• モタスポコラム その2 - 2020年シーズン開幕!
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スーパーGT第2戦&第3戦

モタスポコラム その2 2020.8.28

こんにちは!夏痩せという言葉も私の辞書から消えた昨今、元気に過ごしておりますが、ご機嫌いかがでしょう?今回は、スーパーGTの第2、3戦と2レースを振り返ります。世界をまたにかけてないコラム(月2回執筆)、よろしくお願いします!ランダムに振り返ります。

第2戦富士は、17号車KEIHIN NSX-GTが速さで逃げ切りGRスープラが離されることなく表彰台を2つ獲得。ポイントリーダーは2戦連続2位の36号車au TOM'S GR Supra。GT-R勢、とりわけエースの23号車MOTUL AUTECH GT-Rの不調?がますます気になってしまうラウンドでした。

ファンの方は、ちゃぶ台返し(昭和初期か)…的な心境だと思います、推しのチームが不調だと。これを話したら、昭和のテレビアニメ「巨人の星」の星飛雄馬のお父さんは、ちゃぶ台を一回しかひっくり返してないんですと、某ライターさんに言われました(真相不明)。とにかく、そこまで好きになってくれて、優勝すると“飯が美味い”なんて言われたら素敵よね。だからGT-Rはどうなるんだ?と思っているうちに富士ラウンドは終わりました。

迎えた第3戦、23号車はここで優勝。お見事でした。3月のテストから速いなあと思っていた100号車RAYBRIG NSX-GTが2位に。牧野任祐選手の抜き方がまた鮮やかでね。ベテランみたいでした。ホンダさんのホームコースですからNSXはもっと暴れると思っていました。セーフティーカーが3度も入る荒れたレースで見る側も頭の整理が大変でしたよね。それと、またもや36号車が表彰台!今回は向こうからやって来た感じですね。運も実力のうち、引き寄せた3位表彰台でした。ポイントリーダーとして、2位に8ポイントと差を広げました。

では、気になるポイントを振り返ります!

〇シーズン序盤、GRスープラは順調に見えるけどなぜなの?

現在ポイントランキング1-2(時期尚早だけど)のトムスの36、37号車KeePer TOM'S GR Supra。マシントラブルなどはあまり私も記憶になく、戦い方も昔っからウェイト積んでも必ず這い上がって来るしぶとさがあり、その良い所が現在顕著に出ていると…。戦績が良いからか、ますます感じます。第2戦ではやっぱり速く、第3戦の決勝では、ウェイトも60キロと重い中、「運」というワードを使って良いのか疑問ですが、今風に言うと“持ってた”と思うしかないリザルト。36号車は3位に入り、誰もが想定外のリザルトを残しました。驚愕ですよシーズン序盤から。その2台を束ねるトムス東條力チーフエンジニアと搬入日ルーティンの雑談タイム。たぶん、気温34度くらいあった時かな。お互い若くないのに元気だわほんとに。GRスープラ順調の所以を少し探ってみたんです(大したこと探れないけど)。

東條さん曰く、「止まらないクルマ」を目指して開発テストを進めて来たそうです。まず、テストで止まってしまうと、そこから先へ進まない。走れてさえいればテストの行程も中断しない。ドライバーもクルマに早く馴染める…のだと。

また、テストでしっかりしたクルマを作っているので、レースウィーク、セットアップも無駄なことをしなくて済む。変な方向へ向かわない。ドライバーにクルマに乗ってもらって、タイヤテストして…とトラブルがなければ、順調に進んでいく。“止まらない、走れるクルマ”がとにかく大事で、オフシーズンのテストからGRスープラは順調にここまで来たそうです。それがリザルトに出ているとのことでした。

もちろんね、難しいことを私に話してもわからないので、シンプルにわかりやすく語ってくださったのですが、緻密に組まれたオフシーズンのテストスケジュールの中で、メーカー、TCD、タイヤメーカーとみんなでここまで来たのだと理解しました。どのメーカーさんももちろん頑張ってますよ!そこから先はチームやいろんな環境下に置かれ、シーズンを戦って行くということですよね。

東條さんとは、昔からサーキットで良くお話をさせていただいておりまして、とても勉強になる人のうちのひとり。彼は文章を書くのも上手い。物書きにもなれそうといつも思います。レース最前線の名物エンジニアが業界にはたくさんいます。憧れの方ばかり。そんな中、世代交代も始まっていますね。現場で見ていて、気づくことたくさん。そんな話題もそのうちにお伝えしますね…。

〇代役と新しいチーム作りに勤しむ監督 

第2戦も開幕戦に引き続き39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraのヘイキ・コバライネン選手がエントリーできず…。と言っても、富士に入ってすぐチームの宮本マネージャーが、「ヘイキ日本に来てるよ~!」と声をかけてくださいましてね。第3戦鈴鹿大会に出走する為、すでに入国して2週間待機ということでした。ちなみに、彼のF1時代に思いを馳せると、まさかスーパーGTでご一緒したり、声をかけてくださるようなことになるとは思いもしませんでしてね。きっとF1走った方からすると、このカテゴリーはただのローカルレース?と当初は思ったに違いありません。でも、日本で走り続けてくださっていること、感謝ですね。タイトルも獲ってますし、やっぱりそんな経歴の方が戦ってることがうれしいです。

話を戻します。コバライネン選手の代わりを務めてくれたのは、今季GT300クラスに参戦する阪口晴南選手です。彼は、予選Q2を担当し3位というリザルト。充分ですね(上からかい)。昨日すごかったじゃん!と翌朝声をかけたところ、「ありがとうございます!」と丁寧にお返事をくれました。若いけど、サーキットでのキャリアは長く、以前、38号車ZENT GR Supraのベテラン石浦宏明選手が、ご自身よりもレースを始めた年が早い、キャリアが長いだったかな、そうおっしゃっていたような。彼の叔父さん(阪口良平選手)もスーパーGTに参戦しているというモタスポ一家。昨年からトヨタ陣営に籍を置き、これからもっと存在をアピールして欲しいドライバーですね。お疲れさまでした。今後のご活躍、楽しみにしています。

39号車のチームのメンバーの入れ替わりがあったことは、今季の気になるポイントかな。ほんと、お母さんって余計な心配をするじゃないですか。あれ…。チームの構成がかなり変わりましたからね。言える事は、心配は無用だったということ。中山雄一選手もしっかりQ2へバトンを渡しましたし、ちゃんといつも通りレースを戦っていました。

脇阪寿一監督が今季招聘された訳ですが、レースウィーク、細かにメカニックに指示を飛ばしているのを目撃。ぶっちゃけ、監督でここまでやる人は少ないかもです。もちろん監督の位置づけは、チームによって違います。企業経営そのものをやっている方、スタッフの長、スポンサーさんなど、それぞれ。最後にレース全般責任を取る立場ですが、レース時に存在感こそあれど、詳細には口出ししない監督さんの方が多いでしょうかね。彼はレースウィーク、忙しそうにしていましたね。ちなみに、第3戦も同様。朝からスタッフのピット作業の練習に立ち会ったり、指示を直に出していましたね。体制が変わってやらないといけないから。

第2戦の時に、ふと脇阪監督に声をかけたくなってしまい…。ちょうどミーティングが入り行ってしまいましたが、ほんの一言二言話しましたが、なんとなく理解出来ました。たぶん私の心配は、ソーシャルディスタンスの中で、肌で感じてくれた(笑)と思っています。それだけで充分です。心配無用でしたけどね。チーム作りをしながらシーズンを戦って行くと思いますので、みなさんも応援してくださいね。

そして、第3戦から無事にヘイキ・コバライネン選手が帯同。良かった良かった。それに伴いチームの北川紗衣マネージャーも帯同。実は、全日本ラリーに参戦している時に、コバライネン選手のコ・ドライバーを務めているんですよね。彼女は北海道からご出勤。いつもの体制になったので、あとは頑張るのみです。ファイト!

〇聖地にて

第3戦は戦いの舞台を鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)に移しました。久しぶりに訪れたサーキットは、まさにサウナ。初日、気温は34度まで上がりました。背脂まで流れ2リットル以上の水分、行っときました。鈴鹿サーキットの搬入日は、車検から大変なのです。ピットロードが1コーナー方向に向かって下っておりますので、最終コーナーにある車検場への道のりは“のぼり坂”となります。

もちろんクルマは手押しで持っていくのですが、これが大変なのです。と書くと自分が経験しているようで恐縮ですけどね。1トン以上のクルマを手押しで坂を上って行くのですからね。富士は車検場まで距離があるというメカさん大変ポイントがありますが、どちらにしろ力仕事です。申し訳ないけど、クルマを手で押してるシーン、好きなんだよね。300キロのスピードで走るクルマが、手で押されてるギャップがね…たまらん。

車検からの帰りは、下り坂。ステアリングさえ握っていればブレーキかけるだけで大丈夫。下って行くのみです。そんな光景からスタートするんですよ鈴鹿は。

搬入日は、サーキットに必ずしも入れるとは限りません、悪しからず。鈴鹿サーキットに来られたことがない方は、当然この勾配はご存じないですよね。雨が降ると、ピットロードが川になってピットに雨がなだれ込むこともあるんですよ。そこで砂袋が登場。F1も開催されるサーキットですから、モタスポファンはテレビでご覧になったことがあるかな?モタスポの聖地は、街の中にあって、街と共存しているのが素晴らしいと常に思います。これは一朝一夕にはできるものではないと。鈴鹿にいる…という自分をうれしく思うことが今更ながらありますね(笑)。ちょっとかっこいいと思いません?聖地だもんね…。

〇GT-R両クラス制覇

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第3戦は、久しぶりの23号車、GT-Rのエースが優勝しました。2018年以来の勝利。ニスモさんと言えば、勝ちまくってヒールなくらいな強いチーム。近年、苦しんでいましたが、久しぶりの優勝にファンは沸いたはず!GT300クラスも11号車GAINER TANAX GT-RのGT-R GT3の優勝で、23の日にダブル優勝!やっちゃえ日産、やっちゃった日産になりました。おめでとうございました。

強すぎて強すぎて、ちょっと待って!というくらい強い時代を知っています。ライバルとして戦うチームにおりましたので。1シーズンに23号車は3度勝ったこともありました。1シーズンに3度勝ってもタイトルを獲れなかったシーズンもありました。言われて気づきましたがね。エースが元気ないとシーズンが盛り上がりません。しかし、2戦はNSXが勝ちましたので、これでバチバチの三つ巴の準備が整いましたね。

38号車が得意の富士で、特に前戦の不発が気になっていましたが、鈴鹿では予選から来た!と思ったのもつかの間、決勝はマシントラブルに見舞われまさかのリタイアです。ちょっと信じられませんね。12号車カルソニック IMPUL GT-Rもガレージへ早々に入ってしまったことなど、もうね気になるクルマたちが沢山おります、GT300クラスも熱すぎですが、まだ3戦目でしたね…。

第2戦決勝でのトップ走行中の8号車のアウトラップでのスピン。自分の心臓が止まったと思うようなシーンでしたが、負けないと発信したドライバーから鋼のメンタルを学び、第3戦では23号車、11号車の勝利で男泣きにジーン、36号車のクルーの強き笑顔も拝見。そして、リザルトをまじまじと眺め、次戦以降のウェイトの比較的軽いクルマの動向とランキング上位がどう生き残るのか、楽しみにしたいと思います。笑っちゃうくらい日焼け止めが効いておらず、真っ黒シミだらけですが、リスタートしたシーズン、取材続行です!では、また!

大谷幸子の近況

すっかりレースモードになり、あれだけ手をかけた料理たちもなりを潜め、キッチンにチーンという音が…。とくに月曜はレンチン生活に戻りました。原稿も短く書くこともできず、前回より若干短くなっただけ。これが人生の最大の課題です、すみません。そして書き直しの回数多すぎです。今季のレーススケジュールが12月まであるという現実を直視しつつ、「ペース配分」という言葉の大切さを今更ながら知りました。山への移住計画は、大した高さの山ではないけれど順調です。紅葉を眺めながら原稿を書く?地味に七輪で焼きとりを焼き、なめる程度しか嗜めない日本酒を熱燗でという妄想を抱きながら仕事をしております。焼くことが憧れ(笑)。焼き鳥は、塩だね。そんな昨今でございます。