Sébastien Ogier セバスチャン・オジエ Sébastien Ogier セバスチャン・オジエ

2021年アークティックラリー・
フィンランドを終えて、
3⼈のドライバーにインタビューを
実施。
今シーズンの彼らの思いとは。

プロフィール

  • セバスチャン・オジエ
  • ドライバー
  • ⽣年⽉⽇:1983年12月17日
  • 国籍:フランス

主な戦歴

  • 2007年 フランス プジョー206 Cup シリーズチャンピオン
  • 2008年 Junior WRC シリーズチャンピオン
  • 2010年 WRC初優勝(ラリー・ポルトガル)
  • 2013-18年 6年連続WRCドライバーズタイトル獲得
  • 2020年 通算7度目のドライバーズタイトル獲得

フランス人ラリードライバー。2005年にFFSA(フランス自動車スポーツ連盟)主催の若手ドライバー発掘プログラムに選ばれ、ラリードライバーの道に進む。2007年にはプジョー206CUPを制し、翌2008年はJWRC(ジュニア世界ラリー選手権)でシリーズチャンピオンに。その才能がシトロエンに認められ、同年WRC最終戦のラリーGBでWRカーによる出場機会を与えられた。そしてWRカーでの初戦にも関わらずSS1でベストタイムを記録すると、SS5までラリーをリードする活躍を示した。2009年よりシトロエン・ジュニアチームの一員となり、2010年のラリー・ポルトガルでWRC初優勝を達成。2011年は5勝を挙げシリーズ3位となった。2013年はフォルクスワーゲンに加入し、同年から2016年にかけてワールドチャンピオンに輝き、2017年に移籍したMスポーツ・フォードでも2年連続で世界王者となり、WRC 6連覇を達成。2019年はシトロエンに復帰し、2020年TOYOTA GAZOO Racing WRTに加入。シーズン2勝を飾って通算優勝回数を49に伸ばし、7度目のドライバーズタイトルを獲得した。

フルタイムドライバーとして戦う最後の年となる、今シーズンの目標を教えてください。

直なところ、フルタイム最後のシーズンであるという事実については、あまり意識していませんし、これまでと同じように仕事を続けています。ひとつひとつのラリーに集中し、ベストを尽くし、そしてもちろん最後のタイトル獲得を目指して戦うつもりです。開幕戦のモンテカルロでは優勝して最大ポイントを獲得し、素晴らしいスタートを切ることができました。しかし、ある程度予想はしていましたが、次のスノーラリーでは出走順が1番だったため、雪に覆われた道を切り開くのに苦労しました。それに加えてミスもあり、自分にとっては最悪の週末になってしまいましたが、今はもう次のクロアチア・ラリーに集中しています。まったく新しいターマック(舗装路)のラリーなので、条件は皆同じだと思いますし、これだけ長いキャリアを過ごした後でも新しい発見をできることに興奮しています。

ホームイベントである、ラリー・モンテカルロでは2年ぶりに優勝しましたが、どのような気分でしたか?

ンテカルロで勝つことは、私にとっていつだって素晴らしいことです。秘密でも何でもなく、モンテカルロは私にとってラリーの全てであり、このスポーツを知った場所であり、いつかドライバーになるという夢を与えてくれたラリーであり、もちろん最も優勝したいラリーであることは間違いありません。だからこそ、今年もう一度優勝できて本当に嬉しかったですし、特に今年はラリー全体を通して良いペースで走れたので、とても満足のいく内容でした。ヤリスWRCはドライビングしていて本当に楽しかったですし、あのような形でシーズンをスタートできたのは素晴らしいことでした。

しかし、第2戦アークティック・ラリー・フィンランドの結果は残念なものでした。その原因は一体何だったのでしょうか?

幕戦のモンテカルロで優勝すると、次のスノーラリーでは非常に厳しい走行条件となることが多いのは、残念ながらここ数年の傾向です。多くの場合、雪道では出走順がはやい選手が不利になり、特に1番手スタートは最も不利な走行条件となります。今回のアークティックはかなり北の地域が舞台だったので、気温が低くなり良いコンディションになるのではないかとスタート前は期待していました。しかし、不運にもラリー初日に気温が今年初めてプラスに転じてしまったのです。2本のステージを終えた時点で、既にトップから50秒も離されてしまいました。その後、少しでも順位を上げようと必死に走り続け、何とか総合6位まで上がりましたが、残念ながらミスをして雪の壁にはまってしまいました。厳しい週末を象徴するような出来事でしたが、そんな時はすぐに悪い記憶を頭の中から追い出し、前に進む必要があります。

第2戦アークティックと第3戦クロアチアの間の短いオフで、心身をリフレッシュすることはできましたか?

年の半ばはかなり忙しくなりそうなので、自分を最大限に充電するいいチャンスでしたし、主に家族と一緒に自由な時間を過ごしました。また、スペインで1日、クロアチアで1日それぞれテストを行いましたが、タイヤとのマッチングに特に力を注いでクルマの開発作業を行なうことができたのは良かったです。細部にまで目を配り常にクルマを改善しようと試みていますが、現在の最大の課題は新しいピレリタイヤに対する理解を深めることです。次のラリーに向けて、テストで最大限の経験を積もうと試みました。

初めて出場することになる、WRC初開催のクロアチア・ラリーへの期待を聞かせください。

ストの時に走ったり見たりした限り、クロアチアのターマック路面はかなり滑りやすく、グリップの変化も多いので難しいラリーになりそうです。その点ではモンテカルロにも似ていますが、モンテカルロでは雪や氷など路面のコンディション変化によってグリップが変わるのに対し、ここでは路面の舗装そのものの質が変化するようです。これはかなり困難なことですし、特にウエットの場合は非常にトリッキーなコンディションになると思います。ただし、それは誰にとっても同じことなので、きっとエキサイティングなイベントになるでしょう。私はゼロの状態からスタートして、新しい道や新しいエリアを見つけるのが好きなので、とても楽しみです。

今シーズン、一番楽しみにしている、または楽しみにしていたラリーは何ですか

リー・モンテカルロは私のホームイベントですし、子供の頃に夢見ていたラリーでもあるので、私がモンテカルロに特別な思い入れがあることは誰もが知っていると思います。しかし、私がWRCを好きなのは、素晴らしいイベントがたくさんあり、しかもそれらが1つ1つ全て異なる特徴を持っているからです。もちろん、ラリー・フィンランドはいつだって特別な1戦です。あのような道をラリーカーで走るのは素晴らしい気分です。また、スノーイベントも楽しいですし、特別なフィーリングです。そして、今回はターマックラリーとして開催されますが、ラリージャパンは以前に1度、グラベル(未舗装路)ラリーだった時代に出場したことがあるので、今回はまた新しいチャレンジになると思いますし、それがラリーの面白さでもあります。イベントごとに全く違う準備をする必要がありますし、経験があるラリーでも常に同じコンディションで走れるとは限りません。それが、このスポーツの魅力なのです。

10年ぶりに開催されるラリージャパンは、WRCフルタイムドライバーとして出場する最後のラリーになりますね。

ても嬉しいことです。実は、昨年もそういう計画だったのですが、新型コロナウイルスの影響で実現しませんでした。しかし、TOYOTA GAZOO Racingの全員がシーズンの最後をラリージャパンで締めくくることにワクワクしているでしょうし、もちろん私自身もラリージャパンでチャンピオン争いをしたいと思っています。日本の皆さんはとても熱心ですし、きっと多くのファンが応援してくれると思いますので、もし自分のキャリアを日本で終えることができたとしたら、それは素晴らしいですね。この新型コロナ禍がラリージャパンの前に改善される事を願っていますし、ファンの皆さんに囲まれて戦うことができたら、きっと素晴らしいセレブレーションになるでしょう。