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  • 松原亮二選手
    松原亮二選手 1975年8月18日生まれ
    2004年FJ1600でレースデビュー。その年のFJ日本一決定戦で優勝し、2005年はフォーミュラ・トヨタとフォーミュラ・スズキ隼シリーズに参戦。フォーミュラ・スズキ隼シリーズではシリーズチャンピオンに輝く。2008年からヴィッツレースに参戦を開始し、2009年と2010年に関東シリーズで、2012年には東北シリーズでチャンピオンを獲得。日本一決定戦でも2009年と2010年の2回の優勝経験を持つ。2018年はジースパイスレーシングチームよりCVTマシンでNetz Cup Vitz Raceに参戦中。
  • TRDファクトリー G'SPICE
    TRDファクトリー G'SPICE 群馬県前橋市鶴光路町143-8
    TEL:027-290-3311
    1990年代後半から積極的にモータースポーツ活動を行なってきたG'SPICE。ヴィッツレースが始まった初年度より参戦していて、販売店のスタッフもメカニックとして帯同してきた。全国の販売店の中でもモータースポーツで培った技術はトップレベルで、初心者からシリーズチャンピオンを狙うエントラントまで豊富な知識やセッティングノウハウで対応している。モータースポーツ以外にもカスタマイズやチューニングも得意としていて、オーナーのどんな要望にも応えてくれる。

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エントリーユーザーにこそ相応しいのが
CVTのVitz GR SPORT“Racing”Package

 2018年シーズンのNetz Cup Vitz Raceでトピックのひとつとして挙げられるのは、参加車両として「Vitz GR SPORT“Racing”Package」が追加されたことになる。
 2017年9月に発売が始まったVitz GR SPORTをベースとしたこのマシンは、専用のエアロパッケージや補強パーツなどが相まって、従来モデルとなるVitz“RS Racing”よりも優れたコーナリング特性を持っているとプロドライバーからも評価を受けている。併せて、もっともユニークなのが5速MTとCVT(自動無段変速機)のトランスミッションを選べる点になる。
 これまで、ヴィッツレースは3世代のモデルで2000年から競われてきたが、トランスミッションはすべてMTとなっていた。つまり、参加型モータースポーツとして多くの初心者が参戦してきたが、レース参戦の前にMTの操作が上手くなる必要があり、ヒール&トゥなどのモータースポーツに必須な技術を習得することも大前提だった。だが、CVTだと変速は車両側が車速に合わせて細かく行なっていく。もちろん、ドライバーの任意で変速することもできるので、Vitz GR SPORT“Racing”Packageの10段階に区切られたCVTを操作してコーナリングに合わせてエンジンブレーキを使うこともできる。

 今シーズンからVitz GR SPORT“Racing”PackageのCVTでNetz Cup Vitz Raceに参戦する松原亮二選手は、「CVTモデルはドライバーにとって優しいクルマですね。MT車は上手な人が乗ればミッションにも優しいですが、慣れてない人が操作するとミッションは痛みますし、ダウンシフト時にオーバーレブをしてしまえばエンジンが壊れる可能性もあります。このようなドライバーのミスをクルマ側が防いでくれるのがCVTの利点です。サーキット走行やモータースポーツを始めたいけどMT車に乗り慣れてない人は、サーキットを走る前にいくつものハードルを乗り越えなければなりません。そういう意味でも、CVTのマシンでレースができるということは初心者にとって良いですね」というように、モータースポーツを楽しむためのハードルを下げてくれるのがCVTマシンでもある。
 実際にNetz Cup Vitz Raceに先駆けてCVTマシンが参戦できるようになったラリーチャレンジでは、多くのビギナーがエントリーしシリーズを盛り上げているのだ。
 ではCVTマシンは、Netz Cup Vitz Raceの実戦ではどのような戦闘力を持っているのだろうか。「CVTモデルは今シーズンから参戦できるようになったばかりで熟成度合いでいえば、5速MTモデルに軍配が上がります。また、CVTモデルはLSDが装着できないため、ラップタイムでもMTモデルに劣っています。加えて、高回転域を多用すると車両側の制御が入ることが多いので、限界まで攻めることができません。なので、スムーズな走りを心掛けるとラップタイムも上がっていきました。これまで5速MTモデルのヴィッツでレースに出ていましたが、CVTはCVTなりの技術が必要ですし、走らせ方も異なります。まだラップタイムではコースによって5速MTと約4~5秒の差があります。だがらといって、CVTが遅いと言い切ることはできません。現状ではCVTクラスのみの表彰があるので、エントリー台数が少ない今なら初レースで表彰という可能性もありますよ」と、ヴィッツレースを知り尽くした松原選手は語っている。長年に渡って競われてきたMTモデルとは差があるのが現状だが、CVTなりの走らせ方もあり、クラッチ操作がないから決してドライビングが面白くないとはならないようだ。

 実際に松原選手が乗っているVitz GR SPORT“Racing”PackageのCVTモデルをメンテナンスしているG’SPICEの星野智弘さんは、「CVTモデルだからといって特別なメンテナンスはしていません。これまでのVitz RS Racingと同様の項目を確認しています。CVTに関しては、オイルメーカーのギアオイルを使っていますが、頻繁に交換しているので異音やトラブルは発生していません。レースでの実力ですが、CVTは5速MTに比べて油温が上がりやすくなっています。そのため、油温が上がると制御が入ってしまい本来の性能が出せずにいます。また、松原選手も言っていたようにLSDが入れられないため、ラップタイムでは劣ってしまいます。CVTモデルのセットアップを含めて熟成が進み、LSDが装着できるようになれば5速MTと好勝負になるはずです。また、CVTはシフトやクラッチ操作が省ける分、アクセルやブレーキ操作に集中できます。サーキット走行やモータースポーツを始めたいという人には、CVTはお勧めだと思います」と、CVTモデルだからといって特別なメンテナンスは必要なく、ギアオイルを頻繁に交換していればトラブルも発生していないそうだ。
 モータースポーツ参戦のハードルを大幅に下げることになるVitz GR SPORT“Racing”PackageのCVTモデルは、G’SPICEを始めとする全国のネッツトヨタ店で購入することができる。また、Netz Cup Vitz Raceを含めたモータースポーツへの参戦も販売店で相談できるので、気軽に近くの店舗を訪れてもらいたい。