TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、2024年1月に開催されるダカールラリー2024と2024年シーズンのFIA世界ラリーレイド選手権(W2RC)に、昨年のダカールラリー、及びW2RCを制した車両を改良・強化したGRダカールハイラックスEVO T1Uの5台体制で参戦します。この改良された2024年仕様は、W2RCのカテゴリー名称変更*を反映し、GRダカールハイラックスEVO T1Uとなりました。
また、ダカールラリー2024には、チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)がランドクルーザー300 GR SPORTの2台体制、日野チームスガワラがHINO 600シリーズをベースにした車両の1台体制でトラック部門に挑みます。
*前年までのT1+クラスは2024年シーズンよりT1 Ultimateクラスに変更
今大会、TGRは2組のルーキーコンビを含む、5組のクルーで、世界で最もタフな自動車レースであるダカールラリー2024に挑みます。5台体制は、TGRとしては過去最大規模でのダカールラリー参戦であり、ベテラン、ジニエル・ド・ヴィリエールのダカールでの比類無き経験と、ルーカス・モラエスとセス・キンテロの才能溢れる速さが組み合わされることとなります。
モラエスはコ・ドライバーとしてアルマンド・モンレオン、キンテロはコ・ドライバーとしてデニス・センツと組み、この2組はTGRワークスとして2024年シーズンのW2RCにフル参戦することも決定しました。ダカールラリー2024は2024年シーズンW2RCの初戦という意味でも、W2RCシリーズに参戦する2組のクルーにとって重要なレースとなります。
この2組のクルーがフル参戦する2024年シリーズは、開幕戦のダカールラリーのあと、4ラウンド、全5戦で戦われます。
- 第2戦 アブダビ・デザートチャレンジ(アラブ首長国連邦:2024/2/25-3/2)
- 第3戦 BPアルティメイト・ラリーレイド(ポルトガル:2024/4/2-7)
- 第4戦 デサフロ・ルータ40(アルゼンチン:2024/6/2-8)
- 第5戦 ラリー・モロッコ(モロッコ:2024/10/5-11)
ダカールラリーの後、この2組のクルーがW2RCチャンピオンを目指して戦いを続ける一方で、残る3人の南アフリカ人ドライバーは、競争レベルの非常に高い南アフリカラリーレイドシリーズ(SARRC)に参戦し、GRダカールハイラックスEVO T1Uの継続開発します。
ルーカス・モラエスはダカールラリー2023で頭角を現し、プライベーター参加ながらトヨタ・ハイラックスでラリーの大半を2位走行、最終的には3位でフィニッシュとなりましたが、ダカールラリー史上、初出場ドライバーによる最高位フィニッシュ記録を更新しました。今年、このブラジル人ドライバーは、スペイン人のアルマンド・モンレオンをコ・ドライバーとしてペアを組みます。2輪でダカールラリー参戦を開始したモンレオンは、その後SSV(サイドバイサイド:軽量四輪バギー)に乗り換え、ラリーレイドのトップドライバーとして活躍してきました。
セス・キンテロはコ・ドライバーのデニス・センツとのコンビで2024年シーズンのW2RCにフル参戦します。キンテロはラリーレイド界で神童と呼ばれ、現在の若手ドライバーの中でも最大の才能を持つドライバーの一人です。彼の比類無き速さと、21歳というその若さに合わぬ経験の深さで、ビバークにおいてもっとも注目されている一人です。TGRはこの速く、若いドライバーが新型トヨタGRダカールハイラックスEVO T1Uでどんなことを達成してくれるのかを楽しみにしています。キンテロと組むドイツ人コ・ドライバーのデニス・センツは、キンテロ同様4度目となるダカールでの完走を目指します。
モラエス組にキンテロ組と、この2組の若きクルーの才能は、2009年のダカールウィナーであるジニエル・ド・ヴィリエールがチームにもたらす豊富な経験が加わることでさらに活かされるでしょう。ド・ヴィリエールはこれまで参戦してきたダカールラリー20戦全てで完走、そのうちトップ10フィニッシュを逃したのは1回のみ、そして、20戦中8度の表彰台フィニッシュを含む15回のトップ5フィニッシュという比肩するもののない記録を持っています。ド・ヴィリエールは2022年大会から南アフリカ人のデニス・マーフィをコ・ドライバーとして戦っており、このコンビはSARRCの2022年チャンピオンでもあります。
さらに、サオード・ヴァリアワとコ・ドライバー、フランソワ・カザレという、新世代コンビも加わります。ヴァリアワは南アフリカのツーリングカー選手権を戦う一方で、南アフリカラリーレイドシリーズにもトヨタ・ハイラックスT1+で参戦。南アフリカ・ヨハネスブルク出身で、ダカールラリー史上最年少ワークスドライバーとなるヴァリアワは、18歳という若さながら豊富な経験を持ち、初のダカールラリー2024への挑戦を楽しみにしています。サオードの父親であるシャミアはTGRからの出場で2回ダカールラリーを完走しており、サオードはこの父の足跡を追おうとしています。
5台目のGRダカールハイラックスEVO T1Uを駆るのはガイ・ボッテリルとブレット・カミングスのコンビです。カミングスはヘンク・ラテガンのコ・ドライバーとして既にチームには馴染み深い存在です。ラテガンが今年初めの南アフリカでの激しいクラッシュにより肩を負傷したため、ボッテリルがドライバーとして参戦します。ボッテリルにとっては初めてのダカールラリー出場となりますが、カミングスの経験を活かしての活躍に期待がかかります。ボッテリルは南アフリカのラリーシリーズで好成績を収めており、2023年シーズンはラリーレイドシリーズにフル参戦。今年はタイトル獲得こそならなかったものの、僅差のランキング2位を獲得しています。
新型GRダカールハイラックスEVO T1U
2024年シーズン向けの新型は、これまでのモデルに対し100mmワイドになり、サスペンションなど各所に改良が施されています。エアコンユニットも更なる効率を求め、搭載位置が変更されました。加えて、新型GRダカールハイラックスEVO T1Uは新たな冷却パッケージを採用し、更なる冗長性を確保しました。
この新車開発にあたって、品質、耐久性と信頼性へのこだわりは重要な要素でした。そのため、クルマの開発はシーズンを通してコンスタントに続けてきており、TGRのクルーは2023年シーズンのW2RC及びSARRCレース参戦やテストで、総計で3万キロに及ぶ走行をこなしてきました。
さらに、アフリカ南部のカラハリ砂漠での追加テストや、ナビブ砂漠での最終テストも行われ、来季のW2RCと、その開幕戦となるダカールラリーへの最終準備が整えられました。
新開発のバイオ燃料
ダカールラリー及びW2RC参戦を通じて、チームはさらに持続可能な未来と、ダカールの将来を見据えたプロジェクトにも参加します。その一環として、TGRダカールチームはレプソル社と提携し、2026年の期限を大幅に前倒しして必要な目標を達成しようとしています。
レプソル社は、再生可能原料を70%含み、一般的なガソリン燃料に比べ、酸化炭素排出量を少なくとも70%削減できる革新的なバイオ燃料をTGRに供給します。この再生可能燃料は、スペイン・マドリードのレプソル技術研究所で、使用済みの食用油など、廃棄物から設計・製造されます。この新開発燃料はISCC(国際持続可能カーボン認証) EU持続可能スキームの下に認証された設備で製造され、原料および製造工程は再生可能エネルギー指令(RED: Renewable Energy Directive)の持続可能性要件に適合しています。
TGRはパートナーであるレプソル社と共に、レプソル再生可能燃料70R+を最初のベンチテストから、その後の広範囲にわたるフィールドテスト、ダカール前最後のテストとなったナミビア砂漠まで、様々な環境で18か月以上にわたって、幅広く研究開発に取り組んできました。チームが使用する燃料は、FIAのレギュレーションに従いTGR専用に調合されています。
ダカールラリー2024は1月5日(金)に、サウジアラビア北西部アルウラ市街地近郊の短いプロローグランでスタートが切られます。その後、舞台は東へ向かい、前半戦は6つのステージで戦われます。このうち第6ステージは「48時間クロノ*」と称される革新的な拡張マラソンステージとなります。このタフな前半戦の後、1月13日(土)、サウジアラビアの首都であるリヤドで伝統的な休息日を過ごした出場者たちは、サウジアラビア北部を舞台にさらに6つのステージで構成される後半戦を戦い、1月19日(金)にサウジアラビア西部の港町ヤンブーでゴールを迎えます。
*48時間クロノステージ: アラビア半島南部のルブアルハリ砂漠、通称エンプティクォーターに設けられた約600kmのステージを計48時間の中で、選手のみで走り切るステージ
アラン・デュハディン(TGR T2RCチーム代表):
2023年シーズンに我々が達成できたことの、全てが最高の気分です。ダカールラリーで勝利を挙げ、それだけでなくW2RCのタイトルも2年連続で獲得できました。これらは高い耐久性と信頼性を持つGRダカールハイラックスT1+と、ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメルのコンビによる高いスキルと献身的な走りによるものです。そして今、我々はもっと高い目標へ向け、新型GRダカールハイラックスEVO T1Uと共に、新たな挑戦へのスタート地点に立っています。我々は幸運にも優れた車両だけでなく、ラリーレイドの世界においてもっとも競争力の高いドライバーラインナップを得ることができました。2024年シーズン、新たなTGRのドライバーたちがワークスドライバーとしてそれぞれの役割の中でどう成長していくのか楽しみです。同時に、ジニエルとデニスのコンビ、そして全ての技術スタッフの経験が、将来へ向け新たな才能を導き、育ててくれることを期待しています。
アンドレア・カールッチ(トヨタ モーター ヨーロッパ副社長、商品戦略&マーケティング担当):
2024年シーズンのW2RCを、過去最大規模のチームと共にダカールでスタートできることを嬉しく思います。そしてセスとデニス、ルーカスとアルマンドが新型GRダカールハイラックスEVO T1Uで戦っていくのを楽しみにしています。
グレン・クロンプトン(トヨタ南アフリカ副社長、マーケティング担当):
ダカールラリーは地球上でもっともタフな自動車レースとして知られており、トヨタ・ハイラックスの品質や耐久性、信頼性を証明するのにうってつけの舞台でもあります。我々はGRダカールハイラックスEVO T1Uを先代よりも優れたものに改良するためにハードワークを続けてきました。この新型車両がダカールの舞台でどのような活躍を見せてくれるか楽しみにしています。
ルーカス・モラエス(206号車 ドライバー):
ダカールラリー2023は私にとって素晴らしい経験でした。初めての表彰台を獲得できたのは最高でしたし、もちろん最後まで2位を守れれば良かったですが、3位は最高の気分でした。さらに重要なのは、この結果が、私にラリー全体でトップを争えるペースを持っているという自信をもたらしてくれたことで、ダカールラリー2024をさらに強力な体制で戦えるのが楽しみです。同時に、今年は様々なレース環境で多くのことを学んで来ましたし、2024年シーズンのTGR W2RCクルーの一員としてさらに発展させていきたいと思います。
セス・キンテロ(216号車 ドライバー):
SSVからラリーレイドでの最速車両にステップアップするのは、非常にエキサイティングなことです。私自身、この世界で一歩一歩カテゴリーをステップアップしてきて、2024年はこのスポーツにおけるビッグネームと直接戦う初めてのチャンスになります。新型となったGRダカールハイラックスEVO T1Uは印象的で、最初からライバルとバトルができる自信があります。
ジニエル・ド・ヴィリエール(209号車 ドライバー):
ダカールラリーは間違いなく1年のハイライトです。ダカールラリーをエキサイティングなものにしている理由のひとつに、私はこれまでのハイラックスの各バージョン開発に密接に関わってきているという点があり、開発に関わった車がレースで活躍するのを見るのはとても満足できることです。私自身の戦闘力も高いですし、来たる1月のダカールラリー2024では、着実なパフォーマンスを示したいと思っています。クルマもチームも良いのはわかっていますし、ダカールラリー2024をベストなレースにすべく全力を尽くします。
サオード・ヴァリアワ(226号車 ドライバー):
初めてのダカールラリー参戦にとてもドキドキしています。今年はラリーレイドの世界で多くのことを学んできて、特に砂丘など、着実に改善を進めてきたと思っています。私の駆る新型トヨタGRダカールハイラックスEVO T1Uに関する経験はまだ限られたものですが、非常にポジティブです。クルマは本当にすごいですし、サウジアラビアでレースを戦うのが待ちきれません。
ガイ・ボッテリル(243号車 ドライバー):
私にとって初のダカールラリー参戦が叶い、ずっと夢見てきたことが現実になりました。私自身はラリーの世界からつい最近ラリーレイドへと転身したばかりですが、既に1年間SARRCで戦ってきており、このクルマと戦うことには自信を感じています。今、ブレットと組んでこの大イベントにステップアップするチャンスを得て、とても興奮しています。経験豊富な彼のサポートが、ダカールラリー2024での完走を目指す上での助けになってくれるでしょう。
GRダカールハイラックスEVO T1U(2024年 車両仕様)
- エンジン
- V35A 市販仕様(ランドクルーザー300に搭載)
- エンジンタイプ
- ツインターボガソリン
- コントロール規則
- FIA規定パワーカーブによるブースト制限
- 最大出力
- 264 kW @ 5,300 rpm
- 最大トルク
- 620 Nm
- エンジンマネージメント
- モーテック
- トランスミッション
- Sadev製6速シーケンシャル
- ディファレンシャル
- 前後及び中央全てLSD
- クラッチ
- セラミックツインプレート 直径215mm
- フレーム構造
- チューブラーフレーム
- ホイールベース
- 3,140mm
- トレッド幅
- 2,025mm
- 全長
- 4,810mm
- 全幅
- 2,300mm
- 全高
- 1,890mm
- 車重
- 2,010kg,FIA規定最低重量(ドライウェイト)
- ボディ形状
- トヨタ ハイラックスダブルキャブピックアップ 複合素材ボディ
- フロントサスペンション
- ダブルウィッシュボーン、ストローク350mm
- リアサスペンション
- ダブルウィッシュボーン、ストローク350mm
- ホイール
- Evo Course 17インチ
- タイヤ
- BFグッドリッチ 37インチ
- 燃料タンク
- FT3安全セル 540リッター
■2023年シーズン 主な戦績
世界選手権 | ダカールラリー | TGR:総合1位(ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組) TLC:市販車部門10連覇(ロナルド・バソ/ジャン・ミッシェル・ポラト組) 日野チームスガワラ:トラック部門10位(菅原照仁/染宮弘和/望月裕司組) |
---|---|---|
FIA世界ラリーレイド選手権 (W2RC) |
TGR:シリーズチャンピオン (ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組) ※TLC、及び日野チームスガワラはダカールラリーのみ参戦 |
■2024年参戦体制
- ダカールラリー2023ではナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組がラリーレイド仕様のGRダカールハイラックスT1+で、トヨタにとって3度目となる総合優勝を果たしました。2024年1月にサウジアラビアを舞台に戦われるダカールラリー2024には、改良されたGRダカールハイラックスEVO T1Uの5台体制で参戦し、3連覇を目指します。また、ルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン組、セス・キンテロ/デニス・センツ組は、2022年、2023年と連続チャンピオンを獲得したFIA世界ラリーレイド選手権(W2RC)に、2024年シーズンもフル参戦し、3連覇を目指します。
チーム名 | No. | ドライバー / コ・ドライバー | |
---|---|---|---|
TOYOTA GAZOO Racing | 206 | ドライバー | ルーカス・モラエス(ブラジル) |
コ・ドライバー | アルマンド・モンレオン(スペイン) | ||
209 | ドライバー | ジニエル・ド・ヴィリエール(南アフリカ) | |
コ・ドライバー | デニス・マーフィ(南アフリカ) | ||
216 | ドライバー | セス・キンテロ(アメリカ) | |
コ・ドライバー | デニス・センツ(ドイツ) | ||
226 | ドライバー | サオード・ヴァリアワ(南アフリカ) | |
コ・ドライバー | フランソワ・カザレ(フランス) | ||
243 | ドライバー | ガイ・ボッテリル(南アフリカ) | |
コ・ドライバー | ブレット・カミングス(南アフリカ) |
URL:https://toyotagazooracing.com/jp/dakar/release/2023/1213-01/
- TGRは、トヨタ ランドクルーザーで参戦するトヨタ車体株式会社のラリーチームであるチームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)をサポートしています。ダカールラリー2023では市販車部門において10連覇を達成。ダカールラリー2024もランドクルーザー300 GR SPORTで参戦し、市販車部門11連覇を目指します。
- 日野チームスガワラは、ダカールラリー2023でトラック部門総合10位を獲得、32回連続完走を達成しました。ダカールラリー2024では、ボンネットタイプのトラック(HINO600 シリーズ)で参戦、33度目の完走を目指します。
チーム名 | No. | ドライバー/コ・ドライバー | |
---|---|---|---|
チームランドクルーザー・トヨタオートボデー (TLC) |
500 | ドライバー | 三浦 昂 (Akira Miura 日本)* |
コ・ドライバー | マイヨール・バルベ (Mayeul Barbet フランス) |
||
501 | ドライバー | ロナルド・バソ (Ronald Basso フランス) |
|
コ・ドライバー | ジャン・ミッシェル・ポラト (Jean-Michel Polato フランス) |
* トヨタ車体(株)社員ドライバー
チーム名 | No. | ドライバー/コ・ドライバー | |
---|---|---|---|
日野チームスガワラ | 609 | ドライバー | 菅原 照仁(Teruhito Sugawara 日本) |
コ・ドライバー | 染宮 弘和(Hirokazu Somemiya 日本) | ||
メカニック | 望月 裕司(Yuji Mochizuki 日本) |
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