FUJI
スーパーフォーミュラ 2022年 第6戦 富士
予選/決勝
スーパーフォーミュラの第6戦が富士スピードウェイで行われました。スタート直後からアクシデントが多発し、セーフティカー2回、リタイア6台という波乱の展開となる中、2番手スタートから好走を見せた坪井 翔(P.MU/CERUMO・INGING)が2位でフィニッシュし、今季初の表彰台を獲得。宮田 莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が4位、山下 健太(KONDO RACING)が7位、国本 雄資(KCMG)が8位フィニッシュを果たしました。
2022年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第6戦が7月16日(土)、17日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。
前戦SUGO大会から約1か月。全7大会10レースで行われている2022年シーズンのスーパーフォーミュラも第6戦を迎え、後半戦に入りました。今季の前半戦では、世界耐久選手権(WEC)ル・マン24時間レースで初勝利を飾った平川 亮(carenex TEAM IMPUL)が最多となる2勝と2位1回という好成績を飾り、ランキング首位の野尻智紀(ホンダ)に17ポイント差の2位で追っています。また、前戦SUGO大会では、ランキング3位につけるサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)が悲願の初優勝を飾り、こちらも逆転タイトルへ向け調子を上げています。
この週末、16日(土)は梅雨の戻りによる悪天候となりましたが、決勝日17日(日)は好天に恵まれ、多くのモータースポーツファンの皆様が富士に集結。イベント広場では、SF NEXT50 VillageとしてJRP、ホンダ、トヨタの合同ブースで展示を行いました。TGRブースでは、今イベントが開幕戦となったTOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup仕様の新型GR86などが展示されたほか、久しぶりにトヨタくま吉もサーキットに登場。ファンの皆様に愛嬌を振りまいていました。
16日(土)はあいにくの雨模様となり、午後3時10分からノックアウト方式で予定されていた予選は、天候と路面の不順に配慮し、全車が走行する30分間のセッションで、各車がマークしたベストラップで順位を決定する計時予選へと変更されました。
予選セッションが開始された午後3時10分の時点では、路面はウェットですが雨はほとんど降っておらず、時間経過と共に天候が悪化することが予想されていたため、ほとんどの車両がセッション開始と共にコースへ向かいました。
先陣を切って出ていったのは関口 雄飛(carenex TEAM IMPUL)と平川のcarenex TEAM IMPULコンビ。関口は2周目に1分35秒951をマークし、まずこの時点でのトップタイムを刻みました。
続いて坪井が1分36秒858で2番手。宮田とフェネストラズが1分37秒台で続くと、平川が3周目に1分37秒518をマークし3番手に飛びこみました。
平川同様、WECモンツァ戦から2週連戦というハードスケジュールで今大会に臨んだ小林 可夢偉(KCMG)は、全21台の中で最も遅い、セッション開始から2分ほどしてコースへ向かいましたが、2周目のアタック中にスピンを喫し、コース脇にクラッシュ。サスペンションを破損し、ここで予選アタックを終えることとなってしまいました。この小林のアクシデントにより、予選セッションは開始6分45秒を過ぎたところで赤旗中断となりました。
10分ほどの中断で車両を排除し、アタックが再開されましたが、スタート時よりも雨脚が強まっており、ほとんどの車両が2,3周目のタイムを更新できず。そんな中、一人気を吐いたのが阪口 晴南(P.MU/CERUMO・INGING)。中断前は12番手につけていましたが、7周目に1分37秒881で9番手へと上がると、8周目には1分37秒278とさらにタイムを縮め、4番手に飛びこみました。
他の車両は悪化するコンディションに苦しみながらのアタックとなる中、残り6分半ほどのところで、その時点で8番手につけていた宮田が13コーナー立ち上がり付近でストップ。2度目の赤旗中断となってしまいました。
5分ほどの中断の後に走行が再開されましたが、雨脚はさらに強まっており、残り1分半ほどのところで、天候悪化により3度目の赤旗が提示され、そのまま予選は終了となりました。
この結果、最初に好タイムをマークした関口が、キャリア6度目、昨年の第4戦SUGO大会以来約1年ぶりとなるポールポジションを獲得。坪井が今季ベストグリッドの2番手となり、関口と並び最前列から決勝レースのスタートを切ることとなりました。
上位勢では唯一後半にタイムアップした阪口が4番手。序盤のタイムで6番手の位置につけていた平川は、そのタイムをマークしたラップが走路外走行としてタイムを抹消。11番手となってしまいました。
フェネストラズが7番手、ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が14番手、山下が15番手、国本が18番手、大嶋 和也(docomo business ROOKIE)が19番手。小林と宮田は赤旗の原因車両として全ラップタイム削除となり、20番手、21番手からのスタートとなります。
17日(日)は前日の悪天候から一転、好天に恵まれました。朝のフリー走行開始時にはまだ路面は濡れていたものの、午後になってスーパーフォーミュラの決勝スタート進行が行われる頃には路面は完全にドライに。
午後2時30分、気温27度、路面温度37度のコンディションで全車がフォーメーションラップを開始しましたが、スターティンググリッドに着く直前で1台の車両がコースオフし、ストレート脇にストップ。これでスタートはやり直しとなり、再度フォーメーションラップを行った後に、予定よりも1周減算の40周で決勝が行われることとなりました。
ポールポジションの関口はこのやり直しとなったスタートを上手く決め、首位をキープ。一方、最前列2番手グリッドの坪井は、3番手の野尻にパスされ、3位へと後退しました。
その後方では、11番手スタートの平川がTGRコーナー(1コーナー)進入で後続から接触されてスピン。平川の車両は右リアタイヤがパンクし、スタート直後にして平川はレースを終えることとなってしまいました。
3周目には、7位を走行していたフェネストラズが、2コーナーの立ち上がりで後続に接触されてスピンし、タイヤバリアにクラッシュ。車両は前側モノコック部と後ろ側エンジン部がちぎれてしまうほどの激しいクラッシュで、フェネストラズは無事でしたが、こちらもリタイアに。3周目にして、ドライバーズランキング2位、3位の2名がレースを終えるという展開になってしまいました。
このアクシデントによりセーフティカーが導入。この時点で関口が首位、坪井が3位、阪口が5位、アレジが9位、山下10位、小林11位、国本12位、宮田が14位、大嶋が15位。車両排除とコース清掃を終えて、10周目に再スタートが切られました。
首位の関口は上手いダッシュを決め、後続に1秒の差をつけて逃げの態勢に入りました。一方、2位で関口を追っていた野尻は、ピットイン義務の消化が可能となる翌周に早くもピットイン。コース上に残る関口らと、先に入った野尻との、タイム差を見ながらの見えないレースが繰り広げられました。
11周目には阪口、山下がピットへ向かい、その後も続々とピットインする中、首位の関口、2位へと上がった坪井らはピットへ入らず走行を続けますが、ピットインしてタイヤを交換した野尻とのラップタイムはそれほど変わらず、タイム差を維持したまま周回が重ねられていきました。
レースは折り返しを過ぎ、25周を終えたところで首位の関口がピットイン。非常に素早い作業でタイヤを交換し、充分なマージンを持って野尻の前でコースへと復帰しました。
しかし、ピットアウトした関口は、ダンロップコーナーで突然左リアタイヤが脱落。ここまで圧倒的な速さで首位を独走していた関口でしたが、無念のリタイアとなってしまいました。
関口が停まったことでこの日2度目のセーフティカーが導入。26周目を終えて首位でピットへ向かった坪井は、コースへと復帰した瞬間にセーフティカー導入のサインが出され、間一髪で野尻を抑えて首位に立ちました。
しかし、このセーフティカー導入時点でまだピットに入っていなかった3台がこのタイミングでピットイン。ペースを抑えて走行していた坪井の前で、笹原右京(ホンダ)がコースへと復帰。ここまでピットを引っ張った宮田も4位で復帰しました。
残り10周でレースは再スタート。2位の坪井は3位野尻に再スタートのダッシュで迫られますが2位を堅守。その後は4位の宮田が替えたばかりの新品タイヤの優位性を活かして3位の野尻を再三にわたって激しく攻めましたが、巧みなブロックに抑えられ逆転はならず。
坪井は2位でチェッカー。今季初、2020年の最終戦富士大会以来となる表彰台を獲得しました。
最後尾からスタートした宮田は、4位獲得を果たしました。同じく15番手と後方スタートから何度も好バトルを見せた山下が7位。国本が8位でポイント獲得を果たしました。
もったいないことをしてしまったなというところで、なかなか悔しい2位になってしまいました。昨年は10番以内にいることもほぼできないような状況でしたが、今シーズンちょっと速さはありつつも、結果に繋がらないレースが続いている感じだったんですが、今回しっかりフロントローに並んで、決勝も力強く戦うことができました。もったいなかったですけれど、実力的には今日は優勝できるほどではなかったと思いますし、しっかり2位になれたので、そこはポジティブに考えます。ようやく上位争いができるようになって、やっとここからかなという感じです。ちょっと、いや結構悔しいですけど、ポジティブな部分も大きかったレースでした。なにより表彰台に今シーズン初めて、2年ぶりに乗ることができて、ひとまず良かったです。
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/差 | 予選 | 予選タイム | エンジン | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 15 | 笹原 右京 | TEAM MUGEN | 40 | 1:10’52.708 | 13 | 1’39.060 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
2 | 38 | 坪井 翔 | P.MU/CERUMO・INGING | 40 | 2.098 | 2 | 1’36.858 | TOYOTA/TRD 01F | |
3 | 1 | 野尻 智紀 | TEAM MUGEN | 40 | 7.549 | 3 | 1’37.240 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
4 | 37 | 宮田 莉朋 | Kuo VANTELIN TEAM TOM’S | 40 | 8.854 | TOYOTA/TRD 01F | |||
5 | 5 | 牧野 任祐 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 40 | 13.454 | 6 | 1’37.563 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
6 | 53 | 佐藤 蓮 | TEAM GOH | 40 | 14.116 | 16 | 1’39.860 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
7 | 3 | 山下 健太 | KONDO RACING | 40 | 15.660 | 15 | 1’39.441 | TOYOTA/TRD 01F | |
8 | 18 | 国本 雄資 | KCMG | 40 | 18.438 | 18 | 1’40.356 | TOYOTA/TRD 01F | |
9 | 64 | 山本 尚貴 | TCS NAKAJIMA RACING | 40 | 19.258 | 17 | 1’40.055 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
10 | 65 | 大湯 都史樹 | TCS NAKAJIMA RACING | 40 | 21.269 | 10 | 1’38.258 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
11 | 12 | 福住 仁嶺 | ThreeBond Drago CORSE | 40 | 22.35 | 8 | 1’37.885 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
12 | 39 | 阪口 晴南 | P.MU/CERUMO・INGING | 40 | 27.097 | 4 | 1’37.278 | TOYOTA/TRD 01F | |
13 | 14 | 大嶋 和也 | docomo business ROOKIE | 40 | 28.396 | 19 | 1’40.898 | TOYOTA/TRD 01F | |
14 | 7 | 小林 可夢偉 | KCMG | 40 | 30.040 | TOYOTA/TRD 01F | |||
15 | 6 | 大津 弘樹 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 40 | 30.696 | 5 | 1’37.352 | HONDA/M-TEC HR-417E | |
19 | 関口 雄飛 | carenex TEAM IMPUL | 25 | 15Laps | 1 | 1’35.951 | TOYOTA/TRD 01F | ||
36 | ジュリアーノ・アレジ | Kuo VANTELIN TEAM TOM’S | 20 | 20Laps | 14 | 1’39.330 | TOYOTA/TRD 01F | ||
4 | サッシャ・フェネストラズ | KONDO RACING | 2 | 38Laps | 7 | 1’37.809 | TOYOTA/TRD 01F | ||
55 | 三宅淳詞 | TEAM GOH | 1 | 39Laps | 12 | 1’38.435 | HONDA/M-TEC HR-417E | ||
20 | 平川 亮 | carenex TEAM IMPUL | 0 | 11 | 1’38.277 | TOYOTA/TRD 01F | |||
50 | 松下 信治 | B-Max Racing Team | D.N.S | 9 | 1’37.984 | HONDA/M-TEC HR-417E |