野 任祐TCS NAKAJIMA RACING419.735121'25.155HONDA/M-TEC HR-417E
    418国本 雄資carrozzeria Team KCMG4110.76111'25.146TOYOTA/TRD 01F
    53山下 健太KONDO RACING4111.455131'25.193TOYOTA/TRD 01F
    650松下 信治Buzz Racing with B-Max4112.11461'25.305HONDA/M-TEC HR-417E
    71ニック・キャシディVANTELIN TEAM TOM 'S4113.2738TOYOTA/TRD 01F
    836宮田 莉朋VANTELIN TEAM TOM 'S4117.51971'25.601TOYOTA/TRD 01F
    96福住 仁嶺DOCOMO TEAM DANDELION RACING4119.6621'24.155HONDA/M-TEC HR-417E
    1065大湯 都史樹TCS NAKAJIMA RACING4123.59351'24.783HONDA/M-TEC HR-417E
    1119関口 雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL4124.379161'26.835TOYOTA/TRD 01F
    1220平川 亮ITOCHU ENEX TEAM IMPUL4125.276TOYOTA/TRD 01F
    1338石浦 宏明JMS P.MU/CERUMO・INGING4128.272101'25.080TOYOTA/TRD 01F
    1415笹原 右京TEAM MUGEN4129.4141'25.634HONDA/M-TEC HR-417E
    1551シャルル・ミレッシBuzz Racing with B-Max4136.4171'26.336HONDA/M-TEC HR-417E
    1612タチアナ・カルデロンThreeBond Drago CORSE4137.326181'27.168HONDA/M-TEC HR-417E
    1714大嶋 和也ROOKIE Racing4137.794151'25.889TOYOTA/TRD 01F
    187中山 雄一carrozzeria Team KCMG4156.079TOYOTA/TRD 01F
    39坪井 翔JMS P.MU/CERUMO・INGING1130Laps41'24.686TOYOTA/TRD 01F
    4サッシャ・フェネストラズKONDO RACING437Laps91'24.873TOYOTA/TRD 01F