3月1日(金)、中東カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで2024年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第1戦カタール1812kmの予選が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRID 7号車が、最前列2番手グリッドを獲得しました。

昨シーズンに比べ、重量加算などの性能調整(Balance of Performance=BoP)が入ったこともあり、今週初めのプロローグテストと2月29日(木)の公式練習において厳しい戦いを強いられてきたTGRですが、チームの懸命な努力により再び上位争いに復帰し、ポールポジションを争いました。
小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースの3名がドライブするGR010 HYBRID 7号車は、この予選をデ・フリースが担当し、僅か0.164秒及ばずポールポジションは逃したものの、最前列2番手グリッドから明日2日(土)の10時間レースのスタートを切ることとなりました。
好調さを見せた7号車とは対照的に、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車はハートレーが予選をアタックするも、ハイパーポール進出はならず、スターティンググリッドは11番手になりました。
今季、WECの予選は新たなフォーマットで行われることとなりました。夕刻を迎えたカタールで、現地時間午後4時20分よりハイパーカークラスの予選が開始。12分間のセッションで19台のハイパーカーが一斉にアタックし、上位10台がその後、トップ10グリッドを決定するハイパーポールセッションへと進出します。
前日までの練習走行では1周のラップタイムに苦戦していたTGR勢でしたが、夜を徹しての改善作業が効を奏しました。7号車の予選アタックを担当したTGRでのWECデビュー戦となるデ・フリースが、チームのそのハードワークに応える速さを見せ、予選を2番手タイムで終え、ハイパーポール進出を決めました。
一方、8号車のハートレーは序盤、タイヤに問題を抱えながらも着実な走りを見せ、セッション終盤までハイパーポール進出圏内につけていました。しかし、チェッカーフラッグ後にタイムを更新した車両に押し出される形となり、僅か0.017秒及ばず11番手でハイパーポール進出を逃すこととなってしまいました。
10分間で行われたハイパーポールは、5つの異なるマニュファクチャラー10台による僅差の争いとなりました。そんな中、デ・フリースがポールポジション争いを展開。2度にわたりトップに立ち、終盤までその座を守りましたが、惜しくも最後にポルシェ5号車にかわされ、最前列2番手グリッドとなりました。
チームは、2日(土)の現地時間午前11時(日本時間午後5時)にスタートし10時間で争われる決勝で、世界チャンピオン防衛へ向けた開幕戦での力強い結果を得るべく決意を固めています。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー)
誰もが我々のパフォーマンスには少し驚いていると思います。特に今週はプロローグ、公式練習と苦戦を強いられていただけに、開幕戦で最前列グリッドを獲得できたことは本当に嬉しいです。チーム全員が懸命な努力で改善を進めてくれたので、後は決勝でそれを活かすだけです。10時間と長いレースなので、クリーンなレースを心掛けて行く必要がありますが、まず最前列からスタートが切れるというのは良いことです。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
我々8号車にとっては難しい一日になりました。僅か数周で左側のタイヤを大きく摩耗してしまい、ラップタイムを上げることができませんでした。こんなことになるとは思いませんでした。残念ながら、我々は11番手からのスタートとなり、タイヤも完全に使えなくなってしまったので1セット減ってしまいました。タイヤに何が起こったのか、何故目指したタイムが出せなかったのかについて分析し、解明する必要があります。全体的に見て、ニックが素晴らしい仕事をしてくれたのはチームとしては良い兆候だと思います。2番手というのは期待以上ですが、彼らはクルマのパフォーマンスを最大限に引き出してくれたということです。
WEC第1戦 カタール1812km 公式練習3回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 2 | アール・バンバー アレックス・リン セバスチャン・ブルデー | キャデラック・レーシング/ キャデラック V-Series.R | 24 | 1:40.667 |
2 | 5 | マット・キャンベル ミカエル・クリステンセン フレデリック・マコヴィッキィ | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 30 | 1:40.847 |
3 | 12 | ウィル・スティーブンス カラム・アイロット ノルマン・ナト | ハーツ・チームJOTA/ ポルシェ 963 | 29 | 1:41.121 |
4 | 6 | ケビン・エストレ アンドレ・ロッテラー ローレンス・バンスール | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 29 | 1:41.156 |
5 | 94 | ポール・ディ・レスタ ロイック・デュバル ストフェル・バンドーン | プジョー・トタルエナジーズ/ プジョー 9X8 | 27 | 1:41.176 |
9 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 29 | 1:41.535 |
17 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 30 | 1:42.691 |
WEC第1戦 カタール1812km 公式予選結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | ベストタイム |
1 | 5 | マット・キャンベル ミカエル・クリステンセン フレデリック・マコヴィッキィ | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 1:39.154 |
2 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 1:39.567 |
3 | 12 | ウィル・スティーブンス カラム・アイロット ノルマン・ナト | ハーツ・チームJOTA/ ポルシェ 963 | 1:39.714 |
4 | 93 | ミケル・イェンセン ニコ・ミュラー ジャン-エリック・ベルニュ | プジョー・トタルエナジーズ/ プジョー 9X8 | 1:39.974 |
5 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 1:40.097 |
11 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 1:40.586 |
WEC第1戦 カタール1812km ハイパーポール結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | ベストタイム |
1 | 5 | マット・キャンベル ミカエル・クリステンセン フレデリック・マコヴィッキィ | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 1:39.347 |
2 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 1:39.511 |
3 | 12 | ウィル・スティーブンス カラム・アイロット ノルマン・ナト | ハーツ・チームJOTA/ ポルシェ 963 | 1:39.622 |
4 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 1:39.976 |
5 | 6 | ケビン・エストレ アンドレ・ロッテラー ローレンス・バンスール | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 1:39.981 |

