ニュルブルクリンクには、1周5.1kmの「グランプリコース」と新車開発の聖地と呼ばれる1周20.8kmの「北コース(ノルドシュライフェ)」がある。
グランプリコースは1984年に建設。2001年にピットビルやピットなどが現在のよう近代化されたが、周りはと言うと地方のサーキット的なイメージであった。しかし2009年のF1開催に合わせて大改修が行なわれ、グランドスタンド裏には「ring werk」と呼ばれる巨大施設が建設された。ニュルに来たらまずここに行くのが定番だろう。
ニュルブルクリンク24時間耐久レースに行ってみたい!!」、そんなあなたをサポートするコンテンツ「ニュルブルクリンクの歩き方」。第3回目はニュルブルクリンクに着いてからの話。ここでは二つのコース(グランプリコースと北コース)の施設や日本のサーキットと違うポイント、そしてコースを静かに見守っている「ニュル城」と、ニュルに行ったら必ず行きたい定番ポイントを紹介していこう。
ニュルブルクリンクには、1周5.1kmの「グランプリコース」と新車開発の聖地と呼ばれる1周20.8kmの「北コース(ノルドシュライフェ)」がある。
グランプリコースは1984年に建設。2001年にピットビルやピットなどが現在のよう近代化されたが、周りはと言うと地方のサーキット的なイメージであった。しかし2009年のF1開催に合わせて大改修が行なわれ、グランドスタンド裏には「ring werk」と呼ばれる巨大施設が建設された。ニュルに来たらまずここに行くのが定番だろう。
ここにはミュージアムやニュルオフィシャルグッズのショップ、レストランはもちろん、主要自動車メーカーのショールーム(日本の自動車メーカーは日産がある)など様々な施設が入っている。実はring werkの横にあるホテル(リンドナー)にはカジノまで!!まさに「クルマのテーマパーク」と言った雰囲気である。クルマ好きであれば、ここだけで半日以上は楽しめると思う。
実はここにはring werk館内を走る「ジェットコースター」もオープンする予定だったのだが、テスト走行時に周辺のガラスが振動で割れると言うトラブルで結局オープンできず。その名残(ジェットコースター用のレール)は今も残っている。
時代に合わせた改修はされているものの、基本的には「何も変えない、何も変わらない」と言うのが北コースだ。本来のスタート/ゴール地点は、基本的には新車開発用として使われているため、一般の人は入れない。
ただし、北コース20km地点のストレートの途中に一般走行「パブリック」用のピット(と言う名の駐車場)が設けられている。ここにもニュルオフィシャルグッズのショップやレストラン、更にはBMWの専属ドライバーが運転する「M」モデルでコースを同乗走行できる「リングタクシー(半年先まで埋まるほど人気)」の受付もある。
ニュルを一般走行する時にはここからコースIN/OUTを行なう。北コースは一般道と同じ扱いのため、1周27ユーロ(2015年9月現在)を払えば誰でも走行可能(ただし、全て自己責任)。1周20.8km、筑波サーキット10周分と考えれば安いだろう。
ただし、普通のレンタカーでの走行はNGなので、基本はパドック近郊にあるレーシングレンタカーを借りるべし。走行可能な日程はニュルのHPに掲載され、普段から広めの駐車場が埋め尽くされてしまうほどの盛況なので、さすがにニュル24時間の前後は厳しいかもしれない!?
ニュル関連の映像には必ず出てくるシンボルで、このコースが完成して以来、その様子を静かに見守っているのが「ニュルブルク城」である。11世紀に建築され、12世紀中旬ごろまでケルンの貴族が住んでいたと言われているが、今では街のシンボル的な存在となっている。
グランプリコースからも北コースからも、クルマで5分程度の場所にある小高い丘に位置しており、お城の中へは誰でも入る事が可能(有料)だ。駐車場からは急な坂、展望台に行くには更にらせん階段を上る必要があるため、運動不足の人には辛いかもしれないが、ニュルの街が一望できるビュースポットなのでぜひ頑張ってほしい。ただし、コースは北コース最後のストレートとグランプリコースの一部以外はほとんどが森に囲まれているので、コースを一望することはできない。望遠機能が付いたカメラを使うと、チラッとコースが見える所もあるが、「こんな場所を走っているのね!!」と驚くと思う。
実はこのニュルブルク城、「レース前に訪れたチームは完走できない」と言う伝説もあるそうなので、TOYOTA GAZOO Racingの応援に来た人は、できればレース後に訪れてほしい場所だ(汗)。
日本のサーキットだと「場内バス」があり、楽にコースを移動することが可能だが、ニュルにはそんな物はない。となると、クルマで移動するのだが、必ずしも行きたい場所に駐車場があるとは限らない。
例えば、ニュルで最も有名なコーナーである「カルーセル」に行く場合は、駐車場のある「ギャラリーコーナー」から基本的には歩きのみ。距離にして約3km、普通に歩くのも大変なのに、更に勾配がキツい上に歩く道は未舗装の山道だ。日本のサーキットとは全く違ってまさに「体力勝負」である。
実際にコース脇を歩きながらコースを見てみると、森の自然な形をあえて残したコースレイアウトは、平坦なところを探すのが難しいくらい路面の起伏があること、コース幅が日本のサーキットに比べると狭い、更にエスケープゾーンも僅か。ちなみに高低差は最大で17%と山登りに近いので、クルマにかかるGは、横だけでなく縦にも発生。こんな場所をハイスピードで24時間走るのだ。クルマも人も極限状態になるわけだ。
ニュルのコースの厳しさを身を持って実感してしまうと、完全に整備された日本のサーキットが「箱庭」ように見えてしまうかもしれない。
ニュルブルクリンク24時間レースの過酷さは、サーキットそのものを実際に歩いたり、自ら走行したりすることによってさらに実感できることと思う。また、それ以上により一層、24時間を走りきるクルマとチームの素晴らしさを再発見できるのではないだろうか。
これらは「ニュルの基本」の場所となるので、現地に着いたらまず行ってみてほしい。ただ、1日で全てを回ろうとするとかなり駆け足気味になってしまうので、2日くらい余裕を持っていたほうが安心だ。