9月27日(金)、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第11戦「ラリー・チリ・ビオビオ」がスタート。南米チリのコンセプシオンを中心に6本のステージが行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)が首位に立ち、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (69号車)が総合3位に、サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン(5号車)が総合4位に、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)が総合9位につけました。
ラリー・チリは昨年4年ぶりにWRCのカレンダーに復帰。南米での唯一のイベントとなる今大会は、26日(木)の午前中にシェイクダウンが、夕刻にコンセプシオンの中心部でセレモニアルスタートが行われました。サービスパークが置かれるチリ中南部ビオビオ州の州都コンセプシオンは春を迎えましたが、競技初日は早朝気温が低く、午前中のセクションはRally1の全ドライバーが5本のソフトタイヤを選択してグラベル(未舗装路)ステージに臨みました。
競技初日となるデイ1は、サービスパークの南東エリアで3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は112.76kmでした。ステージは流れるような中高速コーナーが続くフラットな路面のセクションと、道幅が狭いテクニカルな低速セクションが混合。路面は全体的にドライコンディションとなり、硬く締まった路面を大量のルースグラベルが覆う、非常に滑りやすい区間も多くありました。
第9戦ラリー・フィンランドで今シーズン3勝目を獲得したオジエは、オープニングステージのSS1でベストタイムを記録し首位に立ちました。しかし、SS1は3番手スタートのオジエが走行を終えた時点で、観客の安全性を確保するためステージキャンセルに。出走順4番手以降のRally1車両出場選手たちに対しては、ノーショナルタイムが与えられました。
続くSS2ではエバンスがベストタイムを記録し、首位オジエに次ぐ総合2位に。2番手タイムのロバンペラは総合3位につけました。午前中最後のSS3では、オジエがクルマを土手にヒットしたことでタイヤにダメージを負い、交換作業のため1分50秒近くタイムロス。総合15位まで順位を下げることになりました。一方、SS3で2番手タイムを刻んだエバンスは首位に、ベストタイムのロバンペラは総合2位にポジションアップ。総合4位を獲得したラリー・フィンランド以来となる、キャリア2回目のトップカテゴリー挑戦のパヤリは総合3位に順位を上げ、GR YARIS Rally1 HYBRIDがトップ3に並びました。
コンセプシオンでのミッドデイサービスを経て始まった午後の再走ステージでは、エバンスがオィット・タナック(ヒョンデ)と激しい首位争いを展開。最終的には、一日の最後のSS6でタナックを上まわるタイムを記録し、3秒のリードを築き首位でデイ1を締めくくりました。一方、ロバンペラはSS4でのスピンによりタイムロスを喫し、総合3位に順位を下げましたが、それでも首位と10.1秒差につけています。また、パヤリは一日を通して安定したペースで走行。ロバンペラと2.1秒差の総合4位で競技初日を終えました。午前中のセクションでタイヤ交換作業により大きな遅れをとったオジエは、午後のSS4、SS5と2ステージ連続でベストタイムを記録。SS6を2番手タイムで走り切り、トップと1分27.9秒差の総合9位まで挽回してデイ1を終えました。なお、GR YARIS Rally1 HYBRIDは、全6本のステージのうち5本でベストタイムを記録するなど、一日を通して速さを発揮しました。
<<ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)>>
全体的には、チームにとって良い初日でした。1、3、4位と上位につけることができたのは、とても良かったです。セブは最速でしたが、残念ながら1回のミスで高い代償を払うことになりました。エルフィンはいくつかのステージで素晴らしい走りを見せ、厳しいラリーが数戦続いていた彼にとって、非常にポジティブなスタートになりました。カッレは、路面が硬く、その上をルースグラベルが覆っている今日のようなコンディションではあまりいいフィーリングを得られなかったようですが、明日は状況が良くなると思います。最後に、サミは非常に安定した一日を過ごし、確実にパフォーマンスを発揮してくれました。これはまさに、ラリー前に彼と打ち合わせをした通りの結果です。
<<カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)>>
このような道であまり良いフィーリングを得られなかったことを考えると、それほどタイムを失うことなく一日を終えることができたのは良かったです。路面のベース部分は本当に硬いので、走行ラインとグリップを少し得られる場所もありましたが、一定ではなかったので、それに合わせてドライビングを少し変えなければなりませんでした。今夜はトップと10秒差につけることができたので、悪くないと思います。まだ戦いは続いていますし、明日はより良い走りができるように頑張ります。ステージの特徴が少し変わり、新たにタイヤのマネージメントが大きな課題になると思いますが、より良いフィーリングを得られるのではないかと期待しています。
<<エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)>>
最初のステージがキャンセルされたことで、午前中の走行時間は短くなりましたが、クルマの調子は概ね良好でした。道は幅が狭く、傾斜がついていて、かなり高速でしたが、同時にテクニカルな部分もあり、アップダウンやうねりも多くありました。運転自体は楽しかったのですが、グリップレベルがかなり低かったので簡単ではありませんでした。午後は自分たちにとって難しさが増しました。最初の2本のステージではベストなフィーリングが得られなかったのですが、一日の最後の長いステージでは好転しました。まだいいポジションにつけていますし、明日に向けて改善できると思います。
<<セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)>>
もっと上手くできたはずの一日でした。今回も私たちに速さはありましたが、午前中3本目のステージでの1回のミスにより、最高のリザルトを残すという今週末の目標が台無しになってしまったように思います。自分のペースノートのミスによるもので、考えていたよりもコーナーがタイトで、アウト側の土手にヒットしてリヤタイヤがパンクしてしまったのです。ただ、それを除けば、この素晴らしい道を走ることは楽しかったですし、午後は走りを楽しもうと試みました。明日は出走順が早い自分たちにとっては非常に厳しい一日になるかもしれませんが、いつも通り戦い続けます。
<<サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 HYBRID 5号車)>>
自分たちにとっては、とても素晴らしく、クリーンな戦いができた一日でした。ステージは走りやすかったのですが、コンディションはかなりトリッキーでした。グリップレベルや道路の幅がかなり頻繁に変化したため、走りのリズムを完璧に保つのは容易ではありませんでした。特に、経験の浅い自分にとっては、適切なスピードを見極めるのは簡単ではありませんでした。それでも冷静さを保ち、あまり攻めすぎないように心がけ、安定したスピードを発揮し確実な仕事ができたと思います。トップに近い位置につけることができたので、本当に良かったです。まだまだ改善できる部分は多くあると思いますが、明日も同じように走り続けるつもりです。
<<ラリー・チリ・ビオビオ デイ1の結果>>
1 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 58m03.9s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ(ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +3.0s
3 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン(トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +10.1s
4 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン(トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +12.2s
5 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1 HYBRID) +13.7s
6 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ(ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +33.3s
7 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム(ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +39.1s
8 アドリアン・フォルモ−/アレクサンドレ・コリア(フォード Puma Rally1 HYBRID) +1m02.2s
9 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ(トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m27.9s
10 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ(シトロエン C3 Rally2)+2m17.9s
(現地時間9月27日20時25分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
<<明日のステージ情報>>
競技2日目となる9月28日(土)のデイ2は、サービスパーク南側、ビオビオ川の西側エリアが戦いの舞台になります。デイ2はこれまでWRCでは使われたことがないセクションも含む3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。その合計距離は139.20kmと長く、三日間で最長の一日となります。
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