2023 Rd.7MOTEGI

スーパーフォーミュラ 2023年 第7戦 もてぎ

    終盤見事な追い上げを見せた平川が2位表彰台 宮田も後方から追い上げ4位でランキング首位堅守

    予選/決勝

    終盤見事な追い上げを見せた平川が2位表彰台
    宮田も後方から追い上げ4位でランキング首位堅守

     スーパーフォーミュラの第7戦が猛暑のモビリティリゾートもてぎで行われました。1周目から多重クラッシュで赤旗が出されるサバイバル戦となる中、7番手スタートから見事な追い上げを見せた平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が2位表彰台を獲得。スタートで最後尾近くまで順位を落としながらも粘り強い走りで順位を取り戻した宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)は4位でフィニッシュし、ドライバーズランキング首位の座を守って最終大会に臨むこととなりました。

     全日本スーパーフォーミュラ選手権の第7戦が8月19日(土)、20日(日)の両日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されました。
     全7大会、9レースで競われている2023年シーズンのスーパーフォーミュラも今大会を入れて残り3戦となりました。激戦が続く今シーズン、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)勢では、第3戦鈴鹿、第5戦SUGOで優勝し、6戦中4戦で表彰台を獲得している宮田がランキング首位につけています。しかし、ライバル勢の追撃も激しく、2位との差はわずか1ポイント。タイトル争いにおいても非常に重要な1戦となる今大会に各チーム必勝体制で臨みました。
     予選前には、カーボンニュートラル(CN)に向けた開発テストを行うことが発表されました。Honda/M-TEC製エンジンを搭載したSFテストカー「白寅」のドライバーに塚越広大、Toyota/TRD製エンジンを搭載した「赤寅」のドライバーに高星明誠が起用され、JRPを中心に、各社連携して開発を進めます。
     夏休み中の開催となった今大会には、猛暑にも関わらず多くの家族連れのお客様が来場。「スーパーフォーミュラ夏祭り in モビリティリゾートもてぎ」として、イベント広場には好評の「アウトオブキッザニア」をはじめとした様々なコンテンツが用意され、夏を楽しむイベントを満喫していました。
     また、大人気のカーアクション映画『ワイルド・スピード』コラボ展示も行われました。映画で実際に使われた「GR Supra」や、モータースポーツの現場で磨き上げられた「GR Supra GT4 EVO」など、歴代のスープラが展示され、クルマ好きの皆様の注目を集めていました。

    予選

     19日(土)は強い日差しに照らされました。気温33度、路面温度46度夏のもてぎらしい暑さの中で、午後2時50分よりノックアウト方式の予選が開始されました。追い越しが難しく、他のサーキット以上にスターティンググリッドが重要なもてぎ戦。午前中のフリー走行から各車のタイムは拮抗しており、予選はQ1から激しいタイム争いが繰り広げられました。
     2グループに分けて実施されたQ1(各10分間)のA組では、まず大嶋和也(docomo business ROOKIE)がアタックを開始し、1分33秒664と自身の午前中のフリー走行を上回るタイムをマーク。大嶋はタイヤを交換して更なるタイムアップを狙いアタックを続けると、他の車両も残り5分過ぎからアタックに向かいました。
     その後アタックに入った小林が1分33秒469で大嶋のタイムを上回ると、その後、セッション終盤に向け各車どんどんタイムアップ。関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が1分33秒072と素晴らしいタイムで2番手。阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)が4番手。小林は先に出したタイムにより6番手でQ2に進出。大嶋は2度目のアタックでタイムを更新したものの、0.065秒及ばず7番手。山下健太(KONDO RACING)も小林のタイムから0.088秒という僅差の8番手でQ2進出ならず。笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)は9番手となりました。
     B組では、セッション開始時からコース全体が薄い雲に覆われ、各車さらにペースアップ。セッション終盤、各車がどんどんベストタイムを塗り替え合っていく激しいアタック合戦となりました。
     ランキング首位の宮田が1分32秒619の好タイムでこのセッション2番手。平川が5番手。宮田と共に今季これまで全レースでQ2進出を果たしている坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)が6番手でQ2へと進出。小高一斗(KONDO RACING)は9番手、国本雄資(Kids com Team KCMG)は10番手でQ1敗退となりました。
     Q2(7分間)では、フリー走行で3番手と好調な小林がまずアタックを開始し1分32秒370をマーク。宮田は1分32秒761でこの小林のタイムには及ばず。関口が1分32秒293で小林のタイムを上回りました。
     このQ2は、2番手から8番手の宮田まで7台が0.2秒ほどの中に入る僅差の争いとなりましたが、TGR勢では関口が最上位の6番手。小林が7番手、平川が8番手、宮田が9番手と3列目以降に並ぶ形となり、1000分の1秒まで同タイムとなった坪井と阪口のセルモ・インギングの2台は11,12番手で6列目に並んで決勝をスタートすることとなりました。

    TGR勢最上位の5番手グリッドを獲得した関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 19号車)
    TGR勢最上位の5番手グリッドを獲得した関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 19号車)

    6番手スタートとなった小林 可夢偉(Kids com KCMG Cayman 7号車)
    6番手スタートとなった小林 可夢偉(Kids com KCMG Cayman 7号車)

    決勝

     20日(日)も気温33度、路面温度46度と猛暑は変わらないものの、近郊には雨雲の情報もあり、雷も聞こえるというやや悩ましい状況の中、併催レースの影響で予定よりも15分遅れの午後3時15分に37周で競われる決勝レースがスタートしました。
     スタートでは最前列2番手グリッドの太田格之進(ホンダ)がストールし、その後方が混乱。また、8番手グリッドの宮田もスタートのトラブルで加速できず、ポジションを落とすことになりました。TGR勢では5番手グリッドの関口と、7番手グリッドの平川が4,5位へとポジションアップを果たしますが、2コーナーを抜けた先で、首位を争う2台のバトルでリアム・ローソン(ホンダ)がコースオフからスピンし、コース上に戻って来たため、直後にいた関口を含む3台が巻き込まれて多重クラッシュが発生。大きなアクシデントとなってしまいました。関口を含めドライバーは無事でしたが、レースはこれで赤旗中断となりました。
     30分ほどの中断の後、レースはセーフティカー先導で再開。平川が3位、小林が4位、山下7位、阪口8位、小高が9位、坪井が10位、大嶋12位、国本13位、笹原14位、スタートで出遅れた宮田は17位とほぼ最後尾からの追い上げを強いられることとなりました。
     セーフティカーが退去し4周目に再スタートが切られると、宮田が猛烈な勢いでポジションを上げていきました。一方、8周目には9位走行中の坪井が突然のトラブルに見舞われスローダウン。レースを終えることとなってしまいました。
     先頭が10周目を終えたところで、8位走行中の阪口を含む複数台の車両が、タイヤ交換義務を果たすべくピットイン。この時、2位走行中の大湯 都史樹(ホンダ)もピットインしたことで、大湯を先頭とするピット義務を済ませたグループと、ピットインのタイミングを引っ張るグループとの、見えないタイムバトルが繰り広げられることとなりました。
     翌周、平川のすぐ後で3位につける小林や、小高、大嶋、笹原がピットイン。しかし、小林はこのピットの作業でタイムをロスし、大きく順位を落とすこととなってしまいました。
     首位を行く野尻智紀(ホンダ)と2位走行中の平川の2台はピットインを引っ張る作戦に。後方では、宮田もピットインを引っ張り、ライバル勢がピットに入った間隙を突いて、好ペースで周回を重ねていきました。
     レースの折り返しを過ぎて、25周を終えたところで首位の野尻がピットイン。平川はこれに合わせるように、翌周ピットへと向かいましたが、タイヤ交換作業で痛恨のタイムロス。大湯の後、事実上の3位でコースへ復帰しました。ピットアウト直後には山本尚貴(ホンダ)からの追撃を受け、90度コーナーでは山本と接触してスピン。しかし、すぐに走行を再開し、前に出た山本のリタイアもあって実質上の3位へと戻りました。
     最後までピットを引っ張った宮田は29周を終えたところでピットイン。平川に続く4位でコースへ復帰しましたが、タイヤが暖まっていないアウトラップで阪口にかわされ5位へ後退。さらに小高からも猛追を受けますがこれを凌ぎ切り、タイヤが暖まると一気に阪口をかわして4位へと浮上しました。
     平川は交換したばかりのタイヤで、2位走行中の大湯よりも1周1秒以上速いペースで一気に差を詰めていき、33周目にオーバーテイク。これで2位へ浮上し、さらに首位を追いました。
     しかし、残り周回はもう少なく、平川は2位でフィニッシュ。宮田も表彰台を目指して猛追しましたが、コンマ5秒届かず4位でフィニッシュ。それでも17番手の再スタートから13台抜きの健闘を見せ、貴重なポイントを獲得。チャンピオン争いでは、予選終了時点でポイントが並んだリアム・ローソン(ホンダ)がノーポイントに終わったこともあり、8ポイント差の首位で最終大会鈴鹿の2レースに臨むこととなりました。
     阪口は12番手スタートから5位までポジションを上げてフィニッシュ。終盤、接触しながらの激しいバトルを繰り広げ、観客を沸かせた小高と小林が6位、7位。中盤に小林とのバトルを繰り広げた大嶋が8位、山下が9位、国本が10位でチェッカーを受け、ポイント獲得を果たしました。
     表彰式の後、全ドライバーがポディウムに登壇し、この暑さの中、応援に駆けつけて頂いたお客様の皆様に感謝の意を伝えました。

    2位表彰台を獲得した平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 20号車)
    2位表彰台を獲得した平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 20号車)

    4位でチェッカーを受けた宮田 莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S 37号車)
    4位でチェッカーを受けた宮田 莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S 37号車)

    ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 20号車 ドライバー 平川亮:

     最初のアクシデントなど、危ない場面もあったんですが、リスタート後はペースが良く追い上げられました。ピット作業のミスも比較的落ち着いて、すぐに頭を切り替えられましたし、その後接触もありましたが、最後まで諦めずに走り抜いてライバルをパスし、2位を獲得できました。自分たちとしては優勝を狙えたパフォーマンスがあったので、2位は悔しい部分はありますが、残りの鈴鹿で挽回したいと思います。

    スーパーフォーミュラ 2023年 第7戦 もてぎ 決勝結果
    順位 No. ドライバー チーム 周回 タイム/差 予選 予選タイム エンジン
    11野尻 智紀TEAM MUGEN371:31’13.69911’31.955HONDA / M-TEC HR-417E
    220平川 亮ITOCHU ENEX TEAM IMPUL377.43971’32.385TOYOTA / TRD 01F
    353大湯 都史樹TGM Grand Prix3715.45641’32.238HONDA / M-TEC HR-417E
    437宮田 莉朋VANTELIN TEAM TOM’S3715.93381’32.391TOYOTA / TRD 01F
    539阪口 晴南P.MU/CERUMO・INGING3732.873121’32.761TOYOTA / TRD 01F
    64小高 一斗KONDO RACING3736.302171’33.379TOYOTA / TRD 01F
    77小林 可夢偉Kids com Team KCMG3736.77261’32.370TOYOTA / TRD 01F
    814大嶋 和也docomo business ROOKIE3738.148141’33.534TOYOTA / TRD 01F
    93山下 健太KONDO RACING3738.752161’33.557TOYOTA / TRD 01F
    1018国本 雄資Kids com Team KCMG3740.229191’33.439TOYOTA / TRD 01F
    1155ジェム・ブリュックバシェTGM Grand Prix3741.653201’33.652HONDA / M-TEC HR-417E
    1236笹原 右京VANTELIN TEAM TOM’S371’01.366181’33.643TOYOTA / TRD 01F
    1315リアム・ローソンTEAM MUGEN371’04.34031’32.237HONDA / M-TEC HR-417E
    1412福住 仁嶺ThreeBond Racing371’05.577211’33.671HONDA / M-TEC HR-417E
    1551ラウル・ハイマンB-Max Racing Team371’19.994221’35.263HONDA / M-TEC HR-417E
    1665佐藤 蓮TCS NAKAJIMA RACING352Laps151’33.127HONDA / M-TEC HR-417E
    64山本 尚貴TCS NAKAJIMA RACING2710Laps101’32.487HONDA / M-TEC HR-417E
    6太田 格之進DOCOMO TEAM DANDELION RACING1324Laps21’32.178HONDA / M-TEC HR-417E
    38坪井 翔P.MU/CERUMO・INGING829Laps111’32.761TOYOTA / TRD 01F
    19関口 雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL051’32.293TOYOTA / TRD 01F
    5牧野 任祐DOCOMO TEAM DANDELION RACING091’32.468HONDA / M-TEC HR-417E
    50松下 信治B-Max Racing Team0131’33.096HONDA / M-TEC HR-417E