• モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
    (2021年 SUPER GT岡山公式テストにて)

手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~

モタスポコラム その33 2022.2.25

オフシーズン企画のドライバーインタビュー、今回は阪口晴南選手です。昨年、彼と話すことで年齢関係なく思考もスキルもまさにプロフェッショナルだとずっと思って来ました。そんな一面を見せつつ、どうにもかわいがられキャラが魅力というのも実感。そこは彼の何事もポジティブシンキングなところがそうさせるのではないかとも思っています。ネガティブなことがあってもそう感じない性格。

  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
    (今季の写真がまだないので、昨年の初々しい写真を…)

今季、22歳の阪口晴南選手が、昨年のスーパーフォーミュラに続きいよいよSUPER GT GT500クラスのレギュラーシートを獲得しました。昨年、一昨年とスポット参戦が続く中、そのパフォーマンスは新人と感じるようなこともなく違和感はないのですが、ようやくトップカテゴリーにデビューというのは、我々よりもご本人がひしひしと感じている様子。彼の今後がとっても楽しみです。

一方で、その自分の戦績も冷静に分析しているところが、これまた年齢を感じさせないところがあり。かと言って、かわいがられキャラというのも間違いなく。TGRドライバーにいままでいないキャラかも? SUPER GTメインのインタビューとなりましたが、よろしくお願いします!

  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
    (写真:トヨタ自動車)

—————まずは、GT500デビューおめでとうございます。早速ですが、既に2回テストを終えていると思います。チームに合流しての感想をお願いします。
阪口:ありがとうございます!チームとはコロナ禍でなかなか会う機会がなく、不安だった部分がありました。リモートでコミュニケーションを取らせていただく機会を設けてくださり、坂東監督が自分のような新人ドライバーでも話しやすい環境を作ってくれたり、国本選手とも楽しくやらせていただいき、ここまでの2回のテストはとても良好な状況です。ドライビングのことについては、ヨコハマタイヤの特性を自分が掴めないんじゃないかと非常に不安でしたが、前回の富士は特に合わせられた気がしたので、今、不安は全くないです。

  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
    (向かって左は今季チームメイトの国本雄資選手、真ん中、坂東正敬監督 写真:トヨタ自動車)

—————マサ監督はどんな方に映っていますか?
阪口:最初の印象は怖かったです(笑)。でも、話すと全く違ってめちゃ優しくて、「何でも言えよ」と言ってくれて、とても心強い存在です。食事もご一緒しましたが、話して沢山コミュニケーションを取ることをとても大事にされている方だと思います。

—————チームメイトとなった国本雄資先輩はどのような感じでしょう?
阪口:国本さんもすごい優しいです。自分をあまり後輩扱いしないで、逆に“ひとりのドライバー”として扱ってくれ、一緒に良いチームにして行こうというのをとても感じます。テストでは、クルマやタイヤに関してのコメントも、僕のことを信頼してくれて受け入れてくれています。監督を含め3人と違和感なくやる事が出来、自分もスムーズにチームに入って行けて良好な関係が築けています。正直、これまで関わったチームも含め、自分は良いチームばかりを渡り歩かせていただいていると感じますし、とてもありがたい事だと思っています。

—————昨年もGT500クラスは経験されています。あの経験はかなり大きいのではと思っていますがどうでしょうか?
阪口:昨年の37号車での経験は、今年はもちろん、昨年のGT300クラスやスーパーフォーミュラでも活きました。昨シーズンの5戦が自分を成長させてくれたような気がしています。トムスは経験豊富なチャンピオンチームでしたし、何よりチームメイトの平川亮選手はチャンピオン経験者。トムスのコミュニケーションの取り方もとても勉強になりましたし、一番は平川さんと走れたことが大きな収穫でした。全てかどうかはもちろんわからないですが、自分に対して包み隠さず様々なアドバイスをくれ、そんなことまで考えているんだと感じたこともありましたし、とにかくいろいろ教わったと思いますね。今でも仲良くさせていただき連絡を取っています。その昨年の経験も戦績として残っていますので、今年の19号車に関してはあまり新人扱いしなくて大丈夫ですとチームに言ってあります。
昨年自分がドライブした経験は、チームにとっても必ず活かせるシーンがあると思うんです。それはスーパーフォーミュラや自分に関わる何事にもです。素晴らしい経験を積ませていただいたと思っています。

  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
    (2020年第2戦)

—————昨年の代役参戦で、まずお話が来て抜擢された時はどう思いましたか?
阪口:昨年もですが、一昨年も39号車へスポット参戦したことがありました。あの時はテストが全くなく、第2戦(2020年)の時でシーズン途中だったこともあり、通常のスケジュールで参加しました。土曜日のフリー走行で初めて3,40分走って、いきなり予選Q2行ってください!でしたので不安がありましたね。ただ短い時間の中で自分にニュータイヤを経験させてくれたりもしてくださいました。
その時に比べれば、昨年の37号車の第5戦までのスポット参戦は、サッシャさんが入国できないという事がだいぶ前にわかっていたことで、合同テストからしっかり参加できたので大丈夫でした。一番緊張したのは、自分が開幕戦のQ2でポールポジションを獲った時より、Q1で平川選手がトップで返って来たときですね(笑)。不安だらけになりました。

  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
    (2021年開幕戦予選ポールポジション、決勝3位表彰台 写真:トヨタ自動車)

—————TGR陣営の仲間入りをした感想を改めてお願いします
阪口:昨年12月にメガウェブで開催されたTGR体制発表に参加したり、東京オートサロンのモータースポーツ未来会議などのイベントを通してみなさんとご一緒させていただいたことで、TOYOTA GAZOO Racingの一員になったという実感が沸きました。この年末年始でそんなシーンがあったことで、自分の中で目標としていたポジションに辿りついたのでかなり気持ちが良いです。国内のドライバーであればみんなが目指すプロカテゴリー、SUPER GT 、スーパーフォーミュラだと思いますので、その数少ない人数の中に自分がいることは、うれしいですし、ありがたいです。

  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
    (代役参戦を終えチームへ戻り2位表彰台獲得 写真:トヨタ自動車)

—————昨年まで所属していたK-tunes racingは、あなたにとってどのようなチームでしたか?
阪口:影山さん(影山正彦監督)と新田さん(チームメイトの大ベテラン新田守男選手)が優しすぎました。過去の映像などを見ると怖いイメージだったのですが(笑)、自分の両親よりも年上ではありますが、兄貴という感じでやさしかったです。監督もドライバーなので、大先輩の彼らにも新人ドライバーの時代があったと思うのですが、自分のことのようにいろんな言葉をかけてくれました。気にしたほうが良いこと、しなくて良いことなどまで、さまざまな事を教えてくれましたね。
GT500クラスにスポット参戦をすることも、そのチャンスを自分が得ることに対して快く背中を押してくれました。やっぱり、過去にスカラシップの道が途絶え、僕がしんどい時に一番助けてくれたチームであることは間違いないので、とても感謝しています。

  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
    (新人ながら、2度の表彰台 最高位は2位  写真:トヨタ自動車)

—————スーパーフォーミュラに関して、デビューした昨年はどんなシーズンでしたか
阪口:ラッキーなシーズンでしたね。成績にもあらわれていますが、コンディションが悪い時の方が成績が良かったです。雨がからむレースでは、運よく新人ながら表彰台を獲得することができ評価していただいたと思うんです。しかし、自分の中ではドライできっちり速く走って表彰台争いをするレースをしたかったですね。戦績で目立ったような気もしていますが、悔しいという気持ちの方が勝っています。

  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
  • モタスポコラム その33-手を差し伸べてくれたチームとの出会い、いよいよスタートライン立つ…~阪口晴南インタビュー~
    (心強い存在の立川祐路監督、石浦宏明アドバイザー 写真:トヨタ自動車)

—————スーパーフォーミュラの今季の目標は?
阪口:トヨタ陣営は、ホンダ陣営に負けていると思うんです。それでもチームインパルが抜きん出て速く、ドライバーもチームも素晴らしいです。そのインパルにまず勝たない事にはダメなので、チームとしてみんなで頑張って行きたいですね。

—————これまでのキャリアで他メーカーの育成の道を歩んで来られましたが、振り返って、今、思うことはありますか?
阪口:ホンダさんのスカラシップが切れた時は、自分の人生の経験が短い中で、ほとんどレースに費やしてきた18年でしたから、あの時はすごく落ち込みました。しかし今となってはあの経験があったので、「今」があると思っています。スカラシップはあの時の自分の成績で終わるかもしれないことはわかっていたので、先のことを考え始めていました。海外にF2やマカオグランプリを観に行ったりして先の道を模索したりもしていました。ただそこには何も見つけられずにいました。スカラシップがなくなって落ち込んでいた矢先に、叔父が動いてくれ、当時インギング、岡山トヨペットを母体としていたk-tunes racingへと繋がることが出来ました。
だから、実質何もないシーズンというはなく活動を続けて来られました。スーパーフォーミュラライツへ参戦する際にも助けていただきました。

間近で見ていた先輩で、石浦宏明選手との出会いもこの頃、石浦選手はのちにスーパーフォーミュラのシートを後進に譲って引退。そのシートを得たのが阪口選手でした。自分の苦労と重なるものがあると語っていたそうです…。では、少し掘り下げましょう。

—————レースを始めたきっかけは何でしょう?
阪口:実家がカートショップをやっていたので、乗りたい乗りたくないを言う前に2歳でカートを始めていました。レースに出たのは5歳くらいからで、それくらいになると自分の意思もあってレースを楽しむことがわかっていました。ホンダの牧野任祐選手と先に知り合って、そのあと福住仁嶺選手とも知り合って、二人のお兄ちゃん(共に2歳上)たちが速いので、そこに追いつこうと頑張って、その辺からカートがおもしろくなっていきました。長いお付き合いです。仲良すぎることもなく喧嘩もなく、ここまで良い距離感を保って仲良くさせてもらっています。当時は、カートで一番輝いている福住選手に憧れていました。

阪口:あと、ROTAXというカートのクラスがあって、ミニマックスに自分は出ていたのですが、ジュニアマックスで優勝した勝田貴元選手(現TGR、WRCドライバー)もめちゃ憧れたのを記憶しています。F1とかのハミルトン選手とか見ていても土俵が違いすぎてピンと来ず、近いところにいる選手に憧れを抱いていました。小林可夢偉選手が参戦した日本グランプリを鈴鹿で観戦しましたね。ヘアピンで抜く可夢偉選手に憧れ、ゲームでやたらと抜く練習をしました。表彰台を獲得したのも現地で見ていました。中嶋一貴選手のウィリアムズももちろん記憶しています。F1での2人を見ていたのは、小学校低学年でしたね。

—————今、ライバルと呼べるドライバーはいますか?
阪口:カート時代からのライバルで全員が一緒にステップアップして来て、ライバルがずっと一緒ですね(笑)。今に気になるドライバーを“ひとり”あげることは難しいです、みんな速いですしね。

—————将来の夢は何でしょう
阪口:SUPER GTは面白くてしょうがないので、それとスーパーフォーミュラのタイトルを近い将来、できれば3年以内、とにかく出来るだけ早く獲りたいですね。今後はモータースポーツのカタチも環境に応じて臨機応援に変わっていくと思います。ですので早いうちに獲りたいです。それとドライバーとしては、レースをギリギリまで長く続けたいです。長く続けている人の素晴らしさを昨年所属していたチームで身近で見ているので、僕も長く続けたいですね。

—————アピールポイントは何でしょう?
阪口:物事をフラットに見る力があると思います。主観と俯瞰とで、俯瞰を大事にしています。それと嫌なことがない…。ストレスを感じない性格です。生きていればいろんなイヤな事も沢山ありますが、そこは自分で感じません。たぶん、人に恵まれているからだと思います。

—————オフの時など、普段は何をされていますか?
阪口:YouTubeをよく見たり、聞いたりしています。サーキットに行っていると世の中のことに置いていかれることもあるので…。それとゲームですね。レースと全く関係ない流行りのゲームをしてリラックスしています。

—————今、大切にしているものはなんでしょう?
阪口:(しばらく考えて…)スマホですかね。無いと困ります。仕事もスマホですので、お財布をなくすより困ると思います。

以上、ありがとうございました。好きな食べ物を質問するのを忘れてしまいました…(笑)。またシーズン中にいろいろ伺いたいと思います。何事も的確な言葉で表現する語彙を持っていて、インタビューも巧みに言葉を操りながら答えてくださいました。語彙の豊富さは、きっと読書からだろうと思ったらやっぱり。一時期、自己啓発本を読んでいたことがあるそうなんです。自分の考えとほとんど同じだったからという理由から「その本は参考になりませんでした」とおっしゃっていましたが、「必要なかったと確認できたことも良かったです」と言葉を紡ぎました。まさに、ポジティブシンキングですよね。本当に22歳なのか?と母目線で感嘆。
阪口晴南選手の活躍がますます楽しみになりましたね。頑張ってください!

大谷幸子の近況

いよいよ来月から公式テストも始まります!現場復帰できるかなと心配ですが、幸い、オフシーズンも仕事を続けて来たので気持ちの準備はいつも以上に万端です。しかし、今年に入り、初めてNHKの大河ドラマにどっぷりハマりました。今回の大河の脚本家の三谷幸喜さんが以前より大好きでしてね。男子たちのメンタルを理解するのに役立ちます。この時代を描きドラマのストーリーとなっている古書「吾妻鏡」も一日で読了し、頼朝の鎌倉入りを待っております。鎌倉にはもちろんゆかりの場所が沢山あって、これまで以上に歴史の街に住まう意識が変わりました。まあ、そのうち熱いレースでドラマどころではないのはわかっています。しばし、どちらも「戦」でありますので、楽しみにしたいと思います。今年の冬は寒かったですね。春になれば心地よい忙しさが待っています。楽しみです!それでは、また!

OFFICIAL SNS

国内外の様々なモータースポーツへの挑戦やGRシリーズの情報、イベント情報など、TOYOTA GAZOO Racingの様々な活動を配信します。

GR GARAGE

GR Garageは、幅広いお客様にクルマの楽しさを広めるTOYOTA GAZOO Racingの地域拠点です。

OFFICIAL GOODS

ウエアやキャップなどチーム公式グッズも好評販売中。