Rally2とは
「Rally2」とは
『Rally2』は国際自動車連盟(FIA)によって規定されたラリー競技車両の仕様であり、世界ラリー選手権(WRC)や地域選手権といった国際大会で使用されます。
2012年に『S2000』(スーパー2000)の代替として、FIAによって『R5』規則が導入されました。
2019年にはモータースポーツのピラミッド構造を明確にするため、FIAはGroup Rally規則を導入し、『R5』から『Rally2』に名称が変更されました。2022年からはそれまでの『WRカー(ワールドラリーカー)』に代わる『Rally1』がトップカテゴリーに導入され、『Rally2』がそれに続くカテゴリーとなりました。
スペースフレームのRally1と違って、Rally2は市販モデルをベースに開発されており、最大4気筒のターボチャージャー付きエンジンを搭載。自動車メーカー(および直系チューナー)が『Rally2』車両を開発・製造し、チームや個人オーナーに販売し、メンテナンスも提供しています。車体とエンジンは2500台以上製造された市販車をベースとする必要があり、外観やデザインにも市販車との関連性が強く反映されています。
『Rally2』車両はエンジン出力、トランスミッション、サスペンション、および安全装備などを詳細に規定しています。
これにより参加するチームやドライバーは、FIAが規定した基準に従う必要があり、チーム間の技術的な格差を最小限に抑え、公正な競争環境を確保しています。またカスタマードライバーたちが参戦しやすいように販売価格の上限が定められていることもRally2の特徴となっています。
世界中の若手やジェントルマンが
挑戦するRally2
WRCでは、多くのドライバーが『Rally1』直下の『Rally2』車両で競い合っています。例年、WRC2で好成績を収めたドライバーが翌年に『Rally1』にステップアップを果たしています。
WRC2の過去のチャンピオンには、カッレ・ロバンペラ選手、エサペッカ・ラッピ選手、ピエール=ルイ・ルーベ選手など後にワークスチームで活躍するトップドライバーが名を連ねており、まさにF1に対するFIA-F2やスーパーフォーミュラのように若手ドライバーにとっては登竜門的な存在。WRC2で活躍することができれば、ワークスチームへの道が開ける可能性が高いほか、Rally2車両は安全性およびパフォーマンスが高いマシンとなっていることから人気のカテゴリーとなっています。
また、ERC(ヨーロッパ地域選手権)や各国の国内ラリー選手権でも、『Rally2』車両はトップカテゴリーとして人気を集めており、プロフェッショナルドライバーだけでなく、Rally2車両はプライスキャップが設定されていることから、リーズナブルにハイレベルのシリーズに参戦できることからプライベーターからも注目されています。欧州が主要な市場ですが、4WDで高性能な『Rally2』車両は中南米を含むグラベルラリーが盛んな地域でも人気を博しています。
現在、トヨタを含む8つの自動車メーカーがFIA公認を受けており、顧客には多様な選択肢があります。このことも、『Rally2』カテゴリーの魅力につながっています。
参戦できるシリーズ
FIA規定で開発されたRally2車両は前述のとおり、WRC直下の下部シリーズであるWRC2に参戦できるほか、ヨーロッパラリー選手権(ERC)やアジアパシフィックラリー選手件(APRC)などの国際リージョナルシリーズでも主力クラスに設定されていることから、Rally2で参戦可能です。
さらにフィンランドラリー選手権やイギリスラリー選手権、フランスラリー選手権、ドイツラリー選手権、ポルトガルラリー選手権など世界各国のナショナルラリー選手権でもRally2をトップクラスに採用しています。
『Rally2』車両の主な仕様は、最大1620ccのパワーユニットを搭載し、ターボチャージャーが付いています。エンジンは最大4気筒で、直径32mmの吸気リストリクターが装着されています。トランスミッションは5速シーケンシャルギヤボックスで、前後軸に機械式デファレンシャルを装備した4輪駆動となっています。規定最低重量は1230kgで、ファミリー(同一プラットフォーム)で25,000台、ベース車両で少なくとも2500台製造されたクルマでGroup Aホモロゲーションを取得する必要があります。
『Rally2』車両は競技専用車両として、ベース車両から大幅な改造が施されていますが、コストの上限やマイレージの規定など、カスタマーモータースポーツに求められる要件が定められています。
全日本ラリーにおいてもトップカテゴリーであるJN1クラスへの参戦が可能で、各大会で活躍すると共に年々注目が高まってきています。
参戦できる主なシリーズ戦
WRC2
ヨーロピアンラリー選手権
アフリカンラリー選手権
アジア・パシフィックラリー選手権
CODASURラリー選手権(南米)
ミドルイーストラリー選手権
NACAMラリー選手権(北中米)
全日本ラリー選手権
フィンランドラリー選手権
イギリスラリー選手権
フランスラリー選手権
ドイツラリー選手権
ポルトガルラリー選手権
など