WEC ~FIA 世界耐久選手権~ の概要
スポーツカーによる過酷な耐久レースの世界シリーズ
2024年のWECはル・マン(仏)、富士(日)など8カ国で全8戦が開催
プロトタイプカーとGTカーが混走して争われる耐久レースシリーズの最高峰、FIA世界耐久選手権(FIA World Endurance Championship:WEC)。現在のWECがスタートしたのは2012年で、2024年は「Season 12」となります。
LMH車両によるハイパーカークラスにLMDh車両の参加が認められて2年目の2024年。昨年からのキャデラック、フェラーリ、プジョー、ポルシェに加えて、BMW、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニ、そしてアルピーヌといった新たなメーカーの参戦で、同クラスのシーズンエントリーは9マニュファクチャラー、19台に増加しました。一方、LMP2クラスはル・マン24時間を除いて廃止され、GTカーのクラスはLMGTE amから世界的に主流となっているFIA GT3車両によるLMGT3クラスに変更。2024年のWECはプロトタイプとGT各1クラスの全2クラスで争われます。また、開催地では前年開催のポルトガルが抜け、新たにカタールとブラジルが加わって全8戦に。競技規則では予選方法が大幅に変更される他、バーチャルセーフティカー手順が導入されます。
選手権とタイトル
各レースは最低6時間で争われることが競技規則に明記されており、最長がル・マンの24時間です。2024年は「HYPERCAR(ハイパーカー)」と「LMGT3」の2クラスで選手権が構成されます。TOYOTA GAZOO Racingが参加するハイバーパークラスは3タイトル、LMGT3クラスには2つのカップが設定されており、選手権ポイントは下記の通り、レースの長さによって異なります。FIA ハイパーカー世界耐久選手権に出場するマニュファクチャラー(メーカー)は、最大2台の車両をエントリーすることができます。2台を超えてエントリーする場合は、FIAワールドカップ・ハイパーカーチーム部門にエントリーしなければならないと競技規則に定められています。LMGT3クラスも同一メーカーの車両は2台までに制限されます。
FIAハイパーカー世界耐久ドライバー選手権
FIAハイパーカー世界耐久マニュファクチャラー選手権
FIAワールドカップ・ハイパーカーチーム部門
FIA耐久トロフィーLMGT3ドライバー部門
FIA耐久トロフィーLMGT3チーム部門
ポイント基準
順位 | 6時間レース | 8時間および10時間レース* | ル・マン24時間 |
---|---|---|---|
1位 | 25点 | 38点 | 50点 |
2位 | 18点 | 27点 | 36点 |
3位 | 15点 | 23点 | 30点 |
4位 | 12点 | 18点 | 24点 |
5位 | 10点 | 15点 | 20点 |
6位 | 8点 | 12点 | 16点 |
7位 | 6点 | 9点 | 12点 |
8位 | 4点 | 6点 | 8点 |
9位 | 2点 | 3点 | 4点 |
10位 | 1点 | 2点 | 2点 |
*または1812km
また、各大会について、各カテゴリーのポールポジションには当該車両の全ドライバーに1ポイントが追加されます。
ドライバー
両クラスともドライバーは車両1台につき最大3名まで認められます。「FIAドライバー分類規定」により、戦績に従って「プラチナ」、「ゴールド」、「シルバー」、「ブロンズ」の4つに分類され、可能となる組み合わせが参加クラスごとに決められています。
予選
2024年は予選方法が大きく変更になり、前年までル・マン24時間でのみ用いられていた「ハイパーポール」がWEC全戦で採用されることになりました。LMHおよびLMGT3クラスそれぞれ12分間の予選が行われ、そこでの上位10位までが10分間のハイパーポールに進み、スターティンググリッド上位10位までを決定します。
バーチャルセーフティカー
アクシデントが発生した際、レースディレクターが必要と判断した場合に宣言することができる手順です。バーチャルセーフティカー (VSC) は、セーフティカー(SC)導入まで約2周に渡って運用することができ、車両内のモニターにVSCが表示されると、各車両は80km/hまで減速し、一列になって前後の車間距離を維持しなければなりません。VSC中のピットレーンへのアクセスは可能です。
タイヤ
ハイパーカークラス、LMGT3クラスともに供給メーカーが指定されているワンメイク制で、それぞれミシュランとグッドイヤーが全車両に独占供給します。
各レースで利用可能なタイヤのスペック数は以下の通りです。
ドライタイヤのスペック数 | ウエットタイヤのスペック数 | |||
---|---|---|---|---|
ル・マン24時間 | その他のレース | シーズン全体 | ||
ハイパーカー | 3 | 2 | 3 | 1 |
LMGT3 | 2 | 2 | 2 | 1 |
各レースで使用できるタイヤ本数は以下の通りです。雨天用タイヤに使用本数の制限はありません。
フリープラクティス | ハイパーポール** | 予選 + 決勝 | |||
---|---|---|---|---|---|
6時間レース | 8時間レース | 10時間レース* | |||
ハイパーカー | 12 | 4 | 18 | 26 | 32 |
LMGT3 | 12 | 4 | 18 | 26 | 32 |
*または1812km
**ハイパーポールでは、当該大会用にタイヤメーカーが用意した最もソフトなタイヤスペックのみを使用。
ル・マン24時間の場合
フリープラクティス+予選 | ハイパーポール | 決勝 | |
---|---|---|---|
ハイパーカー | 24 | 8 | 56 |
LMP2 | 24 | 8 | 56 |
LMGT3 | 28 | 8 | 60 |
クラスと参加車両
選手権は「ハイパーカー」、「LMGT3」の2クラスで構成されます。「LMP2」クラスは2023年を最後に廃止され、同クラスの車両はル・マン24時間に限り参加可能となりました。最上級クラスは「ハイパーカー」で、Toyota GR010 HYBRIDが参加するのもこのクラスです。「LMH」車両と「LMDh」車両に参加が認められています。GTカーについては「LMGTE Am」に代わり「LMGT3」車両で争われることになりました。
WEC最上級クラス。「LMH」車両と「LMDh」車両に参加が認められています。エンジン+ハイブリッドシステムの最高出力は520kW。性能調整(BoP)が導入されます。ドライブシャフト・トルクセンサーの装着が義務付けられており、BoP出力を超えていないか、FIA/ACOによって常にモニターされます。ドライバー編成は自由ですが、ブロンズドライバーの参加はできません。ゼッケンベースはレッド。タイヤはミシュランが独占供給します。
Le Mans Hypercar (LMH)
FIAとACOによるLMH技術規則に適合する車両で、レース専用のプロトタイプカー、および実際に公道走行可能なハイパーカーのレース仕様車と規定されています。クローズドボディを備え、全長5,000mm以下、全幅2,000mm以下、全高はアンテナ等を除き、基準面より1,150mm以上で、最低車重は1,030kg。排気量、気筒数等は自由で、ハイブリッドシステムの搭載も認められており、搭載する場合は四輪駆動とすることも可能です。
Le Mans Daytona h(LMDh)
IMSAとACOによるLMDh技術規則に適合する車両。LMH車両は各マニュファクチャラーが独自に設計、製作できるのに対し、LMDh車両はオレカ、ダラーラ、リジェ、マルチマテックの4社が製作するシャシーを使用しなければならず、標準ハイブリッドシステム(ボッシュ製モーターユニット、ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製バッテリー、Xtrack製ギアボックス)の搭載が義務付けられています。クローズドボディを備え、全長5,100mm以下、全幅2,000mm以下、全高はアンテナ等を除き、基準面より1,060mm以上で、最低車重は1,030kg。四輪駆動は認められません。
Le Mans Grand Touring Three(LMGT3)
LMGT3は世界各地のGTレースで主流となっているFIA GT3規定の車両がベースですが、ドライブシャフトのトルクセンサー、リーダーライトパネル等、WEC独自の装備の装着も技術規則で義務付けられています。性能調整(BoP)が導入されます。2023年までのLMGTE Amクラス同様、プライベートチームとジェントルマンドライバーに比重が置かれています。ドライバー編成にはブロンズドライバー最低1名と、ブロンズかシルバーのドライバー1名を含めなければなりません。また、選手権にエントリーする車両にはル・マン24時間を除き、サクセスバラスト(ウエイト)制が適用されます。ゼッケンベースはオレンジ。タイヤはグッドイヤーのワンメイクです。
RACE
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カタール
第1戦
カタール1812kmレース -
イタリア
第2戦
イモラ6時間レース -
ベルギー
第3戦
スパ・フランコルシャン6時間レース -
フランス
第4戦
ル・マン24時間レース -
ブラジル
第5戦
サンパウロ6時間レース -
アメリカ
第6戦
ローン・スター・ル・マン -
日本
第7戦
富士6時間レース -
バーレーン
第8戦
バーレーン8時間レース