更なる挑戦のため、新ドライバーと新コ・ドライバーを迎い入れました。新たな課題を見つけ、もっといいクルマづくりと人材育成を更に進めることができると考えています。
Driver眞貝 知志TOMOYUKI SHINKAI
チームの成長とクルマの進化をしっかりとサポート
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Profile
生年月日:1978年11月24日
年齢:39歳 出身地:神奈川県- 2002年:JMRCアクアラインラリーシリーズ
(Bクラス)シリーズチャンピオン - 2006年:近畿中部ラリー選手権(DE-Bクラス)
シリーズチャンピオン - 2010年:全日本ラリー選手権(JN-3クラス)
シリーズ2位 - 2012年:全日本ラリー選手権(JN-3クラス)
シリーズチャンピオン - 2017年:FIAヨーロッパラリー選手権第6戦
RC3クラス クラス優勝
- 今シーズン、TOYOTA GAZOO Racingチームに加入した経験豊富な
ドライバー眞貝選手は新しいチャレンジをどう感じているか。 - 大変光栄であると同時に、大きなプレッシャーも感じています。このチームのモットーは『もっといいクルマづくり』と『クルマを鍛え、人を鍛える』。勝負にこだわるだけではなく、人とクルマを鍛えていくことを重視しているチームで、そこに私も共感しています。自分自身のラリー参戦経験だけでなく、エンジニアリングに携わってきた経験も総動員して、何か新しい気づきや、フィードバックをもたらせないかと、自分がチームで果たすべき役割をずっと考えています。ただタイムだけを求めて走って『どうだ、すごいだろう』ではなく、チームの成長やクルマの進化をしっかりとサポートしていきたいですね。
- TOYOTA GAZOO Racingの一員として戦った開幕戦でクラス2位。
- 3年前にこのプログラムがスタートしたとは思えないくらい、ラリーチームとしての完成度が高いことに驚きました。それぞれのスタッフが、自分の果たすべき役割とタイミングをしっかり考えていて、ルーティンワークも的確で迷いがありませんし、常にシステマチックに動いています。『自動車メーカーの社員チーム』という印象をお持ちの方がいるかもしれませんが、ひとつのラリーを戦うプロフェッショナルな集団だと感じました。私自身、万全の体制でラリーに臨めている実感があります。
- 2002年:JMRCアクアラインラリーシリーズ
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- ラリー競技にCVT車両で初めて参戦した印象。
- これまで私が乗ってきたラリーカーとはずいぶん違いますが、基本的なボディ剛性やシャシーの素性はすごく良いです。乗っていて安心感もありますし、コントロールもしやすいです。また、ラリー中にもエンジニアの方にセッティングなどをリクエストしたことで、かなり進化しました。1日目夜の反省をふまえて、2日目昼から導入した新しい制御がすごく良かったですね。こういった低μの路面※1におけるスポーツCVTの理想に近づいたと思っています。ラリー中にフィードバックを活かすことができるので、私のエンジニア魂に火がついた側面もあったかもしれません(笑)。とても面白くやりがいのある課題です。
- さらに初挑戦だったスノーラリーの率直な感想。
- 何よりも、初めてのスノーラリーを無事に完走できてホッとしています。新しいチーム、新しいクルマ、と新しいことばかり。それこそラリースタート直後は、ドアの開閉やタイヤ交換など、ちょっとした作業にさえ戸惑いを感じるほどでした。イメージトレーニングは十分にしていましたが、いざ本番になると細かいことに色々な気づきがありました。
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- 海外でのラリー参戦経験がある眞貝選手が感じる日本との違い。
- 競技ルール以外は、すべてが違うと感じました。特に路面やコースレイアウトに合わせたタイヤのセッティングやラリーカー自体の作り方ですね。日本もヨーロッパもそれぞれの環境の中でレベルの高い戦いが繰り広げられていますので、どちらのレベルが高いという事ではありません。ただ、違いを体感できたからこそ、ヨーロッパのドライバーと対決したらどうすべきかなどを考える事もあります。もし、日本でのWRC(FIA世界ラリー選手権)開催が実現となれば、そういった海外の選手たちとも戦えるチャンスがあるので、(開催を)期待したいですね。
- TOYOTA GAZOO Racingのドライバーとして新たなチャレンジが
始まったばかり。激戦が予想される今後のシーズンに向けて抱負。 - まずは何度も参戦した経験があり、得意とする舗装(ターマック)ラリーである第2戦の唐津を楽しみにしています。このラリーでチームのために何ができるのか、色々と試してみたいという気持ちがあります。あとは最終戦の新城ラリーに向けて、ラリーカーをどのように仕上げていけるか。開幕戦を走り終えて、次の唐津から最終戦の新城まで、どんな表現ができるのか、今からワクワクしています。
Co-Driver安藤 裕一YUICHI ANDO
何かが起こる前に
変化に気づき、
対処できるように気を配る
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Profile
生年月日:1978年7月25日
年齢:39歳 出身地:愛知県- 2014年:TRDラリーチャレンジ(E2クラス)
シリーズチャンピオン - 2015年:JMRC中部ラリーチャレンジシリーズ
シリーズチャンピオン
TRDラリー練習会の講師を務める - 2016年:TGRラリーチャレンジ(E3クラス)
シリーズチャンピオン - 2017年:TRDラリーレッスンの講師を務める
- 眞貝選手同様、TOYOTA GAZOO Racingチームに新たに加入した
安藤選手は以前からチームスタッフと接点があった。 - このようなチャンスを頂いたことは、とても光栄なことです。緊張はしますが、大きなチャレンジだとワクワクしています。私自身、以前に別のチームではありますがTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジに参戦したことがあるので、その際にチームの皆さんともお話ししたことがあります。その頃から、アットホームな雰囲気を持ちながら、チーム全体がひとつになって活動している印象がありました。そのチームの一員として、ラリーに参加できることがとてもうれしいですね。
- TOYOTA GAZOO Racingの一員として開幕戦を戦った印象。
- 以前感じたことと変わらず、とても居心地がいいと思えるチームです。競技やクルマに対して、全員がひたむきに取り組んでいるのが印象的でした。メカニックは、長年ラリーを専門に戦っているチームと比較すると経験は少ないかもしれませんが、それぞれが問題に対して積極的にコミットしていく姿勢が感じられます。サービスでの動きも良くて、クルマを安心して任せることができました。
- 2014年:TRDラリーチャレンジ(E2クラス)
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- ラリーを始めたのが30歳を過ぎてからという安藤選手。
コ・ドライバーとなったきっかけや心がけていることとは。 - 当初はドライバーになりたかったのですが、ドライバーとして参戦する前にコ・ドライバーに誘われて、やってみたらすごく面白かった。それが現在につながっています。前を向いて走っているドライバーに対して、コ・ドライバーはいかに視野を広く持って、俯瞰で周囲を見られるかが鍵になります。ペースノートに関しては、ドライバーが欲しい情報を欲しいタイミングでいかに渡すか、それを心がけています。コ・ドライバーとしては6年目になりますが、奥が深くてとても面白いです。心がけているのは『ドライバーに、走ること以外にどれだけ気を遣わせずにすむか』ということ。何かが起こる前にできるだけ先回りして変化に気づき、そして言われる前に対処できるかですね。まだ不完全ですが、それを心がけています。
- 今シーズンの抱負。
- プレッシャーを自分の喜びに変えていきたいです。新しいチャレンジが目の前にあるのは、本当にありがたいです。特に楽しみなのは私の地元でもある最終戦の新城。そして、私たちが得意とする唐津です。初参戦のラリーも多いですが、臆することなく、挑戦者の気持ちで挑みます。
- ラリーを始めたのが30歳を過ぎてからという安藤選手。
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Chief Mechanic宮本 昌司SHOJI MIYAMOTO
ラリー参戦で鍛えられる人間力を今後も伸ばしていく
チームの活動は4年目を迎えましたが、これからも学びは続きます。そして、今シーズンはこれまでとは違ったフェーズに入ったと考えています。これまでのラリー活動で学んだ知見を、商品開発に活かしていけたらと思っています。お客様が実際に運転するクルマに、我々が得た経験を落とし込めてこそ、この活動の意味があります。昨年は初めてCVT車両でラリーを戦いました。これまで以上に社内の様々な人を巻き込んでいますし、チームの規模も大きくなっています。それぞれのスタッフにも地力がついてきました。ひとつひとつ私や監督から指示を出さなくても、各人が臨機応変に対処できています。ラリーは本当に予想外の出来事が起こりますが、対応力・機動力を備えてきたので、本当に頼もしく感じています。ただ、人材育成という意味では目に見えない改善や気づきは、まだまだたくさんあります。いかに人間力を高めていけるか、しっかりと目を配っていきたいです。
CVT Engineer高原 秀明HIDEAKI TAKAHARA
CVT車両でモータースポーツの裾野を広げていきたい
これまでトヨタはCVT車両を販売してきましたが、ラリーに参戦するなかで、量産開発では経験しなかった様々な走り方や路面環境があることを知りました。昨シーズン序盤は、まずは壊さないようにすることに集中し、次の段階としていかに競争力を高められるか、改良を続けてきました。多くのお客様にとって、CVTは『燃費を向上させるためのもの』という意識があるかもしれません。しかしながらCVTは、制御を変更することで燃費に振ったり、走りに振ったりすることができます。今後の課題はラリーで得た貴重なデータや気づきを、市販モデルにフィードバックすること。将来的にはCVT車両を購入されたお客様が、最小限の変更でモータースポーツに参加できるようになれればと考えています。例えば、『SS走行モード』のようなスイッチを押すことで、ラリーで戦えるようになるかもしれないですね。そうすれば、AT限定免許でもラリーに参戦できるので、モータースポーツの裾野がかなり広がるはずです。今シーズンも、新メンバーと共にチーム一丸となってより多くのノウハウを蓄積し、CVTの開発を続けていきます。
BORN FROM
MOTOR SPORTS.
ラリーで培った
叡智の結晶
「操ることの気持ち良さ」をさらに追求した、GR Vitz。
全日本ラリーで培った技術を織り込んだ、
レスポンスとパワーを両立した加速フィール。
減速時でもエンジンの高回転をキープ、再加速時の
レスポンスを向上。より奥深いチューニングで、
軽快な走りの魅力に目覚める。