WRC 第7戦 ラリー・ポーランド デイ2 超高速グラベルロードで終日僅差のバトルが続き
ロバンペラが総合2位に、エバンスが総合3位につける

2024.6.29(土)- 5:40配信

6月28日(金)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦ラリー・ポーランドの競技2日目デイ2が、ポーランド北東部「ミコワイキ」のサービスパークを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)が総合2位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合3位に、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合8位につけました。

69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)

前日、サービスパークのすぐ近くで行なわれたスーパーSSで戦いの火蓋が切って落とされたラリー・ポーランドは、金曜日から一日を通しての戦いがスタート。サービスパークの北側から東側にかけての広いエリアで、3本のステージを日中の「タイヤフィッティングゾーン」を挟んで各2回走り、一日の最後にはミコワイキで2回目となるスーパーSSを走行。その合計距離は113.50kmが予定されていました。ところが、そのうち数本のステージについては観客の安全確保に関わる理由により、キャンセルまたは中断されることに。ステージを全開で走行できなかった選手に対しては、ノーショナルタイム(救済のための想定タイム)が与えられました。

デイ2のグラベルステージは全体的にドライコンディションとなり、出走順が早いドライバーたちにとっては不利な走行条件となりました。そして、今大会最長となるデイ2オープニングのSS2では、セバスチャン・オジエの代役として急遽出場することになったロバンペラが3番手タイムを記録。総合3位に順位を上げました。続くSS3は、エバンスを含む3人のドライバーが走行した時点でステージがキャンセルされ、その時点で2番手タイムを記録していたエバンスが総合3位にポジションアップ。走行できなかったロバンペラは、ノーショナルタイムにより総合4位に順位を下げました。午前中最後のSS4では、エバンスが3番手タイム。大部分のステージを不利な出走順2番手で走行したにも関わらず、トップと11.9秒差の総合3位をキープしました。また、ロバンペラは5番手タイムとなり、エバンスと2.3秒差の総合4位で午前中のループを終えました。

デイ2は、サービスパークでの「ミッドデイサービス」が設定されず、選手たちは「タイヤフィッティングゾーン」での簡易的な整備作業およびタイヤ交換で午後のループに。路面が比較的軟らかいことから、ライバルの多くは午前中と同じようにソフトタイヤのみを選択して午後のステージに臨みましたが、TGR-WRTは全車がソフトタイヤとハードタイヤを組み合わせて選択。この判断は、タイヤの摩耗に厳しい路面コンディションとなった午後のステージで奏功し、最初のSS5でロバンペラがベストタイムを、エバンスが2番手タイムを記録。その結果、ロバンペラが一気に首位に立ち、エバンスは総合4位となりました。続くSS6ではエバンスが2番手タイムで総合2位に。キャンセルにより午前中にこのステージを全開で走行していなかったロバンペラは僅かながら遅れをとり、6番手タイムで総合3位に後退しました。SS7は再び3台が走行した時点でキャンセルとなりましたが、トップ3の順位は変わらず。そして迎えたデイ2最終のスーパーSSでは、ベストタイムを記録したロバンペラが、首位のアンドレアス・ミケルセン(ヒョンデ)と1.8秒差の総合2位に。5番手タイムのエバンスは、ロバンペラと僅か0.2秒差の総合3位で一日を終えました。また、今回がラリー・ポーランド初出場だった勝田は、午前中のステージではやや苦戦を強いられるも、午後はペースが好転し、SS5で5番手タイムを、SS6ではエバンスと2番手タイムをシェア。一日の最後のスーパーSS、SS8ではロバンペラとベストタイムを分け合い、首位と32.3秒差の総合8位でデイ2を走り切りました。

<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
トップ3に2台が入ったので、全体的にはとても満足できる一日でした。カッレとエルフィンは、本当に素晴らしい走りを見せてくれました。カッレはラリーに向けた準備がほとんどできず、事前にステージについてあまり学ぶことができませんでした。ステージをあまり知らない状態で限界に挑戦するのは簡単なことではありませんが、今日の午後、ステージの2回目の走行ではかなり自信を持って走っているのが分かりました。また、チャンピオンシップの観点から見ても、エルフィンにとって良い一日でした。貴元は序盤こそ苦戦していましたが、午後には自信を持って走っているように見えました。ラリーのスタート前に言ったように、今回は表彰台に2台を送り込むことが目標なので、良いスタートを切ることができたと思います。しかし、まだ先は長いことも理解しています。残念ながら今日はキャンセルされたステージもありましたが、明日も安全に、そして皆が楽しめるように、ラリーが順調に開催されることを願っています。

<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)>>
今朝は、準備の段階から全てが予想していた以上に大変でした。準備のための時間が限られていたうえ、しばらくハイスピードなラリーに出ておらず、テストさえも行なっていなかったので、このような高速ラリーで正確かつ良いペースノートを作成するのは簡単ではありませんでした。ただ、自分が快適に走れるペースを見つけ、ミスなくループを走り終えることだけを目指しました。午後はすぐにペースを上げることができましたし、より楽しんで走ることもできました。できる限りのことをやれたと思いますし、ミスもなく、クリーンな一日になりました。今夜の順位は、いろいろなことを考えると悪くないと思います。明日は、できれば最初のループからより力強く走りたいので、やれるだけのことをやってみるつもりです。

<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
午前中はハイスピードなステージにまず慣れようと走り、悪くないスタートを切ることができました。路面のグリップはかなり変わりやすく、判断が難しい状況でしたが、クルマは全く問題なく走りましたし、出走順や路面をクリーニングしなければならなかったことを考えれば、スピードもまずまずでした。午後も似たような状況でしたが、上位により近づくことができましたし、全体的にはミスもなくとてもクリーンな一日でした。明日、何が起こるのか、そして天候がどうなるのか様子を見たいと思います。もし雨が大量に降ったとしたら、状況は明らかに難しくなるでしょう。

<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)>>
午前中のループはかなり苦労しました。プレイベントテストで、自分たちはセットアップの方向性を見誤ってしまったのだと思います。そのため良いフィーリングも安定性も感じることができず、自信を持って良いペースで走り続けることが難しかったため、多くのタイムを失ってしまいました。しかし、エンジニアの助けを借りながら、日中に調整できるところは調整をしました。その結果、午後は良い方向に向かいました。正しい方向性を見つけることができたので、明日より良い走りができるように、今夜さらに調整を加えたいと思います。路面がドライだと、自分たちの出走順はさらに不利になるかもしれませんが、天候は不確実です。もし雨が降ったら、自分たちにとって有利に働くと思います。

<<ラリー・ポーランド デイ2の結果>>
1 アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 59m43.7s
2 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1.8s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2.0s
4 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード Puma Rally1 HYBRID) +7.5s
5 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) +7.7s
6 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +21.3s
7 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +29.8s
8 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +32.3s
9 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +2m15.6s
10 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェイ・シュチェパニャク (シュコダ Fabia RS Rally2) +2m24.5s
(現地時間6月28日20時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

<<明日のステージ情報>>
競技3日目となる6月29日(土)のデイ3は、ミコワイキの北側から東側にかけてのエリアで、3本のステージを、ミコワイキでのスーパーSS「ミコワイキ・アリーナ3」および「ミッドデイサービス」を挟んで各2回走行します。7本のステージの合計距離は124.10kmと4日間で最長、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は636.83kmとなります。

カッレ・ロバンペラ
カッレ・ロバンペラ
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)

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