Kamui's Race Diary 2016

スーパーフォーミュラ 第7戦(最終戦) 鈴鹿

Kamui's Race Diary 2016 スーパーフォーミュラ 第7戦(最終戦) 鈴鹿

「今年チームは頑張ってくれたと思います。でも個人的には悔しい一年間でした」

まずは今シーズンも応援ありがとうございました。
ファンのみなさんのご期待に応えることができないシーズンとなってしまい、本当に申し訳ありませんでした。

 実は10月16日に行われたWEC富士戦の翌日から仙台に移動して、10月18日、19日の2日間、菅生でメーカーテストがありました。
 テスト前日の夜には、仙台でチームルマンやTRDのみなさんに祝勝会をしていただきました。本当にありがとうございます。
 このメーカーテストは、トヨタユーザー、ホンダユーザー1チームずつが、トヨタとホンダそれぞれの開発車両1台ずつを走らせて、エンジンやタイヤの開発などを行うものですが、シーズン中にテスト走行がないチームにとっては、非常に貴重な走行機会です。いろいろと確認ができるので、チームルマンからは僕が2日間参加しました。2日間とも10月の菅生とは思えないほどの晴天で、充実したテストを行うことができ、自信を持って走らせるクルマができました。
 そのため鈴鹿に向けて僕もチームもかなり期待していたんですが、いざ鈴鹿に来てみると、メーカーテスト前の状況に逆戻りというか、まあちょっとマシになったかな程度で、思っていたようなクルマのパフォーマンスがありませんでした。メーカーテストにホンダ陣営からレアルのふたりが参加していたんですが、彼らからもレース後に「今回は可夢偉は行くだろうと思っていたのに」と言われたぐらいです。

 金曜日の専有走行は菅生テストの状態で走り始めました。1時間の間に足回りのセッティングや空力で、バランスを探っていました。アンダーステアが強くてセクター1とセクター2でのロスが大きく、ターン2ではフロントが入ってくれないからブレーキングもいけない状況だし、ダンロップでもなかなか早くスロットルを開けることができず苦戦していました。セッションの最後に新品タイヤを履いたんですが、フロントが来ないなと思っていたらリヤタイヤがタレ始めていたり、前後バランスよくウォームアップさせることに苦労しました。

 土曜日のフリー走行では、金曜日よりも前の状態にクルマを戻したら、高速コーナーで曲がりすぎるぐらいだったんですが、今度は左右のコーナーでバランスがおかしくなってしまって、特に2コーナー、デグナーなどの右コーナーだけアンダーステアが出るため、最後にスペアのフロントウイングを試して、バランスが多少よくなりました。
 レース1のスタート順を決める予選Q1は、本来のアタックラップで、前で失敗したドライバーが譲ってくれず、コーナーのボトムスピードが極端に遅い状況でコンマ3,4秒ロス。そこでエンジニアから急遽もう1周いってくれとの指示があり、頑張ったんですが、タイヤがたれている状況ではどうしようもありませんでした。結局デグナーで飛び出してその時にエンジンも止まってしまったので、帰ってくることができませんでした。たぶん持ちタイム的には1分37秒9ぐらいだったと思います。とてもじゃないですがQ1トップ通過のセルモのタイム1分37秒4は見えませんでした。彼らは前回の菅生では苦戦していましたが、しっかりと速さを取り戻しています。こういったところにも今年彼らがチャンピオンを獲得した強さが見えると思います。

 日曜午前のレース1はピットストップ無しのスプリントレースだったので、スタートが勝負でした。シグナルへのリアクションは問題なかったですが、クラッチがつながって動きだすまでのロスが大きく、ポジションを落としてしまいました。途中レース2の為のデータ取り走行などを行い、他車のペナルティなどもあって9位でレースを終えました。
 レース1の後、データを見直し、レース2は開幕戦仕様で走ることになりました。スタート前の8分間のウオームアップ走行が唯一クルマを確認するチャンスでしたが、これだけ大きくクルマを変えると普通はかなりバランスなど変化があるはずですが、その兆候が驚くほど少ない状況でした。結局レース2中のペースも改善することもなく、エンジニアも色々とトライしてくれましたが、最後まではっきりとした原因がわかりませんでした。もしかすると、今すごく回り道をしているかもしれませんが、今年色々とトライしたことは来シーズンに必ず活かすことができると思います。
 レース2はタイヤ交換の義務があるため、僕は燃料満タンスタートで早めにピットインしてタイヤ交換の戦略。一方チームメイトはレース中番まで引っ張って、途中にタイヤ交換と燃料給油の戦略でした。結果的にみれば途中まで引っ張る戦略が良かったと思います。たまたまリタイアするクルマが出たので7位でフィニッシュできただけで、今回はラッキーだったと思います。それにしても驚いたのは、レース後に他のチームの関係者やドライバーたちが「開幕おめでとう」と言ってくれたことです。みんな気にしてくれていたんですね。

 また、菅生戦に続いて今回も脇阪寿一先輩がヘッドコーチとしてチームの現場の動きを監督してくれました。エンジニアやメカニックが自分たちの仕事に集中できたと思うし、僕自身もすごく助かりました。ありがとうございました。

 今年チームは頑張ってくれたと思います。でも個人的には悔しい一年間でした。来年は必ず反撃します。楽しみにしていてください。
 今シーズンのスーパーフォーミュラは終わりましたが、WECはまだ今月もレースがあります。WECは現在ランキング2位なので、逆転でのタイトルを目指しています。最後にいい報告ができるように頑張りますので、引き続きこちらの応援もよろしくお願いいたします。

  • WEC富士の翌日からはスポーツランドSUGOで行われたメーカーテストに参加した
  • 最終戦の木曜日に行われた専有走行で走行するSUNOCO TEAM LEMANS SF14 8号車
  • ピットウォークに参加する小林可夢偉
  • 鈴鹿サーキットを走行するSUNOCO TEAM LEMANS SF14 8号車
  • ピット作業をするSUNOCO TEAM LEMANS SF14 8号車
  • 決勝レースを戦うSUNOCO TEAM LEMANS SF14 8号車
  • 前戦SUGOに続き脇阪寿一氏がヘッドコーチとしてチームをサポートした