WEC

中嶋一貴×小林可夢偉 後編(1/2)

後編:ル・マン24時間レースはモナコ以上に特別なレース

TOYOTA GAZOO Racingのドライバーたち

TOYOTA GAZOO Racingのチームメイトを語る

中嶋一貴と小林可夢偉のインタビュー後編では、
共にTS050 HYBRIDで走るチームメイトのことや、
良きライバルでもあるおふたりのこと。

そして今季のル・マン24時間レースとWECに挑む
気持ちなどを語ります。

5号車ではセバスチャンは一番ラテン気質、
とにかくずーっと喋っている中嶋一貴

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今年、おふたりは5号車と6号車に分かれてWECを戦うわけですが、同じ号車に乗る他の2選手について、どのようなタイプの選手なのか教えてください。

中嶋

僕が乗る5号車では、セバスチャン(ブエミ)が一番ラテン気質で、とにかくずーっと喋っている。けっこう文句も言うんですけど、それはもっとクルマを良くしたいという気持ちが強いから。でも走りは意外と繊細で、ブレーキングなんかは一番上手だと思います。そして、アンソニー(デビッドソン)は性格的にはセバスチャンに近い部分もあって、かなり熱い部分もあるんですが、大人なので猫を被っている。表に出す部分と、中に持っている部分が良い意味で違います。セバスチャンは、表に出ている部分がすべてですね。

  • 5号車をドライブする3人。左から中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ
    5号車をドライブする3人。
    左から中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ
  • 2014年、WECのドライバーズチャンピオンを獲得したアンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミ

6号車のドライバーは、
きっとみんな感覚で乗るタイプですね小林可夢偉

−−

では、中嶋選手はご自身をどのように自己分析していますか?

中嶋

僕自身は、よく分からないけれど淡々と仕事をする方じゃないかなと。どちらかというと、3人の中ではバランスを取る立場ですかね。でも、クルマに乗ったらがんばっちゃうのは3人とも一緒だと思います。

小林

僕は、まだステファン(サラザン)やマイク(コンウェイ)とは一緒にレースを戦ったことがないので、正直なところ彼らがどんな性格なのかはつかめていません。これからです。でも、きっとこちらのチームはみんな感覚で乗るタイプですね。僕もふわっと乗るほうだし。

中嶋

僕もどちらかというと感覚で乗るタイプかな。他のふたりの方が、いろいろと考えながら乗っているような気がします。

小林

一貴は、見た目よりも自由やからね。いろいろ考えていそうで、すごくちゃんとしてそうだけど、ビビるくらい正反対で自由ですから。ほんまに(笑)。

中嶋

可夢偉は、見たまんま自由ですよ(笑)。

  • 6号車をドライブする3人。左からマイク・コンウェイ、ステファン・サラザン、小林可夢偉
    6号車をドライブする3人。
    左からマイク・コンウェイ、ステファン・サラザン、小林可夢偉
  • ステファン・サラザンが乗るTS050 HYBRIDのコックピットをのぞき込む小林可夢偉

勝負強いんですよ、一貴は。
あと、見た目より自由ですから(笑)小林可夢偉

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中嶋選手は、レース中ブレーキング競走になったら絶対に引かないと評判ですね。

小林

引かない、すごい引かないですよ。勝負強いんです、一貴は。

中嶋

失敗する時もありますけどね。去年はたまたまそういう風に見えただけじゃないですか? 一昨年はがんばって止まれなかったこともあるし。

可夢偉はアグレッシブに見えるけど、
レースが上手いんです中嶋一貴

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中嶋選手は、小林選手に対してどのようなイメージを持っていますか?

中嶋

可夢偉はレースが上手いんです。特にF1のときはそれが凄く良く出ていたと思う。アグレッシブなんだけどぶつからない。カートの時からその印象は変わらないです。クルマで多少負けていても、うまいこといなして行っちゃう。 あと、人と違うことをいろいろ試したりもする。F1時代に、ストレート前の最終コーナーで僕が可夢偉の真後ろについていた時、わざと前に出されたことがあったんです。そして後ろからスリップストリームを使われて1コーナーで抜かされた。

小林

そんな事したっけ?

中嶋

たしか、ブラジルグランプリの時だったと思う。あと、もっと昔のフォーミュラ・トヨタの時代も、僕らの時はクラッチを踏んでHパターンのギヤを操作していたんですが、僕はギヤを壊すのが嫌なので言われた通りに操作していた。でも、可夢偉はそこらへんかなり自由で、効率を求めていろいろと試していました。

小林

怒られながらね。

中嶋

僕は怒られたくないし、壊したくもないので言われた通りにやろうとしていた。今は、もうちょっと自由ですけど。当時は見た目と中身が今よりは一致していた。

小林

確かにそうだ。一貴は年々自由になってきている! これは悪い症状やね。あかん道に向かっているな(笑)。

  • 2009年F1ブラジルGPの小林可夢偉vs中嶋一貴
  • 笑顔でインタビューに答える中嶋一貴と小林可夢偉