絶滅危惧種?いやいやこれから増殖する気配濃厚!
殺伐としたコンクリートジャングルに、華やかな彩りのレーシングマシンは視覚的に僕らを刺激する。特に伝統的な色彩をモチーフに、特異なデザインに拘りつづけるチームカラーは、サーキットに集まる我々を、強く興奮させる。 マーケティングの手法として、色彩にイメージを重ね合わせるのは基本である。かつてのマルボロカラーの例を持ち出すまでもなく、文字や文言よりも、カラーリングが持つパワーは強烈だ。1990年代を駆け抜けたレイトンハウスの鮮やかなブルーも、記憶に深く刷り込まれている。カルソニックブルー。共石グリーン。ファルケンブルー。一目でそれと分かるカラーリングは、観戦する側を惹き込む力を持っている。深く印象に刻まれているのは、そのカラーが人間の右脳になにかを書き記すからなのだろう。
10日(日)の決勝日はやや雲に覆われたものの、気温20度、路面温度26度と予選日よりもやや涼しく過ごしやすいコンディションとなった。サーキットに詰めかけた1万9千人のモータースポーツファンが見守る中、午後2時40分に岡山県警の白バイ先導によるパレードラップとフォーメーションラップを経て、82周の決勝レーススタートが切られた。
スタートでは大きな順位変動が無く、ポールポジションの37号車ロシターが序盤からハイペースで逃げる展開。2位のWAKO'S 4CR RC F 6号車アンドレア・カルダレッリも3位を引き離し、上位はやや間隔が広がる一方、中団グループでは、5番手のGT-Rを4台のLEXUS RC Fが僅差で追う形となった。
15周目を過ぎると、雲間から太陽が顔を出し、気温もやや上昇。コンディションが変わっていく中で、3位のGT-Rがペースアップ。2位の6号車は懸命の攻防戦を繰り広げたが、28周目に先行を許してしまった。
さらにGT-Rが差を詰めてくる中、首位を逃げる37号車は35周目終了時にピットイン。ロシターから2年連続ポールポジション獲得の立役者である平川へとドライバー交代。
赤と黒の伝統
165LAPで綴った「ADVANカラー復活か?」の記事は、とても多くの方の反響をもらった。 僕がレース界に身を投じはじめた1980年代には、多くのトップカテゴリーにADVANカラーが駆け回っていた。ADVANが伝統的に使いつづけている「赤」と「黒」のコントラストは、数ある伝統カラーの中でも突出していた。いつか赤黒のマシンで戦いたい。そう念じたドライバーも多かったはずだ。かくいう僕もそのひとりで、ADVANカラーのスカイラインGTS-Rをドライブした時の興奮はいまでも忘れられない。
なぜADVANカラーがドライバーの憧れでいるのか?
その命題はシンプルである。職業ドライバーが目指す頂は、自動車メーカー、あるいはタイヤメーカーとの契約にこぎつくことだろう。いわゆるワークスドライバーがピラミッドの頂点だという思いに異論は少ない。選ばれたドライバーの象徴が、ワークスカラーのマシンなのだ。 ところが、トヨタもレクサスも、日産もホンダも、安定的にワークスカラーのマシンを走らせてはいない。スポンサーの要求が優先されるために、サポート体制が変更されるごとにカラーリングも変化する。それが理由で、メーカーカラーは箪笥にしまわれたまま、それがサーキットを駆け回ることが少ないのである。 だが、ADVANは常にその色合いを譲ることなく、存在しつづけている。ADVANカラーに乗ることは、トップドライバーとしての証であると同時に、ADVANの伝統を背負うことと等しいのである。 先日、大々的な組織強化が発表されたTOYOTA GAZOO Racingは、長くニュルブルクリンク24時間レース参戦部隊が拘ってきたGAZOO Racingカラーに統一された。だが、伝統の厚みという点ではまだADVANカラーが優っているといえるだろう。
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