坪井翔、今季初表彰台獲得!TGR陣営前進!〜スーパーフォーミュラ第2戦〜
モタスポコラム その75 2024.05.31
初夏の陽気の九州へ行って来ました!約2ヶ月のインターバルは長かったですね。その間にいろんなレースが開催されて、今季はスケジュールががらりと変わったシーズンで、この5月から『いつも通り(スケジュール的に)』のシーズンがやって来ます。
さて、TGR勢は思うような結果の出なかった開幕戦。凍えるような寒さと体温を奪うほどの冷たい強風のレースウィークでした。あの時から季節も変わりに変わって、初夏の陽気で第2戦を迎えました。昨年末の合同テスト&ルーキーテスト、公式テスト、開幕戦と鈴鹿サーキットを舞台に駆け抜けて来ましたが、九州オートポリスと舞台も変わりました。
全く違う特性のサーキットでTGR陣営は、巻き返しなるか!という訳で、今回は、沢山の方と話せちゃんと取材もできたので、早速振り返りたいと思います。
暑い中、女性陣も頑張ってチームを支えております!今回は、チームごとにまとめて参ります。
搬入日にいの一番に訪れたのがこちらのチーム。ちょうど第2戦前、大会約1週間前に、19号車チームインパルのテオ・プルシエール選手がインディカーレースに転向するというニュースが飛び込み、開幕戦、戦っただけでそのシートが空いてしまいました。突然の出来事にチームも代役参戦のベン・バーニコート選手もいろいろ大変だったご様子。早速取材に行きましたが、まあそっと見守る態勢からのレースウィークのスタートとなりました。
バーニコート選手は、TGRのグローバルなドライバー。昨年末のスーパーフォーミュラの新人オーディションにトムスから参加していますね。WECの新人テストにも参加していたIMSAの昨年のチャンピオンです。LEXUS RC F GT3を駆り今季もIMSAに参戦しています。彼の目標は、「世界で戦う」ことでした。そこは明確でしてこの参戦もあくまでスポットと本人も割り切っていました。TGRのドライバーとしては目指すところは、トップカテゴリーのWEC。オーディションなどに積極的に参加した理由は、IMSAのチャンピオンを獲った彼の技量がどれくらいのものなのか、メーカー側もご自身も推しはかるものだったようですね。
上の写真の中央のパスカル・バセロンさんが、さまざまな現場にお顔を見せるようになり、今年だけでも何度もお見かけしています。ここオートポリスにもいらっしゃいました。長くなるので割愛しますが初めてお目にかかったのは、ル・マン24時間でしたわ。もう10年も前ですね。
TRD USAのイサカ(写真向かって左)さんと一緒に来日したのですが、これがまた私よく存じ上げている方でね(笑)。毎年、どこかでお目にかかってはおりますが、まさかオートポリスでお目にかかるとは!インパルのトランポの中にベンちゃん(と呼んでおこう)がいるというので訪問。大駅エンジニアと早速ミーティングをしていました。ご挨拶だけして、ミーティングを続けていただく為、とっととここは退散。
すぐ星野一樹監督もトランポから出て来て、「めちゃくちゃナイスガイだよ〜」とおっしゃっていました。
IMSAのスケジュールが、最終戦以外が全てスーパーフォーミュラとバッティングしているので、物理的に今後の代役としても無理なご様子。つくづく残念だけれど、これはもうこの1戦を頑張っていただくしかないと。そんな感じでしたね。決勝では、ファステストラップも刻み、大物を証明。話しかけると気さくにまた真摯に答えてくれて、ミックスゾーンでもTGRドライバーと短い時間ではありましたが、イギリスに住んでいたことのあるドライバーたちとお話をされていました。
次のレースまで1ヶ月を切りますが、さて残りのシーズンのシートはどなたが獲得するんだろう?などと悠長なことを言ってはいられません。2戦続けて苦戦中の国本雄資選手は、毎レース相方が変わることとなりますが、チームとしてもしっかり2台で戦える体制になるよう祈っていますよ。頑張ってください!
予選日終わりに、立ち話。無限(チーム無限)のピットはどこだ?と星野一義総監督。方向を指差しつつ話を続けたのですが、ポールポジションを獲得した岩佐歩夢選手が驚速だった為、驚いたというお話。あまりに素晴らしいルーキーだから挨拶しに行くんだと星野さん。こういうところ、あるんですよ星野さん。以前に、宮田莉朋選手に突然声をかけたり、イベントの時、かなり前の事だけど山下健太選手に「君が山下っていうんだろ?速いなあ」と声をかけていたのを記憶しています。ドライバーはびっくりですよね。今回も無限に行かれるとのことで、ついて行こうか悩みましたがお見送り(笑)。翌日、たまたまそのシーンを見かけたというファンの方からお話を伺いました。無限のみなさんが驚かれていたとのことで、ちゃんと行かれたんだなと安心しました。どうでしたか?と決勝日の朝に星野さんに伺ったら、礼儀正しい素晴らしいドライバーだと話してくれました。やっぱり付いていけば良かったわ(笑)。無限さんもだけど、怒られるかもしれないと思いつつインパルも頑張らないと!って言ったら、笑っていました。みなさんガンバです!
KCMGに行ってみたら、うーむますますインターナショナル。4カ国の方がこのチームにはおります。あれれ?小林可夢偉選手のトラックエンジニアがイタリア人のコシモ・プルシアーノさんに変更になっておりました。開幕戦で、全く戦えない様子だったので心配をしていましたが、今季からチームコーディネーターとなった関口雄飛選手が、若い頃ヨーロッパでレースをしていた時にご一緒だった彼を招聘。チームも賛同して迎えました。小林可夢偉選手もレースウィークを通してかなり信頼を置いている様子が見て取れました。最初、外国人が良いのかしら?と言ったら、そういう話ではなくと可夢偉くん(笑)。ですよね…。
自分からのフィードバックをしっかりクルマに反映してくれる事がエンジニアと仕事を進めていく上で必要なわけで。その二人三脚で成り立つ仕事を彼はしっかり叶えてくれそうな感じ。クルマづくりがうまくいかない事にはね。雄飛も、もうちょっと待ってと。もう少しでまともに戦えるようになるからと、太鼓判を押していました。
コシモさん、結構びっくりでWECにDTMにフォーミュラのもろもろと沢山のカテゴリーで経験のあるエンジニア。トムスに行ったら、笹原右京選手も過去にヨーロッパでご一緒した方だったようです。スーパーフォーミュラは初めてで、オートポリスももちろん初サーキット。それで予選10位にいられることに可夢偉くんは、クルマのポテンシャルがあるのかもとポジティブ発言。いい感じ。もちろんすぐに優勝争いに加われるクルマになるわけではありませんし、ようやく開幕?と振り出しに戻った感はありますが、ここは一気に飛躍することに期待ですね。
チームメイトの福住仁嶺選手もHonda陣営に在籍していた時の戦績の話を少しだけしました。実力のあるドライバーですのでそこは越えていきたいところ。また、無線を聞くとわかりますが、チームとダメなところは全力で直して行こうと発言。彼の言葉を借りると勝ちに行っているんだからという事です。また、親友の牧野任祐選手の優勝を心から喜んでいましたね。かつて自分もそのクルマで優勝をされていますからね。ミックスゾーンでコメントを伺う際に、開口一番、牧野選手への祝辞を述べていました。いいね!って思いましたよ。
レース後は、みんなで仲良く帰って行きました。お疲れちゃん!
阪口晴南選手が予選4番手で、TGR勢で最上位。開幕戦は、覚えておりますよね?ポールポジションでした。今回も良い手応え。トラックエンジニア、データエンジニアの変更でエンジニアリングを強化したことが開幕から良い方向に来て、結果「速いクルマ」を作ることが出来るようになって来ました。ここはやはりエンジニアたちのおかげですと晴南くん。また、同じエンジンで戦う仲間たちの中でのポジション、そこも少し気にされていたようです。これ全員そうかも、TGR内では何番?と。
私が予選後にトヨタ陣営でまた一番だね!と言いにいくと、自分からは言いにくいと話しつつも、そこは大事なことであるのは理解。ですので、彼は自分からすごいでしょうと言うタイプではないので、こちらで勝手に盛り上げますねと話しました。予選は予選ですし、本人はレースに集中というタイプのドライバーですね。あ、みんなそうですね。
また決勝後に、仲良しのHonda牧野任祐選手の初優勝を自分のことのように喜び、大いに感化されているのもわかりました。そして、「次は自分が」としっかり言葉にして言ってくれましたし、胸に刻んでいました。良いですよね、親友たちと切磋琢磨。こんな実力のある友人たちと一緒にレースが出来るなんてこと、こんな素晴らしいことは中々ないでしょう。ガンバですよ!
チームメイトの大湯都史樹選手が、SNSでは個性を以前のように出していますが、それはそれでとても良いことです。移籍した初年度、新しい陣営で当初、勝手を気にするのは当たり前のことですしね。SUPER GTと違ってこのカテゴリーでは大苦戦中。辛いけれど、時間がかかっても良いので乗り続けてぜひ優勝を導いて欲しいですね。ガンバですよ!阿蘇のキャップを買ってかぶっていました。そう来たかと思ってちょっと笑ったという。
そうそう搬入日に、チームに帯同しているFIA F4に参戦する卜部和久選手がピット作業の練習のお手伝いをしていました。今季は、TGR-DCレーシングスクールの一員となりました。ですので、SF開幕戦でお見かけしたときにチームに帯同されるんだなと、しっかりチェックしていました。
この時マシンに乗り込んでドライバーの代わりとしてサポート。乗ってとメカから言われシートに座ったら表情が一変しました。トップカテゴリーのマシンに乗ったのは初めてだったご様子。とても笑顔になって、あれこれ見渡し、スマホを出して写真も撮られていたんです。この姿がとても微笑ましてくてね。彼のF4のカテゴリーからだと、次にステップアップするのは、スーパーフォーミュラ・ライツ。そこで頑張ってチャンピオンになって、このスーパーフォーミュラ。最短で3年かかりますね。決勝日に、少しだけピットでお話を伺いましたが、彼が昨年F4で優勝した時は、阪口晴南選手が、彼におめでとうを言う為、イベント広場で探していたところに私がばったり出会い、そのまま晴南くんを追って行き二人で抱き合うところを動画におさめたんですよね。その時の晴南くんはとても頼もしい先輩として、後輩を称えていました。先輩、後輩、とても良い関係だなと思った記憶が。昨年の9月のSUPER GTのスポーツランドSUGO大会の出来事でしたね。みんなで一緒に成長していると感じたのを覚えています。頑張ってくださいね。私がレポート出来るうちに、あれから○年!いよいよ!などと書いてみたいです!
坪井翔選手、予選6番手から3位表彰台獲得!おめでとうございます!開幕戦では、どうしちゃったんだろうというポジションでしたが、本領発揮です。小枝エンジニアと搬入日に話した時に、厳しいという表情をしておりましたが、ちゃんと準備をして来たというのがわかりました。もちろん3位でも満足しないのですが(コラコラ)、トップスピードを見ると一目瞭然ですがトヨタ勢が苦しい中、頑張ったと…さすがだなというのが本音ではあります。でも欲張って…。ここからもっともっと挽回して欲しいですね。
搬入日の前週にあったレース、KYOJO CUPで走られていた奥様の話をしました。坪井くんは、同日開催のインタープロトに参戦していました。二人でポールトゥウィンをしたかったと。奥様は、2位でフィニッシュしたのですが、励ましたりするのかなと思ったら、奥様の所属するチームにお願いしてあるのであまり口出しをしないとおっしゃっていました。トップドライバーが旦那様ってどんな感じなんだろうね。SUPER GTでも富士スピードウェイで搬入日にお二人でランチしていたのを見かけたのですが、あとでお声がけしようと思ったらその後全く会えずじまいでね。そばにいるだけでも絶対心強いのはわかるけど、同業ということでお話聞いてみたかったなあ。いつかの機会によろしくです。
昨年でしたね、電撃的にシーズン途中でこのシートを得たのは。その笹原右京選手ですが思いの外、開幕戦は下位に沈みスピードもなく彼もどうしたんだろう?と心配でした。右京くんはミックスゾーンで…、担当の大立エンジニアは帰りの空港のラウンジでちょっとだけ隣に座らせて(コラコラ)話を聞きました。声をかけてくれたついでに座らせたのですが、まるで私から取り調べを受けているようでね、ごめんよ。というわけでバラバラに話を伺ったのですが、見解は一致しておりました。発言の整合性を確かめようとしたわけではなく、二人とも同じことを言ったので安堵と。
右京くん。ここまで苦戦したのは、走ったあとにフィードバックするコメントに対するクルマの動きが一致していなかったとのこと。両腕を交差させて、チームと自分とで「こうだったんです」と意見が一致しないことをジェスチャーで現わしてくれました。最初は同じ方向だったのが、クルマの動きを改善していこうとやればやるほどクルマが違う方向に行っていたそうです。そして、考え方に間違いを発見したとのこと。大立くんも一緒のことを。右京くんが、「僕が間違っていました」とおっしゃったとのことで、思わずなんて素直!と思いました。
誰がどう間違っているかなど、上手くいかない時ほど見えない、かつ責任転嫁みたいになってしまうことも多いです、どのチームも。しかし、このオートポリスで何か見つけたみたいで、もう大丈夫!と思いました。次のレースでもうそれを確認したいみたいです。これは他のチームでも同様な言葉が聞かれました。サーキットが変わったことで、クルマの動きなど得たものが大きかった様子。ポジティブにいけることが確認できたので、次のレースに期待です。ガンバだよ!
ここは明暗わかれましたねえ。山下健太選手は、前回は表彰台と今季は調子良い感じで心配なし。決勝直前も、グリッドにクルマを置いてピットに戻り、エンジニアさんたちとトーク。何かを最後まで決めあぐねていたのかな。頑張ってしか言えないので、パチリとやって通り過ぎました。TGR陣営では、ランキングがトップ。Honda陣営に頑張って追いついて行って欲しいですよ。
一方、こちらはちょっと心配な小高一斗選手。予選後の言動も見た目にもかなり凹んでいました。いろんな方と話しているのが見受けられ、2戦にしてかなり追い詰められている感じにも見えました。違っていたらそれはそれで良いのですが。まずは阿部エンジニアと共に立て直して欲しいですね。いつもの彼らしく明るくいけるよう祈っていますよ!
中々ポイントが獲得できませんが、まだ2戦目と言う事で、あと少しのところ、決勝11位まで来ました。昨年は大きく飛躍した年でしたので、ここから粘り強く行って欲しいです。応援団もバッチリなチームですし、バックアップ体制は心配不要のチームですね。
チームは、モリゾウチーム代表がお見えで、セッション以外(この時はもちろん真剣)は和気藹々でとても楽しそう。ルーキーレーシングファンの方にとってもこのファンサービスはうれしいのではないでしょうか。ドライバーがいないうちに、ピットウォークのサイン会が始まってしまうところがと石浦宏明監督。なんともお茶目なチームです。
その石浦監督は、スーパーフォーミュラ・ライツ(SFL)のグリッドに足を運んでいました。いつもいろいろエピソードを教えてくれるので、私にとってキーパーソンの石浦監督。自身と同じ育成の道を本格的に歩み始めた、小林利徠斗(りくと)選手(FIA F4チャンピオン)、中村仁選手の応援に来ていました(石浦監督がF3=今のSFLの頃も覚えていますよ、大嶋くんのこともね)。お二人ともに18歳!FIA F4からステップアップして所属はトムスです。彼らをオーディションから見て来ているからと、親目線。高校を卒業したばかりの18歳!縦に繋がっている彼らメーカー育成ドライバー。この道のりを掴み取っただけでも素晴らしいので、ここからぜひどのチームにステップアップして来るかわかりませんが、まずはスーパーフォーミュラ・ライツで奮起して欲しいですね!あと1つステップアップすればスーパーフォーミュラ!ガンバ!
〇おわりに
九州は、本当に観戦日和で良かったです。山から降りると暑いですし、日も長いので19時半でも明るく、時間がバグるとおっしゃっていた若者も。確かに。これでも大したことが書けていないのですが、人と話す事でまたやり甲斐を見つけた私でした。写真も頑張ろうっと!
大谷幸子の近況
スーパーフォーミュラ・ライツの開幕戦が延期となり、第2大会の今回が実質の開幕戦!
え?この写真じゃドライバーのお顔がわからないって?はい、反省…。タイミングが悪くてね。お話もできませんでした。すみません。4台がTOM’Sよりエントリー!
(こちらにレポートと写真があります)https://toyotagazooracing.com/jp/tdp/release/2024/sfl-02/
よろしくお願いします!では、また!