11月19日(金)、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第12戦ラリー・モンツァが開幕。イタリア北部、ロンバルディア州のモンツァ・サーキットのサービスパークを中心にデイ1として7本のステージが行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(ヤリスWRC 33号車)が首位に、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(1号車)が総合2位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (69号車)が総合9位につけました。
昨年初めてWRCとして開催されたラリー・モンツァは、今年もシリーズの最終戦を担い、ドライバー選手権、コ・ドライバー選手権、マニュファクチャラー選手権と、3つのタイトルが決まる重要な一戦となりました。競技初日の19日は、午前中にベルガモ北側の山岳地帯で2本のターマック(舗装路)ステージを各2回走行し、その後モンツァ・サーキット内の一部グラベル(未舗装路)が混ざるターマックステージを3本走行。7本のステージの合計距離は105.41kmでした。
山岳地帯のステージの一部は午前中深い霧に包まれ、選手たちは視界が良くない状況で走行。また、路面も一部は濡れており、落ち葉によって非常に滑りやすくなっている区間もありました。ただし降雨はなく、気温も日中は12度前後で推移するなど、比較的暖かい1日でした。
昨年に続き、今年もドライバーズタイトルをかけてこのラリーに臨んだエバンスとオジエは、朝から激しい首位争いを展開。SS5が終了した時点でオジエが3本、エバンスが2本のベストタイムを刻むなど、両者一歩も譲りませんでした。しかし、モンツァ・サーキット内のレーシングコース、歴史的なバンク、そして未舗装の施設道路を走るトリッキーなステージでは、エバンスのスピードがオジエを上まわり、SS6でオジエを抜かし首位に。1.4秒という僅差ながら初日を首位で終えました。
ドライバーズタイトル争いを繰り広げるエバンスとオジエの後方では、いかなる状況になってもマニュファクチャラーズタイトル獲得に必要なポイントを確実に得るために、ロバンペラが完走重視の安定した走りを続け、初日は総合9位につけました。また、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムによりヤリスWRCで出場の勝田貴元は、SS7で2番手タイムを記録するなどトリッキーなステージで速さを示し、総合6位につけています。
<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
今日の結果には非常に満足しています。セブとエルフィンにはフェアにドライバーズタイトルを争って欲しかったので、カッレには何かあった時のためにチームをサポートし、マニュファクチャラーポイントを確保するという大事な役割を担ってもらいました。タイトルを懸けたふたりの首位争いは実に見事で、決して簡単なコンディションではなかったにもかかわらず、両者素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれました。今朝の山岳ステージではセブのほうが速く、午後のサーキットではエルフィンに強さがありました。このままラリーの最後まで、非常にエキサイティングなバトルが続きそうです。
<<セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 1号車)>>
いい一日でした。今朝はとても楽しく山岳ステージを走ることができました。ラリー前のテストでいい仕事ができたので、クルマのフィーリングはとても良く、それがタイムにも現れて良かったです。気持ちよく運転できる時は、限界領域で走っても心地良く感じられるものです。その後のサーキットのステージでは、ぶつかってしまう可能性があるものが多かったので、少し安全性を重視した走りをしました。また、SS5では問題が起きてタイムを少し失ってしまいました。それでも特に問題はないですし、現状に満足しているので、明日も同じように頑張りたいと思います。
<<エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)>>
今朝は霧が濃く、ある区間は湿っていたり、そうでなかったりと、路面のグリップレベルが常に変化する難しいコンディションでしたが、楽しくドライブすることができました。セブに少し遅れをとり、数秒差をつけられてフラストレーションが溜まりましたが、午後のステージは良かったです。今年は、こういったステージで速く走るために多くの努力をしてきたので、首位に立つことができたのは嬉しいですが、セブとの差は僅かです。彼は山岳ステージで自分たちよりも少し速かったので、その理由を分析し、明日の朝に向けて改善する必要があります。
<<カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)>>
今回のラリーの目標は、マニュファクチャラーズポイントを獲得することです。そのため大きなリスクは負いたくないですし、チームメイトに何かあった時にポイントを確保できるようにしたいと思っています。チームにとっては非常に重要な週末なので、自分もできる限り貢献したいと思います。今朝のようなトリッキーなコンディションの山間ステージを走るのは決して簡単ではなく、かなりタイムを失ってしまいました。午後のモンツァ・サーキット内のステージは、グラベルや泥が出ていてトリッキーではありましたが、それでも少し楽しむことができました。
<<ラリー・モンツァ デイ1の結果>>
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ ヤリス WRC) 1h04m05.2s
2 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC) +1.4s
3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +21.6s
4 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +24.6s
5 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +50.6s
6 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ ヤリス WRC) +1m05.5s
7 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (フォード フィエスタ WRC) +1m14.1s
8 テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +1m28.6s
9 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC) +1m57.3s
10 ヨアン・ロッセル/ジャック-ジュリアン・レヌッチ (シトロエン C3 Rally2) +4m21.3s
(現地時間11月19日20時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<明日のステージ情報>>
競技2日目となる11月20日(土)のデイ2は、朝から昼にかけて、ベルガモの東北エリアの山岳地帯で2本のステージを各2回走行。そのうちSS8/10「サン・フェルモ」は、今年新たに加えられたステージです。その後選手たちはモンツァ・サーキットに戻り、サーキット内で1本のステージを2回走行します。6本のSSの合計距離は108.24kmと3日間で最長。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は362.88kmとなっています。
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