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WRC 2017年 第1戦 ラリー・モンテカルロ(モナコ)

サマリーレポート

WRC Rd.1 モンテカルロ(モナコ) サマリー

18年ぶりのWRC復帰戦で表彰台獲得
さらに志気を高め、残る12戦を全力で戦い抜くことを胸に誓う

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トヨタにとって18年ぶりのWRC復帰戦となるラリー・モンテカルロは、単なるシリーズの1戦ではない。WRCでもっとも長い歴史を誇り、ラリードライバーならば誰もが1度は出場したいと憧れ、ポディウムの最上段に立つことを夢見るラリーである。しかし、モンテカルロを制することは容易ではない。ワールドチャンピオンとなった選手でさえも、モンテカルロ優勝の夢を叶えることなく現役を引退した者は多い。

TOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表であるトミ・マキネンは、1999年から2002年にかけて4年連続でモンテカルロを制覇した。

「モンテカルロほど先が読めないラリーは他にない。ミスをおかしやすいコース、刻々と変わる天候と路面コンディション、それに合わせたタイヤ選択。本当に難しく、特殊なラリーだ」

モンテカルロを知り尽くしたマキネンは、それ故TOYOTA GAZOO Racing WRTにとっての初戦であるモンテカルロに、慎重なアプローチでのぞむことを以前から決めていた。エンジニアとドライバーの努力により、ヤリスWRCは非常に短い開発期間で実戦を戦える状態に仕上がった。しかし、ゼロの状態から開発したマシンだけに、ラリー本番で果たしてどれほどのパフォーマンスを発揮できるのかは分からない。予期せぬトラブルも十分起こりうる。また、開発テストの多くの時間をグラベル(未舗装路)走行に充ててきたため、モンテカルロのターマック(舗装路)コースに関しては、必ずしも万全とはいえないセットアップでスタートせざるを得なかった。

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しかし、ヤリスWRCはラリー開始早々から上位を争うスピードを発揮した。SS2では開発ドライバーを務めてきたユホ・ハンニネンが3番手タイムを記録。競技初日のデイ1を総合3位で終えるという、チームの予想を上まわる結果となった。翌日のデイ2でもヤリスWRCは高いスピードを保ち、ハンニネンだけでなく、ヤリ-マティ・ラトバラもコンスタントに上位のタイムを刻むようになる。コースオフにより、SS5では総合3位につけていたハンニネンがリタイアとなってしまったが、ラトバラは好調を維持し総合4位に浮上。確実に完走するためのやや抑えたペースながら、SS7で3番手タイムをマークするなど、次第に速さを増していった。

今年のモンテカルロのコースは路面に雪が広がるセクションが多く、ドライのターマックでも日陰にはアイスバーンが残るなど、ロードコンディションはかなりトリッキーだった。しかし、ラトバラは安定した走りで難コースを次々とクリア。「ヤリスWRCは、走れば走るほど乗りやすいマシンになっていく。セッティングを大きく変える必要はない。ほんの少しのファインチューニングで走りがさらに良くなっていくのを実感している」と、笑顔を見せた。

ラトバラとヤリスWRCの堅調は、デイ3に入っても続いた。上位を走る選手の中にはアクシデントやトラブルに遭遇する者もいたが、ラトバラが駆るヤリスWRCはセンサー系のマイナートラブルに留まり、それが大きくタイムに影響するようなこともなかった。その結果ラトバラは3位に順位を上げ、修復されたマシンで再出走を果たしたハンニネンも16位に。ヤリスWRCは、2台揃ってモナコのパルクフェルメに入り、最終日デイ4の戦いに備えた。

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モナコを基点とするデイ4のSSは合計距離が約50kmと短いが、モンテカルロは最後まで何が起こるか分からないラリーである。過去に多くの選手がフィニッシュ直前でトラブルやアクシデントに見舞われ涙をのんできた。それだけに、両ドライバーはさらに慎重な走りでフィニッシュを目指したが、運気はラトバラに味方した。2位を走行していたライバルにエンジントラブルが発生した結果、ラトバラは2位に浮上。18年ぶりのWRC復帰戦、そしてヤリスWRCのデビュー戦で望外ともいえる2位を得ることに成功したのである。また、ボーナスポイントの獲得をめぐり、激しいタイムアタック合戦が展開された最終SSのパワーステージでは、ハンニネンが3番手タイムを記録。ヤリスWRCがトップ3を争う力を備えたマシンであることが、改めて証明された。

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「初戦で2位に入れるなんて、ラリー前は想像すらしていなかった。素晴らしいマシンを開発してくれたチームに心から感謝している」とラトバラが言えば、マキネンは「ヤリ-マティは、センサートラブルでマシンが止まるかもしれないという、大きなプレッシャーと戦いながら走り続けた。彼はまさに完璧な仕事をやってのけた。そして、ユホも上位を戦える速さを見せてくれた」と、ドライバーの活躍を称賛。TOYOTA GAZOO Racing WRTのスタッフは、安堵と満足感が入り交じった表情で、ヤリスWRCと選手のモナコ帰還を迎えた。

「みなさんのサポートのおかげで、“もっといいクルマづくりの新たな旅の始まり”であるWRCデビュー戦で2位に入るという、素晴らしい結果を得ることができました。しかし、優勝したチームとの力の差があることも分かりました。まだまだやらなければならないことは多い」

4日間に渡る戦いを見守っていた、嵯峨宏英チーム副代表は、好結果を喜びながらもチームとマシンの現状を冷静に分析。マシンの開発をさらに加速させることを決意した。

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 TOYOTA GAZOO Racing WRTにとって、2017年のWRCはまずは順調な船出となったが、目標はまだはるか遠くにある。航路は時に荒波となり、困難な時を過ごすこともあるだろう。しかし、TOYOTA GAZOO Racing WRTのすべてのスタッフはモンテカルロで2位に入ったことにより、さらに志気を高め、残る12戦を全力で戦い抜くことを胸に誓ったのである。

RESULT
WRC 2017年 第1戦 ラリー・モンテカルロ

順位ドライバーコ・ドライバー車両タイム
1セバスチャン・オジエジュリアン・イングラシアフォード フィエスタ WRC4h00m03.6s
2ヤリ-マティ・ラトバラミーカ・アンティラトヨタ ヤリス WRC+2m15.0s
3オット・タナックマルティン・ヤルヴェオヤフォード フィエスタ WRC+2m57.8s
4ダニエル・ソルドマルク・マルティヒュンダイ i20 クーペ WRC+3m35.8s
5クレイグ・ブリーンスコット・マーティンシトロエン DS3 WRC+3m47.8s
6エルフィン・エバンスダニエル・バリットフォード フィエスタ WRC+6m45.0s
7アンドレアス・ミケルセンアンダース・ジーガーシュコダ ファビア R5+9m32.7s
8ヤン・コペツキパヴェル・ドレスラーシュコダ ファビア R5+12m58.1s
9ステファン・ルフェーブルギャバン・モローシトロエン C3 WRC+14m43.8s
10ブライアン・ブフィエドゥニ・ジロウデフォード フィエスタ R5+16m09.4s
16ユホ・ハンニネンカイ・リンドストロームトヨタ ヤリス WRC+32m16.8s