TOYOTA GAZOO Racing(TGR)はFIA世界耐久選手権(WEC)の開幕戦を目前に控えた2月26日(月)と27日(火)の両日、舞台となるカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで行われた、公式プロローグテストに参加しました。
2024年シーズン、これまでで最多の19台がしのぎを削ることとなるWECハイパーカークラス。この2日間にわたるプロローグイベントで、その全車が初めて一堂に会しました。TGRのGR010 HYBRIDは、昨年も戦ってきたキャデラック、フェラーリ、プジョー、ポルシェに、今季新たに加わるアルピーヌ、BMW、イソッタ・フラスキーニ、そして、ランボルギーニというライバル達と共に開幕へ向けたテスト走行を行いました。
ディフェンディングチャンピオンであるTGRは、全8戦で競われる2024年シーズンの開幕戦として3月2日(土)に決勝が行われるカタール1812kmへ向け、GR010 HYBRIDのセットアップ作業に専念しながら2日間で合計11時間にわたる走行を終えました。チームはこの2日間、トラブル無く走行を続け、2台合計で571周、3093kmを走破しました。
今回のテストでは、タイヤの比較、及び異なる車両セッティングでの分析を最優先とし、1周のラップタイムはそれほど追いませんでした。とは言え、最新の性能調整(Balance of Performance=BoP)反映後、最初の走行となったこの2日間は、昨年7月のモンツァ戦以来3連勝を続けているチームに、このレースウィークが今まで以上にチャレンジングになることを予感させるものになりました。
小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースの3名がドライブするGR010 HYBRID 7号車は2日間の総合結果で13番手タイム。この7号車の最速タイムはデ・フリースがセッション3回目の走行で記録したものでした。ディフェンディングチャンピオンのセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮がドライブするGR010 HYBRID 8号車は、セッション4回目の走行でのハートレーによるタイムが最速となり、2日間の総合では15番手となりました。
今回のプロローグテストは、物流トラブルで幾つかのチームの機材到着が遅れたことにより、予定よりも2日遅れて実施されました。この変更により、各チームは4回設定されたセッションのうち、3つを選択して走行することが許可されました。TGRは、路面コンディションが良くない最初のセッションをスキップし、2回目から走行を開始しました。
26日(月)現地時間午後6時より開始された2回目のセッションで、7号車はコンウェイ、8号車はハートレーのドライブにより、TGRの2024年シーズンにおける公式走行が開始されました。
TGRにとっては、昨年11月に2日間の日程で行われたテスト以来となるカタールでの走行となりました。5時間にわたるこのセッションで、ドライバーとエンジニアはこの1周5.419kmのルサイル・インターナショナル・サーキットについて再び習熟し、更なる経験を積み重ねるのに充分な時間をとることができました。
このセッションは日没直後に開始され、ナイター照明に照らされたサーキットで2台のGR010 HYBRIDは、メカニカル、及び空力の車両セットアップ評価と、タイヤコンパウンドの分析等の広範囲にわたるプログラムを遂行しました。
テストは翌27日(火)明るい日差しの降り注ぐ中で午前10時から再開。前日に比べ、風がなく暑いコンディションとなりましたが、チームはこの3時間のセッションを効率的に活用し、前日のテストにおけるセットアップデータを解析すると共に、この機会にピットストップの練習も行いました。
このセッション終盤には、コースの路面温度はこれまでで最高となる35度まで上昇。その後、暑いコンディションが続く中で午後に3時間のテストが行われ、更なるタイヤパフォーマンスと信頼性の分析をすることができました。
チームは28日(水)をフルに使って、合計11時間にわたるテストで収集したデータを元に車両セットアップの最適化を見出すと共に2台のGR010 HYBRIDを組み直し、29日(木)の午後に開始されるWEC開幕戦の最初の公式練習走行に挑むこととなります。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
この2日間はなかなか思い通りにいかず、少し苦戦しました。色々なことを試しましたが、もっといいパフォーマンスを引き出すために適切な解決策を探る必要があると思っています。最高のスタートではありませんし、個人的にこの時点ではレースウィークへ向けてあまり楽観的な気分ではありません。しかし、なんとかこの状況を打破し、木曜日には強さが見せられるよう努力を続けたいと思います。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
シーズンのスタートはいつでもわくわくするもので、カタールで開幕が迎えられるのは素晴らしいです。我々はこのプロローグテストで、レースへ向けてクルマに必要なものを見出し、我々自身の準備もしてきました。これから待ち受ける戦いは容易ではないでしょうが、今回我々は多くの周回をこなし、データを収集したので、改善へ向けて努力を続けます。プロローグテストは終わり、これからレースウィークに突入します。あとは土曜日の決勝まで一日一日しっかり対応していくだけです。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
ついに2024年シーズンが公式にスタートしました。この瞬間をずっと待ち続けており、ここに来るのがとても楽しみでしたし、ハイパーカーのライバルたちと一緒にコースで走れて嬉しいです。我々は充実した2日間を過ごし、多くの周回をこなすことができました。あとは木曜日を良い状況で迎えられるよう、チーム一丸となって作業を続けていかなければなりません。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
GR010 HYBRIDのコクピットに戻り、プロローグを走るのは楽しかったですが、簡単な2日間ではありませんでした。トラブル無く多くの周回をこなすことができたので、信頼性という点では悪くない結果ですが、走行ペースでは若干苦戦しました。最初の公式練習セッションまで一日しかありませんが、全てのデータを解析し改善点を見出すべくハードワークを続けます。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
これまでのライバルと、新たに加わった車両とで、こんなに多くのハイパーカーが一緒にコースを走るのを見られるのは素晴らしいことです。壮観ではありますが、それは我々にとってさらに大きなチャレンジになるということを意味しています。今回のテストで、我々のクルマにトラブルはありませんでしたが、ペースの面ではまだ予想していたレベルには達しておらず、やるべきことは残っています。エンジニアだけでなく、ドライバーにとってもこれから忙しい24時間になるでしょう。
平川亮(8号車 ドライバー):
このコースはみんな初めてなので、我々は決勝レースへ向け、ラップタイムや車両バランスを見出すべく様々なセットアップを試しました。全てのコーナー、全てのラップで新しい発見があるので、新しいサーキットでの走行はいつも楽しいです。多くのことを学びましたが、公式練習のスタートまで、得られたデータを解析するのにあまり時間はありません。我々が最速ではないということは明らかであり、更なる改良のために懸命な努力が必要です。
WECプロローグ セッション2回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 12 | ウィル・スティーブンス カラム・アイロット ノルマン・ナト | ハーツ・チームJOTA/ ポルシェ 963 | 123 | 1:40.541 |
2 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 113 | 1:40.673 |
3 | 38 | ジェンソン・バトン フィル・ハンソン オリバー・ラスムッセン | ハーツ・チームJOTA/ ポルシェ 963 | 124 | 1:40.950 |
4 | 51 | アレッサンドロ・ピエール・グイディ ジェームス・カラド アントニオ・ジョビナッツィ | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 127 | 1:41.026 |
5 | 2 | アール・バンバー アレックス・リン セバスチャン・ブルデー | キャデラック・レーシング/ キャデラック V-Series.R | 106 | 1:41.196 |
13 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 138 | 1:42.452 |
16 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 127 | 1:42.736 |
WECプロローグ セッション3回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 5 | マット・キャンベル ミカエル・クリステンセン フレデリック・マコヴィッキィ | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 70 | 1:41.223 |
2 | 94 | ポール・ディ・レスタ ロイック・デュバル ストフェル・バンドーン | プジョー・トタルエナジーズ/ プジョー 9X8 | 65 | 1:41.260 |
3 | 6 | ケビン・エストレ アンドレ・ロッテラー ローレンス・バンスール | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 65 | 1:41.420 |
4 | 93 | ミケル・イェンセン ニコ・ミュラー ジャン-エリック・ベルニュ | プジョー・トタルエナジーズ/ プジョー 9X8 | 82 | 1:41.622 |
5 | 2 | アール・バンバー アレックス・リン セバスチャン・ブルデー | キャデラック・レーシング/ キャデラック V-Series.R | 78 | 1:41.652 |
6 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 75 | 1:41.789 |
14 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 84 | 1:42.696 |
WECプロローグ セッション4回目結果
順位 | No. | ドライバー名 | チーム/車種 | 周回 | ベストタイム |
1 | 5 | マット・キャンベル ミカエル・クリステンセン フレデリック・マコヴィッキィ | ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ ポルシェ 963 | 46 | 1:40.404 |
2 | 2 | アール・バンバー アレックス・リン セバスチャン・ブルデー | キャデラック・レーシング/ キャデラック V-Series.R | 65 | 1:40.458 |
3 | 83 | ロバート・クビサ ロバート・シュワルツマン イーフェイ・イエ | AFコルセ/ フェラーリ 499P | 75 | 1:40.749 |
4 | 51 | アレッサンドロ・ピエール・グイディ ジェームス・カラド アントニオ・ジョビナッツィ | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 84 | 1:40.926 |
5 | 50 | アントニオ・フオコ ミゲル・モリーナ ニクラス・ニールセン | フェラーリAFコルセ/ フェラーリ 499P | 77 | 1:40.968 |
12 | 8 | セバスチャン・ブエミ ブレンドン・ハートレー 平川亮 | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 69 | 1:42.097 |
13 | 7 | マイク・コンウェイ 小林可夢偉 ニック・デ・フリース | TOYOTA GAZOO Racing/ トヨタ GR010 HYBRID | 78 | 1:42.238 |
※セッション1,4はどちらか一方を選択。TGRはセッション4を選択し、セッション1は走行なし。