スーパーフォーミュラとは
アジア圏の最高峰レースであるスーパーフォーミュラ
F1も視野に入れた国内外の有力ドライバーたちも注目
全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)は、全日本の冠が懸かっている日本最高峰のモータースポーツです。さらにアジア圏で最高峰のフォーミュラレースでもあります。またフォーミュラワン世界選手権(通称F1)を頂点とするヒエラルキー(階層・順位)では、F1直下のFIA F2とインディカーシリーズに準ずる世界的なフォーミュラカーレースと言われています。さらに2025年度にはF1ドライバーになるために必要なスーパーライセンスの獲得ポイントでも先の2シリーズに次ぐ格付けになり、欧米などの若手有望ドライバーから更に注目となっています。
フォーミュラカーは、レース専用の1人乗り車両で、そのドライバー1人が速く走るために細かくセッティングすることが可能です。また外観の特徴はコックピット上部(運転席)とタイヤ4輪が覆われていません。
自動車レースを統括する国際自動車連盟(FIA)は、1950年代に「ドライバーズチャンピオンシップは純然たるレーシングカーであるフォーミュラカーによって競われる」と定義していたほど、ドライバー個人の技量を問う競技車両なのです。
また、2025年のスーパーフォーミュラでは「世界最高峰のHUMAN MOTORSPORTS」のメッセージを前面に掲げ、車両自体の能力にはではなく、ドライバーとチームスタッフの能力とチームワークで競うモータースポーツであることを表明しています。
その表明の通り、スーパーフォーミュラでは全車両が同じ「SF23」シャシー(車体)と横浜ゴムが供給するSF専用タイヤというイコール・コンディションになっています。
エンジンも「2000cc直列4気筒の直噴ターボ」と規格が定められており、TGR-D製※のエンジン「TOYOTA/TRD 01F」、もしくはホンダ/M-TEC製の「HONDA/M-TEC HR-417E」の2種から選んで使用します。どちらも出力はほぼ同等(約550馬力)で、こちら面でも極めて高いイコール・コンディションになっています。
※TGR-D(TOYOTA GAZOO Racing Development)は、株式会社トヨタ・カスタマイジング&ディベロップメントからモータースポーツ事業を分割継承した新設会社「株式会社トヨタ ガズーレーシング ディベロップメント」です。TOYOTA GAZOO Racingなどのレース車両やエンジン、モータースポーツ部品の開発と製造を行います。
2025シーズンは3戦増の全12戦を開催
7大会中5大会が土曜日曜の2戦開催となる
2025シーズンは、7大会で全12戦を行います。昨シーズンよりレース数が3戦増えており、7大会中の5大会で土曜と日曜それぞれで予選と決勝を行う2戦開催となります。
開催サーキットは、第1/2戦、第11/12戦(最終戦)が鈴鹿サーキット(三重県)、第3/4戦がモビリティーリゾートもてぎ(栃木県)、第5戦がオートポリス(大分県)、第6/7戦と第9/10戦が富士スピードウェイ(静岡県)、第8戦がスポーツランドSUGO(宮城県)となります。
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鈴鹿市(三重県)
第1戦
鈴鹿サーキット -
鈴鹿市(三重県)
第2戦
鈴鹿サーキット -
茂木町(栃木県)
第3戦
モビリティリゾートもてぎ -
茂木町(栃木県)
第4戦
モビリティリゾートもてぎ -
日田市(大分県)
第5戦
オートポリス -
小山町(静岡県)
第6戦
富士スピードウェイ -
小山町(静岡県)
第7戦
富士スピードウェイ -
村田町(宮城県)
第8戦
スポーツランドSUGO -
小山町(静岡県)
第9戦
富士スピードウェイ -
小山町(静岡県)
第10戦
富士スピードウェイ -
鈴鹿市(三重県)
第11戦
鈴鹿サーキット -
鈴鹿市(三重県)
第12戦
鈴鹿サーキット
シリーズタイトルはドライバーとチームの2つ
全戦ポイントの最多者がチャンピオンとなる
シリーズ各戦では競技結果によりドライバーおよびチームに選手権ポイントが与えられます。その全12戦の合計が最も多いドラバーとチームがシリーズチャンピオンとなります。また1大会で2レース(ラウンド)を行う場合も、それぞれレースが1大会1レースと同等のポイントとなります。
ドライバータイトルは、各戦で選手の予選と決勝のポイントを加算。チームタイトルは毎戦所属の2台の決勝ポイントを加算していきます。
選手権ポイント
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
予選 | 3 | 2 | 1 | - | - | - | - | - | - | - |
決勝 | 20 | 15 | 11 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
なお、決勝レースが2周回する前に中止の場合は不成立でポイントなし。先頭車両が2周回以上で当初レース距離の75%(※)未満で終了、中止となった場合はレース成立でポイントは半分となり、先頭車両が当初レース距離の75%(※)以上ならポイントは当初の通りとなります。
※小数点以下は切り捨て。予選はQ1とQ2のノックアウト方式
Q2の12名がポールポジションを争う
予選方式は、Q1とQ2による2段階のノックアウト方式(予選タイムの下位が振り落とされていく勝ち抜き制)になっています。
Q1はA組とB組に分け(参加台数の半数で、同じチームが被らないよう抽選)て各10分間で実施。そしてQ2はQ1各組の上位6台が進出でき、その計12台で10分間の走行を行います。このQ2のタイム順で予選総合1位(ポールポジション)から12位までを決定します。
Q1で終わったドライバーは予選総合13位以下となります。その予選総合順位は、Q1の各組1位タイムを比較して速い組の7位が総合13位となり、遅い組の7位が総合14位、さらに速い組の8位が総合15位、遅い組の8位が総合16位と、以下は同様に互い違いに並ぶことになります。
悪天候等の不可抗力や大きなアクシデント等で予選が中止となった、または時間が足りなくなった場合は、競技会の審査委員会が指示する別の方法で決勝のスターティンググリッドを決定します。
決勝ではタイヤ交換のピットインが必須
タイヤ交換を行わないと失格になる
2025シーズンでは2レース大会の土曜決勝のレースが約165kmで、日曜の決勝は約185kmで行われます。1レースのみ大会は、約185kmとなります。
決勝レース中のタイヤ交換は全戦で義務付けられ、1回のピットインで4本すべてを交換します。
このタイヤ交換のタイミング(最低周回数)は、2レース大会の土曜の決勝レースは先頭車両が10周目の第1セーフティカーラインを通過した時点で、日曜の決勝レースは先頭車両が1周目の第1セーフティカーラインを通過した時点でピットインを行うことができます。1レース大会は2レース大会の日曜レースと同じとなります。この周回の規定以外のピットイン、タイヤ交換を伴わないピットインは義務のピットインにはカウントされません。
この義務タイヤ交換(ピットイン)を行わずゴールした場合は、失格となります。
なお、決勝レース中の燃料給油は行ってはいません。
1964年に始まった国内トップフォーミュラのレース
スーパーフォーミュラはその50余年の歴史を引き継ぐ
日本のみならず海外からも注目され、有力選手が集うスーパーフォーミュラ。その始まりは、1960年代の日本モータースポーツは黎明期であり、基本は市販乗用車やその改造車・試作車によるレースがほとんどでした。その中、1964年の第2回日本グランプリにおいて初めてフォーミュラカーによる公式レースが開催されました。この時の参加選手は、海外からの招待選手が大半でした。しかし翌年の第3回日本グランプリでは日本人選手が中心となりました。
そして1973年5月に全日本F2000選手権(全4戦)が開幕。このシリーズにより現在のスーパーフォーミュラに連なる国内トップフォーミュラの歴史がスタートしました。以後は車両規定やシリーズ名称の変更に伴い、全日本F2選手権、全日本F3000選手権、全日本選手権フォーミュラ・ニッポンと変遷。2013年にアジア最高峰のシリーズを明確にする意味を込めて“スーパーフォーミュラ”と改名し、現在の「全日本スーパーフォーミュラ選手権」となりました。
トヨタは、フォーミュラ・ニッポンがワンメイクシャシーの「FN06」を導入した2006年にV型8気筒3000ccのエンジン「RV8J」を供給。その年にドライバーズチャンピオンとなったブノワ・トレルイエ選手らの走りを支えました。TOYOTA GAZOO Racingとなってからも、ユーザーチームとドライバーの厳しい要求に適合したエンジンを供給しています。近年では2023年には宮田莉朋選手が、2024年には坪井翔選手が活躍してドライバーズタイトルを連覇。そのタイトル獲得はエンジン供給を開始した2006年から19年間で通算13回を数えています。
2025シーズンはTGR-DCの新チームが参戦を開始
7チームの13名が2025年のチャンピオンを目指す
2025シーズンのスーパーフォーミュラでは、シリーズ全体で13チーム22名(3月7日の開幕戦時点)と、昨シーズンを超える参加となりました。
TOYOTA GAZOO Racingから参戦するのは、7チーム13名です。今年度はTGRのドライバー育成プログラムであるTGR-DC(TGRドライバー・チャレンジ・プログラム)のSF新チーム「KDDI TGMGP TGR-DC」が結成され、TGR-DCドライバーの小高一斗と平良響の2名を擁して参戦します。そしてSFリザーブドライバーは野中誠太が務め、同チームやTGRのドライバーが出場できない際は代わって出場します。
また今季はFIA F2やFIA F3で活躍したザック・オサリバン(イギリス)と、世界耐久選手権(WEC)で実績のあるオリバー・ラスムッセン(デンマーク)がSFルーキーとして参戦。さらに2022年にはSFでシリーズランキング2位となり、昨年まではフォーミュラEに参戦していたサッシャ・フェネストラズ(アルゼンチン)がSFに復帰しました。
TOYOTA GAZOO Racingは供給するエンジン「TOYOTA/TRD 01F」を通じて、この13名のドライバーを支援し、タイトル獲得を目指します。より速く走ることで“もっといいクルマづくり”を実現するTOYOTA GAZOO Racingのドライバーとチームに、今シーズンも大きなご声援をよろしくお願いします。