今月のLEXUS CUSTOMER RACING マンスリーレポートは、毎戦上位争いを繰り広げている米国WTSCシリーズと、LEXUS RC F GT3にとって初出場となるル・マン24時間レース、そして国内SUPER GTとSROジャパンカップの模様をお送りします。

WeatherTech SportsCar Championship第5戦 デトロイト
Detroit Grand Prix
5月31日(金)と6月1日(土)の両日、米国ミシガン州デトロイトの市街地特設コースで2024年WeatherTech SportsCar Championshipシリーズの第5戦が100分間のスプリント戦として行われました。
今季の同シリーズには、バッサー・サリバンからGTDプロクラスに1台、GTDクラスに1台と計2台のLEXUS RC F GT3が参戦していますが、今大会はGTPクラスとGTDプロクラスのみで行われたため、GTDプロクラスにシーズンレギュラーとして参戦しているジャック・ホークスワースとベン・バーニコートが駆る14号車に加え、パーカー・トンプソンとフランキー・モンテカルボによる15号車がスポット参戦しました。
予選は14号車が3番手,15号車が10番手グリッドを獲得。
決勝では、3番手スタートのホークスワースの14号車が、ポールの車両がトラブルに見舞われたことで2位に上がると、首位の車両をぴったりとマーク。バーニコートへとドライバーチェンジしたあとも2位につけ、首位奪取のチャレンジを伺いました。
レースが折り返しを過ぎてまもなく、首位を争う14号車とコルベット4号車が接触。14号車は車両前部にダメージを負うこととなりました。
しかし、満身創痍の状態ながら14号車はレースを続行。最後まで僅差の首位争いを繰り広げ、2位でフィニッシュ。3月に勝利を挙げたセブリング12時間以来、今季2度目となる表彰台を獲得しました。
トンプソン、モンテカルボ両ドライバーにとって初のGTDプロクラス出場となった15号車は、10番手から着実に順位を上げていき、両ドライバーにとって今季最上位フィニッシュとなる4位でチェッカー。LEXUS RC F GT3は2台そろってのトップ4フィニッシュを飾りました。
リザルト
クラス | 順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
GTDプロ | 2位 | 3番手 | 14 | ジャック・ホークスワース ベン・バーニコート | バッサー・サリバン | 74 | 2.885 |
GTD | 4位 | 10番手 | 15 | パーカー・トンプソン フランキー・モンテカルボ | バッサー・サリバン | 74 | 5.465 |


WeatherTech SportsCar Championship第6戦 ワトキンズ・グレン
Sahlen's Six Hours of The Glen
6月20日(木)から23日(日)にかけて、米国ニューヨーク州ワトキンズ・グレンのワトキンズ・グレン・インターナショナルで2024年WeatherTech SportsCar Championshipシリーズの第6戦が6時間耐久レースとして行われました。
今大会は通常通りGTDプロクラス、GTDクラス共に開催され、バッサー・サリバンのLEXUS RC F GT3はGTDプロクラスの14号車がジャック・ホークスワースとベン・バーニコート、GTDクラスの12号車はフランキー・モンテカルボ、パーカー・トンプソン、アーロン・テリッツの3名で6時間のレースに挑みました。
予選は14号車が2列目4番手グリッド。12号車はチームにとってGTDクラスで今季3度目となるポールポジションを獲得しました。
2列目4番手からホークスワースがスタートを切った14号車は、最初のピットストップで首位に浮上。ホークスワースは36周にわたって首位を走行し、2時間ほどでバーニコートへと交代しました。バーニコートも23周にわたって首位を守りましたが、フルコースコーションからの再スタートでドライブスルーペナルティを科され、9位へと後退。
バーニコートはその後懸命な追い上げで3位までポジションを取り戻し、最後のスティントを担当するホークスワースへとステアリングを託しました。しかし、14号車がピットへ入ってきたときに激しい雨が降り始め、レースは赤旗中断に。レース再開後、ホークスワースは7位までポジションを落としていましたが、終盤猛烈な追い上げを見せ、4位でチェッカーを受けました。
ポールポジションからスタートを切った12号車は、レースを通して上位で周回を重ね、終盤には首位争いを展開していましたが、ライバルとのバトルの中で接触を喫し、5位でチェッカー。その後2位の車両がペナルティを受けたことで4位フィニッシュとなりました。
リザルト
クラス | 順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
GTDプロ | 4位 | 4番手 | 14 | ジャック・ホークスワース ベン・バーニコート | バッサー・サリバン | 139 | 3.173 |
GTD | 4位 | 1番手 | 12 | フランキー・モンテカルボ パーカー・トンプソン アーロン・テリッツ | バッサー・サリバン | 139 | 3.114 |


世界耐久選手権(WEC)第4戦 ル・マン24時間
ル・マン24時間
FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦「ル・マン24時間レース」が6月12日(水)から16日(日)にかけて、フランスのル・マン・サルト・サーキットで開催されました。
今シーズンから同シリーズには、アコーディスASPチームから2台のLEXUS RC F GT3がフル参戦しています。
WECの第4戦は世界3大レースのひとつであり、100年以上の歴史を誇る伝統の「ル・マン24時間」。LEXUS RC F GT3にとっては初めての挑戦です。
今大会、78号車はレギュラードライバーのケルビン・ファン・デル・リンデ、ティムール・ボグスラヴスキー、アーノルド・ロビンの3名がドライブ。87号車は、レース前週に負傷したマイク・コンウェイの代役としてホセ・マリア・ロペスがTOYOTA GAZOO Racingのハイパーカーに乗ることが決まったため、急遽ジャック・ホークスワースがレギュラーのエステバン・マッソン、木村武史とドライブすることとなりました。テストデーの僅か48時間前にドライバー決定が伝えられ、急遽フランスへ行くこととなったホークスワースは、米国WTSCでLEXUS RC F GT3を駆り昨年チャンピオンを獲得。昨年10月にはポルティマオでのテストにも参加している「スーパーサブ」です。
レース前週の8日(土)には恒例の公式車検がル・マン市街地で行われ、9日(日)は公道を使用する1周13.6kmのサルト・サーキットを走行できるテストデーが開催。このテストデーで、サルト・サーキットを初めて走ることとなったLEXUS RC F GT3は、午前中のセッションで78号車がトップタイム、87号車が2番手と幸先の良いスタートを切りました。
レースウィークは12日(水)から公式練習走行が開始。この日の午後7時から行われた予選では、78号車はファン・デル・リンデ、87号車はマッソンがアタックを担当し、それぞれ21番手、10番手タイム。上位8台が出場する翌日のハイパーポールへの進出はならず、グリッドが決定しました。
13日(木)も2回の公式練習走行を行った後、14日(金)は通例通り走行セッションはなく、ドライバーは市街地で行われたドライバーズパレードに参加。レース前にファンの皆様との交流を深めました。
14日(日)決勝スタートを前に行われたウォームアップ走行終盤、78号車は接触を喫し車両後部を破損、これにより決勝レースはピットからのスタートを強いられると共に、最初のピットで2分間停止のペナルティを科されることとなりました。
午後4時、グランドスタンドを埋め尽くした大観衆の見守る前で24時間にわたる長いレースのスタートが切られました。クラス10番手からスタートを切った87号車はホークスワースがポジションを上げ、首位争いに加わりました。ピットスタートで最後尾から追い上げることとなった78号車もペナルティを消化しながらも着実に順位を上げていきました。
レーススタートから1時間半ほどで雨が降り始め、その後も降ったり止んだりの難しいコンディションに。そしてレースはナイトセッションへと突入しました。
夜間と雨というシビアなコンディションで、アクシデントも多発し、夜が明けるまでに2度の長いセーフティカー走行が実施されるなど、波乱の中で夜明けを迎えましたが、2台のLEXUS RC F GT3は数度のペナルティを科されながらも着実にトップ10圏内で走行を続けました。
レースが4分の3を過ぎても、87号車は表彰台を争えるトップ5圏内で僅差の争いを繰り広げていましたが、残り2時間半となったところで、ホークスワースがドライブする87号車のボンネットが突然開くトラブルに見舞われてしまいました。ホークスワースはフロントウィンドウのほとんどをボンネットで塞がれ、視界が悪い中慎重な走行でピットへと戻り、レースに復帰しましたが、11位へと順位を落とすこととなってしまいました。
レースはチェッカーを前にしてまたも雨に見舞われましたが、2台のLEXUS RC F GT3は最後まで力強く走り抜き、78号車が7位、87号車が10位でル・マン24時間レース初挑戦ながら2台共に完走。揃ってのポイント獲得を果たし、その信頼性と速さを示しました。
リザルト(LMGT3クラス)
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
7位 | 21番手 | 78 | ケルビン・ファン・デル・リンデ ティムール・ボグスラヴスキー アーノルド・ロビン | アコーディスASP | 279 | 2 Laps |
10位 | 10番手 | 87 | ジャック・ホークスワース エステバン・マッソン 木村武史 | アコーディスASP | 279 | 2 Laps |


AUTOBACS SUPER GTシリーズ第3戦 鈴鹿
SUZUKA GT 3Hours RACE
AUTOBACS SUPER GT第3戦「SUZUKA GT 3Hours RACE」が6月1日(土)、2日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催されました。
今季の同シリーズには、GT300クラスにイゴール・オオムラ・フラガ/古谷悠河組のANEST IWATA Racing RC F GT3 50号車と、新田守男/高木真一組のK-tunes RC F GT3 96号車として2台のLEXUS RC F GT3がシーズン参戦しています。
SUPER GT史上初めて3時間のタイムレースとして開催された先月の第2戦に続き、今大会も3時間レースとして行われました。第2戦は、トップ車両の走行距離は530kmを超えるロングレースとなりました。今大会も長いレースとなることが予想され、給油を伴う2回のピットインが義務づけられます。
1日(土)は好天に恵まれ、午後3時には気温26度、路面温度は45度まで上昇し、暑さも感じるほどのコンディションで予選が行われました。今季より予選はQ1とQ2で異なるドライバーがアタックし、両セッションの合算タイムで決勝レースのスターティンググリッドを決定します。
GT300クラスは2グループに分けて実施され、50号車、96号車共にQ1をBグループで出走。フラガがアタックした50号車は出走13台中4番手。96号車は新田のアタックで6番手タイムをマークし、LEXUS RC F GT3は2台共にQ2は上位のグループ1へと進出しました。
Q2では、高木の96号車が9番手タイムをマークし、2台の合算では11番手グリッドとなりました。古谷の50号車は電装系のトラブルに見舞われコースインが遅れ、充分にタイヤを暖められず最後尾の16番手に。合算タイムで決勝は19番手グリッドからスタートすることとなりました。
2日(日)は不安定な天候となり、車両がスターティンググリッドに着く頃には降雨で路面が濡れる状況でしたが、その後雨は止み、スタート時には日差しも見え、路面はドライに。やや暑さを感じる気温24度、路面温度31度のコンディションで午後1時半、三重県警の白バイとパトカーの先導によるパレードラン、フォーメーションラップを経て、3時間レースのスタートが切られました。
9番手グリッドの96号車は高木がスタートを担当し、25周目に7位まで順位を上げたところでピットインし新田へとドライバーを交代。新田も着実な走りで4位まで上げて57周目に高木へ再びバトンを渡しました。このピットで95号車は12位まで順位を落としてコースへ復帰。高木が後半戦もじりじりとポジションを上げていき、9位でフィニッシュ。今季2度目の入賞、ポイント獲得を果たしました。
19番手グリッドからスタートした50号車は、フラガがスタートを担当し、序盤から順位を上げていきましたが、タイヤが厳しくなり30周でピットイン。タイヤを交換し、そのままフラガが50周目まで走行。16位で古谷へ交代しました。古谷はポジションアップを狙いましたが、58周目にGT500車両と接触。なんとか走行は続行しますが、2つポジションを落とす事となりました。50号車はその後、接触の影響でペースが上がらないものの粘り強く走行を続け、14位まで順位を上げてチェッカーを受けました。
リザルト(GT300クラス)
順位 | グリッド | No. | ドライバー | 車両名 | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
9位 | 11番手 | 96 | 新田 守男/高木 真一 | K-tunes RC F GT3 | 84 | 1 Laps |
14位 | 19番手 | 50 | イゴール・オオムラ・フラガ/ 古谷 悠河 | ANEST IWATA Racing RC F GT3 | 83 | 2 Laps |


SRO Japan Cup 第1,2戦 SUGO
SROジャパンカップの第1,2戦が6月7日(金)から9日(日)にかけて、宮城県のスポーツランドSUGOで開催されました。
昨年までFanatec GT World Challenge Asia Powered by AWSの選手権の一部として開催されていたジャパンカップですが、2024年シーズンからはGTWCAとは別に新たなシリーズとして独立。このSUGO大会を開幕戦として、日本国内で4大会8レースにて争われることとなりました。
第2大会からはGTWCAとの併催ですが、今大会はジャパンカップ単独開催。このシリーズにK-tune Racingから末長一範/新田守男組96号車としてLEXUS RC F GT3が参戦します。
8日(土)は午前中の公式練習に続き、午後3時より第1戦、第2戦の予選を15分ずつで実施。それぞれ別のドライバーがアタックします。96号車は第1戦の予選で末永が7番手。第2戦の予選は新田のドライブで4番手グリッドを獲得しました。
9日(日)曇り空の下で午前10時半より第1戦が行われました。1周目から接触やコースオフが発生する波乱の幕開けとなる中、7番手からスタートした95号車は着実に順位を上げ5位でフィニッシュ。続いて午後3時15分より開始された第2戦では、96号車は4位スタートから5位でチェッカーを受けました。
第1戦 リザルト
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
5位 | 7番手 | 96 | 末長一範/新田守男 | K-tunes Racing | 41 | 1 Laps |
第2戦 リザルト
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
5位 | 4番手 | 96 | 末長一範/新田守男 | K-tunes Racing | 40 | 1 Laps |


SRO Japan Cup 第3,4戦 富士
SROジャパンカップの第3,4戦が6月21日(金)から23日(日)にかけて、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。
開幕戦のSUGO大会はジャパンカップのみの単独開催でしたが、この富士以降はGTWCAと併催の「SRO GTパワーツアー」として実施。今大会は2シリーズの合計で12メーカー49台ものGTカーが集結し、盛り上がりを見せました。
同シリーズには、K-tunes Racingから末長一範/新田守男組のLEXUS RC F GT3 96号車が参戦しています。
22日(土)の午前中に行われた予選では、第3戦(レース1)のグリッドを決定する予選1回目を末永が担当し6番手。第4戦(レース2)の予選2回目は新田のアタックで最前列2番手グリッドを獲得しました。
予選の後、午後3時半から第3戦(レース1)が60分レースとしてスタート。6番手からスタートした96号車は、後半を担当した新田が怒涛の追い上げを見せ2位でチェッカー。今シーズン初めて表彰台を獲得しました。
23日(日)は雨模様となり、午後2時15分からの第4戦(レース2)は雨は上がったもののハーフウェットでのスタートとなりました。最前列2番手からスタートした96号車は、前半担当の新田が1コーナーで首位に立ち、その後も首位争いを展開。しかし、徐々に乾いていく難しいコンディションにタイヤ戦略が合わず苦戦、最終的にはドライタイヤを選択したライバルにかわされ4位でチェッカーを受けました。
第3戦 リザルト
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
2位 | 6番手 | 96 | 末長一範/新田守男 | K-tunes Racing | 33 | 33.687 |
第4戦 リザルト
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
4位 | 2番手 | 96 | 末長一範/新田守男 | K-tunes Racing | 30 | 1:42.381 |


次号のマンスリーレポートは7月30日頃の発行を予定しています。