FIA-F2の第5戦が伝統の「モナコ・サーキット」で行われ、TGR WECチャレンジプログラムから同シリーズに今季よりフル参戦している宮田莉朋は、予選でトラブルに見舞われ最後尾からのスタートとなるも、ミスの許されない屈指の難コースでの戦いを着実に走り抜き、スプリントレース17位、フィーチャーレースは15位で完走を果たしました。

5月23日(木)から26日(日)にかけて、モナコ公国のモンテカルロ市街地特設コースで2024年FIA-F2第5戦が開催されました。FIA-F2には今季TOYOTA GAZOO Racing(TGR) WECチャレンジプログラムのドライバーである宮田莉朋がロディン・モータースポーツからフル出場しています。
宮田は開幕戦サヒール(バーレーン)のフィーチャーレースで9位に入り、デビュー戦で入賞、ポイントを獲得。第3戦アルバートパーク(オーストラリア)でもスプリントレース、フィーチャーレース共に5位フィニッシュとポイント獲得を果たしました。しかし、約2か月のインターバルの後に舞台が欧州へと移った第4戦イモラでは、コースの経験豊富なライバルに対し初走行のハンデを負う中で、トラブルにも見舞われるなど苦戦を強いられ、13位/15位でレースを終えました。
華やかな伝統の「モナコ・グランプリ」の併催レースとして行われる今大会ですが、走るドライバーにとっては非常に幅が狭く、壁が迫る屈指の難コースであり、初走行の宮田の走りに注目が集まりました。
予選
通常FIA-F2はレースウィークの金曜日に練習走行と予選を行い、土曜日にスプリントレース、日曜日にフィーチャーレースというスケジュールで実施されますが、伝統のモナコでは、木曜日に練習走行、金曜日に予選というスケジュールとなり、加えて、23日(木)はあいにくの雨模様に。宮田にとって初めてのモナコでの走行はウェットコンディションとなりました。
24日(金)の予選は一転好天に恵まれドライコンディション。宮田はドライでの初走行でいきなり予選でのアタックを行うこととなりました。モナコでは2グループに分けて11台ずつ予選を実施。宮田はAグループで現地時間午後3時10分から15分間のアタックに入りました。宮田は慎重に周回を重ねながらタイムを詰めて行き、5周目に1分23秒台に入れ、本格アタックに入ろうとしましたが、突然のトラブルに見舞われスローダウン。なんとかピットへは戻ったものの再アタックはできず、予選通過基準となるポールポジションから107%のタイムをクリアできず。グループ最下位で予選を終えることとなり、スプリントレース、フィーチャーレース共に最後尾の22番手からのスタートを強いられることとなりました。
【スプリントレース】
25日(土)も好天。午後2時15分、気温25度、路面温度は53度まで上昇する中30周で争われるスプリントレースのスタートが切られました。
スタート直後の1コーナーで中団グループによる接触、多重クラッシュが発生。1周目からセーフティカーが導入されることに。レースはその後、2周目に再開されるも6周目にクラッシュ車両で再びセーフティカー。11周目と24周目にもバーチャルセーフティカーが導入されるなど大荒れの展開となりました。
宮田は追い抜きの困難な展開の中で、16周を終えたところでピットへ向かい、タイヤをプライム(ソフト)からオプション(スーパーソフト)へと交換。24周目にはまたクラッシュが発生し、車両がコースを塞ぐ形となったためにレースは赤旗中断。残り6周、宮田は17位で再スタートを切ると、終盤は後続からの猛追を受けるも凌ぎきって17位でチェッカーを受けました。
宮田莉朋:
予選でトラブルが起きてしまい1周しかアタックすることができず、今回のスプリントレースは一番後ろからスタートしました。チームの指示にしたがってピットに入りオプションタイヤに替えて、クリーンエアでプッシュしているときに赤旗にもなってしまい、かなり荒れたレースでしたが、同じような状況でピットに入った車両をコース上でオーバーテイクすることもできて、順位は下の方ですが、自分の中ではしっかり学べたレースでした。昨日の予選はちゃんと走れなかったのですが、今日のレースでドライコンディションのモナコという部分もしっかり勉強できたので、明日のフィーチャーレースも頑張っていきたいなと思います。
【フィーチャーレース】
26日(日)午前9時40分からタイヤ交換義務有りの42周で争われるフィーチャーレースがスタートしました。
このレースは前日とは一転、序盤から大きなアクシデントの無いまま推移。数台がトラブルなどでリタイアしたことで宮田は少しずつ順位を上げていきました。
タイヤ交換義務が消化できる6周を過ぎ、上位勢から徐々にピットへ向かっていく中、宮田はピットを遅らせる作戦を採り、28周を終えたところでピットへ向かい、タイヤをオプションへと交換しました。
ピットイン前に引っかかっていた前走車両をピット直後にパスしたことで前が空いた宮田は、クリーンエアでペースアップ。32周目にはその時点でのファステストタイムとなる1分22秒878をマークすると、翌周には1分22秒597でさらにタイムを更新しました。
終盤、ライバルにファステストラップは更新されたものの、宮田はハイペースで前を追い、一時は18秒あった前車との差を詰めると、38周目にパスし16位へ浮上。翌周上位車両がクラッシュしたことでもう一つ順位を上げ、15位フィニッシュとなりました。
宮田莉朋:
作戦はプライムタイヤからスタートして最後にオプションで進める形を採りました。クリーンエアで走れたときは速かったですが、オーバーテイクが難しく、プライムタイヤの終盤にはピットを終えた車両に追いつかれて始めてきたので、気持ち早めにピットへ入ることになりました。オプションタイヤに交換してクリーンエアで攻めているときはファステストラップも争えましたが、その前の周で一度壁に当たり、ファステストラップを取ったときも最終コーナーでプッシュした結果、壁にぶつかってしまいました。でもファステストラップを争っていけるまでに速さはもっていけましたし、壁にはぶつかってはいけないのですが、そこまで攻めて走れるクルマで、自分もこういったストリートサーキットを攻め切れたという点ではポジティブです。ストリートサーキットだとジェッダやメルボルンのように、最後はポジティブな要素で終われたので、少なからず次に繋がる成果をレース中に得られたと思いますし、チームと頑張った結果かなと思います。今週末、心残りな結果にはなりましたが、ポジティブな要素で終えられたので、またこれを次に繋げて、次戦のバルセロナに向けて頑張りたいと思います。応援ありがとうございました。
FIA-F2第5戦 予選結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム | ベストタイム |
---|---|---|---|---|
1 | 25 | Taylor Barnard | PHM AIX Racing | 1:21.831 |
2 | 10 | Gabriel Bortoleto | Invicta Racing | 1:21.670 |
3 | 11 | Dennis Hauger | MP Motorsport | 1:21.659 |
4 | 4 | Andrea Kimi Antonelli | Prema Racing | 1:21.669 |
5 | 23 | Roman Stanek | Trident | 1:21.466 |
6 | 12 | Franco Colapinto | MP Motorsport | 1:21.655 |
7 | 17 | Paul Aron | Hitech Pulse-Eight | 1:21.347 |
8 | 20 | Isack Hadjar | Campos Racing | 1:21.440 |
9 | 1 | Victor Martins | ART Grand Prix | 1:21.310 |
10 | 22 | Richard Verschoor | Trident | 1:21.283 |
22 | 6 | Ritomo Miyata | Rodin Motorsport |
FIA-F2第5戦 スプリントレース結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム | 周回 | タイム/差 | グリッド |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 25 | Taylor Barnard | PHM AIX Racing | 30 | 1:04:20.946 | 1 |
2 | 10 | Gabriel Bortoleto | Invicta Racing | 30 | 5.246 | 2 |
3 | 11 | Dennis Hauger | MP Motorsport | 30 | 5.817 | 3 |
4 | 4 | Andrea Kimi Antonelli | Prema Racing | 30 | 8.213 | 4 |
5 | 12 | Franco Colapinto | MP Motorsport | 30 | 10.857 | 6 |
6 | 23 | Roman Stanek | Trident | 30 | 13.594 | 5 |
7 | 17 | Paul Aron | Hitech Pulse-Eight | 30 | 15.085 | 7 |
8 | 20 | Isack Hadjar | Campos Racing | 30 | 16.495 | 8 |
9 | 14 | Enzo Fittipaldi | Van Amersfoort Racing | 30 | 16.89 | 11 |
10 | 2 | Zak O'Sullivan | ART Grand Prix | 30 | 17.752 | 13 |
17 | 6 | Ritomo Miyata | Rodin Motorsport | 30 | 25.203 | 22 |
FIA-F2第5戦 フィーチャーレース結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム | 周回 | タイム/差 | グリッド |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | Zak O'Sullivan | ART Grand Prix | 42 | 1:00:25.696 | 15 |
2 | 20 | Isack Hadjar | Campos Racing | 42 | 0.58 | 3 |
3 | 17 | Paul Aron | Hitech Pulse-Eight | 42 | 8.053 | 4 |
4 | 3 | Ollie Bearman | Prema Racing | 42 | 9.118 | 12 |
5 | 8 | Juan Manuel Correa | DAMS Lucas Oil | 42 | 9.586 | 13 |
6 | 11 | Dennis Hauger | MP Motorsport | 42 | 9.945 | 8 |
7 | 4 | Andrea Kimi Antonelli | Prema Racing | 42 | 17.54 | 7 |
8 | 10 | Gabriel Bortoleto | Invicta Racing | 42 | 17.847 | 9 |
9 | 1 | Victor Martins | ART Grand Prix | 42 | 18.021 | 2 |
10 | 5 | Zane Maloney | Rodin Motorsport | 42 | 26.555 | 14 |
15 | 6 | Ritomo Miyata | Rodin Motorsport | 42 | 32.386 | 22 |
FIA-F2第5戦終了時ランキング
順位 | No. | ドライバー名 | チーム | ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 17 | Paul Aron | Hitech Pulse-Eight | 80 |
2 | 20 | Isack Hadjar | Campos Racing | 78 |
3 | 5 | Zane Maloney | Rodin Motorsport | 69 |
4 | 11 | Dennis Hauger | MP Motorsport | 56 |
5 | 10 | Gabriel Bortoleto | Invicta Racing | 50 |
6 | 4 | Andrea Kimi Antonelli | Prema Racing | 48 |
7 | 2 | Zak O'Sullivan | ART Grand Prix | 40 |
8 | 12 | Franco Colapinto | MP Motorsport | 38 |
9 | 9 | Kush Maini | Invicta Racing | 34 |
10 | 14 | Enzo Fittipaldi | Van Amersfoort Racing | 32 |
15 | 6 | Ritomo Miyata | Rodin Motorsport | 16 |

