WEC 2023年 シーズン第4戦 ル・マン24時間 16時間経過TOYOTA GAZOO Racing、
GR010 HYBRID 8号車が僅差の首位争いを展開
7号車は深夜の接触で無念のリタイア

2023.06.11(日)- 16:55配信

 6月10日(土)から11日(日)にかけて行われているFIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間の決勝レースは、長い夜間走行を終え、朝を迎えました。サバイバル戦の様相を呈する中、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRIDは8号車が僅差でトップを追う2位を走行中。一方、7号車は日付が変わった直後に下位カテゴリーの車両と接触し、車両を破損。無念のリタイアとなりました。

GR010 HYBRID 8号車が僅差の首位争いを展開 7号車は深夜の接触で無念のリタイア

 昨年のウィナーであるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、夜間走行の間も、フェラーリ51号車と順位を入れ替えながらの首位争いを繰り広げており、チームは6連覇への望みを繋いでいます。

 しかし、序盤戦で力強くレースを戦っていた、小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車は、8時間を経過した直後、痛恨のアクシデントに見舞われました。後方からの接触で修復不能なダメージを負い、レースを3分の2残しての戦線離脱を余儀なくされてしまいました。

 2台のGR010 HYBRIDは、16台という多くのハイパーカーによる争いの中で、序盤戦は力強いレースを展開していました。8号車は3番手グリッドのブエミがスタートしてまもなく首位に立ち、5番手スタートの7号車コンウェイも表彰台圏内へ浮上し、バトルを繰り広げました。

 スタートからの数時間は、上位10台が接近戦で順位を入れ替えながらの激しいバトルを繰り広げ、2度にわたる突然の降雨など、コンディションもめまぐるしく変わりましたが、2台のGR010 HYBRIDは上位グループでの争いを続けました。

 僅差の2位を走行していた7号車でしたが、現地の日付が変わった8時間経過直後、公道区間に出た直後のテルトル・ルージュ付近で突然その挑戦を終えることとなってしまいました。安全のため最高速度が時速80kmに制限されるスローゾーンへ向かっていた小林の7号車に、後方から2台の下位カテゴリー車両が追突。激しい接触により、7号車は車体後部に大きなダメージを負い、ピットへと戻ることは叶いませんでした。

 このアクシデントにより、1時間ほどのセーフティカー走行となり、その後レースが再開されると、2位につける8号車は平川へとドライバーチェンジ。プジョー94号車、フェラーリ50号車との三つ巴のバトルを制し、首位に立ちました。

 しかし、8号車は不運なタイミングでのフルコースイエローにより、予定外の燃料ピットの直後にフルサービスのピットへともう一度向かうことを余儀なくされ、首位を明け渡すこととなりました。11時間を迎える頃、フェラーリ50号車は修復のためにピットへ。平川から3位でステアリングを受け継いだブエミの8号車が2位へと上がった8号車は、プジョーもパスし、首位に復帰しました。

 レースが折り返しを迎える頃、ハートレーへと交代した8号車とフェラーリ51号車による首位争いが続きました。2台は順位を入れ替えながら僅かな差での争いを続け、夜明けを迎えました。

 15時間を終えたところで、ハートレーは2位に17秒差をつけてのトップで平川へと交代。フェラーリ51号車からの猛追を受けた平川の7号車は、コース上の異物によりフロントスプリッターを破損すると共にリアタイヤのパンクにも見舞われ、ピットで車両前部とタイヤの交換を行い、フェラーリ51号車のリードを許すこととなりました。

 16時間を終えた時点で、平川のドライブする8号車は、217周を走破し、首位を行くフェラーリ51号車を13.368秒という僅差で追っています。

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):

 (接触時)私はスローゾーンへ向けての準備エリア「ネクストスロー」ゾーンにおり、私の前にいたLMP2カーが何らかの理由で速度を落としました。もし私がその車両を追い越せば、ペナルティを受けることになってしまうため、ブレーキングしましたが、後方にいた車両、左にLMP2カー、右にGTカーがいて、接触されてしまいました。この接触でリアタイヤ両方がパンク、また、左リアのドライブシャフトも破損し、ピットへ戻ることができませんでした。非常に残念です。ただ、まだ我々のチームは1台が戦い続けており、私はドライバーであると共にチーム代表でもあるので、彼らのサポートを全力で続けます。これがル・マン24時間レースの難しさなのだと思います。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):

 首位争いができているのは良いことですが、レースはまだ長く続きます。後続との差は僅かで、フェラーリ、キャデラックがすぐ後方に追ってきています。多くの周回でレースをリードできましたが、我々のペースが圧倒的によかったとは思いません。セーフティカーのおかげでトップ争いに復帰し、その後クリーンなレースを戦ってきましたが、油断はできません。今年のレースは信じられないような展開で、例年にないほど多くのアクシデントが発生し、多くのライバルが、これまで覚えがないほど激しくプッシュしてきます。我々はライバルに対し、ペース運び自体という点ではやや遅れを取っていますが、上位フィニッシュのためにも、最後まで完璧なレースを目指し、戦い続けます。

WEC第4戦ル・マン24時間 16時間経過時順位

順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 トップとの差
151アレッサンドロ・ピエール・グイディ
ジェームス・カラド
アントニオ・ジョビナッツ
フェラーリAFコルセ/
フェラーリ 499P
217
28セバスチャン・ブエミ
ブレンドン・ハートレー
平川亮
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
21713.368
32アール・バンバー
アレックス・リン
リチャード・ウェストブルック
キャデラック・レーシング/
キャデラック V-Series.R
2172:21.307
43セバスチャン・ブルデー
レンガー・バン・デル・ザンデ
スコット・ディクソン
キャデラック・レーシング/
キャデラック V-Series.R
2161 Lap
56ケビン・エストレ
アンドレ・ロッテラー
ローレンス・バンスール
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/
ポルシェ 963
2161 Lap
R7マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ホセ・マリア・ロペス
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
103-
GR010 HYBRID 7号車