夏祭り!スーパーフォーミュラ夏の陣! ~スーパーフォーミュラ第6戦富士~
モタスポコラム その61 2023.07.28
例年、この富士のスーパーフォーミュラから夏の熱戦の火ぶたが切って落とされるような気がする私ですが、要注目の国内カテゴリーが以前より増えたような気もしていて、年間でお休みする時期があまり無い実感があります。コロナ禍から本格的に明けて、今季は“やる側も見る側”も盛り上がっているような…良い流れです。
スーパーフォーミュラ第6戦は開幕以来、舞台が富士スピードウェイへと戻りました。例年連休の時期に開催されますが、近年少し観客動員は寂しい状況でした。これまでサイドコンテンツにも力を入れて集客を募って来ましたが、なかなかこれが難しい。メーカーも力を入れてたようですけどね、以前から。フォーミュラカーというのは、日本よりも古く長い歴史を持つ欧米と違って文化の違いそのものなのか?ここまで難しいのかと傍から見ていて思っていましたが、開催する側のサーキットやオーガナイザーの方々はもっと苦悩していたと思うのです。
それがね、ご存知のように大きな変化がありました。前回も観戦者の数が増えていましたが、今回はそれを大きく上回って増えました。前年比、特にお子様の数は3倍となり大成功だったと思います。夏祭りと題して子どもたちにターゲットを大きく振りました。チケットの値段を考慮したり。それも功を奏したのか良い方向にいきました。次のもてぎラウンドもまだ夏休み中ということで、茨城県、栃木県の小学生まで無料という方針をすでにアナウンスしていますね。まずは訪れていただくことが大事。そこからは無限大の可能性がありますから、子どもたちの将来に何かしら影響を及ぼす副産物を密かに期待したいところです。では、トピックと予選日、決勝日で振り返ります!
トムス36号車のドライバー交代がありました。チームより発表があってから公式テストを経て少ない時間でしたが、笹原右京選手が今回デビューを迎えました。3月に当時お怪我をされていたコンド―レーシングの山下健太選手の代役で、鈴鹿公式テストで走行して以来のドライブです。初めてではないにせよ、圧倒的にクルマとチームとの時間が少なすぎてハンデが大きいですが、なぜか彼には期待しちゃいますね。チームはSUPER GTでも所属する同じチーム、同じ大立エンジニアの担当ではありますが。今季はチームに帯同していましたが、必ずやチャンスが訪れると思って見ていました。昨年まで走っていたので。
第5戦の菅生大会が終わってすぐの月曜日に、チームからドライバー交代の連絡があって決まったそうです。SUPER GTでチームメイトのジュリアーノ・アレジ選手がシートを失い、SUPER GTに専念ということになりました。厳しいかもしれませんがプロスポーツの世界ですから、いつそんなことが起きても不思議ではありません。ここは気持ちを切り替えて頑張って欲しいですね。
搬入日のお昼休みの頃、のぞきに行きました。TGRのピットは現場で毎日全部行くけどね。まだ机の配置が終わってない時のランチタイムはこんな。学校みたいな配置になってる。ちょっと楽しい雰囲気(笑)。学校の先生になりたかった子どもの頃を思い出しました。とにかく、みんな雰囲気良く頑張っていますね。
ランキングトップでもありますし、シート交代劇のあった36号車でもあり話題は尽きませんが、このあと忙しくなりかき氷を作ってくれる暇はありませんでした(菅生ラウンドのコラム参照)。かき氷の“のれん”が欲しいと言うリクエストに応えて持って行きましたが、休業状態。そりゃそうだ。次のもてぎはめちゃ暑そうだから自分で作らせていただこうかな。
そうそう笹原右京選手、応援団がすごいんです。私もかなり前から彼のことを応援しておりました。海外へ行っちゃってからどうするんだろうと心配していましたしね。もうね、みんなPTAみたいなんですなぜか。父兄会的な。彼のファンは、苦労している姿を知っているからこそメーカーを移籍しても離れないでついて来られていますね。そんな彼らの為にもいつかね、またてっぺんに立ってください。ガンバ!
この夏の富士ラウンドは、関係者のご家族もいらっしゃるのが恒例。来月のSUPER GTもこの富士ですからまた沢山の方が来られるはず。最初に遭遇したのは平川亮選手ファミリーでした。ちょうどサーキットに到着したばかりの写真です。お嬢ちゃまがますます元気でね。パパがレースをしていること、レース結果などの順番も理解しているそうです。今回のレースは、恐ろしいほどの追い上げを見せた20号車。いつもの強い“亮”は、さらにお子様が原動力になったかな。今回SNSで見つけた“俺たちの平川”というコメントを、ハッシュタグにして使おうと思います。なんかいいわ~。世界と日本を渡り歩く俺たちの平川。
その平川選手のお嬢ちゃまは、ピットウォークでは坪井翔選手の奥様たちと一緒に楽しまれていて、「坪井坪井!」とセルモインギングの前で連呼してました(笑)。坪井選手嫁の仕業みたいです。昨年末ご結婚を発表した坪井選手の奥様は、幼馴染でレーシングドライバーの斎藤愛未さん。応援したくなるご夫婦ですよ。先日VITAのレースに出場、夫婦で優勝したみたい。微笑ましいですね。奥様も頑張ってくださいね~。めちゃくちゃレースに対して真面目と評判です。
あと、ルーキーレーシング石浦宏明監督ファミリーにもご挨拶しました。10年以上も前に初めてお会いされた時と全く変わらない奥様、女系家族の石浦監督はおうちでどんなだろうと想像してみたけどイメージがわきませんでした。優しいパパだろうということはわかるんだけど、怒ったりするときもあるのかな?とかね。しかし、自分の走っていないレースなのに(家族が)来た…みたいな石浦監督のコメントに爆笑です。元レースクイーンで女優の奥様、挨拶しかできなかったけど、またいらしてくださいね。懐かしいわ~。
あとは、メカさんファミリーをお見かけしたりと、富士ならではです。こちらは決勝のグリッドですが、38号車坪井号の織田チーフメカファミリー。記念にここに置いておきますね~♪大きくなったなあ、お子ちゃまたち。
コロナ禍で始まったコラムなので、以前はフツーだったこういう光景を掲載できなかったので、今、めちゃくちゃうれしいです。以前、ブログなども書いておりましたが、タイヤ―メーカーさんの写真を掲載したところ、ご家族がお父さんの働いている姿に感動してメッセ―ジをくださったことがありました。レーシングスーツ姿のお父様はさぞかしかっこ良かったでしょうね。そういう意味で、レースの現場では、ドライバーだけではなく関係者みんなの晴れ姿が拝めるということですよね。レースを支える方々は、これまで同様に掲載できるよう頑張ります!
全く勢力図が掴めない感じのレースウィークがスタートしました。フリープラクティスだけだけど、センシティブなクルマですのでコンディションによってすぐ様子も変わる。なかなか誰がポールとか予想するのは難しいですよね。常勝チームもありますが難しい。その時と午後の予選でまた路面も違いますしね。だからおもしろいんだけどね。
今回はランボルギーニとスーパーフォーミュラ・ライツのサポートレースがありました。直前のレースでだいぶ路面のコンディションが変わります。ランボルギーニの決勝が直前にあった時は、まだタイヤのドロドロが残っていてちょっとべとべとしたそうです。そこをスーパーフォーミュラのクルマが走って良いコンディションになっていってと…。そのうちタイヤは走れば走るだけ表面が削れてきますので、その溝と出来てきた路面でタイムが出る美味しい時はホント少しの時間なんですって。そこがどのタイミングで自分に巡りあうか?ただみんなイコールコンディションなので、これもまあ致し方なく。うまく好機を掴む運もテクニックも必要みたいですね。宮田莉朋選手が教えてくれました。
予選は、トヨタ勢撃沈。5番手の宮田莉朋選手が最上位でした。見事なまでに沈みましたが、決勝でどうにか上向くことに期待、と。予選日はそれしかなかったですね。
朝のフリー走行が終わってからイベント広場に行ったら、子どもたちでいっぱい。これには驚きました。土曜までお客様は居たには居たのですが、それどころではないくらい人がいました。ヒーローに集まった子供たち、交通安全教室も行っていましたが、お行儀よく聞いてるその姿を誰かに自慢したくなるほどでしたね。
チケットのお話しになりますが、ファミリー割引がありまして、お子様連れの大人の料金が大きく値下げされました。お財布に優しいのはホント助かります、夏休み前ですしね。前年比でお子様の入場者数が3倍と脅威な結果。チケットが安いからというだけでこれだけ来る??ロケーションも関係あるかな?富士だから?いろんな要素が合わさった結果でしょうね。それと、次戦のモビリティリゾートもてぎは小学生まで無料という方針を打ち出しました。これもスゴイ。野尻智紀選手と山本尚貴選手のご出身である茨城県と栃木県の小学生が対象。夏休みだからこちらもまたお客様がいっぱい入るんだろうなと思うとワクワクします。灼熱のもてぎも盛り上がって参りましょう。
こちらのレース結果は、ご存じのようにHondaリアム・ローソン選手のアンダーカットも成功で優勝。6戦中3戦の勝利です。すごっ。トヨタ勢最上位は宮田莉朋選手、3位に入りドライバーランキングは1ポイント差でトップを死守しました。ローソン選手の勢いを見ると薄氷を踏む思いしかないです。勢いのある選手は手ごわい。予選で宮田選手は今回5番手でしたが、なかなか一発の速さに苦しむトヨタ勢です。決勝の追い上げは、いつもながら見事なのですがね。予選で前に居てくれたらこの強さももっと報われるんだろうなあ。みんな厳しい中頑張ってはいるのですが。
チームインパル関口雄飛選手は、とうとう今回もノーポイント。接触してしまいました。捨てバイザー(ヘルメットの視界部分に貼るバイザーが汚れてドライバーがレース中に剥がして捨てる行為)がどこかに入り込んでマシンにトラブルが出たようです。FIAのルールではコース上に捨ててはいけない決まりとの事ですが、このレースはFIA管轄ではありません。まあ、接触に関しては予選で上位に行けないことも大きいですね。中団、後方に埋もれてしまうと、やはりスタートから他車との接触を心配しちゃいますよね。
こちらのチームは、バイザーを剥がしたら、マシンのモノコック内に張り付けるようにしているそうです。外には捨てない。それをインパル担当のエンジン屋さんに最近聞いたばかりで、SNSで頑張って広めたと言っても大したフォロワーの数ではないので、まだ十分に広まってないかもしれません。その矢先のこのトラブル。残念です…。
チームメイトの平川亮選手は予選なんと20番手でした。ウソでしょう?と思いましたが、決勝では追い上げる追い上げる。ファイナルラップまでそれは続き、4位フィニッシュ。これまたウソでしょう?諦めてはいけないというけれど、厳しいところからのスタートだったのでめちゃくちゃ頑張って10もポジションアップして入賞まで行ったのでスゴイ。これが「世界の人」なのかなと。決勝はクルマが決まっていたそうですし、オーバーテイクシステムも一発で仕留めて抜いてこれたそうです。これはもう「俺たちの平川」天晴れですよ。素晴らしさと偉大さに拍手しかありませんでした。
小林可夢偉選手も15番手スタートから入賞。トヨタ勢で3番目の戦績。予選が悪くて、ぶっちゃけ目立たないポジション。この追い上げのすごさも気づきにくいけど、頑張ってますよ。ちょっと無線がかわいかったです。4輪脱輪の黒白旗が出てしまわないよう、今季から頑張っている田中哲也チームマネージャーが一生懸命無線で注意します。それも優しく…。それを何回目かで続けて、ようやく「頑張ってますよ~」と返事をする可夢偉選手。
レース時は私は無線を聞く時間がなくいつもだいぶあとから少しだけ聞いたりしてましたが、なんか聞いてみたらおもしろい。その人の性格が出ますね。可夢偉選手も平川選手よりもかなり先輩の「世界の人」ですが、しんどい環境であってもそう簡単に攻撃的な言葉を吐きません。私はずっとそう思っていますが、皆さんはどうでしょう?世界と国内と違いがあるのかどうかはわからないけど、人の手を待たずに可夢偉選手は自分でどうにかしようという姿勢が好きです。どうにか表彰台に立って欲しいですが、チームと共に前進されることを祈っていますよ。チームも頑張って。
鈴鹿大会で勝った時だったと思います。優勝した宮田莉朋選手(以下、莉朋)がタオルを持って歩いている姿が確かテレビに出たように思います。それに反応したのが解説に来られていた脇阪寿一さん。彼が反応しました。わたしもですが(笑)。鈴鹿大会じゃなかったらすみません!
そのタオルとは見るからに“年期入ってるなあ”と思ったんですよ(笑)。だってもうね、10年以上前から見かけていたタオルだったんです。新品に交換したらいいのにと思っていたら、新品も持っていた莉朋。なのに、あきらかにボロボロで昔チームに所属したドライバーが使用してたものを持ってるんです。以前いらしたマネージャーさんがドリンクと共に渡している姿を思い浮かべましたが、軽く10年以上前の話(笑)。今回、富士でも見かけて莉朋に伺ってみました。
「これ中嶋さんの時かららしいです」と言うんですよ。となるとやはり10年は経過している…。「見た目もう雑巾だけど肌触りが良いんです」で爆笑。それわかります。汗を吸ってくれないとね。夏場は特に…。レース終わってからの触り心地の良いタオルは癒しかもしれません。赤ちゃんのブランケット状態ですね。
代々しっかり洗ってノリが取れて、繊維も揉まれてやわらかくなって受け継がれたタオル。莉朋が世界に行く時が来たら持っていっちゃえば?と話しました。チームが新しいタオルをもっと使うきっかけにもなるし。物持ち良すぎだから沢山あるタオルを使っていだきましょうと。そして、きっと一貴(中嶋TGR-E副会長)も懐かしむかもしれません(笑)。そんな話をしながら莉朋が世界に旅立って活躍してくれるよう、本人を急かしてみました。本気で世界にすぐ行って欲しいからね。
3連戦中、2勝を挙げたのがトムス、エンツォ・トゥルーリ選手!これはびっくりですね。結果が出るのはもう少し先のことだと決めつけていました。お父様も大喜び。ランキングは、TGR-DC平良響選手がポイントリーダーですが、今回優勝できなかったことは大きく影響しそう。残りのレースは併催しないので見られませんが、応援してますね。タイトルは必ず獲ってくださいね!
〇おわりに
決勝日の花火は、目玉でもあり20分間も上がるとの事で期待大でしたが、決勝終わりくらいから霧がすごくてね。これは無理だろうという中でカウントダウンが行われました(笑)。3連休の中日ということで、残ったお客様も結構いてね、楽しみだったけど霧は富士あるあるで致し方なく。自然現象だから文句は誰も言いません。そんな終わり方でしたが、ドライバー全員のアピアランスで終わって、楽しい大会だったのではないでしょうか。最後のアピアランスは、取材をしていたので行けなかったんだけどね、私…。
いろんな企画のトライもそうですが、何よりレースがおもしろいことが一番の盛り上げ。しっかり戦う姿を目に焼き付け、そのかっこいい姿を観にまたサーキットにいらしてくれたらうれしいですよね。今後も微力ながら盛り上げていきたいと思います!お疲れさまでした!
大谷幸子の近況
WEC富士とラリージャパンのブースがありました。FIA主催のレースは日本で3つ開催されています。あと一つは、F1日本GP。3つも開催されている国は珍しいと、先日ラリージャパンの勉強会に出席した際に、JAFの方がおっしゃっていました。来年は、日産NISMOが参戦しているフォーミュラEも開催されますし、日本って何気にすごいと思いました。だからこそ、もっともっと一般の方の興味が行くようになれば、業界全体が盛り上がって世界で活躍するドライバーも増えてくるかも。そんな願いを抱きました。
願いが叶う頃には、私は現場に行かずテレビを一日眺めているだけの毎日でしょうけど、そんな夢を抱いたらちょっと楽しみになりました。こんなにハマると20年前の自分は思ってなかったです。クルマの話をされてもきょとん…、早く何も調べなくてもわかるようにならないかなと毎回思ってたのを記憶しています。ま、20年以上たった今でも知らないことは沢山あるのが現実ですが、この業界で働く人たちを追いかけたい思いは、ずっと続いたままですね。何の役にも立ってないかもだけど(笑)。毎日暑いけど、みなさんも頑張ってこの夏を乗り切りましょ!それでは、また!