RACING CAR

FIA-F4 2016年 レース車両解説

シャシー
名称・型式
童夢F110
モノコック
童夢 FIA公認UOVA ハイブリッドカーボンモノコック
前後インパクトストラクチャーボディ・フロア
グラスファイバー
サスペンション
ダブルウイッシュボーン+プッシュロッド+ツインダンパー
アンチロールバーブレーキ
ADVICS ツーポットキャリパー+ベンチレーテッドディスク
空カデバイス
前シングルエレメン卜ウイング、後ツインエレメントウイング
ギヤボックス
戸田レーシング 6速シーケンシャルパドルシフト
安全装備
タカタ FIA規定6点式セーフティハーネス
童夢 FIA規定セーフティヘッドレスト
FIA FT3-1999 規定安全燃料セル全長
4341 mm
全幅
1740 mm
全高
950 mm(基準面より)
ホイルベース
2750 mm
トラック
前1550 mm/後1490 mm
車重
590kg (ドライバー込)
タイヤ
前185/550R13/後240/570R13
ホイル
TWS アルミニウム鍛造 前8J-13/後10J-13
エンジン
タイプ・型式
トムスTZR42
DOHC 16バルブ 可変バルブタイミング
電子スロットル排気量
1987 cc
ボア・ストローク
80.5 mm x 97.6 mm
最高馬力
160ps/5800rpm
クラッチ
AP 7.25 インチ シングルプレート
電装品
ECU R&Sport
ディスプレイ/データロガーAIM
コストキャップ方式で低コストのFIA−F4車輌
イコールコンディションでドライビングを学ぶ
FIA-F4ではシャシー(車体)、エンジンは各シリーズでFIAの許諾を受けた1ブランドのみが使用される。日本のシリーズ(F4 JAPANESE CHAMPIONSHIP)は、トヨタ自動車の開発支援の下、JMIA(日本自動車レース工業会)が共同でFIA-F4車両を開発。童夢製シャシー"F110"と、トムス製2,000cc自然吸気の直列4気筒"TZR42"エンジンの組み合わせからなる国産フォーミュラカーでレースが行われる。
海外シリーズでは、タトゥースやミゲールなどいくつかのコンストラクターがシャシーの製作を行っており、エンジンも同様に世界的にはフィアット、アバルト、フォードなどいくつかのブランドや1,400cc、1,600cc、1,800cc、2,000ccなどの排気量が存在している。エンジンはFIAが140馬力〜160馬力という出力を求めているが、"TZR42"は最大クラスとなる160馬力の出力を誇る。パワーとしての絶対性能は抑えられているが、FIAの規定により年間10,000kmをオーバーホールなしで走ることが出来る仕様となっており、発展途上のドライバーが多くの距離を走行出来るよう配慮されている。
また、パーツはほとんどが指定パーツとなっていて、その使用が義務付けられているため、よりイコールコンディションに近い状況を作り出している。このことはハードの必要以上の競争を抑制し、レースに掛かるコストが高騰することを抑えることにも繋がっている。シャシー、エンジンにはそれぞれコストキャップ(価格の上限)が設けられており、シャシー販売価格の上限が38,000ユーロ(1ユーロ120円として456万円)、エンジンの1年間の費用の上限が7,500ユーロ(同90万円)と、このクラスのレーシングカーとしては極めて安価なことが大きな特徴となっている。
日本においては、タイヤはダンロップのワンメイクとなる。そして、日本国内のミドルフォーミュラでは初となるパドルシフトが装備されており、それに合わせて戸田レーシング製の6速シーケンシャルトランスミッションが搭載される。ほとんどのパーツがワンメイクとなっている中、ブレーキパッドは7社の製品の中から選択することが可能で、自らのドライビングスタイルに合った物を使うことができるようになっている。
初年度の2015年シーズンを経てレース車輌としても熟成が進んできた。2016年シーズンは、さらにスピードアップしたバトルが期待できそうだ。