TOYOTA GAZOO Racing WECチャレンジプログラムFIA-F2 第9戦ブダペスト
宮田がレース2で18番手から追い上げ8位でポイント獲得

2024.07.22(月)- 17:00配信

 FIA-F2の第9戦がハンガロリンクで行われ、TGR WECチャレンジプログラムから同シリーズに今季よりフル参戦している宮田莉朋は予選で18番手と苦しむも、スプリントレースでは優れたタイヤマネージメントで12位。フィーチャーレースでは終盤見事なオーバーテイクショーを演じ、8位でポイント獲得を果たしました。

宮田莉朋がF2初ウェットのスプリント戦で10位

 7月19日(金)から21日(日)にかけて、ハンガリー・ブダペストのハンガロリンクで2024年FIA-F2第9戦が開催されました。FIA-F2には今季TOYOTA GAZOO Racing(TGR) WECチャレンジプログラムのドライバーである宮田莉朋がロディン・モータースポーツからフル出場しています。

 全14戦で争われている今季のFIA-F2も後半戦に入っています。今季FIA-F2とELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)に参戦している宮田は、6月のル・マン24時間レースに出場した後、翌週からヨーロッパを転々としながら、FIA-F2だけで6週間で5戦という過密スケジュールでレースを戦っています。

 宮田はデビューイヤーのFIA-F2序盤戦、中東の開幕戦と豪州の第3戦でポイント獲得を果たしました。舞台が欧州へ移ってからは、初めてのサーキットで走行時間も限られる中、苦しい戦いが続いていますが、毎戦着実に経験を積み、随所で光る速さを見せています。前戦シルバーストーンでは、初のウェットコンディションとなったスプリントレースで粘り強い走りを見せ、トップ10フィニッシュを果たしました。

予選

 19日(金)午後4時4分より、気温は31度、路面温度も50度を超える暑さの中で30分間の予選が行われました。
 セッション開始と共に各車アタックに向かい、宮田は5周目のタイムで暫定17番手。さらにタイムを刻もうとしたところで、残り19分でスピンを喫した車両がコース上に止まり、赤旗が出されました。
 数分後にセッションは再開されましたが、ほとんどの車両がラストアタックへ向け待機。残り11分を切ったあたりから再アタックを開始しました。
 宮田はこの日午前中の練習走行で6番手タイムをマークしており、予選でも好位置が期待されましたが、ライバル勢もタイムを向上させてくる中、上位に食い込むことはできず、18番手で予選を終えることとなりました。

【スプリントレース】

 20日(土)午後2時15分から28周、タイヤ交換義務無しのスプリントレースが行われました。この日は空には雲がかかり、気温26度、路面温度は36度と前日よりもかなり低いコンディションでのレースとなりました。
 このレースはタイヤ交換義務が無いため、基本的にスタートしたタイヤで最後まで走り切ることとなりますが、オプションタイヤ(ソフト)とプライムタイヤ(ハード)装着車両でほぼ半々に分かれました。宮田はオプションタイヤを装着。
 18番手グリッドからスタートを切った宮田は、スタート直後の混乱の中で順位を落とし、2周目にはほぼ最後尾の21位へと後退。しかしタイヤが暖まってペースを掴んでからはライバルとのバトルを繰り広げ、次々に前車をパス。10周目には17位まで順位を上げました。
 しかし、レース後半になるとタイヤの摩耗が厳しくなり、プライムタイヤ勢の巻き返しを受けることに。それでも宮田は懸命にタイヤをマネージメントしポジションをキープ。終盤タイヤ摩耗に耐えきれずピットへ向かうオプション勢も出て、大勢的にはプライム勢が有利となったこのレースで、宮田はタイヤを美味くマネージメントして最後までオプションタイヤのままバトルを続け、ライバルの追撃を凌ぎ切って13位でチェッカー。レース後に1台失格となったことで12位フィニッシュとなりました。

宮田莉朋:

 まずは予選でのパフォーマンスが足りず、18番手でしたが、初めてのコースですし、まだ経験も浅い中でのレースウィークの始まりだったので、しっかり自分も成長していくことを意識してスプリントレースに臨みました。スプリントレースは、プライムタイヤとオプションタイヤが混ざるレースとなって、かなり荒れたというか、タイヤ選択に左右されるレースでした。僕はオプションタイヤで、何度かタイヤにフラットスポットを作ってしまったのですが、結果的に13位で走り切ることができましたし、しっかりオーバーテイクもし、後半は順位を守りながらのレースができました。自分の中ではポジティブな要素が大きいですし、これからも一歩ずつ成長していきたいなと思っています。明日もまだフィーチャーレースがあるので、しっかりストラテジーを考えて、また自分も成長していけるように頑張っていきたいと思います。

【フィーチャーレース】

 21日(日)午前10時5分から37周もしくは60分+1周で争われるフィーチャーレースが行われました。気温23度、路面温度29度と比較的過ごしやすいコンディションでのレースとなりました。タイヤ交換義務があり、上位勢は多くがオプションタイヤを装着。18番手と後方からのスタートを余儀なくされた宮田は、上位勢とは逆のプライムタイヤでスタートし、追い上げを図る作戦に出ました。
 1台がピットスタートとなったことで、事実上17番手からスタートを切った宮田は、大混戦の中で16,17位あたりでのバトルを展開。7周目に接触によりコース上に停まった車両があり、セーフティカーが導入されると、オプションタイヤ装着の上位勢が一斉にピットへ。プライムタイヤの宮田はピットへ入らず、6位へと順位を上げる形となりました。
 11周目に再スタートが切られると、宮田は他のプライム勢と激しい順位争いを展開。
 22周目にスピンから大きなクラッシュが発生し、この日2度目のセーフティカーが導入されると、宮田らプライム勢はこのチャンスに一斉にピットへと向かいました。
 宮田は14位でレースに復帰。27周目からレースが再開されました。先にピットインしていた車両がタイヤの摩耗に苦しむ中、新品タイヤに交換したばかりの宮田は再スタート直後に1台かわすと、次々に先行車をパス。5周で6台をかわして8位まで順位を上げる、オーバーテイクショーを演じることとなりました。
 レースは2度のセーフティカー導入により、60分+1周のタイムレースとされ、36周でファイナルラップに。最後まで宮田は激しいバトルを繰り広げましたが、0.2秒及ばず8位でチェッカー。それでも、第6戦バルセロナのスプリントレース以来、フィーチャーレースでは第3戦メルボルン以来となる入賞、ポイント獲得を果たしました。

宮田莉朋:

 メルボルン以来の、フィーチャーレースでポイントを獲得することができました。結果的に8位で終えて、ストラテジーも、セーフティカーが2回出たことで作戦面も機能しました。1回目のセーフティカーの時はちょっとアンラッキーな状況でしたけれども、2回目のセーフティカーで挽回することができて、これまでのレースで積んできた経験と努力が少しずつ、しっかり結果に繋がってきているので、素直に今の結果はすごく嬉しいですし、自分の努力もちゃんと形として出てきているので、これからも良いレースができるように頑張りたいと思います。ハンガロリンクは抜くのが難しいサーキットでしたが、タイヤの選択によってはオーバーテイクできましたし、日本にはないレイアウトのコースだったので、結構楽しいレースができました。応援ありがとうございました。

FIA-F2第9戦 予選結果

順位No.ドライバー名チームベストタイム
1 17 Paul Aron Hitech Pulse-Eight 1:30.028
2 14 Enzo Fittipaldi Van Amersfoort Racing 1:30.096
3 20 Isack Hadjar Campos Racing 1:30.221
4 10 Gabriel Bortoleto Invicta Racing 1:30.237
5 1 Victor Martins ART Grand Prix 1:30.247
6 11 Dennis Hauger MP Motorsport 1:30.320
7 4 Andrea Kimi Antonelli Prema Racing 1:30.353
8 5 Zane Maloney Rodin Motorsport 1:30.462
9 9 Kush Maini Invicta Racing 1:30.492
10 22 Richard Verschoor Trident 1:30.606
18 6 Ritomo Miyata Rodin Motorsport 1:30.979

FIA-F2第9戦 スプリントレース結果

順位No.ドライバー名チーム周回タイム/差グリッド
1 9 Kush Maini Invicta Racing 28 44:28.935 2
2 1 Victor Martins ART Grand Prix 28 9.564 6
3 20 Isack Hadjar Campos Racing 28 15.005 8
4 11 Dennis Hauger MP Motorsport 28 24.643 5
5 12 Franco Colapinto MP Motorsport 28 26.161 12
6 17 Paul Aron Hitech Pulse-Eight 28 32.825 10
7 25 Taylor Barnard PHM AIX Racing 28 37.451 17
8 8 Juan Manuel Correa DAMS Lucas Oil 28 40.904 19
9 7 Jak Crawford DAMS Lucas Oil 28 49.354 22
10 3 Ollie Bearman Prema Racing 28 52.613 14
12 6 Ritomo Miyata Rodin Motorsport 28 54.665 18

FIA-F2第9戦 フィーチャーレース結果

順位No.ドライバー名チーム周回タイム/差グリッド
1 4 Andrea Kimi Antonelli Prema Racing 36 1:02:46.691 7
2 1 Victor Martins ART Grand Prix 36 12.528 5
3 22 Richard Verschoor Trident 36 13.355 10
4 10 Gabriel Bortoleto Invicta Racing 36 14.819 4
5 14 Enzo Fittipaldi Van Amersfoort Racing 36 18.516 2
6 11 Dennis Hauger MP Motorsport 36 19.179 6
7 9 Kush Maini Invicta Racing 36 20.27 9
8 6 Ritomo Miyata Rodin Motorsport 36 20.498 18
9 25 Taylor Barnard PHM AIX Racing 36 21.193 17
10 15 Rafael Villagómez Van Amersfoort Racing 36 23.31 16

FIA-F2第9戦終了時ランキング

順位No.ドライバー名チームポイント
1 20 Isack Hadjar Campos Racing 140
2 17 Paul Aron Hitech Pulse-Eight 122
3 10 Gabriel Bortoleto Invicta Racing 110
4 5 Zane Maloney Rodin Motorsport 101
5 12 Franco Colapinto MP Motorsport 96
6 4 Andrea Kimi Antonelli Prema Racing 85
7 7 Jak Crawford DAMS Lucas Oil 84
8 11 Dennis Hauger MP Motorsport 79
9 9 Kush Maini Invicta Racing 74
10 14 Enzo Fittipaldi Van Amersfoort Racing 58
19 6 Ritomo Miyata Rodin Motorsport 23
宮田莉朋
ブダペスト・サーキット