6月15日(土)、FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間の決勝レースがスタート。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)の2台のGR010 HYBRIDは、序盤から着実にポジションを上げていき、レース4分の1となる6時間を経過した時点で共に上位争いを繰り広げています。
現地時間16日(土)午後4時、グランドスタンドを埋め尽くした大観衆が見守る前で、24時間にわたる激戦のスタートが切られました。セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮の8号車は、ブエミがスタートを担当し11番手、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス、ニック・デ・フリースの7号車はデ・フリースがハイパーカークラス最後尾の23番手グリッドからスタートを切りました。
懸念されていたスタート直後の混乱もなく、ブエミの8号車はすぐに猛プッシュでポジションアップ。4周目までにトップ6に食い込むと、最初のピットストップを終えた時点で4位へと浮上。1時間を経過する頃には、4台による3位争いに加わりました。
一方、後方スタートとなったデ・フリースの7号車は序盤のリスクを避けての慎重な走行ながらも、着実な追い上げを見せ、1時間経過時に17位までポジションを上げました。
スタートから1時間40分が経過した頃、全長13.626kmと広大なサーキットの一部で雨が降り始めました。2度目のピットを終え、その時点で2位を走行していたブエミの8号車は、ハイパーカー勢では最初にウェットタイヤへと履き替え、翌周にはデ・フリースの7号車もピットイン。ウェットタイヤへと交換すると共に、ドライバーは小林へと交代しました。しかし、降雨は長く続かず、すぐに路面が乾き始めたため、両車共に数周後には再びピットへ向かい、スリックのソフトタイヤへの交換を行いました。
他のハイパーカー勢は異なる戦略を取ったため、3時間を終えた時点での順位はブエミの8号車が8位、小林の7号車が11位でしたが、2台のGR010 HYBRIDは力強いペースで再び順位を上げていき、上位争いへ復帰しました。
4時間を終えたところで、給油タイミングの違いなどもあってブエミの8号車は一時首位を走行するなど、2台のGR010 HYBRIDは共にトップ6でレースを展開。8号車のブエミはスタートから3時間以上にわたるロングスティントを終えてハートレーへとドライバーチェンジ。7号車は5時間目を前にして小林からロペスへと交代しました。
5時間経過時点では、ハートレーが4位、ロペスが5位を走行。しかし、7号車はスローゾーン時の速度違反でドライブスルーペナルティを科され、8位へとポジションダウン。8号車は上位勢最速のペースで走行を続け、ハートレーから平川へと交代し、4位でコースへ復帰しました。
レースが4分の1を終える6時間経過時点で、GR010 HYBRIDは2台共にトップ6圏内を走行し、雨脚が強まる中でウェットタイヤへ交換し、7号車はデ・フリースへと交代。キャデラック、フェラーリ、ポルシェらとル・マンの栄冠を目指しバトルを繰り広げています。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
厳しい結果となった予選のあと、チームの皆が頑張ってくれたおかげで順位を取り戻すことができて、感謝しています。これまでのところ、全てが順調で着実にポジションを上げることができています。まだ先は長いです。ライバルとの戦いはかなり接近しているので、リスクを犯さず、慎重な戦略を続けています。このレースで最も難しいのは夜間走行です。夜が明けるまでは落ち着いて走行を続け、それからどうなるかです。上手く行けば日曜日は良い状態で戦えるでしょう。ペースは問題ないですし、さらなるポジションアップを狙えればと思っています。
ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー):
私のスティントの終盤には雨が降り始め、スリックタイヤで走り続けるのは本当に大変でした。チームからどうしたいか聞かれ、その時点では非常に難しい判断でしたが、結果的にその時のタイヤ選択は正しい判断だったと思います。かなり強い雨で、ピットへ戻るのも大変でした。天候が回復するまで頑張って走り続け、生き残らなくてはなりません。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
私はスタートを担当し、3スティント目の途中で雨が降ってきたことで、2.5スティントで交代しました。ウェットタイヤへの交換指示が出ましたが、その作戦はあまり上手く行きませんでした。スタートからの最初のスティントは、我慢してチャンスを待つしかありませんでした。ポジションを上げるのは困難でしたし、レースは長いのでリスクを冒す必要はなかったからです。序盤は各車がスリップストリーム状態で連なっていましたが、徐々に各車の間が開いてきてからは順位を上げていき、気流の乱れがない中、良いペースで走ることができました。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
大変でした。スタートではグリップの高いソフトタイヤを選択し、そのおかげで幾つか順位を上げることが出来ました。雨が降り始めたため、ウェットタイヤに履き替える決断をしましたが、すぐに雨は止んでしまい、再びスリックタイヤへ交換せざるを得ませんでした。フェラーリはタイヤを交換しなかったので、我々は若干タイムを失うことになりましたが、レースは長いので、その差を取り戻すべく戦い続けます。このレースはコンディションが変わりやすいので、ミスをしないよう、集中して最後まで戦います。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
セブ(ブエミ)が最初のスティントで素晴らしい走りを見せてくれました。彼はクリーンなスタートを切り、順位を上げました。唯一のトラブルらしいトラブルは、他の数台がスリックで走り続ける中でウェットタイヤへと交換し、若干タイムをロスしたことです。慎重になりすぎたのかも知れませんが、難しい判断でした。その後はとてもスムーズにレースは進んでおり、私自身のスティントにも満足しています。リズムを見つけるまでに時間がかかりましたが、トップグループについていくことができました。まだ先は長いですし、戦いは続いています。
WEC第4戦 ル・マン24時間 6時間経過時順位
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | トップとの差 |
1 | 83 | ロバート・クビサ ロバート・シュワルツマン イーフェイ・イエ | AFコルセ/ フェラーリ 499P | 96 | |
2 | 5 | マット・キャンベル ミカエル・クリステンセン フレデリック・マコヴィッキィ | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 96 | 49.546 |
3 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 96 | 55.603 |
4 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 96 | 1:10.566 |
5 | 6 | ケビン・エストレ アンドレ・ロッテラー ローレンス・バンスール | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 96 | 2:30.473 |
9 | 7 | 小林可夢偉 ホセ・マリア・ロペス ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 96 | 3:26.477 |