Kamui's Race Diary 2016

スーパーフォーミュラ 第1戦 鈴鹿

Kamui's Race Diary 2016 スーパーフォーミュラ 第1戦 鈴鹿

「次のレースまでじっと耐えながらしっかりと準備して、レースで挽回するしかないです。」

 いつも応援ありがとうございます。小林可夢偉です。
 昨年に引き続き、今シーズンもこちらで僕のスーパーフォーミュラでの戦いぶりをお伝えさせて頂きます。どうかよろしくお願いいたします。

 さてさっそくですが、開幕戦の鈴鹿がおわりました。
 正直僕自身、勝つつもりで挑んだし、今シーズンのこのコーナーはいい報告からスタートしたいと思っていたのですが・・・まさかのノーポイントでした。
 今年の第1回は反省文みたいですが、最後まで読んでください。

 今年から金曜日に1時間のフリー走行が加わったのですが、この1時間はとにかくオーバーステアと戦っていました。すぐにリヤが抜けるので、怖くてハンドルが切れないぐらいでした。オフシーズンのテスト全体を通して調子は悪くなかったのですが、まったく別のクルマみたいでした。
 土曜日朝のフリー走行に向けて、クルマを結構大きく変えたところ、状況はずいぶんとよくなりました。前の日と違ってとにかく自信を持って走れました。状態としてはまだリヤが足りなく感じていましたが、なんとか予選を戦える手応えも得ました。
 おかげさまで予選はQ2が終わった時点で2番手。ただ、それでもトップとはコンマ150負けていた。これは結構大きな数字です。
 今回はポールポジションを狙っていたので、Q3ではそのコンマ150をどこかで詰めなければなりません。といっても鈴鹿ではタイムを稼げる場所は限られています。今回はデグナー2で頑張ってみたんですが、クルマが思った以上に曲がらず、かなり外に飛び出してしまいました。
 グラベルを走ったせいでタイヤが汚れてホイールスピンしまくりだったので、すぐにアタックをやめてクールダウンして、次の周にもう一度アタックしたのですが、結局タイヤのピークは最初のアタックラップの1周だけで、速いタイムを出すことができず8番手に終わってしまいました。クルマ的には順当に行けば2番手、3番手の速さはあったので残念でした。

 今回の予選では僕だけでなく、何人かのベテランドライバーも珍しくミスをするハプニングがありました。その背景には、ヨコハマタイヤの特性を模索中、ということがあったと思います。
 昨年から今年にかけたオフシーズンの間に3回テストがありましたが、テストでは1発のタイムは気にしていないので、今回の予選がヨコハマタイヤで初めての全開アタックでした。
 ここ一発が欲しいときに、前のタイヤの感覚が残っていて、タイヤの限界を超えてしまったようです。次の岡山の予選でもどこまで攻めるのかカギになりそうです。

 さて、肝心の日曜日の決勝レースですが、スタートもピットストップもうまくいきませんでした。 応援してくれているみなさまに本当に申し訳ない内容でした。
 まずスタートですが、去年スタートは一度も問題なかったのに、岡山テストあたりから違和感があり、チームとかなり準備をしていました。機密情報でもあるので、あまり詳しいことは言えないのですが、チームメートのナレインは、僕が準備して教えたとおりの手順を踏んだらすごくいいスタートを切っていました。ところが僕のクルマは同じ条件でもうまくいかなかった。レース後たぶんここだろうという原因が具体的に見えたので、チームにはその対策をお願いしています。難しいものでもないので、次の岡山では大丈夫です。まったく心配はしていません。

 次にピット作業についてです。おかげさまで僕のピットストップはレースのハイライトシーンのひとつとして取りあげられているので、嫌でも何度も見る機会がありました。リプレイを見たところ、とくにこれといってなにか目立ったミスは見えません。ところが右リヤタイヤがきちんと止まっていませんでした。あの時はピットレーンのスピードリミッターを解除するあたりで、グラグラきて「タイヤがはまっていない」とチームに伝えました。
 こういう事があると結構いろんな人から「チームに怒ったりするの?」と聞かれます。
 僕は基本的に怒鳴ったりすることはないです。レースにミスはつきものです。モータースポーツはそういうものだと思うし、起きてしまった以上、自分たちのエネルギーすべては、ここからどうやって挽回するかに使うべきと考えています。ちゃんと言わなければいけないことはきちんと伝えています。
 レース後ガレージにチーム全員が集まって反省会を行いました。その場では厳しい意見も交わされました。翌日からは御殿場のチーム工場で何度も再現テストを行って原因を突き止めました。いまチーム全員が一丸となって対策を施したピット作業練習に取り組んでいます。僕もWEC第2戦のスパフランコルシャンからすぐに日本に戻ってチームの練習に合流します。
 とにかく次のレースまでじっと耐えながらしっかりと準備して、レースで挽回するしかないです。僕自身、岡山では勝てると思っています。みなさま楽しみにしていてください。

  • コクピットに収まる小林可夢偉
  • 山田 健二監督と話す小林可夢偉
  • SF14に乗り込み、セッティングを行う小林可夢偉
  • スターティンググリッドにつく小林可夢偉
  • ピットアウトする小林可夢偉
  • 走行中の小林可夢偉とチームメイトのナレイン・カーティケヤン
  • チームスタッフと話し合う小林可夢偉