WRC 第12戦 セントラル・ヨーロピアン・ラリー デイ4 ロバンペラ/ハルットゥネン組が総合2位でフィニッシュ
二年連続でワールドチャンピオンに輝く*

2023.10.30(月)- 3:20配信

10月29日(日)、2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第12戦「セントラル・ヨーロピアン・ラリー」の競技最終日デイ4が、ドイツのパッサウを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)が総合2位でフィニッシュ。最終戦を待たずして、2年連続2回目となるドライバーズおよびコ・ドライバーズ・タイトルを獲得しました*。また、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)は総合4位で、前日デイリタイアを喫したエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は、総合31位でフィニッシュ。TGR WRCチャレンジプログラムにより4台目のGR YARIS Rally1 HYBRIDで出場の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は、総合5位でポイントを獲得しました。

ヨンネ・ハルットゥネン、カッレ・ロバンペラ
ヨンネ・ハルットゥネン、カッレ・ロバンペラ

欧州三カ国を巡るセントラル・ヨーロピアン・ラリーの最終日は、パッサウのサービスパークを起点にオーストリアで1本、ドイツで1本のステージを、ミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行。4本のステージの合計距離は67.24kmでした。最終日は青空が広がる爽やかな朝を迎え、ステージの路面は全体的にドライ。Rally1の全ドライバーがウエット用タイヤを1本も搭載することなく、ソフトとハードのドライ用タイヤのみでステージに向かいました。

タイトル争いの唯一のライバルであるエバンスが、前日にコースオフを喫しデイリタイアとなったことで、選手権をリードするロバンペラは数ポイントを獲得するだけでタイトルを確定できる状況になりました。そのため、ロバンペラは最終日も確実性の高い走りに徹し、4本のステージを全て7、8番手タイムで走行。首位ヌービルとの差は最終的に57.6秒まで拡がりましたが、しっかりと総合2位でラリーを走りきり、昨年に続き2年連続でドライバーズタイトルを獲得しました。今シーズン、ロバンペラは7回表彰台に立ち、そのうち3回は優勝。ここまでの12戦のうち、リタイアを喫したラリー・フィンランドを除く11戦でトップ4フィニッシュを達成するなど、非常に安定したシーズンを送ってきました。昨年、WRC史上最年少となる22才で世界王者となったロバンペラは、これでWRC史上6人目となる連覇達成ドライバーに。また、TGR-WRTのクルーがドライバーズおよびコ・ドライバーズ・タイトルを獲得するのは5年連続であり、前回のラリー・チリ・ビオビオで既にマニュファクチャラー選手権を獲得していたTGR-WRTにとっては、3年連続の三冠獲得となりました。

チームのメカニックとエンジニアたちによって修理されたクルマで最終日に再出走したエバンスは、最終戦ラリージャパンにタイトル獲得の望みを繋ぐべく、最終のパワーステージに集中。渾身の走りでベストタイムを記録し、ボーナスの5ポイントを獲得しました。しかし、ロバンペラが総合2位となり18ポイントを加算したことにより、タイトル獲得の可能性は残念ながら消滅しました。しかし、キャリア3回目となる選手権2位を得るべく、最終戦のラリージャパンでもエバンスの戦いは続きます。

前日、総合4位まで順位を挽回したオジエは、最終日も攻めの走りを継続。2本のベストタイムと、1本のセカンドベストタイムで、総合3位のオィット・タナック(Mスポーツ・フォード)との差を31.1秒から、15.8秒まで縮めて総合4位でフィニッシュしました。また、勝田はSS16で3番手タイム、SS17では今大会ベストとなる2番手タイムを記録。次戦、ホームイベントのラリージャパンに向けていい流れを掴んでWRC初開催の難関ラリーを締めくくりました。

<<豊田 章男 (TGR-WRT会長)>>
カッレ、ヨンネ、2年連続のドライバーズ、コ・ドライバーズ・タイトルおめでとう! 最年少ディフェンディングチャンピオンとしてシーズン前半は少し苦しんでいたように見えました。しかし、着実にポイントを重ね、中盤戦からはポイント争いをリードし続ける、まさに強いチャンピオンの姿を示してくれたと思います。

2人が成し得てないことが一つだけあります。モリゾウと一緒に表彰台に立つことです。日本で待ってます。

エルフィン、最後まで諦めずに攻めた走りをしてくれてありがとう。なんとしても勝つ! という気持ちのこもった走りは最高でした。パワーステージもカッコよかったです。まだシーズンは終わっていません。エルフィンとスコットは日本に忘れ物をしているはずです。来月のラリージャパンで昨年の忘れ物を回収し、私を表彰台に乗せてくれればと思います。

このチームの忘れ物はもうひとつあります。セブとヴァンサンも昨年の日本で速い走りを見せてくれましたが、結果には繋がりませんでした。今年こそは……と私も願っています。そして、昨年に引き続き、貴元とアーロンにもラリージャパンの表彰台で会いたいと願っています。できれば昨年より高いところから、私のことを見下ろしてもらいたいと思います。

残念ながらラリーの表彰台の定員は6名です。8人全員は乗れませんが、なんとか6人と一緒に表彰台に立てればと願っています。チームのみんな、ぜひその願いを叶えてください。ヤリ-マティ代表、よろしく頼みます!

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
カッレとヨンネを心から誇りに思いますし、彼らは二度目のタイトル獲得に本当に相応しいと思います。シーズン中、カッレは驚くほど安定していました。今回のタイトルは、昨年以上に勝ち取ることが難しかったと思いますし、エルフィンは良い仕事をしてプレッシャーをかけ続けましたが、最終的にカッレは自分の仕事をやり遂げました。彼のアプローチはユハ・カンクネンと似ていて、全てのラリーで優勝を狙うのではなく、必要なポイントを計算し考えて戦っています。エルフィンもまた、非常にいいシーズンを送ってきました。彼はこのラリーでカッレを上回り、チャンスを維持する必要がありました。残念ながら上手く行きませんでしたが、あの状況でできることは全てやったと思います。これで3つのタイトルを全て獲得することができたので、ラリージャパンでは選手権のプレッシャーを感じることなく、ドライバーたちには勝利を目指してプッシュしてもらいたいと思います。

<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)>>
今はとてもいい気分です。タイトル争いは常に両肩に大きな重荷を背負っているようなものですから、本当にホッとしています。今年は、昨年以上にタフでチャレンジングでした。競争は厳しかったですが、自分たちは本当にいい仕事をしたと思います。今シーズンの戦いをとても誇りに思いますし、1回目よりも2回目の方が、タイトル争いを楽しもうとしていました。今回は、久々にトリッキーなコンディションに見舞われた難しいラリーでしたが、自分たちの計画を冷静に進めることができました。金曜日は有利な出走順を活かす必要があり、それは実現できたのですが、エルフィンがコースオフした時点で優勝争いをする必要がなくなったのは確かです。なぜなら、自分たちはより大きなゴールを目指していたからです。ヨンネとチーム全員、そして応援してくれた皆さんに心から感謝します。次のラリージャパンは、とにかく楽しんで走りたいと思います。

<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
タイトルを獲得したカッレとヨンネ、そしてチーム全員に本当におめでとうと言いたいです。彼らはハードワークをこなし、素晴らしい仕事をしてきたのでタイトルに相応しいと思います。自分たちとしては、もちろん残念な気持ちもありますが、この週末を迎えるにあたってタイトル獲得が望み薄であることは分かっていましたし、それでもやってみようという気持ちでした。公正な立場で言うならば、カッレは金曜日にとても強く、彼を追えるだけのペースが自分たちにはありませんでした。それでもトライし続けたのですが、今回は上手く行きませんでした。でも、そういうこともあるので、また来年チャレンジしたいと思います。パワーステージではポイントを獲得することができたので、ラリージャパンが楽しみに思えます。

<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)>>
今回のラリーは、自分がもっとも得意とするものではなかったですし、金曜日午前中の問題がなかったとしても、このようなコンディションでは自分たちの出走順でできることは少なかったと思います。それでも週末にかけてドライなセクションでは走りを楽しめるようになって行ったので、少しプッシュしてクルマの中でエンジョイできました。そして、何本か速いタイムを出すこともできました。カッレとヨンネには、おめでとうと言いたいです。今シーズンも非常に印象的なシーズンでしたし、これが最後にはならないだろうと確信しています。同時に、今シーズン、カッレといい戦いをしてきたエルフィンに対しては少し気の毒に思います。次のラリージャパンは、今年を最高の形で締めくくれるように頑張りたいと思います。

<<セントラル・ヨーロピアン・ラリーの結果>>
1 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 2h52m39.9s
2 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +57.6s
3 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォードPUMA Rally1 HYBRID) +1m52.8s
4 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m08.6s
5 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m48.3s
6 テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +3m06.3s
7 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +4m22.3s
8 アドリアン・フォルモ−/アレクサンドレ・コリア (フォード Fiesta Mk2 Rally2) +11m35.8s
9 ニコラス・シャミン/ヤニック・ロシュ (シュコダ Fabia RS Rally2) +11m53.1s
10 ピエール=ルイ・ルーベ/ベンジャミン・ヴェイラス (フォード PUMA Rally1 HYBRID) +12m04.3s
31 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +39m58.2s
(現地時間10月29日18時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

*後日、FIAの公式結果発表をもって正式決定となります。

<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、11月16日(木)から19日(日)にかけて、日本の中部で開催されるシリーズ最終戦「ラリージャパン」です。昨年、12年ぶりに開催されたWRC日本ラウンドは、今年も愛知県豊田市のトヨタスタジアムにサービスパークが置かれ、愛知県と岐阜県でステージが行われます。路面は全てターマックとなり、全体的に道幅が狭くツイスティなコーナーが多いため、精度の高いドライビングが求められます。また、今年は新たにトヨタスタジアム内のグラウンドにターマックの特設ステージが設けられ、2台同時スタートのスーパーSSが行われるのも大きな話題です。

カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン
カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
17号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)
17号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)
カッレ・ロバンペラ、ヤリ-マティ・ラトバラ、ヨンネ・ハルットゥネン
カッレ・ロバンペラ、ヤリ-マティ・ラトバラ、ヨンネ・ハルットゥネン

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