TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、ここまで僅差のレース展開が続いている2024年FIA世界耐久選手権(WEC)で、いよいよタイトルが決する最終戦バーレーン8時間(11月2日(土)決勝)に挑みます。
チームは、フェラーリ、ポルシェといった強力なライバルを制し、マニュファクチャラーズ選手権タイトル防衛という使命を果たすべく、全8戦で争われてきたシーズンの最終戦となるバーレーンラウンドに臨みます。今季ここまでの7戦でTGRは2勝を挙げており、このバーレーンで3勝目を挙げることができれば、他チームの結果に関わらず、TGRの6シーズン連続でのマニュファクチャラーズチャンピオンが確定します。
マイク・コンウェイと共にGR010 HYBRID 7号車を駆る小林可夢偉とニック・デ・フリースは、逆転でのドライバーズチャンピオン獲得の可能性を僅かに残していますが、そのためには7号車が優勝し、かつライバルのポルシェ6号車がノーポイントで終わるという厳しい条件が付きます。昨年のバーレーン戦勝者で、ドライバーズ選手権のディフェンディングチャンピオンであるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーと平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、今季2勝目を目指します。11月2日の土曜日に決勝が行われるバーレーン8時間は昼間にスタートし、日暮れ後にゴールを迎えます。
TGRは、バーレーン・インターナショナル・サーキットで直近7連勝、うち6戦連続で1-2フィニッシュという好成績を残しています。この島の王国でこれまでに開催されたWEC12戦のうち、TGRは9勝、6度のポールポジションと5度の最前列グリッド独占という記録を持っています。
今年は、ドライバーズとマニュファクチャラーズタイトルの獲得を目指すフェラーリ、ポルシェといったライバルを含む18台のハイパーカーが参戦し、競争はこれまでになく厳しいものとなっています。また、アルピーヌ、BMW、キャデラック、プジョーも前戦富士で速さを見せており、今バーレーン戦でも、栄誉を賭けたエキサイティングなバトルにこれらのチームも加わってきます。
1周5.412kmのバーレーン・インターナショナル・サーキットは、現行WECが始まった2012年以降、11シーズン中8シーズンで最終戦として開催され、今やWECシーズン最終戦として定着しています。15のコーナーで構成されるコースレイアウトは、高速コーナーと低速セクションを併せ持ち、路面のグリップレベルが高く、またタイヤ摩耗も激しいことで知られ、タイヤマネージメントという点でも非常に難しいコースです。
決勝レースへ向けた準備は、10月31日(木)の2度にわたる90分間の公式練習走行で開始されます。最初のセッションは昼間ですが、2回目のセッションは日没の後にライトがコースを照らす中で行われます。11月1日(金)は最終の練習走行が行われた後、決勝のスターティンググリッドを決定する予選とハイパーポールが、現地時間午後4時40分(日本時間午後10時40分)から行われます。8時間で争われる決勝レースは、11月2日(土)午後2時(日本時間午後8時)にスタートが切られます。
またチームは、この8時間レースを終えた後もバーレーンに残り、翌3日(日)に同サーキットで恒例のWEC公式ルーキーテストに参加します。このルーキーテストでは、チームの「若手で有望なドライバーへ走行機会を与える」というコミットメントの一環として、エステバン・マッソン選手が初めてGR010 HYBRIDをドライブします。この20歳のフランス人ドライバーは今シーズン、WECのLMGT3カテゴリーでAKKODIS ASPチームからエントリーしている87号車のレクサスRC F LMGT3をドライブし、素晴らしい走りを見せています。またTGRがマニュファクチャラーズタイトルを獲得した場合、今シーズンのヨーロピアン・ル・マン・シリーズに参戦している21歳のレシャド・デ・ジェラス選手も、WECから公式に認定されたルーキーとしてGR010 HYBRIDをドライブすることとなります。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
エキサイティングで、チャレンジングだったシーズンもいよいよ最終戦を迎えます。今季はチームとして何度も素晴らしい瞬間がありましたが、前戦富士のように大変なことも同じくらいありました。今シーズンは終始熾烈な戦いが続いていますが、チーム全員の多くの努力のおかげで、マニュファクチャラーズチャンピオンを自力で獲得できる状況で最終戦を迎えることができます。もちろん、チャンピオンを獲得するには勝利することが必要ですが、その目標達成へ向け、チーム一丸となって全力で挑みます。完璧なレースウィークとする必要がありますが、その挑戦への準備は整っています。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
バーレーンでのレースは楽しめます。走っていて楽しいコースで、素晴らしい思い出もあります。2014年に私がトヨタに加わってからの初勝利がここバーレーンでしたし、2度のドライバーズタイトルを決めたのもここでした。チームとしてもバーレーンでは好成績を収めてきており、今年もその記録を更新したいと思っていますが、今大会もポルシェやフェラーリが強力なライバルとして立ちはだかり、接近戦となるでしょう。その激戦を勝ち抜く必要がありますが、準備は万端ですし、楽しみです。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
今大会は、私にとってTGRレーシングドライバーとしてのデビューイヤー最終戦となりますが、マニュファクチャラーズタイトルがかかった重要なレースであり、バーレーンが待ちきれません。このコースは他のシリーズ戦などで走ったので良く知っています。また、ここバーレーンでのルーキーテストで2019年にTS050 HYBRIDをテストしたのがTGRとの始まりでしたし、そういった経験もあり、トヨタのレーシングドライバーとしてバーレーンに戻ってくることができ嬉しいです。富士は我々にとって厳しいレースとなってしまいましたが、最終戦で巻き返すべく、準備は整っています。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
バーレーンに行くのはいつでも楽しみです。最高のサーキットで、素晴らしい施設と良い天候、そして親戚が何人か住んでいることもあって、まるでホームレースのように感じます。サーキットを走るのも楽しく、特にターン5からの高速セクションは、流れるように速く、その先に続くヘアピンでは追い抜きのチャンスがあります。バーレーン戦は、夜間走行もあり温度変化が大きく、珍しいレースです。それにより正しいセットアップを見出すのはいつもよりも難しいですし、練習走行からしっかりと取り組んでいく必要があります。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
バーレーンはエキサイティングに繰り広げられてきた今シーズンの最終戦であり、毎年チームの大きな目標のひとつであるマニュファクチャラーズタイトルを争うことになります。歴史的に我々はバーレーンで良い戦いをしていますし、サーキットも我々のクルマに合っているように感じるので、来たるレースウィークでも良い方向に進んでくれると思います。いつもより長い8時間レースということもあり、正しい戦略でクリーンなレースを戦うことがより重要となります。チーム全員が大変な努力で準備を進めてきたことを知っていますし、レースウィークが始まるのが待ちきれません。
平川亮(8号車 ドライバー):
我々のバーレーンでの目標はレースに勝つことです。その結果により世界チャンピオンタイトルが獲得できますが、もちろんそれは簡単なことではありません。前戦富士でライバルが強さを示したことで、今回もまた厳しいレースになることが予想されますが、絶対に諦めず最後まで戦います。GR010 HYBRIDのパフォーマンスを最大限に引き出すためにも、レースウィークを通して集中力を保つことが重要です。それができればチャンスはあるので、シーズンを最高の形で締めくくり、応援してくださる方々やパートナーの皆様にも喜んで頂ける結果を持ち帰るべく、全力を尽くします。