その69-今年もよろしくお願いします!~東京オートサロン2024~
モタスポコラム その69 2024.1.26
新年、松の内はとっくに開けておりますが…、本年もよろしくお願いいたします。今年は、能登半島地震が元日に襲うという本当に悲しい年明けとなりました。阪神淡路大震災、東日本大震災と同じ時代を生きている中で、日常を取り戻すことがどれだけ困難か、故郷も被災しておりますので承知しております。簡単に口にすることも自分でも心苦しいですが、まずは被災されたみなさまにお見舞い申し上げます。また大きなことはできませんが自分に出来ることでサポートして参りたいと思っています。
さて、新年一発目の取材、東京オートサロン2024に行って参りました!TOYOTA GAZOO Racing(以下、TGR)のドライバーの方々に全員ではないですが会えましたので、その様子を少し。TGRのステージコンテンツは、公式YouTubeにアーカイブがございますのでチェックしてくださいね。
年末に私ぎっくり腰をやってしまい実は取材が心配でしたが、腰は無問題。楽しいコンテンツだらけで立ちっぱなしがきつかったです。では、振り返りますね。
なんと言っても、今季のTGRの話題と言えば大型移籍の二人。みなさん、先月のモータースポーツの体制発表のYouTubeをご覧になりましたか? 驚いた方も多かったと思います。立川祐路選手の引退と宮田莉朋選手の世界へのチャレンジで抜けた分は、大湯都史樹選手、福住仁嶺選手(50音順)がカバーしてくれますよ!
こちらのお二人、以前から私はサーキットでよくお話しさせていただいておりましたので、何かこう親しみのあるドライバーさんの移籍ということで、今まで以上に深く切り込んで取材ができると思うと非常にうれしいです。
そもそも今季2024年シーズンは、3メーカーでメーカー移籍、メーカー内移籍ブーム。若江のステップアップもあり、コロナ禍で一旦動きのなかったドライバーマーケットが活発に動きました。コロナ禍では、レースをやることも然り、海外から有力ドライバーを呼び込むことも難しい時期がありましたよね。日本人だけでもいいじゃないかと思う方もいらっしゃると思いますが、日本のカテゴリーが魅力的であるのは間違いなく、そして海外からオファーがあることも大事です。日本人ドライバーへの刺激にもなりますし、結果日本のモータースポーツ界の底上げにも繋がりますしね。シート数の問題もありますが、今季は許す限り世界の実力者も受け入れ活性化を図った…、以前のスタイルに戻って来た感じがしますね。ワクワク。
その逆パターンが、宮田莉朋選手ですね。2つの国内トップカテゴリーを制覇し、海外からオファーが舞い込み、F2、ELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)に今季フル参戦となりました。特にF2は、彼の活躍を見て急遽オファーがあったそうで、年末バタバタ決まっていましたよね、SNSを見る限りですが…。とても素晴らしいことだなとうれしくなりました。日本のスーパーフォーミュラは、F2とF1の間のカテゴリーと聞きます。宮田選手にはチャンピオンらしい走りで、日本から来た「宮田莉朋」の名を広めて行って欲しいですね。彼の目標は、トヨタ自動車がF1をやっていようがいまいが、F1ですからね。ガンバ!
話を戻しますね。
東京オートサロンでは、沢山のコンテンツで会場がにぎわう中、トークショー、またご本人に会えた方もおりましたので、切り取って参ります。
ちょうど奥様も会場で挨拶周りをしていた際に、バッタリ会いました。移籍に関しては、ご自身の意思で動かれていて、その末の契約となったそうです。
スーパーフォーミュラに関しては、12月のオーディションまで決まっていなかったそうで、ドキドキだったとのこと。同じチーム、Kids com Team KCMGでオーディションを受けた関口雄飛選手が、初日のセッションでトップタイムをマークしていたので、これはどうなるんだろうと思っていました。私は現場には赴いていないので、リモート観戦でした。結果、シートを獲得したのは仁嶺くんでした。メーカーの発表前に2カテゴリーTGRから参戦ということが決定したそうです。
雄飛のスーパーフォーミュラのシートが喪失したのはもちろん寂しいです。このシートを獲得した時、星野一義監督と一緒の写真を撮らせていただき、よし!って思ったのがついこの前の事でしたからね。チーム色もぴったりで星野監督のもと頑張るんだろうなあと思ったんです。速さと闘志むき出しの彼のスタイルも、まだまだ戦える状況です。テストもトップタイムだったし。ただ、昨年は、贔屓目で見ちゃいますがどうしちゃったんだろうというくらい不運続きで、ついていないという言い方がしっくり来るようなシーズンでした。「結果が全て」というプロの世界の厳しさを今回受け入れたという事になりますね。このカテゴリーに居ないのはホントさみしいです。
話を戻して…、福住選手は、以前海外修行の経験ありで、F2に参戦された時期がありますね。世界へのチャンレンジから日本に戻っては来たものの、やはり速いドライバーとしてこれまでも注目されていて結果も出していました。オーディションの結果も良かったですので、その経験と若さに期待ということになったのだと理解します。
SUPER GTでは、TGR TEAM ENEOS ROOKIEで大嶋和也選手のチームメイトとなります。ご本人は、かなり重責だとおっしゃっていましたが、頑張るドライバーへのサポートは、私が見て来た限りTGRは厚いと思っておりますので、安心してステアリングを握って欲しいですね。チームメイトの大嶋選手にも会えたのでひとこといただきましたよ。
大嶋くん「昨シーズンの後半からクルマのセットアップなども良くなって来ていたので、今年はとても可能性を感じています。二人でうまくチカラを合わせて、早い段階で結果を出して行きたいですね。福住選手は、スキル的には充分ですし、強い心をしっかり持っているので、二人で頑張ればますます良いチームになると思います。楽しみにしていてください!」 とのことです! ありがとうございます。大嶋選手はもう大ベテランですね。チームメイトが変わっても動じることなく、チームを引っ張っていってくれるはず。頑張ってください!
東京オートサロンで直接話すことはできませんでしたが、ヨコハマタイヤのトークショーをお客様と拝見しましたよ。スーパーフォーミュラで新たなスポンサーを招いて戦うVERTEX PARTNERS CERUMO・INGINGでチームメイトとなる阪口晴南選手と一緒に登壇しました。スーパーフォーミュラのタイヤサプライヤーであるヨコハマタイヤブースのトークショーは、本数多く楽しかったです。こちらもYouTubeでアーカイブがあるのでご覧ください。
大湯選手については、移籍の件は当然質問されることとなりました。“以前からTGRは楽しそうだな”と思って見ていたそうです。こちらもご自身で動かれたようですね。体制発表の前で正式に決まったとのことでした。
SUPER GT最終戦の頃には、業界内には実は移籍話が流れていて、どうなんだろうと思っておりました。決まったとか決まっていないとか、書き立てるメディアもありちょっとびっくりでしたね。情報を掴んでももう少しだけ待ってあげたらなあと思うほど情報が駆け巡るのが速かった昨年末でした。
さて、TGRのボスであるモリゾウさんからは、「大湯らしさを出せと言われている」大湯くんはそれに対して、様子見ながらやりますと(笑)。そう言われたら、逆に構えちゃうね。まあ自由に“自分らしく”やれば良いムードは、TGRにはあると思っています。そして、レースはレース、彼の個性、例えば彼のファッションがどうとか、一番言われたくないお年頃ですよね。個性というのは、大人の評価が分かれますが、トップが「らしさ」を出せと言うのであれば、自分のスタイルを貫けば良いのですよ、遠慮なくね。応援していますよ!
そして、大湯くんが自分らしくTGRに居られるのかというのを、周囲も見て行ったら良いと思います。過去にも個性の強いドライバーさんが移籍して来られて、さてどんな感じになる?とザワザワした方、そんな先輩がおりますよ。しっかり戦ってタイトル獲っています、そのドライバーさん(笑)。個性は変わらず彼らしくTGRのメンバーとなっています。彼を見ていると、「個性」というのは、その言葉を利用しちゃえば良い。自由にふるまい、周囲を引きこむ能力となって行けば良いと感じますね。誰の事だろうねえ。あの某S口雄飛選手のことかなあ(笑)。
注目の大湯選手の愛車のS2000は、カスタマイズに大枚はたいて来たはずですが、まだ弄り続けているとのこと。今後は、GR86もカスタマイズしたいとのことで、これはもうGR86界隈がザワザワすることになりそうですよ。GR86、クルマ好きをますます盛り上げる大きなきっかけになる可能性もありますね。クルマ好きの集団のTGR。楽しみしかないです。
もちろん本業(レース)も頑張ってもらってと。相方の阪口選手が、昨年のスーパーフォーミュラの人気投票のことをとても気にされていて、多分一番人気と言っても過言ではない大湯くんがチームメイトとなったことで、焦りがステージで見えました(笑)。Hondaさん家に居た際にチームメイトだったことがあるそうで、二人はよく知る仲のようです。人気?気にしない気にしない。若い二人でレース頑張ってくだされば良いのですよ!
大湯選手、SUPER GTでは、TGR TEAM KeePer CERUMOより、石浦宏明選手と共に参戦!石浦大先輩と立川祐路監督と新しくなったチームで頑張ってくださいよ!楽しみにしていますね!
ここ数年で「Honda」に所属したことのあるドライバーのTGRへの移籍は、大湯選手、福住選手と阪口晴南選手、笹原右京選手を含め4人になりますね。遡ると、もっとおりますが伊藤大輔監督、脇阪寿一監督もそうですね。
メーカー移籍は、他のプロスポーツ同様、ドライバーにプラスになるよう行使され、ドライバーは自分で選んだ環境で結果を残すことに専念できれば、日本のモータースポーツの才能を守る意味で良いと思います。偉そうに書いておりますけどね。さあ次の方は昨年のメーカー移籍されたこの方です。
メーカー移籍の先輩、笹原右京選手とは話せましたのでご紹介。今年は、両カテゴリータイトル獲得が目標とのこと。スーパーフォーミュラは特に!ですって!いいですね。
「SUPER GTの昨シーズンは、37号車は良いシーズンではなく、落ちるところまで落ちたと思っています。あとは這い上がるだけです。ジュリアーノ(チームメイト、ジュリアーノ・アレジ選手)も3年目?ですかね、GT500クラスは…。ですのでチームと共に頑張ります。クルマもアップデートすると思いますので、久しぶりのセパンテスト(オフシーズンの3メーカーの車両開発テスト)で一からコツコツと積み上げて行きたいと思います」。
いつも穏やかで、トップカテゴリーに乗るかなり前からよくお話をさせていただいていました。TGRへ昨年移籍で私もびっくり。彼の謙虚なキャラクターは、結果残してたまに爆発して欲しいと思っちゃいますね。今季は開花するよう応援していますね。
歩いていたらTGRブースの前でバッタリ!でも、もう会えないかもしれないから人混みの中で、ひとことだけ頂きました。今季ITOCHU ENEX TEAM IMPULは、F2王者テオ・プルシェールと国本雄資選手を獲得しました。
星野監督「イケメン具合は俺には構わないけれど、乗ったら与えられた中で100%引き出す能力がある。今年乗って、もう来年はスーパーフォーミュラには乗らないで、F1しか彼は考えていない。しっかり送り出せるように頑張ります」とのことでした。
ブルシェール選手は、F1リザーブドライバーも昨年務めていましたが、レースをしたいということでシートを模索。そして少しでもF1に近づけるカテゴリーで戦いたいという希望から白羽の矢が立ったのが、スーパーフォーミュラだったようです。2016年のチャンピオン国本雄資選手も強豪チームに移籍し頑張ります。楽しみしかないですね。星野総監督、時間の無い中、ありがとうございました。またどこかで楽しいお話を聞けたらと思います!
SUPER GT 19号車、マサ監督にも会えました。このチームの体制も気にかけていたんです。昨年のまま継続となりましたね。きっと、昨年一勝を挙げたということで、体制をそのまま維持出来たとの事です。彼のチームはドライバー育成チームではないのですが、若手がここを巣立って行きチャンピオンを獲るという流れが近年あります。ただ、スポンサーありきのレースで、育成に力を注ぐことが主の目的ということはありえないと私は思うのですよ。育成チームだったら、メーカーがスポンサーとなるクルマを用意すべきであってね。でもこちらは、毎年メーカーから預かるカタチで戦うこともして来られました。今年は、それが覆されました。てっきり阪口晴南選手は、立川祐路選手の後がまになると思っておりました。それはこれまでの流れでね。そこを聞きたかったので貴重なお時間をいただきました。
「昨年も阪口がうちにいることで、国本の良さも際立ったし、TGR自体の底上げになったと思っています。TGRのドライバーはみんなレベルが高くて、大差はない素晴らしいドライバーばかりなんです。そんな中、われわれはヨコハマタイヤの性能を引き出すことも開発も上手く進んで1勝を挙げました。ですから、この二人のコンビは不動で今季も戦います。阪口が在籍した2年で楽しくも難しくもあるタイヤ開発に着手し、彼の中でもっとやって良くしていきたいという意思も生まれました。そんな阪口選手は他でも欲しいと言われるドライバーでもあります。タイヤ開発という仕事は、そんな簡単にまわってくる仕事ではないです。それで結果を出しているということで、発言権も得られます。今年はセパンテストにも参加させていただきます。そこで二人でタイヤ開発も頑張って、昨年以上の成績を出して行きたいと思っています。今季この体制を維持できたこと、メーカー、TCDさん、ヨコハマタイヤさんなど我々に関わるみなさんに感謝ですね」
そういうことか、よく理解出来ました。この体制で、ベテラン国本選手の笑顔も増えました。これはマサ監督曰く、晴南くんの能力とのこと。誰と居ても良さを引き出す能力を彼は持っていると断言していました。昨年は、あとから優勝がついてきたので優勝の表彰式を経験していません。東京オートサロンで優勝の盾を持ち、トークショーで表彰式のごとくセレモニーをご自身でやっていました。勝つこと、ほんと勲章。今年は、表彰台でみんなにお祝いしてもらえるよう頑張ってください。
こちらは、ブリヂストンタイヤブースのトークショーより切り取ります。サードの監督を拝命してから5年。ここまでたくさんの種まきをして来ました。かなり棘の道だったと思います。体制が変わりすぎて、チームそのものの立て直しからスタートしていますからね。
それがだいぶ落ち着いて、ぼちぼちという感触であるということをお話しされていました。残念ながらTシャツじゃんけんに負けてしまいました。日産のチームインパルのシャツを着ていましたけどね。あ~、青いの着ていなければと思いながら見ていたのは私だけではないはず(笑)。結構真剣に話していたのですが、ちょっと笑いました。チームは体制変更なし、関口雄飛選手、中山雄一選手で戦います。会えなかったな…。進化に期待していますよ!
〇能登半島地震に際して
他でも書かせていただきましたが、残しておきたいので。「今こそ対立や分断、争いや誹謗中傷をやめ、お互い助け合い、笑顔でありがとうと。そんな大人の姿を見せる時だ」。フツーのクルマ好きのおじさんとして登場したモリゾウさんの言葉、とてもココロに沁みました。
私のレース業界のTGRの某チームで頑張る親友は、息子さんがこの春、自衛隊に入隊されるそうです。子どもの頃、年齢で行くと当時5歳くらいかな。2011年の東日本大震災で頑張る自衛隊のみなさまの活動を見て入隊を決めていたそうです。大きくなったなあと思っておりましたが、心身ともに素敵な男性に育っていました。未成年ですが彼の将来が楽しみでなりません。子育ても立派に終える友人も私は誇りに思いますね。モリゾウさんのお話と共に思い出しました。
今季1本目のコラム、これまでで一番長いのですがTGRのさまざまな一面を今年もここに切り取っていけたらと思います。3年書いて来てようやく自分のスタイルが理解出来たと思う私です。どうぞよろしくお願いいたします!
大谷幸子の近況
まず会えなかったみなさま、すみません!遠目に見えていた方もおりますが、みなさんトークショーに走り回っていました。スーパー耐久の表彰式も毎年あって、そちらに行かれる方もいてね…。
さあ2024年、モータースポーツがクローズアップされることが増えそうな予感。楽しみな一年になりそう?です。こんなに長いコラムは、書くのに数日かかりますが、レースが盛んになるとスケジュールのキツイところが心配でね。移動移動で執筆の時間がなく、昨年、この仕事を始めて初めてシーズン最後のコラムでしたが〆切を伸ばしていただきました。シーズン中は、〆切伸ばしても次が待っているので、伸ばせない。家事も敵でね(笑)。今年もみんなの活躍をしっかりこの目で見て、頑張りますね!次のコラムは、初の2月のスーパーフォーミュラ公式テスト!お楽しみに!