1月28日(日)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロの最終日デイ4が、フランス南部ギャップのサービスパークを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)が総合2位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合3位で、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合7位でフィニッシュしました。
ラリー・モンテカルロの最終日は、ギャップのサービスパークを出発した後、SS15として今大会3回目となる「ラ・ブレオル/セロネ」のステージを走行。続いてSS16「ディーニュ=レ=バン/ショドン=ノラント」、有名なチュリニ峠を含むSS17「ラ・ボレーヌ=ベジュビー/コル・デ・チュリニ」という、3本合計52.12kmのステージが行なわれました。路面は最終日も全体的にはドライコンディションながら、濡れているところもあり、ところどころに凍結区間や霜で覆われている区間もありました。
デイ3で首位ティエリー・ヌービル(ヒョンデ)と3.3秒差の総合2位につけたオジエは、逆転優勝を目指してデイ4に臨みました。オープニングのSS15と、最終のSS17ではセカンドベストタイムを記録するなど最後まで全力を尽くしたオジエでしたが、逆転には至らず。16.1秒差の総合2位でラリーを終えました。また、総合3位につけていたエバンスは、日曜日単独でのポイント獲得に集中し、SS16では2番手タイムを記録。総合順位は3位と変わらずも、日曜日単独では2番手となりました。また、前日総合7位まで順位を挽回した勝田は、パワーステージとなった最終のSS17で3番手タイムを刻むなど、いい形でラリーを締めくくりました。
今シーズンよりポイント獲得システムが大きく変わり、土曜日終了時点での上位10位までの選手およびマニュファクチャラーは、総合1位から順に18-15-13-10-8-6-4-3-2-1ポイントを獲得することができます。ただし、そのためにはラリーを日曜日の最後まで走りきりフィニッシュする必要があります。また、土曜日までのポイントとは別に、日曜日のステージのみの積算タイムによる順位に対して、上位7位までに7-6-5-4-3-2-1ポイントが与えられます。さらに、昨年と変わらず日曜日のパワーステージでは、最大5ポイントを獲得することが可能です。オジエは土曜日終了時点での総合2位に対する15ポイント、日曜日のみの合計タイムが3番手だったことによる5ポイント、そしてパワーステージでの2番手タイムによる4ポイントと、合計24ポイントを獲得しました。エバンスは土曜日を総合3位で終えたことによる13ポイント、日曜日単独で2番手だったことによる6ポイント、パワーステージでの4番手タイムによる2ポイントと、合計21ポイントを獲得。勝田は合計9ポイントを獲得しました。
なお、TGR-WRTはオジエとエバンスの土曜日までの総合順位によるポイントと、日曜日単独での順位ポイントにより39ポイントを獲得。それに、パワーステージで2番手タイムのオジエと3番手タイムの勝田が獲得した7ポイントを加え、合計46ポイントでマニュファクチャラー選手権トップに立ちました。
今回のラリー・モンテカルロでWRCにデビューしたGR Yaris Rally2は、4台のエントリー車両のうち3台がラリーの全ステージを走破。そのうちサミ・パヤリ/エンニ・マルコネン組(プリント・スポーツ)は総合12位、RC2クラス5位でフィニッシュしました。
<<豊田章男 (TGR-WRT会長)>>
8回目のシーズンスタートはTOYOTA GAZOO Racing WRTにとって新たな一歩となりました。
9年前、私は皆さまの前でWRC再参戦を宣言しました。そのときの言葉は「お客様が“日常使う道”を舞台に“日常使う市販車”をベースとしたクルマで争われるラリーは、ヒトとクルマを鍛え上げるためには最適な舞台。もっといいクルマをつくるため、多くの方々に笑顔になっていただくため、WRCの道に再び戻らせていただきたい。」
今回、7シーズンを経て、“お客様に笑顔になっていただくクルマ”を、さらに2つ提供させていただくことができました。
ひとつはチャンピオンエディションの2台、「セバスチャン・オジェEdition」と「カッレ・ロバンペラEdition」です。単なる記念モデルではありません。二人のチャンピオンが開発に入り込み、彼らの求める味を実現したモデルです。
カッレのクルマは私も大好きなドーナツ味も楽しめるとのこと。私も一度、試食してみたいと思っています。セブのクルマには、なぜか“MORIZOモード”がついています。開発中にセブが行き着いた味付けが、私の味付けと同じだったので、セブの計らいでチャンピオンのクルマに私の名前も乗せてもらえることとなりました。セブありがとう。
もうひとつは「Rally2」です。初の実戦となるモンテカルロで、4組のお客様が乗ってくださいました。実力が示されていない未知数のクルマで、さっそく挑戦いただいた4組のチームの皆さまに心から感謝いたします。
日本の第1号車の納車先は“普通のクルマ好きおじさん”です。まだ納車はされておりませんが、モリゾウも先ず乗ってみて、改善点がないかなど試してみたいと思います。その後、そのクルマは、国内のカスタマーに貸し出して全日本ラリーに参戦してもらう予定です。Rally2をWRCや全日本ラリー間に合わせるため、フィンランドのメンバー達は大変な努力をしてくれていると聞いています。まずはデビュー戦モンテカルロで4台すべてが完走できて安心しました。クルマそのものも、サポート体制も、これから改善させ続けていかなければ、お客様に選ばれるクルマにはなっていきません。今回がスタートです。チームの皆さん、よろしくお願いします。
TOYOTA GAZOO Racingにとって、WRCはただ勝てばいいというものではありません。「もっといいクルマをつくるため、多くの方々に笑顔になっていただくため」の参戦です。これまでの85回の喜びや悔しさが、今回も“お客様の乗るクルマ”に結びつきました。本当に大きな一歩です。その一歩を優勝で飾ることはできませんでしたが、3台のRally1と4台のRally2の走りを、確実に次のラリーに繋げ、2024シーズンも最高の1年にできるよう、チーム全員で努力を続けていきましょう。ヤリ-マティ、今年もよろしく頼みます!
<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
シーズンのスタートとしては、全体的に良い週末でした。もちろん序盤はラリーをリードしていましたし、全てが上手く進んでいるように見えました。しかし、その後状況が少し変わり、最終日の今日は何とか挽回して勝利を手にしたいと願っていました。セブはできることを全てやってくれたと思いますが、ティエリーはドライバーとしてさらに上のレベルの走りをしたように思います。彼らの戦いは誰もが興奮するような素晴らしいものでしたし、最終的にはチームとして多くのマニュファクチャラーズポイントを獲得することができました。また、エルフィンもこの週末は素晴らしいペースと自信に満ちた走りを見せてくれました。最終的には多くのポイントを持ち帰るなど、クレバーな戦いをしたと思います。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
優勝を手にするポテンシャルは十分あったと思いますが、なぜか土曜日の午後に良いフィーリングが失われてしまいました。しかし今日は調子が良く、路面のコンディションは再び非常に複雑でしたが、新しいポイントシステムのもとで多くのポイントを獲得するためには攻め続ける必要があり、上手く走ることができました。自分としては常に優勝したいと思っていますが、それ以上にこのラリーではしっかりとポイントを獲得したかったので、全体的には十分満足できる週末になりました。もちろん、この先ラリーで勝ちたいですし、次のラリー・スウェーデンで何ができるのか様子を見たいと思います。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)>>
自分にできることは全てやりましたし、この週末の戦いは誇るべきものだったと思います。自分にとってはジェットコースターのように感情が大きく揺れ動いた難しい一週間でした。月曜日には、自分をモータースポーツの世界に導いてくれた大切な人に別れを告げなければなりませんでした。いろいろな理由でラリーのスタートは簡単ではありませんでしたが、最後まで戦い続けることができたので満足していますし、ファンにとっては非常にエキサイティングな戦いだったのではないかと思います。最終的にはティエリーのほうが速かったですが、彼は優勝に相応しいと思います。それでも、チームに多くのポイントをもたらすことができたので満足しています。今回は自分にとって15回目のラリー・モンテカルロ出場となり、13回目の表彰台獲得だったので、このようなチャレンジングなラリーでの自分の記録を誇りに思います。
<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)>>
金曜日の朝のミスによっていい結果を得るチャンスを失い、ラリーの戦いかたが変わってしまったのは本当に残念です。それでも総合7位でフィニッシュすることができましたし、日曜日の順位とパワーステージでポイントをさらに加算することができたので良かったです。クルマの調子はとても良く、運転を楽しむことができました。リラックスできていて、コンディションによるリスクがそれほど高くなかった時はプッシュすることができましたし、かなり良いタイムが出たので、それについてはポジティブに思えます。次のスウェーデンは好きなラリーのひとつなので、いい結果を残せるようにベストを尽くしたいと思います。
<<ラリー・モンテカルロの結果>>
1 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 3h09m30.9s
2 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +16.1s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +45.2s
4 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +1m59.8s
5 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード Puma Rally1 HYBRID) +3m36.9s
6 アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +5m34.6s
7 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +8m28.5s
8 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +10m29.8s
9 ペペ・ロペス/ダビド・バスケス (シュコダ Fabia RS Rally2) +10m33.8s
10 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シトロエン C3 Rally2) +10m45.2s
(現地時間1月28日15時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<第1戦終了時点でのドライバー選手権順位>>
1 ティエリー・ヌービル 30ポイント
2 セバスチャン・オジエ 24ポイント
3 エルフィン・エバンス 21ポイント
4 オィット・タナック 15ポイント
5 アドリアン・フォルモー 11ポイント
6 勝田 貴元 9ポイント
7 アンドレアス・ミケルセン 6ポイント
<<第1戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位>>
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 46ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 45ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 19ポイント
<<次回のイベント情報>>
WRC次戦は、2月15日から18日にかけてスウェーデン北部で開催される第2戦「ラリー・スウェーデン」です。雪と氷に覆われた森林地帯の未舗装路が舞台となるこのラリーは、今シーズンも唯一のフルスノーイベントです。2022年大会からは、安定した積雪が見込める北部のウーメオーにホストタウンを移動し、新たなるラリーとして再出発しました。ステージは基本的に全て積雪路となり、そこを金属製のスタッド(スパイク)が埋め込まれた雪道専用の「スタッドタイヤ」で走ることで、非常に高いグリップが得られます。そのため平均速度は非常に高く、例年WRCの全イベントの中で3本の指に入る超高速ラリーとなります。
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第1戦 ラリー・モンテカルロ
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