Vol.04

挑戦の歴史(1/2)

Before
ニュルを生産終了の
スープラで走る悔しさ
1993年に登場した4代目スープラはニュルブルクリンクを活用して開発が行われた。2002年の生産終了後も、基本素性の良さから社内では訓練車両としてフル活用。実は現在も台数こそ減ったものの現役である。豊田章男もこのスープラでドライビングのイロハを学んだ一人であるが、当時からスープラに代わるモデルを世に出せない“悔しさ”があった。そんな気持ちを理解していた成瀬氏は豊田氏に「ニュル24時間に出ませんか?」と提案。そこから3年にわたる特訓が始まった。
2007
ここから味づくりの
旅が始まった
ニュル24時間初挑戦はトヨタの正式なプロジェクトではなく、インターネットサイト「GAZOO.com」のコンテンツの一つで、クルマの魅力と楽しさを伝える企画としてスタートした。既存のレーシングチームに頼らず、すべてがトヨタ社内のメンバーで構成され、若き日のモリゾウやマスターテストドライバー・成瀬弘を中心に技能系メンバーを中心に参加。中古車のアルテッツァRS200をレーシングカーに仕立て、レースという極限状態での「クルマとの対話」を学んだ小さな第一歩だった。
2008
開発のための
レース参戦がスタート
初年度は自らの手でレースに参戦することが主な目的だったが、2年目は「クルマの味探し」がテーマだった。ニュル24時間ではLF-Aの開発目的での参戦が注目されたが、GAZOO Racingとしての活動は、市販車(レクサスIS250のイギリス仕様6MT)をベースに「いいクルマとは何だろう」というテーマでパーツ交換やセットアップを実施、ニュルブルクリンク耐久シリーズ第4戦(VLN4)に参戦。この年からLF-Aも含めて「レースと通じた車両開発」が本格的にスタートした。
2009
昨年の経験を活かし
2台体制での参戦
昨年は別々だったGAZOO Racingの活動とLF-Aの開発テストがリンクし、「レースを通じて車両開発を行う」がより本格的に。艶消しブラック+白に塗られたLF-Aは、昨年の経験を元に改良。2台体制はより多くのデータを収集するためで、モリゾウや成瀬弘などの評価ドライバーも参戦。どちらもさまざまなトラブルが発生し1台はリタイヤしてしまったが、もう1台はしっかりと24時間を走り切り、量産に向けた知見やデータを残した。
2010
初のクラス優勝と
エンジン交換
2年にわたってニュル24時間で開発テストを行ってきたLFAが2009年の秋に正式発表。さらなる高みを目指しての参戦となった。2台のLFAは量産車+αの仕様だが、予選では本格的なレーシングカーに引けを取らない速さを発揮。決勝では1台は細かいトラブルがありながらも順調に走行しGAZOO Racing初のクラス優勝を獲得した。もう一台はエンジントラブル。通常ならリタイヤだが、チームはエンジン交換を実施して走行を続行。このような経験が人を鍛えていったのも事実である。
2011
速い車両の称号
“ブルーフラッシュ”を獲得
ニュル24時間の参戦は「勝ち負け」ではなく「人とクルマを鍛える」という開発テストのスタンスは変わらないが、この年はより高いレベルを目指した。2台のLFAで参戦したが、今回は「速さ」にもこだわっていた。予選は2台共に上位に入り、ニュル24時間で速い車両にのみ与えられる識別灯「ブルーフラッシュ」を初めて獲得。しかし、決勝は予選のようにはいかず、2台共に大きなトラブルに見舞われた。しかし、メカニックの懸命な作業でコースへ復帰、2台共に完走を果たした。
2012
LFAに加えて
86の参戦がスタート
「スポーツカーはニュルで鍛える必要がある」という信念から、LFAでの極限状態での開発テストは、FRスポーツ「86」にも引き継がれた。2012年はLFAが1台、86は2台という3台体制での参戦。LFAは軽量化や空力の見直しにより乗りやすさの追求を図った。一方で86は初参戦で、市販車+αの仕様に留めつつ、セットアップを別々に行うことで、さまざまなデータや知見を得て量産車開発にフィードバックする狙いがあった。LFAと86は共にクラス優勝を果たし、結果を残した。
2013
悪天候と速さの先に
見えた課題
LFAが1台、86が2台の3台体制での参戦。昨年クラス優勝したため、LFAはGT3マシンに匹敵する性能を目指し、86も軽量化とエンジンのブラッシュアップで「速さ」を追求。しかし、予選で1台の86がクラッシュ、フロント周りの損傷が激しく修復は困難とリタイヤを決定。決勝は豪雨と霧の影響で他チームのクラッシュが続出、レース途中で約9時間の中断が発生。速さは確認できたものの、ピーキーなハンドリングが課題で、いいクルマづくりにおいてバランスの重要性が浮き彫りになった。

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