TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、1月21日(木)から24日(日)にかけてフランスおよびモナコで開催される、FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦「ラリー・モンテカルロ」に、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(ヤリスWRC1号車)、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)の、3台のヤリスWRCで参戦。2017年のWRC復帰初年度から毎年表彰台を獲得してきた伝統のラリー・モンテカルロで、総合優勝を目指します。
ラリー・モンテカルロは、1911年初開催のWRCで最も長い歴史を誇るイベントです。チームは2017年のWRC復帰初年度に、今年からチーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラが総合2位に入りました。以降、チームは毎年表彰台を獲得し続け、2020年大会では新たにチームに加入したオジエが総合2位、エバンスが総合3位でフィニッシュ。WRC最難関といわれるこの伝統のラリーで速さを示しました。そして、記念すべき110周年を迎える今大会については、昨年と変わらぬ3人のドライバー体制で臨み前回以上のリザルトを狙います。
昨年、ヤリスWRCで通算7度目のドライバーズタイトルを獲得したオジエは、故郷のフレンチアルプスを舞台とするラリー・モンテカルロで、過去7回の優勝経験を誇ります(IRCとして開催された2009年大会も含む)。今年もサービスパークが置かれる、フランス南部ギャップの近郊で生まれ育ったオジエにとって、このラリーはまさにホームイベントといえます。ラリー・モンテカルロのステージは基本的に全てターマック(舗装路)ですが、山岳地帯のステージが大部分を占めるため、例年降雪路も多く含まれます。ドライ、ウエット、スノー、アイスとコンディションが刻々と変化するステージもあり、タイヤのグリップレベルは著しく変わります。そのような、非常にトリッキーなコンディションを雪道育ちのオジエは得意としていますが、昨年の大会ではエバンスも最後まで優勝争いに加わりました。また、ロバンペラもWRカーで初めて出場するイベントだったにも関わらず安定した走りを続け、総合5位でフィニッシュしポイントを獲得しました。
路面コンディションが変わりやすいラリー・モンテカルロでは、4種類のタイヤを使うことができます。ドライ用、ウエット用、雪道用のスタッドレスと、それに金属製の短いスタッドが埋め込まれたスタッドタイヤと、あらゆる路面に対応可能なタイヤが用意されますが、それぞれ使用できる本数が限られている上、1本のステージ中にコンディションが激変することも多いため、選択は至難を極め、タイヤ戦略が勝敗を大きく左右することもあります。さらに、今シーズンからWRCの上位カテゴリーについてはピレリが単独サプライヤーとなったことで、昨年とは違うメーカーのタイヤを装着して戦う最初の1戦となります。そのため、チームはラリーを前にフランスでテストを行ない、ドライバーは様々な気象条件で4種類のタイヤを試し理解を深めました。
今年のラリー・モンテカルロは新型コロナウイルスの影響により無観客大会となり、ステージの走行距離は例年よりも大幅に短くなりました。また、夜間の外出制限が続くことから名物であるナイトステージは廃止されましたが、早朝の山岳ステージは薄暗く凍結路面も多いため、難しさに変わりはありません。さらに、本番前の最後の走行機会であるシェイクダウンが今回は設定されないことから、ドライバーはいきなり最初のステージに挑むことになります。
ラリーは21日の木曜日に開幕し、午後2時過ぎからギャップの北側で2本のステージを走行。金曜日は西に向かい、ギャップでの昼のサービスを間に挟んで5本のステージを走ります。土曜日の午前中は東に向かい、2本のステージを走行した後、ギャップでサービスを経て1本のステージを走り、その後200km以上離れたモナコに向かいます。ラリー最終日の日曜日は、モナコを基点に北西に広がるフレンチアルプスで2本のステージを各2回走行。最終ステージのブリアンソネ-アントルヴォー2は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。ステージは全部で14本計257.64km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1392.88kmが予定されています。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
今年のラリー・モンテカルロに向けての準備作業は、新たな役割を担う私にとって、これまでとは全く違う感覚です。ワークショップでクルマを前にした時、それをどう運転するかではなく、開幕戦に向けてチーム全員の準備が整っているかを確かめる作業だからです。チームはとても良い雰囲気です。昨年の今頃はドライバー全員が初めてヤリスWRCでラリーに臨みましたが、それでもセブとエルフィンが優勝争いに加わりました。今年、彼らはクルマにかなり慣れているので、昨年よりもいい状態にあると思います。ご存じの通り、モンテカルロはおそらく1年で最も難しいラリーです。常にサプライズがあり、天候が戦いを大きく左右することもあります。しかし、我々は十分な準備ができていると感じています。タイヤのサプライヤーが変わるのは大きな変化ですので、モンテカルロに向けた今回のテストでは、新しいピレリタイヤに慣れることと、クルマのセットアップを正しく行うことに重点を置きました。テストを実施したエリアはとても雪が多かったのですが、様々なコンディションであらゆるタイヤのオプションを試すことができたので、ラリーに向けて貴重な情報を得ることができました。
セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 1号車)
私が1番勝ちたいラリーがモンテカルロであることは、誰もが知っていると思います。しかし、ステージのコンディションは常に難易度が高く、勝つためには賢くなければならないため、謙虚な気持ちで臨む必要があります。今年に関しては、例年とは少し違う戦いになるでしょう。私は、毎年ラリーの現場でファンの皆さんの大きなサポートを受けてきました。今年、皆さんの姿が道端になかったとしても、テレビの前で応援してくれると信じていますし、皆さんを喜ばせたいと思っています。昨年、ヤリスWRCで何戦かラリーを戦ったことで、今シーズンに向けての準備はできていますし、それが自信になっています。ただし、今年は新しいタイヤに適応しなければなりません。特にモンテカルロでは、他のイベントよりも多くの種類のタイヤを選ぶことができるのでなおさらです。ベストなタイヤ戦略を立て、それを最大限に活用するのもまたラリーの面白い部分なので、楽しみにしています。
エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)
チーム加入初年度だった2020年は、とても大きな手応えを感じた1年でしたが、未知なる部分が少し残っていたのも事実です。それから12ヶ月が経過した今、自分を取り巻く環境にも慣れてきたので、よりリラックスして1年をスタートすることができます。とはいえ、競争は常に激しく、改善を続けてさらに上を目指していかなければなりません。今年のカレンダーには「勝てたらクールだろうな」と思える、注目の歴史的ベントが何戦かありますが、ラリー・モンテカルロもそのひとつです。通常、ステージはとても良く、いつも運転を楽しんでいますが、コンディション次第ではかなり難しくなることもあります。特に、暗闇の中雪や氷に覆われた道を走る時に、どれくらいグリップを得られるかを判断するのは本当に困難です。新しいピレリタイヤを履いてのテストでは、全く違うコンディションで2日間走りましたが、ラリーで使えそうな様々なオプションを試すことができたので、良かったと思います。
カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)
今年はシーズンオフがとても短かったため、次のイベントに臨むような感覚があり、新しいシーズンが始まる感じがしません。昨年は多くのことを学びましたが、あまりにもシーズンが短く、このクルマで多くの距離を走ることができませんでした。ですので、今年はより長い距離を走り、フィーリングがさらに良くなっていくことを期待しています。ラリー・モンテカルロは、カレンダーの中で最も難しいラリーです。昨年よりも上を目指し、もう少しだけ攻めたいと思っていますが、とてもミスをしやすいイベントなので、クリーンにラリーを戦って良い結果が得られることを願っています。ピレリタイヤを履いてのテストは、典型的なモンテカルロのコンディションだったので、とても興味深いものでした。ドライだけでなく雪や氷の路面も走ることができて、非常に良いフィーリングでした。
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