数字で見るル・マン24時間

世界三大レースの一つにも数えられる「ル・マン24時間」。その長い歴史と競技の過酷さゆえに、語り継がれる記録やストーリーを数多く生み、いつの時代もモータースポーツファンの心を掴みつづけてきた。
ここでは、ル・マン24時間をめぐる様々な数字を手がかりに、その存在感を改めて感じてみよう。

1923&100
第1回ル・マン24時間は1923年に開催、そして2023年、100周年を迎える

第1回ル・マン24時間は1923年に開催、そして2023年、100周年を迎える

基本的に毎年1回の開催で、2021年で89回目の開催となるル・マン24時間。その第1回大会が催されたのは1923年のことで、決勝レースは5月26~27日に行われた。優勝したフランス車シュナール&ワルケールは雨に見舞われた24時間レースで2209kmを走破した。なお、1923年は和暦では大正12年であり、日本では関東大震災(9月1日)が発生している。

13.626
ル・マンの舞台 サルト・サーキットは1周13.626km

ル・マンの舞台
サルト・サーキットは
1周13.626km

ル・マン24時間が行われるサルト・サーキット(正式名称はル・マン24時間サーキット)は、普段は一般車両が行き交う公道をレース開催時だけ閉鎖して作り出されるレーシングコースで、コース全長は13.626kmもある。コースレコードは2017年大会の予選で小林可夢偉が操るTS050 HYBRIDがマークした3分14秒791。その平均速度は251.882km/hに至っている。

5410.71
レース走行距離の最長記録は5410.71km

レース走行距離の最長記録は
5410.71km

2010年大会でアウディ R15 TDIが5410.71kmを走って優勝したが、その後ル・マン24時間のレース走行距離最長記録は更新されていない。ル・マン決勝の走行距離にはクラッシュなどによるセーフティカー介入などが影響するため、車両性能の向上だけは最長走破記録を望めないのだ。ちなみにトヨタ車の最長記録は、2018年大会を制した中嶋一貴/セバスチャン・ブエミ/フェルナンド・アロンソ組のTS050 HYBRIDが走破した5286.36km。

16&7
2023年の最高峰ハイパーカークラスのエントリー台数「16台」とメーカー数「7メーカー」

2023年の最高峰ハイパーカークラスのエントリー台数「16台」とメーカー数「7メーカー」

2021年のハイパーカー規定の導入により、グリッケンハウスとプジョー、今年からはフェラーリ、キャデラック、ポルシェ、ヴァンウォールと多くのメーカーがルマン/WECに参戦するようになった。
また、2024年には、ランボルギーニ、BMW、アルピーヌが参戦予定と発表されている。

32
24時間の決勝レースで32回のピットストップ

24時間の決勝レースで
32回のピットストップ

2022年大会を制したセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮のGR010 HYBRIDは24時間の決勝レース中に32回のピットストップを行った。その合計時間=停車時間は約41分にもなる。毎回のピットストップ所要時間を少しずつでも短くすることは、トータルで大きなマージンを生み出すことになる。

24
ル・マン24時間は各年のおおよそ24週目に開催

ル・マン24時間は各年の
おおよそ24週目に開催

夏至が訪れる6月に決勝レースを行うのがル・マン24時間のお決まり。加えて、多くの場合はその年の24週目前後に開催されており、2019年大会がそうだった。新型コロナウイルス感染症が大きく影響した2020年大会は9月半ば、2021年大会は8月半ばという例外的な時期での開催となっている。2022年大会より例年通りの6月、24週目前後の開催に戻り、100周年の2023年大会は23週の最後の日曜日に栄光のゴールを迎える

56

特別な参加者のための
56番目のピット

長年にわたってル・マン24時間ではピットガレージの数は55だった。そこに56番目のピットを加え、革新的な技術を備えた車両を走らせる特別なエントラントを迎えて、正式順位とは別にル・マン24時間に出走させるプロジェクトが2012年大会から行われてきている。そして2023年大会では、米国の大人気ストックカーレース「NASCAR」の車両が参戦する。NASCARの強豪ヘンドリック・モータースポーツがル・マン仕様に仕上げたシボレー・カマロZL1を、ジミー・ジョンソン/ジェンソン・バトン/マイク・ロッケンフェラーがドライブする。

3'14.791
ル・マン史上最速のラップタイム 3分14秒791

ル・マン史上最速の
ラップタイム 3分14秒791

ル・マン24時間の名物であった全長約6kmのユノディエール・ストレートは、途中2カ所にシケインが1990年に設けられ、そのため1985年大会の予選でポルシェ962Cが刻んだ3分14秒843が30年以上もコースレコードであり続けることになった。これをついに上回ったのがTS050 HYBRIDで、2017年大会の予選において小林可夢偉により3分14秒791をマーク。その後、ル・マンのトップカテゴリー車両には性能抑制措置が取られるようになったため、TS050 HYBRIDが叩き出したタイムはル・マン史上最速のラップタイムとして今後長く残るだろう。

405

30年以上前にマークされた
405km/hが最高速度記録

ル・マン24時間における史上最速の最高速度記録は、1988年大会の予選でWMプジョー P88が記録した405km/h。この年、サルト・サーキットの舗装が一新されたことで全般的にスピードが跳ね上がり、公式セッションで初となる最高速400km/h超えが達成された。その後、1990年にユノディエール・ストレートにシケインが2カ所設けられたことにより、30年以上前のものが今日まで破られることなく最高速度記録であり続けている。

19
単一自動車メーカーのル・マン最多勝数は19勝

単一自動車メーカーの
ル・マン最多勝数は19勝

2022年までで90回開催されたル・マン24時間で、総合優勝を最も多く飾っている自動車メーカーはポルシェで19勝を数える。次に総合優勝回数が多いのはアウディで13勝。以下、2023年に出場するメーカーでは、フェラーリ9勝、トヨタ5勝、プジョー3勝となっている。

2

ル・マン24時間を制覇した
日本メーカー「2社」

1991年、遂に欧米の牙城を崩して日本勢の悲願を成し遂げたのが、マツダ「MAZDA 787B」。その後は幾度か勝利目前まで迫る年があったものの勝利からは見放され続けて16年間が経過した。
そして迎えた2018年。トヨタとしては初挑戦から33年目にして、初の優勝を「TS050 HYBRID」が飾った。

9

ドライバーの最多勝記録は
クリステンセンの9勝

88回開催されたル・マン24時間で最も多く総合優勝を飾っているドライバーは、全日本GT選手権(現SUPER GT)をトヨタ・スープラGTで戦った経験も持つトム・クリステンセンで、通算18回のル・マン出場において9勝をマーク。勝率5割という驚異的な数字を残している。表彰台に上った回数もクリステンセンが最多で通算14回にのぼる。

22
史上最年少優勝記録はブルツの22歳

史上最年少優勝記録は
ブルツの22歳

ル・マン24時間の総合優勝を最も若く手にしたドライバーは、現在はTOYOTA GAZOO Racing WECチームのアドバイザーを務めているアレックス・ブルツ。2012~2015年に行われた4回のル・マンにTS030 HYBRID/TS040 HYBRIDを駆って挑んだ経験を持つ彼がこのレースで初優勝を飾ったのはTWRポルシェ WSC95で出場した1996年大会。22歳4カ月と1日で伝統の一戦の総合優勝という栄冠を勝ち取った。

1985
1985年、トヨタの公式車両がル・マンに初見参

1985年、トヨタの公式車両が
ル・マンに初見参

ル・マン24時間にトヨタの公式な車両が初めて参戦したのは1985年大会だった。2.1リッター4気筒ターボの4T-GT改エンジンを搭載したトヨタ・トムス85C-LというグループCカーが2台出場。エイエ・エルグ/ジェフ・リース/鈴木利男組はクラッチトラブルのためリタイアしたが、中嶋 悟/関谷正徳/星野 薫組は12位で完走を果たした。

2
1999年に日本人トリオで2位表彰台を獲得

1999年に日本人トリオで
2位表彰台を獲得

2018年大会で初の優勝を飾る以前、トヨタのル・マン24時間におけるベストリザルトは2位だった。それは1999年大会で残され、土屋圭市/片山右京/鈴木利男組がドライブしたTS020(別名TOYOTA GT-One)がレース終盤に左後輪のバーストに見舞われながらも2位でフィニッシュ。今日までも日本人トリオによるル・マン最上位記録であり続けている。

5

日本人ル・マンウィナーの数
「5人」

世界三大レースや世界三大耐久レースに数えられるこの伝統あるレースの歴史に名を刻んだドライバーたち。
その道標となる第一歩を刻んだのが1995年の関谷正徳。そして荒聖治(2004年)、中嶋一貴 (2018、2019、2020年)、小林可夢偉(2021年)、平川亮(2022年)という5人が栄誉あるポディウムの頂を制覇している。

2012
トヨタのハイブリッド車による挑戦は2012年から

トヨタのハイブリッド車
による挑戦は2012年から

ル・マン24時間に初めて登場したハイブリッド車は、600馬力のガソリンエンジンと補助的な150馬力の電動モーターを搭載したパノス・エスペランテGTR-1 Q9。1998年大会に参戦したが、予備予選落ちを喫してル・マン本戦は走れなかった。それから14年後の2012年、ル・マンをシリーズの一戦としてスタートしたWEC(FIA世界耐久選手権)に「LMP1-H」というハイブリッド車のクラスが設けられ、ここにトヨタとアウディがエントリー。トヨタはTS030 HYBRIDで参戦し、現在のGR010 HYBRIDへと続く道が拓かれた。

1000
TS040 HYBRIDで最高出力1000馬力に到達

TS040 HYBRIDで
最高出力1000馬力に到達

グループC規定の車両がル・マン24時間の覇を競い合った時代には、過給圧を上げた予選仕様で1000馬力を発生させていたエンジンもあったと言われる。トヨタは2014年のレギュレーション変更に対応して投入したTS040 HYBRIDで、標準仕様でも最高出力1000馬力のレベルに到達した。3.7リッター自然吸気エンジンが520馬力、ハイブリッドシステムが480馬力をそれぞれ発生させるというハイブリッドマシンならではの1000馬力である。

3
トヨタ悲願の初制覇から            5連覇を達成

トヨタ悲願の初制覇から
5連覇を達成

1985年の初参戦以降、2022年までの38年間で24回参戦。延べ51台の挑戦で5回の優勝、16回の表彰台を獲得してきた。長く跳ね返されてきた我々の挑戦史に「初制覇」の3文字を刻んだ2018年大会。そこから5年連続の総合優勝。そして2023年、100周年というル・マン24時間の記念すべき年に集った多くの強豪を迎え撃ち、勝利を掴むために、TOYOTA GAZOO Racingはチーム一丸でこの一戦に臨む。