Kamui's Race Diary 2016

スーパーフォーミュラ 第4戦 もてぎ

Kamui's Race Diary 2016 スーパーフォーミュラ 第4戦 もてぎ

「決勝でファステストラップを記録出来たことは
チームにとって励みになりました」

 みなさまこんにちは。楽しい夏休みを過ごされましたか?
 僕は前回のスーパーフォーミュラ富士戦のあと、ドイツ・ニュルブルクリンクでWECの第4戦を戦い、さらに8月には4日間フォーミュラ・トヨタ・レーシング・スクールの講師を務めさせて頂きました。
 フォーミュラ・トヨタ・レーシング・スクールは、僕が14歳の時に受講しスカラシップをもらって4輪キャリアがスタートした、原点とも言える場所なので、恩返しの気持ちで昨年から講師としてお手伝いをさせていただいています。

 さて、もてぎですが、非常に暑いレースでしたが残念ながら9位。入賞に届きませんでした。
 クルマのパフォーマンスは、富士のレースより改善してきており、富士戦の翌日にあったタイヤテストでいろいろとトライしたことが無駄ではなかったと思います。
 ただ、その一方で、現在のスーパーフォーミュラは非常にハイレベルの争いなので、いきなり本番で勝てるクルマを作り上げるのは難しいという現実もあります。
 それでもエンジニアもメカニックもあきらめずに戦っています。今回持ち込んだクルマは、昨年のもてぎをベースに富士のテストで分かったことを反映させたものでした。

 今回のレースでは、ドライタイヤが2種類ありました。これまでのミディアムコンパウンドに加えて、ソフトコンパウンドが初めて投入されたのですが、土曜朝の走行が雨だったことで、ソフトタイヤを初めて履いたのがQ1と望んでいた展開でなかったのは事実です。結果14番手でしたが、クルマのセッティングの方向性としてはよくなっていることは感じることができました。

 日曜日の決勝レースはソフト、ミディアム両方のタイヤを使うことが義務づけされていましたが、僕はミディアムタイヤでスタートすることを選択しました。大勢がソフトスタートを選ぶと思っていましたし、当初はソフトタイヤがそこまで周回を持たないだろうから彼らが早めにピットインする間にポジションを上げてこちらはぎりぎりまで引っ張ってレース終盤にソフトタイヤに履き変える、という戦略でした。
 たぶん同じような考えで、僕の周りのグリッドからスタートする4台も同じミディアムスタートを選択していました。

 レースのスタート自体はまずまずで、1コーナーで1台がコースオフし、さらにターン3で1台を抜いてポジションを上げたあと、前を走るソフトタイヤ勢についていくという序盤の展開でした。
 ところがソフトタイヤが思ったほどタイムの落ちもなく、想定していた周回数以上のラップをこなせることが見えてきました。さらに、同じようにミディアムタイヤでスタートして、僕の前を走っていた一貴が13周目にピットインをしてソフトタイヤに履き変えたことで、彼のラップタイムを見ながらのレース展開になりました。
 ソフトタイヤに履き変えた一貴のペースはかなり速く、こちらも早めにソフトタイヤに交換しよう、という状況だったんですが、じつはこの13周目から17周目あたりは、チームとしてタイヤ交換作業が行えないという非常事態が発生していました。
 一貴より1周前にチームメイトのナレインがピットインした際に、左側の前後ともにホイールナットがスムーズに外せないというトラブルが起きたそうです。チームとしてはその原因を突き止め次の作業を確実に行えるまで、僕のタイヤが交換できない状況でした。エンジニアからも無線で「7号車の作業でトラブルが起きたから、原因がわかるまでピットに呼べない。なんとかコースで頑張ってほしい」とメッセージをもらっていました。

 結局そこで交換するタイミングを逃したので、あとはソフトタイヤの効力がありそうな周回数をチェッカーから逆算して、タイヤを交換するという戦略に変更しました。
 そして30周目にソフトタイヤに履き変えました。タイヤを履きかえてから8番手を走行している山本選手に追いついたものの、結局抜くまでにはいたらずコンマ4秒差で9位。あと少しというところで入賞を逃してしまいました。今シーズンの苦しい展開を表しているというか、すべての歯車がきちんとかみ合わないと1ポイントさえ手にすることができないという、スーパーフォーミュラを象徴するレースだったと思います。
 その一方で、ソフトタイヤの2周目に、このレースの全体のファステストラップを記録出来たことは、今シーズン試行錯誤を繰り返してきたチームにとって大きな励みになったと思います。

 岡山国際サーキット自体、自分のなかでは好きなサーキットです。5月に行われた第2戦ではまったくいいところがありませんでしたが、今シーズンの間に同じサーキットで2回目のレースを戦えるという機会を、自分のレースを取り戻すチャンスに活かします。
 幸いにも現在のポイントリーダーの獲得点数が17ポイントなので、まだ僕にもチャンスがあります。特にこの岡山戦は土曜日、日曜日それぞれに予選・決勝レースがある2レース制なので、この2レースともに自分らしいレースできれば、ここからしっかりとチャンピオン争いに食い込んでいけると信じています。
 引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。

  • フォーミュラ・トヨタ・レーシング・スクールの講師をする小林可夢偉
  • もてぎ戦で初めて投入されたソフトコンパウンドタイヤ
  • 雨の中走行するSUNOCO TEAM LEMANS SF14 8号車
  • 山田健二監督と話す小林可夢偉
  • グリッドに並ぶSUNOCO TEAM LEMANS SF14 8号車
  • 決勝レースを戦うSUNOCO TEAM LEMANS SF14 8号車
  • 決勝後の小林可夢偉