2020年プレスリリース
TOYOTA GAZOO Racing ダカールラリー2020レポート No.4
TGRのトヨタ・ハイラックスは4台揃って難関マラソンステージを走破
ナッサー・アル-アティヤは逆転連覇へ向けトップと僅差の2位で最終ステージへ
サウジアラビアを舞台に、13日間、全12ステージにわたって競われているダカールラリー2020も終盤の山場となるマラソンステージを終え、ステージ11までを終了しました。ディフェンディングチャンピオンであるTOYOTA GAZOO Racingのナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組トヨタ・ハイラックス300号車はラリーを通して総合首位争いを展開。ここまでの11日間、スペシャルステージ合計4500km以上、41時間以上にわたって戦ってきたにもかかわらず、総合2位のアル-アティヤ/ボーメル組300号車を含めたトップ3台が約10分という僅差で最終ステージを迎えます。
初のラリーレイド挑戦で注目を集めているフェルナンド・アロンソ/マルク・コマ組310号車は、2日目のアクシデントで大きく順位を落としたものの、その後はコンスタントにステージトップ10でのフィニッシュを続け、ステージ9終了時点で総合トップ10まで浮上。しかし、ステージ10で大きな砂丘を越えようとした際に横転し、フロントウィンドウを破損するアクシデント。それでもタイムロスは1時間17分ほどで、続くステージ11とマラソンステージを走破し、総合13位につけています。
2009年のダカールウィナーであるベテラン、ジニエル・ド・ヴィリエール/アレックス・ハロ組304号車が総合5位、ベルンハルト・テン・ブリンク/トム・コルソール組307号車が総合7位でステージ11を終え、TOYOTA GAZOO Racingは4台のトヨタ・ハイラックス全車が上位を保ったまま難関ステージを走破し、ステージ12の先に待つゴールを目指します。
【ステージ9】
1月14日(火)のステージ9は、ワディ・アル・ダワシールからハラドへ向かうスペシャルステージ410km、総距離868kmの長丁場。11番手でスタートを切ったアル-アティヤ/ボーメル組300号車はハイペースで走り抜き、このステージ首位の車両と15秒差の2位でフィニッシュ。総合首位の車両がナビゲーションミスとタイヤのパンクに見舞われたこともあり、総合2位は変わらないものの、総合で首位との差を僅か24秒に縮めることに成功しました。
テン・ブリンク/コルソール組307号車はノートラブルでステージ7位。総合でも7位へとひとつ順位を上げました。ド・ヴィリエール/ハロ組304号車はステージ序盤でパンクを喫し2分のタイムロス。それでもステージ8位でフィニッシュし、総合6位の座を守ると共に、総合5位の車両との差を縮めました。
この日2番手スタートとなったアロンソ/コマ組310号車は、スタートしてから100kmほどで先頭スタートの車両を追い抜き、このコンビにとって、ダカールラリーで初めて先頭でコースを切り拓くこととなりました。先行車の轍のないコースながら310号車は全力でのプッシュを続け、首位と13分差の9位でステージフィニッシュ。310号車は総合でも10位へと浮上しました。
【ステージ10】
1月15日(水)のステージ10はハラドからサウジアラビア南東部のシュバイタまで向かい、翌日のステージ11で再びハラドへと戻るルートで、間のビバークとなるシュバイタではメカニックによる作業が禁止される、2日間にわたるマラソンステージとして競われました。このマラソンステージ前半戦、ステージ10はTOYOTA GAZOO Racingにとっては厳しい一日となってしまいました。
前日、首位をわずか24秒差まで追い詰めたアル-アティヤ/ボーメル組300号車は、ステージ中盤でナビゲーションのトラブルによりタイムロス。その後、ステージは強風によりヘリコプターが飛べないなど、競技車の安全確保が困難になったため、予定されていた534kmのうち、345kmを終えた時点でレース後半部分がキャンセルとなり、競技車はリエゾンルートを介してシュバイタのビバークへと向かいました。後半の砂丘区間で追い上げを狙っていた300号車でしたがそのチャンスは得られず、首位と17分46秒差の17位でフィニッシュ。総合で首位との差は18分10秒差に広がりました。
総合でトップ10へと浮上したアロンソ/コマ組310号車は、スタートして間もない地点での砂丘越えで横転。3回転した310号車は、幸運にも柔らかい砂の上にタイヤを下にした状態で着地。アロンソとコマも無事でしたが、310号車はフロントウィンドウとサスペンションにダメージを負いました。アロンソとコマはすぐに修復作業を行い、パンクしたタイヤと曲がったサスペンションを交換、また、割れたフロントウィンドウを取り外し、その後は埃を避けるためにゴーグルを装着してビバークまで走り抜きました。310号車はこの日、首位から1時間17分33秒遅れの55位フィニッシュ。それでも総合では首位から4時間半遅れの14位に留まりました。
この日、TOYOTA GAZOO Racingで最速だったのはド・ヴィリエール/ハロ組304号車で、首位から4分26秒遅れの3位でステージフィニッシュ。総合では6位をキープしていますが、5位との差は僅か4分44秒まで縮めています。
テン・ブリンク/コルソール組307号車は、メカニックのサービスが受けられないために、チームメイトのサポートが必要となる可能性も考慮し、慎重な走行。それでもステージを6位でフィニッシュ。総合7位を守りました。
【ステージ11】
1月16日(木)はシュバイタからハラドへと戻る、総距離744kmのうち、スペシャルステージは80kmの砂丘越えを含む379kmで競われました。総合2位のアル-アティヤ/ボーメル組300号車はこのマラソンステージ2日目で、前日ナビゲーションに苦しみ失った18分近い遅れを取り戻すべく猛プッシュ。首位と僅か10秒差のステージ2位でフィニッシュし、総合での首位との差を8分縮めることに成功しました。この日、主催者から最終ステージ12が、当初の374kmから176kmに短縮されることが発表されましたが、ディフェンディングチャンピオンのアル-アティヤ/ボーメル組は、2連覇に向けて最終ステージでの逆転に望みをかけます。
ド・ヴィリエール/ハロ組304号車はこのマラソンステージ復路でも着実な走りを見せ、首位と12分14秒差の6位フィニッシュ。総合で5位へとポジションを上げました。テン・ブリンク/コルソール組307号車は前日に続きチーム2番手となる4位でステージを終え、総合7位は変わらないものの、6位との差を4分55秒まで縮めました。
マラソンステージのため、ステージ10でのアクシデントによるダメージを、自分たちで修復したアロンソ/コマ組310号車は、113番手という後方スタートから素晴らしい走りで追い上げ、この日のステージ8位でフィニッシュ。総合13位で最終ステージに臨みます。
ダカールラリー2020 ステージ11終了時点の総合結果:
総合順位 | ドライバー/コ・ドライバー(車両/チーム) | 首位との差 |
---|---|---|
2位 |
#300 ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル (トヨタ・ハイラックス TOYOTA GAZOO Racing) |
10分17秒差 |
5位 |
#304 ジニエル・ド・ヴィリエール/アレックス・ハロ (トヨタ・ハイラックス TOYOTA GAZOO Racing) |
1時間6分34秒差 |
7位 |
#307 ベルンハルト・テン・ブリンク/トム・コルソール (トヨタ・ハイラックス TOYOTA GAZOO Racing) |
1時間17分50秒差 |
13位 |
#310 フェルナンド・アロンソ/マルク・コマ (トヨタ・ハイラックス TOYOTA GAZOO Racing) |
4時間43分18秒差 |
チーム代表 グリン・ホール:
ラリーも残すところあと1日となりました。昨日のステージ10後半がキャンセルとなったため、マラソンステージ後半となる今日のステージ11は我々にとって非常に重要でした。幸いにもナッサーのスタート順は17番手で、追い上げを期待しました。首位との差を詰めることには成功しましたが、前日のタイムロスは大きく、首位を捕らえるまでには至りませんでした。加えて明日の最終ステージが167kmに短縮されてしまい、逆転のチャンスが限られることとなったのは少し残念です。
ナッサー・アル-アティヤ(300号車):
昨日の時点で優勝争いはかなり難しくなったと感じています。昨日は序盤にナビゲーションでミスをし、その後ロングセクションがキャンセルとなってしまったことで、首位との差を詰めるチャンスを失ってしまいました。もちろん今日も首位との差を詰めるべく可能な限りプッシュを続けましたが、簡単ではありませんでしたし、僅差で追い上げるライバルから2位の座も守らなくてはなりませんでした。しかし、まだステージは1つ残っていますし、何が起こるかは誰にも分かりません。
ジニエル・ド・ヴィリエール(304号車):
昨日、今日と簡単なステージではありませんでした。多くの砂丘を越えなくてはならず、そのたびに大きく落下するので、休む間もありませんでした。砂丘越えの手前で速度を落としすぎましたかと思っても、向こう側は10mから15mも落下する砂丘でブレーキングして正解だった、ということが何度もありました。今日の前半100kmほどは本当に難易度高いコースで、無事に走破できて良かったです。後半は幸運なことに濡れた砂のコースでした。乾いていたらもっと困難だったでしょう。後半は順調で、好タイムでフィニッシュできて満足しています。
ベルンハルト・テン・ブリンク(307号車):
今日は、良い一日でした。我々は懸命にプッシュし、(9分前にスタートした)ジニエルとアレックスから数分遅れまで追い上げてフィニッシュできました。これにより総合順位争いでも前進しました。我々はステージ4位でフィニッシュしましたが、難しい路面環境だったことを考えればとても良い結果です。
フェルナンド・アロンソ(310号車):
マラソンステージの初日は理想的なスタートとは言えませんでした。スタートしてすぐに横転してしまい、修復作業を強いられました。しかし、作業は上手くやれたと思います。昨日のステージ後半がキャンセルされたことで、我々はさらに多くの修復する時間を得ることができました。マラソンステージ後半となった今日は113番手からのスタートとなり、トラックなど多くの車両の後方からスタートしなくてはなりませんでしたし、砂丘はとても柔らかくなっていました。それでもこのマラソンステージを、それほど大きなトラブルも無く走り抜き、私にとって初めてのダカールラリーで、最終日に臨むことができます。