TOYOTA GAZOO Racingのチームメイトを語る
中嶋一貴と小林可夢偉のインタビュー後編では、
共にTS050 HYBRIDで走るチームメイトのことや、
良きライバルでもあるおふたりのこと。
そして今季のル・マン24時間レースとWECに挑む
気持ちなどを語ります。
5号車ではセバスチャンは一番ラテン気質、
とにかくずーっと喋っている中嶋一貴
今年、おふたりは5号車と6号車に分かれてWECを戦うわけですが、同じ号車に乗る他の2選手について、どのようなタイプの選手なのか教えてください。
僕が乗る5号車では、セバスチャン(ブエミ)が一番ラテン気質で、とにかくずーっと喋っている。けっこう文句も言うんですけど、それはもっとクルマを良くしたいという気持ちが強いから。でも走りは意外と繊細で、ブレーキングなんかは一番上手だと思います。そして、アンソニー(デビッドソン)は性格的にはセバスチャンに近い部分もあって、かなり熱い部分もあるんですが、大人なので猫を被っている。表に出す部分と、中に持っている部分が良い意味で違います。セバスチャンは、表に出ている部分がすべてですね。
6号車のドライバーは、
きっとみんな感覚で乗るタイプですね小林可夢偉
では、中嶋選手はご自身をどのように自己分析していますか?
僕自身は、よく分からないけれど淡々と仕事をする方じゃないかなと。どちらかというと、3人の中ではバランスを取る立場ですかね。でも、クルマに乗ったらがんばっちゃうのは3人とも一緒だと思います。
僕は、まだステファン(サラザン)やマイク(コンウェイ)とは一緒にレースを戦ったことがないので、正直なところ彼らがどんな性格なのかはつかめていません。これからです。でも、きっとこちらのチームはみんな感覚で乗るタイプですね。僕もふわっと乗るほうだし。
僕もどちらかというと感覚で乗るタイプかな。他のふたりの方が、いろいろと考えながら乗っているような気がします。
一貴は、見た目よりも自由やからね。いろいろ考えていそうで、すごくちゃんとしてそうだけど、ビビるくらい正反対で自由ですから。ほんまに(笑)。
可夢偉は、見たまんま自由ですよ(笑)。
勝負強いんですよ、一貴は。
あと、見た目より自由ですから(笑)小林可夢偉
中嶋選手は、レース中ブレーキング競走になったら絶対に引かないと評判ですね。
引かない、すごい引かないですよ。勝負強いんです、一貴は。
失敗する時もありますけどね。去年はたまたまそういう風に見えただけじゃないですか? 一昨年はがんばって止まれなかったこともあるし。
可夢偉はアグレッシブに見えるけど、
レースが上手いんです中嶋一貴
中嶋選手は、小林選手に対してどのようなイメージを持っていますか?
可夢偉はレースが上手いんです。特にF1のときはそれが凄く良く出ていたと思う。アグレッシブなんだけどぶつからない。カートの時からその印象は変わらないです。クルマで多少負けていても、うまいこといなして行っちゃう。 あと、人と違うことをいろいろ試したりもする。F1時代に、ストレート前の最終コーナーで僕が可夢偉の真後ろについていた時、わざと前に出されたことがあったんです。そして後ろからスリップストリームを使われて1コーナーで抜かされた。
そんな事したっけ?
たしか、ブラジルグランプリの時だったと思う。あと、もっと昔のフォーミュラ・トヨタの時代も、僕らの時はクラッチを踏んでHパターンのギヤを操作していたんですが、僕はギヤを壊すのが嫌なので言われた通りに操作していた。でも、可夢偉はそこらへんかなり自由で、効率を求めていろいろと試していました。
怒られながらね。
僕は怒られたくないし、壊したくもないので言われた通りにやろうとしていた。今は、もうちょっと自由ですけど。当時は見た目と中身が今よりは一致していた。
確かにそうだ。一貴は年々自由になってきている! これは悪い症状やね。あかん道に向かっているな(笑)。