6月29日(土)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦ラリー・ポーランドの競技3日目デイ3が、ポーランド北東部「ミコワイキ」のサービスパークを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)が総合1位に順位を上げ、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合3位を、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合8位を守りました。
ラリー・ポーランドのデイ3は、サービスパークの北側から東側にかけてのエリアで、3本のステージを、ミコワイキでの「スーパーSS」および「ミッドデイサービス」を挟んで各2回走行。7本のステージの合計距離は124.10kmと、4日間で最長でした。前日夜の段階では降雨も予想されていましたが、まとまった雨はなく、概ねドライコンディションでの走行となりました。
デイ2終了時点で、首位のアンドレアス・ミケルセン(ヒョンデ)と1.8秒差の総合2位につけていたロバンペラは、デイ3オープニングのSS9、続くSS10で連続ベストタイムを記録し、首位に立ちました。また、前日総合3位のエバンスも2ステージ連続で2番手タイムを刻み、TGR-WRTは午前中の3本のループステージが終了した時点で1-2体制を築きました。サービスパークのすぐ近くで行なわれた、今大会3回目となるスーパーSSでは、ロバンペラがベストタイム。エバンスも0.4秒差で総合2位につけるなど、チームメイト同士による僅差の首位争いが続きました。
ロバンペラは、午後のループステージで勢いをさらに増し、3ステージ全てでベストタイムを記録。デイ2に設定された7本のステージのうち、6本でベストタイムを記録するなど速さを示し、首位で一日を終えました。一方、エバンスは午後1本目のSS13でタイヤに問題が生じペースダウン。その結果、総合3位に順位を下げることになりました。エバンスは、他のドライバーたちと同じようにスペアタイヤを1本しか搭載していなかったため、残る2本のステージでは確実性を最優先して走行することになりましたが、それでも総合3位の座を堅持。総合2位のミケルセンと6.7秒差でデイ3を走り切りました。その結果、エバンスは土曜日終了時点での順位に基づく、選手権ポイントを得る権利を獲得。選手権を争うライバルたちよりも多くのポイントを獲得することが可能な状況にあります。そして「スーパーサンデー」と銘打たれた日曜日は、さらに多くのポイントを加算できるチャンスです。また、チームとしては土曜日終了時点でトップ3に2台がつけたことで、このまま日曜日のフィニッシュを迎えることができた場合、大量のマニュファクチャラーズポイントを獲得することができます。
今回がラリー・ポーランド初出場となる勝田は、前日午後のステージで調子を上げ、上位タイムを記録しました。しかし、デイ3では2番手という、ドライコンディションのグラベルラリーでは不利な出走順で走行することに。さらに、その後先頭スタートの選手がリタイアした結果、もっとも厳しい1番手スタートでステージに臨むことになりました。そのため思うようにペースを上げることができませんでしたが、忍耐強くステージを重ね、前日と変わらぬ総合8位で土曜日を終えました。
<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
非常に満足できる一日でした。カッレは、通常行なっているラリーに向けた準備をする間もなく戦いに臨んだにも関わらず、ラリーをリードし、多くのステージでベストタイムを刻みました。これは本当に驚くべきことです。エルフィンもまた素晴らしいペースでした。残念ながら午後はタイヤに問題が発生したため、少しタイムを失ってしまいましたが、土曜日が終了した時点でまだ表彰台圏内にいます。現段階で、暫定ポイントという点については、チーム全体として非常に良い状況ですし、日曜日に向けても高いモチベーションを持っています。今年は、ここまでのところ日曜日に常に強さを発揮できているとは言えないので、明日はチームとして速く走れるように改善したいと考えています。なぜなら、チャンピオンシップを戦う上では、日曜日のポイントも重要であると理解しているからです。
<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)>>
今日は一日を通してベストを尽くしました。午前中のループでは昨日よりも良いタイムを出すことができましたが、予想通りいくつか小さなサプライズがあり、簡単ではありませんでした。できればもう少し速く走りたかったのですが、それでも良い戦いができたと思います。午後は、ステージに対する理解が深まり、予測することもできたので通常のペースで走ることが可能となり、走りを楽しむことができました。しかし、まだ何も確実ではありません。明日はまだ長い距離を走りますし、ステージのキャラクターに違いがあることも考えると、タイム差は小さいと言えます。明日は、今日よりもさらに大変だと思いますし、準備やペースノートという点で、自分たちにとって最もタフな一日になるでしょう。明日も速く走れるように、今晩は多くの作業を行う必要があります。決して簡単ではないと思いますが、自分たちのベストを尽くします。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
一日を通して激しい戦いが続きましたが、特に午前中はかなりの接戦でした。午前中はとても順調で、クルマのフィーリングも良好でした。しかし、残念ながら午後最初のステージでタイヤに問題が発生し、後退することになってしまいました。突然のことで最初は何が起こったのか分かりませんでしたが、トレッドが完全に剥がれて無くなってしまったのです。そのため少しタイムを失い、この厳しい状況では、今日の戦いはほぼ終了という状況でした。できる限りのトライはしましたが、残念ながら失ったタイムを挽回することはできませんでした。それでも、全体的にはここまでのところ、私たちにとって良い週末となっています。明日は新たな一日であり、多くのポイントを獲得できるチャンスです。良いリズムを保って走り、週末を通してやってきたことを最後までやり続け、それが最終的にどのような結果をもたらすのか、様子を見たいと思います。
<<勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)>>
クルマのフィーリングは、昨日よりもずっと良いものでした。それなのにタイムが伸びなかったことにフラストレーションを感じましたが、それはきっと、自分たちの出走順によるコンディションに起因するものだと思います。特に午後ループの2回目の走行では、路面のクリーニング作業を行いながら一番手で走らなければならず、本当に厳しい状況でした。ブレーキング時でさえも、轍の中に大量の砂があって、どれくらいグリップするのか分かりませんでした。轍があまりなく、広くハイスピードな区間ではトップと遜色ないタイムで走ることができたのですが、狭くて轍が深い場所では大きくタイムを失ってしまいました。明日はベストを尽くし、ドライビングを改善し、この後の2戦でプッシュできるように自信をつけたいと思います。
<<ラリー・ポーランド デイ3の結果>>
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h00m44.0s
2 アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +9.4s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +16.1s
4 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード Puma Rally1 HYBRID) +37.0s
5 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) +58.2s
6 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +58.3s
7 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +1m24.5s
8 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m41.9s
9 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ GR Yaris Rally2) +5m46.5s
10 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +6m12.8s
(現地時間6月29日20時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<明日のステージ情報>>
競技最終日となる6月30日(日)のデイ4は、サービスパークのすぐ近くから西側にかけてのエリアで、2本のステージを各2回走行。そのうち、SS17の再走ステージとなる最終のSS19「ミコワイキ2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。4本のステージの合計距離は63.06km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は189.64kmが予定されています。
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