スーパーフォーミュラ第4戦 オートポリス
モタスポコラム その8 2020.11.20
シーズン全7戦の折り返しを迎える第4戦、毎年混戦激戦のスーパーフォーミュラ。舞台は九州オートポリスです!久しぶりの飛行機、そして大きな声では言えないけど地元のご飯も楽しみの一つ。今年は本当に行けるのかなと思っていましたが、しっかり見届けて参りました。それにしてもハプニングだらけでした…。その九州ラウンドを振り返ります。
〇季節外れ気候
これまで10月に訪れたことはあるのですが、11月ということでさぞかし寒いだろうと思っていったら、あら大変。日中はぽかぽかで、某あったか下着を持参して行った私は、現地で服装に困ってしまいました。ブルゾン着ると暑いし、脱いでも日中は汗という事で調整に困るスタートでした。半そでで作業するチームスタッフを見てため息。だいたい、現地が寒く薄着で失敗すると、“何年サーキットに来てるの~”と、山の天気をなめるなという私も含めた古参関係者に虐げられるのが常ですが、今回は真逆。山の上は絶対に寒いという長年の思考を完全に裏切る天候でした。朝晩も確かに寒かったけど、思ったほどではなかったのよね。観戦を長く待ちわびたお客様への観戦日和のプレゼントだったでしょうか。
予選では、18号車carrozzeria Team KCMG小林可夢偉選手の代役中山雄一選手と20号車ITOCHU ENEX TEAM IMPUL平川亮選手のスピン、クラッシュが連続。赤旗で予選が中断しました。二人のカラダは大丈夫でしたが、前日まで本当に順調でしたので、まさかの~という訳で暗雲がいきなり立ち込めました。
絶好調、今季ポイントリーダーの平川選手は、土曜の専有走行時にシャッターを下ろしたガレージでしばらくクルマを調整し、なんかあったのかなあと勝手に心配していたらセッションの終わりにコースに出て行って、サクッとトップタイムをマークという。怖いくらい盤石だなと思って見ていたんですよね。だから予選のギリギリに攻めたアタックからのスピンは、ご本人もステアリングを叩くほど悔しがっていました。信じられなかったです。場内実況のピエール北川さんの声と一緒に、あ~やってもうた、と言いたかったですね。
その分、決勝では、スタートで7台抜きをやってのけましたが、最終的に今回のラウンドはノーポイントに終わっています。ただ、有効ポイント制ということで2戦分のポイントはカウントされないので、セーフ…という訳でポイントリーダー死守です。
決勝を時系列で振り返ると、4号車のKONDO RACINGサッシャ・フェネストラズ選手が序盤でリタイア。モニターに映し出されたクルマには、左のリアタイヤがなかったかな。ショックすぎますね。これで3戦連続で落としました。これも信じられませんでした…。開幕戦以来の大型ルーキーのレースがみたいですホントに。タイヤ交換に関しては、今回いくつかのチームでアクシデントがあった模様。あれだけ練習していても本番になると何が起こるかわからないね。
39号車JMS P.MU/CERUMO・INGING坪井翔選手のリタイアも残念でした。3位を走行中のアクシデントでした。今季、ドライのコースコンディションでの速さが目に見えて進化。何か掴んだんでしょうねと、テレビで解説をしていた土屋武士さんとレース後、ご本人を前に話していたのですが、優勝も見えていただけに残念でした。ただ、どうも単純なピット作業ミスでも無さそうです。ホイールの構造上のことで、レアなハプニングが発生したみたい。担当したメカニックは凹んでいましたが、これは不運だったみたいですよ。本人の名誉のために書いておきますね。坪井選手は、2戦落としていますが、とにもかくにも有効ポイント制なので、残り3戦勝つつもりで頑張るとポジティブなコメントをくれました。チームメイトの石浦宏明選手も今回は苦労しました。なかなかクルマが決まらなかったけど、追い上げたところでピットでのロスもあったようです(ご本人談です、自分で見てないので…)。みんなファイト!
前の週のスーパーGTで優勝したばかりのHonda野尻智樹選手が今回優勝しました。研ぎ澄まされた速さでポールトゥウィンです。おめでとうございます。熊本入りした際に、空港で会ったんですよね。少し話しましたが、とにかく集中する時間を作ってレースに臨んでいました。
セーフティカーが導入された際に、コースにステイアウトして戦ったのが、Honda山本尚貴選手でした。ピット作業を先に終えている野尻選手との闘い。トップでレースを引っ張り野尻選手に応戦する為のマージンを稼いで終盤にピットイン。残り周回をニュータイヤで攻めまくります。トップの野尻選手に、0.6秒と迫ったところでチェッカーとなりましたが、あと1周あったらあわやと思うシーンでしたが、追い上げ目に見えて速かったですよね。お二人、実力伯仲ですが、いいもの見せていただきました。どちらもカッコ良かったです! 3位のHonda牧野任祐選手もHondaの雄…F2走っていた海外経験のある素晴らしい若手ドライバーです。速くて怖いドライバーですよね、将来彼がメーカー背負っていくんだろうなあと勝手に思っています。
とにかくトヨタ、Honda、どちらも素晴らしいドライバーが勢ぞろいするスーパーフォーミュラですが、ここまで3勝を挙げたトヨタ勢は今回は完敗。残念ながら表彰台を逃しました…。4位の18号車carrozzeria Team KCMG国本雄資選手が最高位。
5位はWEC最終戦を欠場して参戦した3号車KONDO Racing山下健太選手でした。
36号車VANTELIN TEAM TOM'S中嶋一貴選手の代役として参戦したのが、スーパーフォーミュラライツ(以下、SFL)で参戦している宮田莉朋選手。昨年までの全日本F3選手権、ひとつ下のカテゴリーですね。今回も代役参戦頑張りましたが、何がスゴイって、日曜日のスケジュール…バタバタでした、予選で赤旗が二回出ましたのでね。
彼の日曜取り日を取り上げると、朝8時過ぎからSFLの決勝を走り(サポートレースは早起き必至)、表彰式、メインイベントのスーパーフォーミュラ(以下、SF)の予選をアタックと分刻みのスケジュール…。その後、SFLの決勝、表彰式を終えてSFの決勝を走破しました。日曜だけで、72周回、スーパーGTならレースをひとりで全部走ったことになると、SFのグリッドで話してくれました。走行距離だけではなく、上位の戦績で頑張っていた事も素晴らしかったです。若さ…だけではないですよね、ここまで来ると。第2戦のレポートでも書いたように、中嶋一貴選手のクルマだからということではなく、本人が速いと大立エンジニアも言ってました。今後楽しみしかないですね、タフだし速いし。2カテゴリー参戦、約1400㎞走破、お疲れさまでした。
九州ラウンド、Hondaさんの巻き返し素晴らしかったです。切磋琢磨、残りの3戦もぜひ良いレースを!期待しています!
九州、または地方のサーキットを訪れると、地元のものをいただき活力をつけます(言い訳か…)。サーキットは大分県日田市にあるのですが、滞在場所はだいたいのチームが熊本県内。わたしは、肥後大津にホテルを手配していただいております。だいぶ前は阿蘇に宿泊したこともあったのですがね。その後、地震で周辺道路が通行できなくなりとロジが変わりました。たびたび自然災害にも見舞われる地域。レース開催が心配でもあり、行けることは素直にうれしくもあり…。
九州ラウンドで必ずいただくのが「馬刺し」。考えてみたら、熊本出張以外でいただくことが私はないかも。だからなのかな、必ず食べちゃいます(笑)。2輪のモータースポーツも近くのHondaさんのサーキットで開催されていたようで、頑張ってくださいと声をかけていただくこともありました(私が参戦する訳ではないけど、ありがたいです)。
馬、天草大王(鶏肉)、九州らーめん、辛子レンコン、ぐるぐる、高菜、だご汁、いきなり団子、太平燕(タイピーエン)と思いつくだけでこれくらいかな。長年通って記述したものは食しました(笑)。でも、一番の大切な思い出があるんです。
オートポリスに行くと必ず自分のSNSに書いていましたが、今回はここに残しておきます。9年くらい前だったと思います。一緒に移動していた方々を日曜の夜に見送り、ひとりホテルに滞在。夜はホテルで仕事をして月曜日帰路につきました。ホテルから空港は、さほど遠くないですがタクシーを呼んでいただき乗車。その車内で地元の人生の大先輩のドライバーさんと会話。何度も来ているサーキットですので、空港までの土地勘はあり、今走っている並木道が好きだとかご飯美味しかったなどなどお話をしていました。横浜から来たという私への心のおもてなし。そのお気持ちがうれしく、未だに忘れられません。当時ブログなどに書きましたが、もう残ってないので…。
毎年思い出します。レースの想い出の他に、そんなほんわかすることもあって、いろんな土地での会話は私は大事なんですよ。おまけでした!
大谷幸子の近況
コロナ過、きついスケジュールなどと言いつつレースをレポートできるのは楽しいですが、寄り道すら思いつかないほど頭がいっぱいでして。過去のエピソードを少し追加しますね。
レースが終わって肥後大津の駅までタクシーに乗ったのは何年前かな…。降りた瞬間に阿蘇山が噴火し、ワイドショーでライブ中継していて、あれ?目の前に見えるやつ!と駅のテレビを見て驚きました。地元の方は全く驚きもしません。ちょうどその頃に発つ午前の羽田行の飛行機が欠航となり、関係者のSNSがざわついていました。大丈夫?とLINEも何人かから受信しました。阿蘇山近辺も広いので心配される距離にはおりませんでしたが、心配しちゃいますよね。空港にいた関係者のみなさんは福岡空港にその時は向かわれたようです。私はまだ仕事に時間的な余裕があって、ひとり初の鹿児島へ向かい、桜島と西郷さん見てから午後の便で帰りました。
3年くらい前かな、これもまたひとり長崎へ向かったときは、大雨でホテルにこもりましたが、九州の新幹線や急行電車を堪能。帰りはいつもスーツケースをガラガラ引きながら少しだけの寄り道を楽しんでいましたね。あ!天草にも行った!それはまたいつか。
最近は、そんな寄り道の余裕がなくコロナ過でもあるし…。でも観光を生業とする方々の為に行った方がいいのかな。悩むところですね。
そんなこんなで残る現場は、あと3つ!こうなると、さみしくなる訳ですが、新型コロナウイルスの感染が再び広がっております。ここはご安全に…。そしてとにかく健康で頑張りましょうね!普段のおでかけは近所のスーパーと散歩で我慢しています。では!