2024年シーズンも3月に入り、各所でレースが開幕しています。今月のマンスリーレポートは米国WTSC伝統の12時間レースとLEXUS RC F GT3がデビューしたWEC開幕戦の模様をお送りします。

WeatherTech SportsCar Championship第2戦 セブリング12時間
Mobil 1 Twelve Hours of Sebring Presented by Cadillac
3月13日(水)から16日(土)にかけて、米国フロリダ州セブリングのセブリング・インターナショナル・レースウェイで2024年WeatherTech SportsCar Championshipシリーズの第2戦セブリング12時間レースが行われました。
今季の同シリーズには、バッサー・サリバンからGTDプロクラスに1台、GTDクラスに1台と計2台のLEXUS RC F GT3が参戦しています。
GTDプロクラスに出場する14号車は、ジャック・ホークスワース、ベン・バーニコートとカイル・カークウッドがドライブ。昨年同クラスのチャンピオンを獲得した14号車は、開幕戦のデイトナ24時間で速さを見せながらも、序盤に喫した接触の影響で無念のリタイアに終わっていました。雪辱に燃える今大会はタイトルスポンサーでもあるモービル1の50周年を記念した金のスペシャルカラーでの参戦。GTDクラスの12号車はフランキー・モンテカルボ、パーカー・トンプソン、アーロン・テリッツのラインナップで伝統の12時間レースに臨みました。
15日(金)に行われた予選では、ホークスワースがアタックした14号車が、LEXUS RC F GT3にとってセブリングで初となるポールポジションを獲得。12号車は3番手タイムと、どちらも好位置から決勝をスタートすることとなりました。
16日(土)9時40分に12時間で争われる長い戦いがスタート。ポールポジションからスタートした14号車は、ホークスワースが序盤ポジションを守りレースをリードするも、最初のピットストップで手順違反によるドライブスルーペナルティを科され、順位を落とすこととなってしまいました。
しかし、14号車はLEXUS RC F GT3の速さを活かして見事な追い上げを見せ、ピットの優れた戦略も相まって首位争いに復帰。最後まで全く気の抜けない僅差の争いが繰り広げられましたが、2位を走るホークスワースが最後のリスタートで豪快なパスを見せ首位に浮上すると、猛追を凌ぎ切り、0.121秒差のトップでチェッカー。トータル133周をリードしたこの12時間レースを制し、LEXUS RC F GT3にとってデビュー以来3度目となる耐久レースでの勝利を飾りました。昨年のセブリング12時間で2位表彰台を獲得した14号車と3名のドライバーが、ついにこの伝統のレースを制することとなりました。
一方、12号車は予選ポールの車両がタイム抹消になったことでクラス2番手からトンプソンのドライブでスタートを切ると、すぐにクラス首位に浮上。その後も54周にわたり首位を走行するなど、レースの大半でトップ10圏内での走行を続けましたが、多重クラッシュに巻き込まれ、13位に終わりました。
リザルト
クラス | 順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
GTDプロ | 1位 | 1番手 | 14 | ジャック・ホークスワース
ベン・バーニコート カイル・カークウッド | バッサー・サリバン | 316 | |
GTD | 13位 | 3番手 | 12 | フランキー・モンテカルボ パーカー・トンプソン アーロン・テリッツ | バッサー・サリバン | 314 | 43:100 |


世界耐久選手権(WEC)第1戦 カタール
カタール1812km
2月29日(木)から3月2日(土)にかけて、2024年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第1戦「カタール1812km」がカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで開催されました。
今季より同シリーズに新設されたLMGT3クラスに、LEXUS RC F GT3が2台体制でシリーズフル参戦します。LEXUS RC F GT3として初めてのWECへの参戦で、チームは昨年のファナテック GTワールドチャレンジヨーロッパ パワード バイ AWSにおいてシリーズチャンピオンを獲得しているアコーディスASPチーム。ドライバーは昨年までTOYOTA GAZOO RacingでWECを戦い、ル・マン24時間を制し、世界チャンピオンにも輝いているホセ・マリア・ロペスを筆頭に、エステバン・マッソンと木村武史の3名が87号車、ケルヴィン・ファン・デル・リンデ、ティムール・ボグスラヴスキー、アーノルド・ロビンの3名が78号車というドライバーラインナップで臨みます。
WECのLMGT3クラスでは、予選及びスタートはブロンズドライバーが担当することと決められており、3月1日(金)に行われた予選は、87号車が木村、78号車はロビンがアタックし、78号車が15番手、87号車が16番手のグリッドを獲得しました。
3月2日(土)午前11時、カタールの建国記念日である12月18日にちなんだ1812km、もしくは10時間という長丁場で争われる決勝レースがスタートしました。木村とロビンがスタートを担当し、好ペースで周回を重ねていきましたが、ハイパーカークラスの車両が追いついてきたコース上の混雑の中で、78号車は接触を喫し、ドライブスルーペナルティを科せられることとなってしまいました。
2台のLEXUS RC F GT3はピットタイミングを少しずらした戦略でレースを続け、1時間終了後に87号車はマッソンへ、78号車は1時間半を過ぎてファン・デル・リンデへと交代。
その後、さらに2台のペースは上がっていき、87号車はトップ10圏内へ浮上すると、ロペスへと交代。78号車もボグスラヴスキーへとドライバー交代を行いました。
懸念されていたトラックリミット違反が多発する中、LEXUS RC F GT3の2台もピットでの10秒、30秒のストップペナルティを科されることとなり、レースを折り返す頃、87号車が10位、78号車は11位を走行。後半戦ではさらにペースを上げて追い上げを狙いましたが、87号車はブレーキバランスのトラブルに見舞われ緊急ピットイン。すぐにコースへと戻りましたが大きく順位を落とすこととなってしまいました。
また、終盤までトップ10圏を伺う位置での走行を続けていた78号車は、残り1時間を切ったところで突然パワーを失うアクシデントで予定外のピットイン。レース中の修復は困難と判断され、78号車は戦線離脱を余儀なくされました。
87号車は最後まで走り抜き、16位でチェッカー。LEXUS RC F GT3にとっては厳しいWECデビュー戦となりましたが、今大会で多くのことを学んだチームは、次戦以降での巻き返しを目指します。
リザルト(LMGT3クラス)
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
16位 | 16番手 | 87 | ホセ・マリア・ロペス エステバン・マッソン 木村武史 | アコーディスASPチーム | 273 | 26 Laps |
リタイア | 15番手 | 78 | ケルヴィン・ファン・デル・リンデ ティムール・ボグスラヴスキー アーノルド・ロビン | アコーディスASPチーム | 249 |


次号のマンスリーレポートは4月30日頃の発行を予定しています。