ダカールラリー2024レポート No.1 ダカールラリー2024スタート。
ステージ3でTGRハイラックスが今大会初のステージ優勝

2024.1.9(火)- 18:00配信

1月5日(金)、ダカールラリー2024のスタートが切られました。昨年、一昨年と2年連続でダカールラリーを制したTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は新規定に合わせ改良した車両、GRダカールハイラックスEVO T1Uを過去最大の5台投入した体制で参戦。サウジアラビアを舞台に行われる「世界一過酷なラリー」に挑んでいます。

1月8日(月)のステージ3を終えた時点で、TGRのGRダカールハイラックスEVO T1U勢は、ルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン組がステージ3で今大会初勝利を挙げる速さを見せ、総合でも首位から10分以内の総合4位に浮上しました。残る4台のGRダカールハイラックスEVO T1Uも、首位と1時間以内の差で総合トップ20圏内と上位争いを繰り広げています。

【プロローグ】
ラリーがスタートする前日の1月5日(金)、サウジアラビア北部の都市アルウラのビバーク地で、GRダカールハイラックスEVO T1Uを含む4輪車、2輪のオートバイ、4輪バギー、トラックなど総計300台以上によるスタートセレモニーのあと、周辺に特設されたコースで、翌日ステージ1のスタート順を決定する、プロローグランが行われました。27kmで争われたこのプロローグランではセス・キンテロ/デニス・センツ組が2番手と好タイムをマークしました。

【ステージ1】
1月6日(土)のステージ1は、アルウラからアルヘナキヤへ向かう競技区間414km、総走行距離541kmで争われました。TGRのGRダカールハイラックスEVO T1Uは、5台のうち4台がトップ10フィニッシュ。中でも、プロローグランで苦戦したジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組は、68番手と後方スタートを強いられながらも、ライバル勢をごぼう抜きし、一気に先頭集団へと浮上。マイナートラブルにより僅かにタイムをロスするも、TGR勢最上位となる、首位と9分18秒差の3位でフィニッシュしました。

モラエス/モンレオン組は順調なペースで走行も、ステージ中盤手前で右フロントのパンクに見舞われました。しかし、すぐに追い上げを開始し、13分25秒差の6位。ガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス組は初のダカールスタートで素晴らしい走りを見せ、一時は2位を走行。しかし、ステージ終了直前にサスペンションパーツのトラブルに見舞われ、7位フィニッシュとなりました。

ダカール史上最年少ワークスドライバーであるサオード・ヴァリアワ/フランソワ・カザレ組も、初めてのダカールながら最初のステージをノートラブル、ノーパンクで走り切り、トップ10フィニッシュを果たしました。2番手からスタートを切ったキンテロ/センツ組は序盤パンクに見舞われるも、その後慎重な走りで19位フィニッシュ。とは言え、まだトップとの差は23分と十分に上位を争える位置につけています。

【ステージ2】
1月7日(日)のステージ2は、アルヘナキヤからアルダワディミへ向かう、競技区間463km、総走行距離655kmで争われました。車両の巻き上げる砂埃による視界不良と、困難なナビゲーションにより厳しい戦いとなったこのステージでは、TGRのキンテロ/センツ組が首位と3分11秒差の3位でフィニッシュ。期待の若きアメリカ人がその才能とGRダカールハイラックスEVO T1Uの速さを披露し、総合でも4位に浮上しました。

モラエス/モンレオン組も前日に続き強さを見せ、9位フィニッシュ。彼らは6番手と早いスタート順だったこともあり、他の上位スタート車両と共にコースを切り拓いていく、ナビゲーションで困難な闘いを強いられました。しかし、タイムロスを最小限に抑えたモラエス/モンレオン組は首位と17分51秒差でステージを終え、首位とは12分差の総合8位につけました。

ルーキーのボッテリル/カミングス組はこの日も安定した走りで13位フィニッシュ。一方、ベテランであるド・ヴィリエール/マーフィ組は3番手と早い位置でのスタートとなり、コースを探しながらの走りでタイムをロス。さらにタイヤがリムから外れるアクシデントでホイール交換も余儀なくされてしまいました。このタイムロスにより、ド・ヴィリエール/マーフィ組は首位から30分ほど遅れ22位でフィニッシュ。総合では14位に後退。

11番手からスタートを切ったヴァリアワ/カザレ組は、先行車の巻き上げる砂埃による視界不良に見舞われ苦戦。39分26秒遅れの31位でフィニッシュし、総合では35分差の19位となりました。

【ステージ3】
1月8日(月)のステージ3は、アルダワディミからアルサラミヤへ向かう競技区間438km、総走行距離733kmで争われました。このステージ3から4にかけては「ミニ・マラソン」ステージとして、ステージ終了後、メカニックの作業は2時間に制限。ドライバーとコ・ドライバーはリモートビバークでサポートなしでキャンプし、ステージ4に臨むことになるため、これまで以上に慎重な走行が求められました。

このステージ3では、モラエス/モンレオン組がトップでフィニッシュ。400kmを越えるステージを走り切り、たった9秒という僅差でTGRに今大会最初のステージ優勝をもたらしました。W2RC(世界ラリーレイド選手権)にもシリーズ参戦するモラエス/モンレオン組にとっては、各ステージで得られるシリーズポイントにおいても重要な勝利を飾ることとなりました。また、このステージ優勝により、モラエス/モンレオン組は3ステージを終えての総合順位も、トップから9分17秒差の4位へと浮上しました。なお、この時点での総合首位は、トヨタ・ハイラックスT1Uでプライベート参戦しているヤジード・アル・ラジ/ティモ・ゴットシャルク組となっています。

ド・ヴィリエール/マーフィ組は2度のパンクに見舞われ大きくタイムロス。タイヤ交換作業中に追い越された車両の巻き上げる砂埃にも苦しめられることになりました。ド・ヴィリエール/マーフィ組は首位のモラエス/モンレオン組から遅れること19分42秒の16位でフィニッシュ。総合順位では36分56秒差の14位につけています。

キンテロ/センツ組はさらに1回多い、3度のパンクに見舞われ、2本積んでいるスペアタイヤを使い切ったため、チームメイトの助けを待つこととなりました。幸運にもすぐにモラエス/モンレオン組が到着し、スペアタイヤをチームメイトに提供、モラエス/モンレオン組にとっては僅差のステージ優勝を逃すところでしたが、キンテロ/センツ組はチームメイトの助けによりタイムロスを最小限に走行を継続し、終盤は慎重な走行となるも、22分42秒遅れの17位でフィニッシュ。このタイムロスにより、キンテロ/センツ組は総合でトップ10から脱落。首位から27分18秒遅れの11位へと後退することとなってしまいました。

TGRのもう一人の若手、ヴァリアワ/カザレ組にも試練が待ち受けていました。ヴァリアワ/カザレ組はこの日40番手と後方からのスタートだったため、遅い先行車の巻き上げる砂埃に苦しめられました。また、2度にわたってチェックポイントを見失って戻ることを余儀なくされました。それでも23分37秒遅れの21位でフィニッシュし、総合でも18位につけています。

ボッテリル・カミングス組は初のダカールながらここまでの2ステージは素晴らしい走りを見せてきましたが、ステージ3では苦戦を強いられました。ステージが始まって50kmほどのところで最初のパンクに見舞われ、100kmを過ぎた地点でも2度目のパンク。これでスペアタイヤを使い切り、完走のために慎重な走行に切り替えざるを得ませんでした。しかし、フィニッシュまで残り150kmというところで3度目のパンク。幸運にもこの時は完全に空気が抜けきる症状ではなかったため、クルーは何度も車両を停めてタイヤに空気を補充しながらの走行を強いられるも、なんとかこのステージを走り切りました。31分53秒遅れの32位でのフィニッシュも、総合では17位に留まっています。

ステージ3を終え、メカニックは翌ステージ4へ向けて2時間のみに制限された修復・整備作業を終えました。ドライバーとコ・ドライバーはチームサポートのいないリモートビバークでキャンプを行い、ステージ4に挑みます。ステージ4はアルサラミヤから198kmの移動区間を経て、ダート路面が主で小さな砂丘地帯が混ざる299kmの競技区間を戦い、201kmの移動区間を経てアルホフフのビバークへと向かいます。

ダカールラリー2024 ステージ3 終了時点の総合結果:

総合順位 ドライバー/コ・ドライバー(チーム) 首位との差
4位#206 ルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン
(TOYOTA GAZOO Racing)
9分17秒差
11位#216 セス・キンテロ/デニス・センツ
(TOYOTA GAZOO Racing)
27分18秒差
14位#209 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ
(TOYOTA GAZOO Racing)
36分56秒差
17位#243 ガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス
(TOYOTA GAZOO Racing)
46分14秒差
18位#226 サオード・ヴァリアワ/フランソワ・カザレ
(TOYOTA GAZOO Racing)
55分38秒差

ステージ3終了時のコメント:
シャミア・ヴァリアワ(SVR:シャミア・ヴァリアワ・レーシング代表):
ダカールでのステージ優勝は良いことで、非常にタフなステージにもかかわらず勝利を掴んだルーカスとアルマンドを祝福します。他のクルーたちはタイヤのパンクに苦しみ、厳しい一日となってしまいましたが、それでもメカニカルな問題もなく2時間に制限されたサービスに戻ってこられたのは良かったと思います。期待していたよりはやや順位が後退してしまいましたが、今大会は序盤から特に厳しい戦いが続いており、そんな中で大きなトラブル無くここまで全車両が走ってこられたことは、我々のGRダカールハイラックスEVO T1Uの強靱さを証明していると思います。

ルーカス・モラエス(No.206):
(ステージ優勝は)本当に信じられません! 今日の勝利はアルマンドのおかげです。ナビゲーションは本当に難しかったですが、我々は狙い通りの走りができました。パンクもなく、クルマを着実に良いリズムで走らせられたのが良かったです。とにかくアルマンドが素晴らしかったですし、チームのみんなにも感謝しています。一日一日、走り続けるだけです。

セス・キンテロ(No.216):
今日は不運にもパンクに見舞われてしまい、正直なところいい日ではありませんでした。しかし、まだ先は長いですし、焦ってはいません。大きなタイムロスはしていませんし、順位もそんなに悪くありません。今日はちょっと不運でしたが、幸運が巡ってくることを祈ります。明日は良い走りができることを願っていますが、あまり浮き沈みの激しい戦いは望んでいません。プロローグ、ステージ2と1日おきに表彰台フィニッシュは果たしているので、明日はまた表彰台に戻れると思いますし、残りのラリーもその調子を維持していきたいです。

ガイ・ボッテリル(No.243):
我々にとっては非常に厳しい一日でした。50kmほどの地点でパンクに見舞われ、さらに100kmほど行ったところでもパンクし、スペアタイヤを使い切ってしまいました。残り130kmほどで更なるパンクに見舞われましたが、タイヤ空気圧の監視システムで、スローパンクチャーなことがわかったので、何度も車両を停めてタイヤに空気を充填して走り続けました。今日はラリーではなくサバイバルの一日でした。

ジニエル・ド・ヴィリエール(No.209):
今日も大変でした。残念ながら、我々は70kmを過ぎたところで2度のパンクに見舞われ、今日のラリーは終わってしまいました。その後は砂埃の中でクルージング走行するしかありませんでした。更なるパンクは絶対にできなかったので、プッシュすることは不可能でした。終わりの見えない状況で、非常にフラストレーションの溜まる一日でした。とは言え、最後まで走り切ることができて良かったです。

サオード・ヴァリアワ(No.226):
ここまでの3日間、本当に大変でした! 今日は上位との差を詰めるべく、競技区間でペースを上げていくつもりでした。序盤はそれができ、何台もパスすることができましたが、残念ながら2つほどトリッキーなチェックポイントがあり、かなり時間をロスし、最後のチェックポイントも見つけられませんでした。渓谷を戻ったことで、ライバルにパスされ、その後は彼らの巻き上げる砂埃にも苦しむことにもなってしまいました。

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