WRC 第5戦 ラリー・ポルトガル デイ3 大波乱の土曜日、オジエが4本のベストタイムで首位に
エバンスは堅実な走りで総合6位に順位を上げる

2024.5.12(日)- 7:40配信

5月11日(土)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦ラリー・ポルトガルの競技3日目デイ3が、ポルトガル北部マトジニョスのサービスパークを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)が総合1位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合6位に、それぞれ順位を上げました。また、前日首位のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)および、前日総合3位の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は、デイリタイアとなりました。

17号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)
17号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)

ラリー・ポルトガルのデイ3は、北部の大都市であるポルト近郊の、マトジニョスのサービスパークを中心に、4本のステージを各2回走行しました。そして、一日の最後にはロウサダでスーパーSSを走行。9本のステージの合計距離は145.02kmと、4日間で最長の一日でした。朝は雲が多く気温も比較的低い状態でしたが、ステージのグラベル(未舗装路)路面は全体的にドライ。砂に覆われた軟らかい路面もあれば、岩盤が露出した硬い路面もあり、深い轍が刻まれたセクションもあるなど、路面変化の大きい厳しいコンディションでの戦いになりました。

デイ2午後のループステージで首位に立ったロバンペラは、デイ3オープニングのSS10でベストタイムを記録。総合2位オジエとの差を、1秒から6.7秒へと大きく拡げました。しかし、続くSS11でロバンペラはコーナリングラインがワイドになり、木の切り株に当たって横転。ロバンペラとハルットゥネンに怪我はありませんでしたが、デイリタイアを余儀なくされました。チームはクルマを修理した上で、彼らを明日のデイ4に送り出す予定です。

一方、SS11でベストタイムを刻んだオジエは首位に立ち、オープニングステージで勝田を抜かして総合3位に順位を上げていたオィット・タナック(ヒョンデ)が、3.4秒差で総合2位につけました。そして、午前中3本目のSS12では、それまで快調にステージを重ねていた勝田がクルマを土手に当ててしまい、リヤサスペンションにダメージを負いストップ。ロバンペラに続いて、勝田もデイリタイアを喫することになりましたが、勝田もまたデイ4で再出走する予定です。

その後、首位争いはオジエと総合2位タナックの間で激しさを増し、ベストタイムの応酬に。SS12ではタナックが0.2秒をつけてトップに立ちましたが、SS13でオジエがベストタイムで再び首位に。13.6秒をつけることに成功しました。午後のステージは気温が上がり、路面コンディションも悪化したためタイヤの選択およびマネージメントが重要な鍵を握ることになりました。オジエは最初の2本のステージではタイヤをいたわり、差は7.8秒まで縮まりましたが、今大会最長となる37.24kmのSS16「アマランテ2」のステージで一気にスパート。ベストタイムを記録して11.9秒差まで押し戻しました。さらに、オジエはSS17でもベストタイムを刻み、差は13.5秒に。一日の最後のSS18ではややペースを抑えましたが、それでもタナックに11.9秒差を築き、優勝に大きく近づきました。

様々な問題に見舞われ、金曜日を総合8位で終えたエバンスは、堅実な走りで総合6位にポジションアップ。最大12ポイントを獲得できるチャンスがある、日曜日の「スーパーサンデー」に向けて、クルマの理解とセッティング調整に取り組みながら土曜日のステージを走破しました。

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
昨日の金曜日がとても良かっただけに、今日はチームにとって何とも言えない複雑な一日になりました。午前中の戦いの中でカッレと貴元を失ったのは少しショックでしたが、競争は非常に激しく、さらに攻めてタイムを稼ごうとすると、特にグリップレベルが変わりやすい今日みたいなコンディションではミスをしやすくなるものです。その一方で、セブは戦いを続けることができましたし、彼が土曜日を首位で終えることができたことは、我々にとって大きな喜びです。できれば、この調子で明日の午後まで順位を守り切り、今回も優勝でラリーを終えてもらいたいところです。エルフィンは昨日のトラブルを乗り越え、今日はチャンピオンシップのことを考えて、安定した走りでポイントを獲得しました。このまま順調に行けば、明日の日曜日に多くのポイントを獲得できる可能性は十分あるでしょう。

<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)>>
今朝は良いスタートを切ることができました。クルマのセットアップのフィーリングは昨日よりも良く、最初のステージではいいタイムを出すことができました。しかし、2本目のステージの比較的直線的な区間でブレーキングポイントを見誤り、コースから飛び出してしまいました。そのひとつ前のコーナーでペースノートに少し不可解な部分があり、多分そのことを考えていたためブレーキングポイントがずれてしまったのだと思います。それでも最終的にミスをしたのは自分ですし、スタートから調子が良く、いい一日になるかもしれなかっただけに非常に残念です。こうなった以上、明日はチームのためにベストを尽くして戦いたいと思います。

<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
自分たちの出走順を考えると、今日は一日を通して難しい戦いが続くだろうと覚悟していました。ただ単にペースを上げても順位を挽回するのは難しい状況だったので、クルマを理解して、いいフィーリングが得られるようにすることに専念し、セッティングを少し変えながら明日に向けてより良いクルマに仕上げようと試みました。その結果、改善が見られた部分もありましたが、そうでないところもあり、バランスについてはまだ少し苦労しています。ただ、少なくとも出走順については明日は少し良くなるはずなので、チャンスはあると思いますし、ベストを尽くして戦う必要があります。

<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)>>
自分たちにとってはいい一日でした。今朝はこれほど色々なことが起こるとは思っていなかったですし、残念なことにチームは2台を失ってしまうなど、トリッキーな一日になりました。それでも自分の走りの安定性には満足していますし、いくつか重要な場面ではプッシュすることもできました。午後のステージは非常に厳しく、最初の2本では少しタイムを失いましたが、3本目のアマランテでプッシュするのが自分たちのプランでした。そして、ラッキーなことにその計画は上手く行き、再び差を少し拡げることができました。明日は、この仕事をしっかりと終わらせなくてはなりません。リラックスできるほどの大きなタイム差ではなく、まだ長い距離が残っていますし、新しいセクションもいくつかあるので、最後まで気を緩めることはできません。

<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)>>
予想していたように、今日のステージは路面に砂が多くありました。それでもクルマの調子は良く、気持ちよく運転することができていました。最初の2本のステージに関しては、ペースをコントロールしながら走っていましたが、リズムはあまり良くありませんでした。しかし、3本目のステージはフィーリングが非常に良く、全てをコントロールできているように感じられたので、序盤から攻めていきました。ところが、あるコーナーで僅かにラインが外れ、少しワイドに膨らんでしまい外側の土手にぶつかってしまいました。そこまでペースは良かったですし、さらにプッシュできるくらいの余裕もあったので、とにかく残念でなりません。この状況を受け入れるのは難しいですが、これがラリーというものです。何が悪かったのかをきちんと理解した上で、前に進むしかありません。まだ明日もあるので、プッシュし続けるつもりです。

<<ラリー・ポルトガル デイ3の結果>>
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 3h01m55.8s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +11.9s
3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +1m11.4s
4 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +1m25.6s
5 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード Puma Rally1 HYBRID) +1m32.9s
6 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +3m23.8s
7 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シトロエン C3 Rally2) +9m25.5s
8 ヤン・ソランス/ロドリゴ・サンフアン (トヨタ GR Yaris Rally2) +9m35.2s
9 ジョシュア・マッカーリーン/ジェームズ・フルトン (シュコダ Fabia RS Rally2) +9m43.2s
10 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +9m46.8s
TBC カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1h10m04.4s
TBC 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1h19m42.0s
(現地時間5月11日21時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

<<明日のステージ情報>>
ラリー最終日となる5月12日(日)のデイ4は、サービスパークの東北エリアで「カベセイラス・デ・バスト」、そしてビッグジャンプで有名な「ファフェ」の、2本のステージを各2回走行。ミッドデイサービスおよびタイヤフィッティングゾーンの設定はありません。今年もラリー・ポルトガルの最終ステージとなるSS22ファフェ2は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが付与される「パワーステージ」に指定されています。4本のステージの合計距離は62.18km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は395.21kmとなります。

69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
セバスチャン・オジエ
セバスチャン・オジエ
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)

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