ABOUT SUPER GT

SUPER GTとは

国内外のGTカー40台以上が競う
世界でも注目される日本発の国際GTレース

SUPER GT 2024年 第1戦 岡山  SUPER GT(スーパー・ジーティ)は、日本発のGTカーをベースにしたレーシングカーで行われるレースの国際シリーズ戦です。"GTカー"のGTとは「Grand Touring(グランド・ツーリング)」の略で、乗用車では長距離を高速に移動できる高性能なグレード(車両の格付け)の車種です。
 このようなGTカーを、さらに走行性と安全性を向上させたレース専用としたレース専用車両で行われるのがGTレースです。GTレースは各国で行われていますが、日本を中心にアジアで開催されているSUPER GT(1)はアジア圏のみならず欧米からも注目されている人気の高い国際シリーズ戦です。

 2024年シーズンは42台(GT500クラス15台3車種、GT300クラス27台14車種2)の車両と、国内外で活躍するトップドライバー84名以上が参戦を予定しています。2023年の1戦平均は38,975人、総観客動員311,800人という、日本発祥のレースシリーズ戦では最大の人気を誇っています。

※1:新型コロナウイルス禍の影響で2020年より海外開催は合わせています。
※2:2024年の年間エントリーリスト(3月18日時点)より。

2024シーズンは国内で全8戦を開催

 SUPER GTには2クラスに分けられた車両が同時にレースを行い、クラスごとの順位を毎戦争います。この順位と結果をポイントにして、1シーズンの総計でドライバーとチームのタイトル(チャンピオン)を決めます。

 2024年シーズンは全8戦を開催。4月13日、14日に第1戦(開幕戦)が行われ、11月2日、3日の第8戦までを国内6つのサーキット(岡山国際サーキット、富士スピードウェイ、鈴鹿サーキット、スポーツランドSUGO、オートポリス、モビリティリゾートもてぎ)で行います。なお、海外でシリーズ戦開催は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、2024年も開催を見合わせています。

  • 日本美作市(岡山県)

    第1戦 
    岡山国際サーキット

  • 日本小山町(静岡県)

    第2戦 
    富士スピードウェイ

  • 日本鈴鹿市(三重県)

    第3戦 
    鈴鹿サーキット

  • 日本小山町(静岡県)

    第4戦 
    富士スピードウェイ

  • 日本鈴鹿市(三重県)

    第5戦 
    鈴鹿サーキット

  • 日本村田町(宮城県)

    第6戦 
    スポーツランドSUGO

  • 日本日田市(大分県)

    第7戦 
    オートポリス

  • 日本茂木町(栃木県)

    第8戦 
    モビリティリゾートもてぎ

GT500とGT300の2クラスが混走
緊張感ある追い抜きが連続するレースに

 SUPER GTには「GT500」と「GT300」という2クラスがあります。この速さの異なる2つのクラスの車両が同時に決勝レースを走り、それぞれの順位を争います。

 上位のGT500クラスは約500馬力のエンジンを搭載することから名付けられました。現在は550馬力以上と言われています。また、車体はクラス共通のカーボン製シャシーを使い、市販GTカーのシルエットを採用したSUPER GTのGT500クラス専用車両としています。

 下位のGT300クラスは、約300馬力を想定しています。ただ現在は500馬力以上を出すGTカーも参戦しているため、GT300車両は車種ごとに出力制限や重量調整によって周回タイムや戦闘力を均一化しています。

 このように速度差のある2クラスが同時にレースをすることで、SUPER GTでは常に抜きつ抜かれつの混戦が生じるようになっています。このため、ドライバーもチームも、そしてファンも常に高い緊張感のレースに浸ることができるわけです。

GT500クラス

 シャシーやボディカウルはGTA(SUPER GT運営団体)が定めたGT500クラスの車両規則に則り、GT500専用につくられています。車体シルエットなどイメージは、参戦メーカーの市販GTカーがベースです。
 エンジンは、2000ccの直列4気筒直噴ターボというNRE規格のレース専用エンジンです。NREは「ニッポン・レース・エンジン」の略で、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)、ホンダ、日産が日本の上位レースで使う前提で基準規格を決めています。
 TOYOTA GAZOO Racingからは、TOYOTA GR Supra GT500が参戦しています。

GT300クラス / GT3車両

 GT3は、FIA(国際自動車連盟)が定めるカテゴリーで、自動車メーカーが製造・販売するGTレースの専用車両です。チーム独自の改造は許されず、レースごとのミッションやサスペンションの交換もできません。シャシーやエンジンに厳格な制限はありませんが、レースごとに競技団体が性能調整を行い、車種間の戦闘力を均衡させています。中にはGT500車両に匹敵する最高速を記録する車種もありますが、コーナーリングのスピードは遅いとされます。
 TOYOTA GAZOO Racingからは、LEXUS RC F GT3がGT3車両として参戦しています。

GT300クラス / GT300車両

 GTAが定めるGT300クラス車両規則に沿って制作された車両です。ベースとなる市販車のモノコックを使用してチームが独自改造し、エンジンもベース車と同じメーカー製ならば変更できます。レースごとのミッションやサスペンションの交換も可能で、コーナーでは速さを示す傾向がありますが、厳しいエンジン出力の調整もあってストレートが苦手と言われます。
 TOYOTA GAZOO Racing公認のGT300車両は、TOYOTA GR Supra、TOYOTA GR86、LEXUS LC500hが参戦しています。

GT300クラス / GT300MC(マザーシャシー)車両

 GTAが定めるSUPER GTのGT300マザーシャシー車両規則に則した車両です。マザーシャシーとはGTAが企画したモノコックとV8の4500ccエンジン、空力パーツなどの車両キットです。これに各チームが市販車を模したボディカウルを載せます。このため低コストでチーム独自のGT300クラス競技車を製作できます。クルマの素性としては、GT300規定車と同等と言われています。
 TOYOTA GAZOO Racing公認のGT300マザーシャシー車両は、TOYOTA 86MCが参戦しています。

2024年は予選方式が変わり
さらにチーム総合力が問われる

SUPER GT 2024年 第1戦 岡山  SUPER GTの予選はQ1とQ2の2回に分けられ、ドライバーはそれぞれを1名が担当します。昨年まではQ1順位でQ2進出が決まるノックアウト(勝ち抜き)方式でしたが、2024年からは全車がQ2も走って、Q1とQ2のベストタイムを合計して順位を決める「タイム合算方式」となりました。
 さらにGT300クラスのQ2では、Q1の上位16台(グループ1)と下位(グループ2)の2つのグループに分けて競いますが、グループ1の下位4台とグループ2の上位4台での合算タイム比較による「入れ替え特別ルール」も設定されました。
 このため、Q1とQ2共にドライバーの速さが必要になる反面、Q1で下位に沈んでもQ2で盛り返すことも可能になりました。なお雨天の場合(WET宣言時)のGT300クラスは、2グループ間で路面状況の有利不利を考慮してタイム合算とグループ間の入れ替えを行わず、Q2各グループ内のタイムで予選順位を決定する。なお雨天の場合(WET宣言時)のGT300クラスは、2グループ間で路面状況の有利不利を考慮してタイム合算とグループ間の入れ替えを行わず、Q2各グループ内の結果で予選順位を決定します。

 2024シーズンの決勝レースは、距離300kmが3戦、やや長い350kmが2戦、時間制で長距離戦となる3時間レースが3戦と大会ごとに異なる形態で行われます。300kmレースはドライバー2名で、350kmと3時間ではドライバーを1人追加できます。決勝は必ずピットインして給油を伴うドライバー交代を行い、必ず2名が走らなければなりません。追加の第3ドライバーは規定の距離を走行しないと選手権ポイントは与えられません。
 また定められたピットイン回数を履行しなかった車両は失格になります(途中終了の場合は別途規定あり)。

 このようにSUPER GTは、ドライバー1人制のレースに較べて、勝つために多様な要素をクリアする必要があります。ドライバーの面では2名の相性や妥協も必要で、クルマのセッティングもドライバーに加え、距離や作戦によって異なってきます。しかもレースは2時間弱から3時間もあるため、途中で気温や天候などが変化こともあり、それにも対応しなくてはなりません。

 このようなレース戦略も重要ですが、ピットインでは各チームのメカニックが行う作業時間もレースタイムに響きます。メカニックの素早い作業で順位が上がることも、失敗すれば順位を落とすこともあります。

 SUPER GTでは、ドライバーなどの個人の技量以上にチームとしての総合力、一体感が求められ、それが必要なように競技自体が工夫されています。単に1人のドライバーが速くても勝てない。それがSUPER GTなのです。

毎戦の結果で増えるサクセスウェイト
2024年は

SUPER GTは2名のドライバーが交代してレースを行う  SUPER GTで最終的に目指すものは、シリーズタイトル(年間チャンピオン)です。このため、各レースの決勝結果と予選結果に比例したポイントがドライバーとチームに与えられ、その年間合計が最も多い者がチャンピオンとなります。

 このポイントに併せたSUPER GT独自のシステムとして、サクセスウェイト制があります。これは獲得ポイントに比例したウェイト(オモリ)を積むハンディの仕組みです。

 2024年より搭載するウェイト指数が変更され、両クラスとも第1戦は搭載ウェイト(オモリ)なし。第2戦から参戦6戦(全8戦の場合)まではポイント×2kgのウェイトを搭載。そして参戦7戦目(先に同じ)はポイント×1kgとなり、参戦8戦目(先に同じ。全戦出場なら最終戦)は搭載ウェイト(オモリ)なしとなります。

 また安全性を考慮し、GT300クラスでは上記のサクセスウェイトを実際に搭載します。GT500クラスは車両に搭載するウェイトは50kgまでで、それ以上は燃料流量リストリクターでエンジン出力を絞ることで、数値上のサクセスウェイトと同等になるハンディとします。
 なお最大ウェイトハンディ搭載量はGT500クラスが100kg、GT3000クラスは80kgまでとなります(計算上の累積は制限なし)。

 このようにSUPER GTでは、強い者にはサクセスウェイトを搭載します。確かに強者に厳しいですが、それを跳ね返す工夫やシリーズを見渡して重要レースを定めるなどの戦略も必要になります。そして、最終戦はウェイトなしと実力を存分に発揮して"総合的な最強者"を決める仕組みになっています。

シリーズポイント

1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位
予選321-------
決勝2015118654321

※ドライバーランキングは決勝と予選のポイントを、チームは決勝のポイントをシリーズ全戦で合計。同点の場合は優勝回数が多い者、それも同じなら2位、3位と回数を較べて多い者が上位となります。

GT300車両もカーボンニュートラル燃料を使用
参戦全車が使うことで環境改善対策にも貢献

 2024シーズンよりSUPER GTはGT500クラスの車両だけでなく、GT300クラスの車両もカーボンニュートラル燃料(CNF)を使用することになりました。この燃料はドイツのメーカーによる環境負荷の少ないバイオ燃料です。

 2023年開幕戦からGT500クラスで使用され、CNFは従来燃料と遜色ない走行性能と使用感、そしてモータースポーツらしいエキゾースト・ノート(排気音)を持つことを証明しました。そして、CNF採用が同年初戦は間に合わなかったGT300クラス車両でも、引き続きテストが繰り返されて対応が完了。2024年開幕戦よりSUPER GT参戦全車がCNFを使用することになりました。

2024年、30周年の歴史を刻む
SUPER GTは全日本GT選手権から始まった

2024年、30周年の歴史を刻むSUPER GTは全日本GT選手権から始まった  2024年、SUPER GTは30周年を迎えました。その始まりは、1994年5月に富士スピードウェイで開催された全日本GT選手権(JGTC)です。この前年にも全日本GT選手権は3戦を行いましたが、参加台数が少なく独立したシリーズとしては成立できませんでした。1990年代はスポーツカーで行われていたシリーズが終焉を迎え、GTカーのレースに移行していく、カテゴリー再編の時代でした。これまでのスポーツカーシリーズや1993年のGTシリーズ失敗を糧に、日本のレース界では多種多様なGTカーが参加しやすく、ファンにも満足してもらえるシリーズをつくろうという動きが起こました。それが結実して、翌年のJGTC初開催へ至ったのです。

 その後、観客動員、参戦車種、参戦チームを着実に増やしたJGTCは、2000年にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで初の海外戦(エキジビション)を開催。2002年からは海外戦もシリーズ戦として組み入れて以降は、毎年海外戦を行い()、また2005年には国際シリーズとしてFIAに公認されて、名称を「SUPER GT」と改めました。
※2003年はアジア圏でのSARSでマレーシア戦は富士で代替に。2020~2024年は世界的な新型コロナウイルス禍により海外大会が行えず、国内戦のみの開催となっています。

 現在のSUPER GTは、GT500クラスにおいて参戦車両を供給するトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)、ホンダ、日産が、参戦コストの軽減やドライバーの安全性、サステナビリティなどにおいてメーカーの垣根を越えて連携しています。もちろん、プロフェッショナルレースにマニファクチャラー(自動車製造会社)として、互いに競技性の向上や開発技術の追求を損なわない車両開発を行っています。

 またGT300クラスでは、GT3カーと言われる国内外の自動車メーカーが販売するGTレース専用車両と、GT300カー(マザーシャシー含む)と言われるGT3カーに、中小規模のコンストラクター(レースカー製作会社)が製造した同等の競技性を持つGTレース専用車両が競い合っています。

 このようにSUPER GTは、他の国や地域にはないユニークな特徴とハイレベルな競技性とレース車両性能を両立させ、アジアのみならず世界からも注目されるレースシリーズとして存在感を高めています。