RACING CAR

RACING CARレース車両
FTRSスカラシップF4 1号車

FIA-F4 2017年 レース車両解説

F3並みのクオリティながら低コスト
FIA-F4では国産シャシー"F110"を使用

 FIA-F4の車両規定の要は、低コストであること。そのため高価すぎる素材は使用禁止であり、コストキャップ制(価格の上限)が設けられている。シャシー販売価格は、上限が38,000ユーロ(1ユーロ120円として456万円)、エンジンの1年間の費用の上限が7,500ユーロ(同90万円)と、このクラスのレーシングカーとしては極めて安価だ。また、1シーズンをオーバーホールなしで走り切れる耐久性(これも低コストに繋がる)も求められている。
 シャシーは、各シリーズでFIAの許諾を受けた1ブランドのみを使用する。海外シリーズでは、タトゥースやミゲールなどいくつかのコンストラクターがシャシーを製作。フィアット、アバルト、フォードなどいくつかのブランドから用意された排気量1400〜2000ccのエンジンと組み合わされている。

 日本のFIA-F4選手権では、トヨタ自動車の開発支援の下、JMIA(日本自動車レース工業会)が共同で専用車両を開発。童夢が設計・製作するシャシー"F110"が採用された。モノコックはF1やスーパーフォーミュラ、F3でも当たり前になっているカーボンコンポジットを使用。童夢はこれまでF3000参戦車両、F1試作車両、プロトタイプカーなど多様なレーシングカーを手掛けてきた日本を代表するレーシングカーコンストラクターである。さらに日本国内の入門フォーミュラでは初となるパドルシフトが装備されており、それに合わせて戸田レーシング製の6速シーケンシャルトランスミッションが搭載される。このようにF3にも匹敵するクオリティのシャシーになっている。
 エンジンは、トムス製のTZR42を搭載。FIAはFIA-F4で140馬力〜160馬力を要求しているが、直列4気筒2000ccのこのエンジンは160馬力とクラス最大の出力を記録し、もちろん規定通りに年間10,000kmをオーバーホールなしで走ることができる

 タイヤもワンメイクで、これまでも様々なフォーミュラレースでタイヤ供給を行ってきたダンロップが供給。ほとんどのパーツがワンメイクとなっている中、ブレーキパッドは7社の製品の中から選択することが可能で、自らのドライビングスタイルに合った物を使うことができるようになっている。

2017年シーズンを戦うFTRSスカラシップF4

シャシー

  • 名称・型式

    童夢F110

  • モノコック

    童夢 FIA公認UOVA ハイブリッドカーボンモノコック
    前後インパクトストラクチャー

  • ボディ・フロア

    グラスファイバー

  • サスペンション

    ダブルウイッシュボーン+プッシュロッド+ツインダンパー
    アンチロールバー

  • ブレーキ

    ADVICS ツーポットキャリパー+ベンチレーテッドディスク

  • 空カデバイス

    前シングルエレメン卜ウイング、後ツインエレメントウイング

  • ギヤボックス

    戸田レーシング 6速シーケンシャルパドルシフト

  • 安全装備

    タカタ FIA規定6点式セーフティハーネス
    童夢 FIA規定セーフティヘッドレスト
    FIA FT3-1999 規定安全燃料セル

  • 全長

    4341 mm

  • 全幅

    1740 mm

  • 全高

    950 mm(基準面より)

  • ホイルベース

    2750 mm

  • トラック

    前1550 mm/後1490 mm

  • 車重

    590kg (ドライバー込)

  • タイヤ

    前185/550R13/後240/570R13

  • ホイル

    TWS アルミニウム鍛造 前8J-13/後10J-13

エンジン

  • タイプ・型式

    トムスTZR42
    DOHC 16バルブ 可変バルブタイミング
    電子スロットル

  • 排気量

    1987 cc

  • ボア・ストローク

    80.5 mm x 97.6 mm

  • 最高馬力

    160ps/5800rpm

  • クラッチ

    AP 7.25 インチ シングルプレート

  • 電装品

    ECU R&Sport
    ディスプレイ/データロガーAIM